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腹が減っては戦はできヌ  作者: 結野セキ
第三章:成長期

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初期メンバー

 コポーション申請書にある名前はアリアとアグリ。その下に孤児院の子たちの名前がある。アルタス、リラヤ、サラにメセデ、ダリアだ。さらに別の用紙には俺とアリア、白魔女ダリアの名がある。名前が並んでいるのを見るだけで、何かを成し遂げた気がして嬉しくなってきた。これからがスタートということは分かりきっている。

 お昼過ぎには家に到着することができ、父の顔を見る。


「おかえり、どうだった?」


 そう聞いてきた父に満面の笑顔で親指を立てた。


「大成功!」

「やったな」


 頭をがしがしと撫でる父は、自分の事のように喜んでくれた。さらにコポーション申請書を父に見せ、数ある名前を見た父は勇気付けるように言ってくれた。


「アグリなら大丈夫だな」


 暖炉に薪をくべる父の後ろ姿を見ながら、今度は父に尋ねてみる。


「シャーロット先生どうだった? 何か言ってた?」


 父は手に着いた小さなごみを払いながら「あぁ」と言う。


「シャーロット先生、ルツの状況は知らなかったみたいだ」

「そうだったんだ……」


 父によると、事件の事は担任から耳にはしていたみたいだ。ただ白魔女を含めた議論の結果、事故だったと結論付けたらしい。さらに寮での事は寮長に任せているため、分からなかったみたいだ。


「でもしっかり力になるって言ってくれたよ」

「そっか、良かった!」


 これまでの事はどうしたって変えられない。でも、これからどうするかは俺たちの行動で変えられるはずだ。ただ父は首を傾け、指を顎辺りに持っていきながら言う。


「でも気になる事があってな」

「気になる事?」

「国からの圧力もあるらしいんだ」

「国から?」

「あぁ、それがルツにどう関係するのかは分からないが、シャーロット先生も忙しいみたいでな。常に見てやる事は現実的に無理って言われた」


 そうか、訓練学校は国が作った物だ。シャーロット先生も国からの要請なんかも受ける事があるだろう。

 ただそれでも問題はない。念には念を、そのためのシャウラさんだ。シャウラさんならどんな相手でもだめな事はだめと言うだろう。必ずルツの力になってくれる。きっと大丈夫だ。


 洗濯が終わった服を干し、部屋に入る。


「お父さん。村の寄り合いっていつなの?」

「ん? 確かそろそろだったな」


 そう言って父は予定を確認し教えてくれた。その寄り合いに出ても良いかと聞く。


「構わないけど、どうするんだ?」

「ちょっと力を借りられないか聞いてみようかと思って」


 その日から寄り合いの日まで、緊張して頭が真っ白にならないようプレゼンの資料と原稿を作る事にした。


 次の日。


「ジュリ、部屋貸してくれてありがとう」


 ジュリの部屋に集まったのはリユンとロットだ。ノックをして入って来たのはミルさんだった。


「あの、ミルさんも忙しくなかったら少し話を聞いてもらえますか?」


 ミルさんも誘うと、コクリと頷きながらジュリの隣に座る。


「前から言ってたけどコポーションを作る事になった。それでみんなにも入ってほしくて」


 そう言いながら、すでに何人かの名前が書かれた紙を出した。するとジュリとミルさんはすぐに了承してくれ、名前を書き始める。ジュリは魔石に関してアリアから勉強してもらっていた事を十分に生かせるだろう。それだけではなく賢いジュリ達なら出来る事がたくさんある。ただロットとリユンは迷っているみたいだった。


「俺たちは親に聞いてみるよ」


 少し申し訳なさそうに言った2人。話を聞くと、ロットもリユンも一緒に働きたいとは思ってくれているそうだ。ただ、家には仕事があり親も継ぐことを願っているかもしれない、そのためすぐには決められないと言う。


「分かった、ありがとう」

「すまん、でも話してくるから」

「俺もたぶん大丈夫だと思うけど、聞いてからの方が確実だからね」


 いろいろ考えてくれた友たちに感謝し、話が大体固まった。


「寄り合いの時に俺からも言ってみるよ」


 そんな話をしていると、ジュリはもう1枚の紙を見て「これは?」と聞いてきた。アリアとダリアさんの名前だけが書かれてある紙だ。俺は心配をかけないよう、慎重に伝える。


「ルツが学校でいろいろあってな、卒業する前にコポーションで働く手続きをしてるんだ」

「そう……。大丈夫なの? ルツちゃん」

「あぁ、問題ない。先生も協力してくれるし、信頼できる魔法使いも用意した。きっと大丈夫だよ」


 それから数日が過ぎた。アダルの季節も過ぎつつあり、寒さも和らいでいると肌で感じる。寄り合いにの日が近づく頃、ロットとリユンが家に来た。


「どうだった?」


 そう聞いてみるとロットは元気に答えた。


「働けるぜ、一緒に!」

「本当か! ありがとう、ロット!」


 ロットはロズベルトさんとの交渉の結果、しっかり自分の役割をこなせるならやってみろ。そう言われたそうだ。バリバリ働いてもらわんとな。そんな中リユンは少し俯いている。


「ごめんアグリ。俺、当分の間はいままでみたいに掛け持ちになりそう」


 少し落ち込むリユンに感謝を伝える。

 リユンのお父さんも寄り合いには来るらしい。何か話せればいいが……。


「大丈夫、また仕事頼むよ。考えてくれてありがとう」


 きっと今までと何も変わる事はない。俺たち4人の関係はどんな事があっても崩れる事は無いだろう。

 ロットに名前を書いてもらい、コポーションの初期メンバーが決まった。自信が無かった最初の頃とは違い、名前を見るだけで計画をしっかり遂行できそうな気がしてくる。それもこれもみんなのおかげだ。


「そろそろ行くぞー!」

「はーい!」


 寄り合い当日、準備を整えて外で待つ父に向かって歩きだす。さて、誰か協力してくれる人は居るだろうか。

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