表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/58

僕は泣いた

「…………死にたい」


 僕は自分の家の扉を開けると、靴も脱がずにその場にへたり込んだ。

 あれからどうやって家まで帰って来たか、全然覚えていなかった。


「……ぁぁ……………うっ、うう……」


 声と共に、今まで我慢していた涙が零れる。


「おかえり~……って、どうしたのお兄ちゃん!?」


 リビングからひょいと顔を出した妹が、僕の様子を見て慌ててこちらに近寄ってきた。

 この時間はいつも両親はまだ仕事で、家にいるのは僕か妹だけだ。


「なにかあったの!? どこか怪我した!?」


「……うぅ……ご、ごめん千夏(ちか)。ヒック。こ、これは、そういうんじゃ、ないんだ」


「じゃあどういうの!?」


「ちょっと…………その、女の子に振られたんだけど。少し、きついこと言われてさ。はは」


 言い辛かったけど、僕が正直にそんなかっこ悪いことを言うと、


「――――何それ。どこのなんて人? 教えてよお兄ちゃん」


 妹は何故か急にスッと雰囲気を変えて、据わった眼をした。

 怒ってくれているのかもしれない。僕は鼻をずずっと吸って首を振った。


「いや、いいんだ。別に、悪いのは僕なんだから」


 彼女は僕を騙していたんじゃない。ただ、僕を男として見てくれてなかったってだけ。

 あ、考えたらまた泣けてきた……。


「でも、お兄ちゃんを泣かせたんでしょ!? ありえない! お兄ちゃんの魅力を分かってないなんて、ありえないよ!」


「うぅ……ありがとう、千夏……」


 背中をさすってそう励ましてくれる妹に、さらに涙が溢れてくる。

 これはさっきとは違う涙だ。

 こんな僕にも、優しくしてくれる人がいるんだっていう涙。


「千夏、僕、お前が居てくれてよかったよ……」


「え!? う、うん! 千夏もだよ!!」


 そう言って照れたように笑う、二個下で中学三年生の我が妹。

 本当に、僕にはもったいない最高の兄妹だ。


「ありがとう、少し元気出たよ」


「ほんと!? 良かった!!」


 幸いにして、今日から夏休みだ。

 今日告白して上手くいったら、彼女とラブラブな夏休みを過ごそうと思っていたんだけど………………ともかく、次に彼女と顔を合わせるのは夏休み明けだろう。


「取り敢えず今日はもう寝よう……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 妹を出さないといけないルールでもあるんですかね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ