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腹が減っては戦はできヌ  作者: 結野セキ
第三章:成長期

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交代

 夜遅くに捜索隊が帰って来た。ただ、帰って来た人数は捜索に出た人数と一緒だ。みんな肩を落としながら小屋に向かって歩いてきている。そんな姿を見るだけで寂しく、心苦しい……。どもその前に捜索隊の懸命な働きに感謝しつつ、温め直した食事をみんなに配ったのだった。


 昨日は皆疲れも目立ったので、会議をしないで早めに休んでもらった。少しひんやりとした朝、食料がそろそろ心もとない状況の中、ブロードさんのお陰でしばらくは安泰。それほどたくさんの物資を提供してもらった。村の人もそんな馬車を見てか今日はいつにもまして元気に見えた。


 この日は朝からブロードさんが持ってきた物資を、俺たちが用意した物を合わせ管理しやすいようにした。種類ごとに馬車の荷台に分けて積み込んだ。


「お疲れさま、アグリ君」

「ブロードさん、ありがとうございます」


 仕事が一段落つき、ブロードさんが2つのコップを持って笑顔で立っている。それを受け取って馬車の荷台に腰掛けた。


「それで、どうだったんだい? この数日間は」


 そうだった。これまでの事を話さなくては。俺はブロードさんに今日まであった事を事細かに話した。静かに聞いていたブロードさんは、安心したように口を開く。


「そうか、ある程度は順調だったんだね」

「そうですね、大きな問題はありませんでした」


 俺の話が終わった後は、ブロードさんの話を聞きたい。これまでどんな事があったのか……。

 ブロードさんは国王に国を作る話をした時から話してくれた。


「おじいちゃんは案外簡単に了承してくれた。やってみろって」

「それは良かった」

「でも、父が反対していてね。少し言い合いになっちゃったかな……。最終的には個人的に条件を出されて落ち着いた感じになったよ」


 お父さんは大変だったみたいだ。でもやっぱりブロードさんには交渉能力がありそう、そう感じた。


「後はトランを含め他の国に敵対するのは許さないって」

「そのつもりは無いので大丈夫そうですね」


 その後ブロードさんは書面上の手続きを行いながら、奴らを引き抜く準備をしたそうだ。


「今考えたらそれが一番大変だったかもしれない。最終的にはおじいちゃんに命令してもらって落ち着いた感じ。僕ひとりの力はまだまだ弱い……」


 少し猫背になりながら落ち込むブロードさん。そんな背中をポンポン叩く。


「そんな事ないですよ。ブロードさん、今ここに居るんですから」


 ブロードさんと他のメンバーが到着して仕事に余裕が出来た。しばらくはここを任すことが出来そうだった。最終的にはここを治めて行くブロードさんだ。ここからはバトンタッチと行こう。

 ブロードさんに声を掛け、書いた地図も手渡した。


「サンドリンの事、お任せします。俺は復興に着手していきます」

「うん、分かった!」


 ブロードさんはブロードさんの仕事を、俺は俺の仕事をする。その為にはあの子を探さないと。


「ところでアグリ君、聞きたい事があったんだけれどいいかい?」

「何でしょう?」

「アグリ君たちのコポーションとサンドリンの関係ってどう考えてるんだい?」


 そうだった、それも決めておかないといけないんだった。話すのを忘れていたが、頭の中で考えてはいた。


「あくまで別物と考えてます。取引相手といった感じですかね」


 そこは決して譲れない所だと俺は考えていた。サンドリンと俺の関係、それはサンドリンが作った物を俺が買い、ブランドとして売る取引相手だ。そこを間違えてしまっては今までの事が水の泡になってしまう。サンドリンの人をコポーションに入れる事は今後、一切ない。俺のコポーションのメンバーがサンドリンで働くこともしない。妹のルツが将来的に俺のコポーションのメンバーになるため、サンドリンとの関係を切っておきたいのだ。

 復興までは俺達全員協力する。ただそれは俺達個人が決めた事だ。復興が終われば関係が無くなる事になるだろう。ただし俺は米作りを指導するため関係を続ける事になるが、それは誰にも委託しない。リスクを背負うのは俺だけで十分だ。


「なるほどね、分かったよ。僕としては少し寂しい気持ちもあるけれど」

「ブロードさんはこれからもずっと大切な仲間ですよ」

「それは良かった。安心して仕事が出来そうだ」


 それで今日この時を持ってブロードさんにサンドリンを任せる事にした。俺達より圧倒的にまとめる力があるメンバーもそろった事だ。これで俺は少しサンドリンを離れる事が出来るようになった。


「アグリ君、それともひとつ。魔法使いの子供たちはどうするつもりだい? 魔法使いとして育てるのか、魔法を禁止にするか……」


 ブロードさんにそんな事を言われ、はっとした。そうか、それによって脅威にもなり得るのか。でも将来の魔法使いを縛り付けるのもなんか違う気がする……。これは俺だけじゃ決められないな。


「その件はアリアや孤児院に居る白魔女さんのダリアさんにも相談してみます」

「分かった」


 この日も無事に一日を終える事が出来た。ブロードさんは話が終わってからも忙しそうに何かをしていた。ブロードさんが真面目に働いているところは初めて見たが、楽しそうだった。もしかしたら近くに身内が居ない事でのびのびと仕事が出来るのかもしれないな。

 いつも寝ている馬車に戻ると、アリアとミルさんがすでに中で休んでいた。


「おかえり、アグリ」

「ただいま」


 俺は2人に明日一度山を下りる事を伝えた。オイーバさん含め筋肉さん達はジンさんから最後まで頑張ってこいとの指示らしく残ると言う。協力してくれた医者は、状況的に問題ないと判断し一緒に村を出る。


「私も一度戻るわ。ジュリちゃんも心配しているだろうし」

「うん。ミルさんは?」

「アリアさんの家でしばらくお世話になってもいいかしら? ジュリの仕事が終わってから村に戻ろうかしら」

「分かりました」


 明日、村を出るのは俺とアリア、ミルさん。さらに本当にたくさん助けてくれた医者。後は明日ロットにも聞いてみないと。

 今後の予定、まずはジンさんにもう一度お礼を言って、アリアの店に向かう。到着したら少し休憩かな。そして孤児院にも顔を出したい。それにあの時の女の子、ベルナムを見つけ出す必要がある。

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