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転生したゲーム世界で脇役キャラなのにヒロインに好かれた俺は、なぜか現実世界でもモテまくる  作者: 波瀾 紡


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【第47話:レナは知っていた】

 つい先日Aランクモンスターを倒した二人の魔法が見事にヒットした。

 なのにCランクモンスターのミドルウルフは、平気な様子で立っている。


 レナとハルルも信じられないという様子で、呆然としている。

 確かに二人の魔法は、前回と比べて見た目にも威力が弱かった。


 ──なぜだ?


 みんなが呆然としている隙を縫って、ミドルウルフが突然飛び上がり二人に襲い掛かった。


「レナ、ハルル危ないっ!!」

「きゃあっ!」

「うわあっ!」


 俺の叫び声で我に返った二人が慌てて横に飛びのく。

 幸い上手く攻撃を避けることができた。


「レナ! ハルル! 大丈夫か!?」

「はい!」

「うん!」


 二人とも無事だ。良かった。

 だが魔物は態勢を立て直して、またこちらを睨んで威嚇している。

 まだ危機は去っていない。


「レナちゃん、も一回行くよ!」

「はい! 今度こそ倒しましょう!」


 レナとハルルは両手を前に伸ばし、再び戦闘態勢を取る。

 二人の両手には魔力が集まり白く光る。


 むぅ……やはり魔力の勢いはダンジョンの時とは比べ物にならない弱いものだ。


「▼※◆#! 落雷の魔法っ!」

「●×Ψ◎! 業火の魔法!」


 二人の得意の魔法がそれぞれの手から放たれた。

 今度も正確なコントロールで狼に命中した。


 ──が、それでも魔物は少しふらついたくらいで、倒れることはなかった。

 攻撃されて腹を立てたのか、グルルルルと喉を鳴らして牙を剥く。


「な……なんで?」

「ちょっとヤバいですね」


 どう見ても二人の魔力が下がっている。なぜだ?

 ……待てよ。そもそも二人がAランクモンスターを倒すほど魔力が高まったのは──


「おそらく『ラブ・エナジー』の効果だ」


 それが今は効果がなくなっている。

 さっき俺が告白に応じなかったせいで、彼女たちの俺への好意が弱まった……?


 そうだ。それしか考えられない。

 だとすると彼女たちの好意に応えると、ラブ・エナジー効果が復活するかもしれない。


 ──って、俺は何を考えているんだ。

 一人の好意に応えたら、もう一人は傷ついてしまう。それはダメだ。


 でも今のままだと、俺たちは全員ミドルウルフにやられてしまう。全滅だ。

 まさに今にも襲い掛かってしまいそうに毛を逆立てている。かなりヤバい。


「ツアイト君」


 レナがスッと俺に近づいて、視線はモンスターを睨んだまま耳元に話しかけてきた。

 俺も気合いを込めてヤツを睨む。

 ハルルも身構えて、三人揃って睨んでいるおかげか、ミドルウルフは警戒して襲い掛かってこない。


「ラブ・エナジー……ですよね」


 レナはハルルには聞こえない小声で話しかけてきた。


「え?」


 まさか、気づいていたのか。


「わかってます。色々と文献を調べて、間違いないと確信しました」


 そう言えば思い出した。

 以前レナは図書館で分厚い『魔法図鑑』を借りていた。そして「ラブエナジー」のページにしおりを挟んであった。


 やはりあの時から、ラブエナジーという現象に気づいていたんだ。


「私はさっきツアイト君にフラれて、正直言って、とても落ち込んでいます。それが原因で魔力が低下しているのだと自己分析しました」

「ごめん」

「いえ、責めるつもりはありません。もしかしてハルルも告白してきましたか? そしてツアイト君はそれを断わりましたか?」

「な、なんでそれを?」 


 あまりに図星の指摘に心臓が跳ねた。

 もしかして見られてたとか?


「勘です。さっき私がお手洗いから帰ってきたとき、ハルルは泣いていました。目に砂が入ったとごまかしていましたが、雰囲気からピンときたのです」


 そうか。レナッて勘が鋭い。


「彼女も私同様、大きく魔力が落ちています。やはりラブ・エナジー効果の低下が原因でしょう」


 きっとそうだ。でもどうしようもない。


「ツアイト君。私からお願いです」


 突然レナの口調が、とても真剣で力強くなった。

 思わず横にいるレナの顔を見つめた。


「なに?」

「ハルルを愛してあげてください。ハルルと付き合ってあげてください」

「あ、いや……急にそんなことを言われても」

「今の状態はかなり危険です。相手は狼。走って逃げきるのは不可能」


 確かにそれはそうだ。


「ということは何とかして相手を倒さないといけない」

「そうだな。間違いない」

「でもさっきから私たちの攻撃はまったく歯が立たない。これはもう、ラブ・エナジー効果を高めるしかないのです。だからツアイト君。お願いですからハルルに好きだと告白して、付き合ってあげてください」

「そ、そんなことを言われても……」


 もちろんハルルのことは好きだが、それは人としてであって、恋とか愛とかじゃない。ドキドキするような感情じゃないんだ。

 だからと言って、この危機を逃れるためにハルルを騙すようなことは言えない。


「あっ……!」


 レナの声に前方目を向けた。

 ずっと俺達を睨んでいたミドルウルフがとうとう業を煮やしたのか、いきなり身を縮めたかと思ったら俺に向かって飛びかかってきた。


「危ないっ! ツアイト君逃げてくださいっ!!」


 レナの言葉にも、身体が硬直して動けない。

 狼の魔物がぐんぐん近づいて、目の前に迫った。

 大きく口を開けて、鋭い牙がたくさん並んでいるのが見えた。


 魔法を放とうと身構えて両手を前に突き出したが、もう間に合わない。

 レナも俺のすぐ横で固まっている。


 ──ああ俺、ここで死ぬんだな。


 そう思った瞬間、突然横から人影が現れて俺の前に立ちふさがった。

 それはハルルだった。

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