僕は妹の友達に会った
「あ、お兄ちゃんお帰り」
バイトから帰ると、妹の声がリビングから聞こえてきた。
いつもより少し余所行きの声だ。
「――お邪魔してまーす、お兄さん」
「あ、早希ちゃん。いらっしゃい」
彼女は妹の友達だ。何回か家で顔を合わせたことがあった。
机にはノートと問題集が広がっている。二人で勉強してたみたいだ。
「ゆっくりしていって」
僕は邪魔しちゃ悪いな、と思って二階の自室に上がろうとしたんだけど。
「千夏、そろそろ休憩にしようよー」
「…………そうね。お兄ちゃんも座らない?」
そう言う二人につられて、彼女達の隣に座る。
「お兄さん久しぶりー。一瞬、誰か分かんなかったな」
「ははは、まぁ友達の兄なんてそんなもんだよね」
「や、そういうことじゃなくて。すっごくかっこよくなったじゃないですかー?」
「? そう?」
「そうですよー、ドキッとしちゃいました」
「はは、ありがとう。千夏と走ったりしてるからかな」
「まぁお兄ちゃんはいつもかっこいいけどね」
早希ちゃんが何故か千夏を見て苦笑する。
「ふふっ。……あ、そうだ! お兄さん、あのお店でバイト始めたって本当? 今度千夏と二人で行っていいです?」
「えぇ、働いているとこ、知り合いに見られたくないな」
「そうよ早希、お兄ちゃんをあまり困らせるものじゃないわ」
「じゃあ、私一人は?」
「うーん。……まぁ、一回だけなら」
あんまり断るのも悪いかな。それに、たまたま僕のシフトの時に来ちゃうかもしれないし。
「やった!」
「!?!?」
ぎょっとした顔でこっちを見てくる千夏は、怖いから見ない振りをする。ごめんよ、やっぱり家族に見られるのは特別恥ずかしいんだ。
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「にしても、千夏って本当にお兄さんの前だとキャラ違うよねー」
「ちょ、ちょっと早希」
「学校だと本当に大人っぽくて、クールなんですよー? 皆の憧れって言うか。私もちょっと羨ましいなって」
「ふぅん。早希ちゃんも大人っぽい方だと思うけど」
「! そうですか…………ちなみにどの辺がです?」
「んー、服装とかかな」
千夏と二人で町を歩いていたら、高校生か、大学生と間違う人だっているかもしれない。
「え、嬉しいです! 実は私最近、すぐ胸のことばっか言われるのでー。特に男子は……あいつら、マジでキモい」
心底嫌悪しているような顔をしていた早希ちゃんが、急にこっちを見てにやっと笑う。
「……でも、お兄さんに見られるのは、そんなに嫌じゃないかもです。もっと見てもいいんですよー?」
「えっ!?」
えっ!?
「良いわけないでしょ、何言ってるの早希。……もう、お兄ちゃんも。見るなら私だけにしてよね」
「や、そういう問題じゃないよね!?」
真面目な顔でおかしなことを言う千夏の隣で早希ちゃんがこっそりウィンクしてきた。あぁもう冗談だよね、びっくりした…………。




