北方遠征とわたし
私の帝国北方、蛮族自治区観光が終わった。
などと言うと、怒られてしまうかもしれないが、今回の北伐はそれぐらい順調だった。
期間は、作戦の準備と移動に二十日間、作戦そのものが十日間の約一ヶ月で完了。
後方要員も合わせると延べ三万人も動員した大規模な作戦であったのだが、大きなトラブルもなく、私たちはそろって帝国北部の国境まで戻ってくることができた。
一言で言うと、
帝国の組織力ってすげー
そんな感じの作戦であった。
今回の作戦で、特に私的に印象深かったことを挙げよう。
一つ目は、蛮族お得意の浸透戦術を完封できたことだ。
浸透、と言われるとあなたはなにを思い浮かべるだろうか。
私は、暑い季節の汗染みを思い浮かべる。
あれは、乙女の大敵なのだ。
なんか今日あっついなー、ちょっと汗かいちゃったかなーとかのんびり構えていると、気付いた時には、ドレスに濃い色の染みができていて手遅れになっている。
それと同じ感じで、じわじわっと前線を超えてこちらの勢力圏に入ってくるのが浸透戦術だ。
ドレスに汗が浸透すると周囲の視線がやばいのであるが、
後方に蛮族が浸透すると軍の補給線がやばいのである。
あと連絡線もやばい。
さらに村も街も宿営地も物資集積所もやばい。
やばいを連呼しすぎて、馬鹿っぽく見えてしまうくらい、とにかくやばいのである。
3年前、王国に蛮族が侵攻してきた時に、私が一番苦労させられたのもこの浸透戦術だった。
王国軍は、私がいる戦場では勝てるのであるが、いないところだとだいたい苦戦していた。
数が違いすぎたのだ。いわゆる蛮族多すぎ問題である。
だから、できるだけ戦線をコンパクトに纏めて戦いたかったのだが、困ったことに後方に浸透されて後ろに抜けられてしまった。
こうなるともう、前線がどうのって話じゃない。
救援要請があっちこっちから来る。全方位敵だらけだ。
そのおかげでアリシア・ランズデールは引っ張りだこになり、私は人生初のモテ期にてんてこ舞いになってしまった。
そんなモテ期要らないよ!
おやめになって!ワタクシ、体は一つしか無いのよ!
西に東に走らされて、私はとてもじゃないが攻撃になんて移れなかった。
しかも問題はこれだけじゃなかった。
前線を超えられてしまったから、安全な場所というのが存在しない。
そう、夜寝る場所も危ないのである。
ちょくちょく夜寝ているところを襲われて、その都度撃退していたのだが、火攻めを食らった時は流石の私も死を覚悟した。
なんと奴らが放った火が、私の髪に引火したのだ。
あれにはびっくらこいた。
髪は女の命というが、私も否応なくその意味を理解した。
髪を燃やされると、死ぬ。
あと髪ってすごく燃えやすい。
転がったり、叩いたりしてみてももさっぱり火が消えなかったので、大慌てで帯剣を抜いて髪を切り落とした。
あのときは本当に焦った。
敵の襲撃には、私の燃え散った哀れな髪の分までがっつり逆襲してやったのだが、翌朝、水瓶に映った自分の頭を見て大変なことになったと青くなったものだ。
強心臓で知られるメアリもこの私の惨状には動揺を隠せず、このちりちりアフロヘアーに果たして嫁の貰い手があるのかと二人で頭を抱えたのをよく覚えている。
思い出は美化されると言うが、この時の記憶は、まったくこれっぽっちもいい思い出に昇華されていない。
なにしろ、この銀色の髪は私の自慢なのだ。
あのような悲劇は二度と御免である。
そんな大変厄介な蛮族の浸透戦術であるが、今回の遠征では完全に封じ込めることができた。
すべてジークの采配と、帝国軍の皆様のおかげだ。
ジーク率いる帝国軍は、後方への浸透を防ぐために、外郭防衛線を形成した。
そして程よく目立つ場所に、大きな物資集積所を作ると、そこを鉄条網でがっちがちに固めて陣地化した。
蛮族は鼻が利く。
どういう原理か知らないが、食べ物や金目のものがある場所を、どこからともなく嗅ぎつけて襲ってくる。
ゴキブリかネズミみたいな奴らだ。本当に忌々しい。
程なくして、とある蛮族の一団が、この囮の集積所を嗅ぎつけた。
この時、蛮族には二つの選択肢があった。
防衛線を突破して、帝国軍の後方を荒らすか、この見るからに怪しい物資集積所を襲うかだ。
リスクとリターンを天秤にかけた蛮族は、防御は固いが実入りも良さそうなこの集積所を襲うことに決めた。
積み上げられている物資や食料が偽物では無いことを、彼らは地道な張り込みで掴んでいた。
蛮族は知恵も回る。
奴らは世紀末になっても通用しそうな、パンクでロックなビジュアルをしているのだが、驚くべきことに人間に少し劣る程度の知性をもっている。
幾つかの部族を集めて人数を増やした奴らは、太鼓を盛大に鳴らし、大量に旗を立てて見せびらかすことで大軍を装って攻めかかった。
集積所を守っていた帝国軍は、敵の数が多いことに不利を悟ったのか。ほとんど戦わずに逃げ出した。
蛮族は略奪のために集積所に殺到した。
物資はたくさんあっても、一番いいところは早い者勝ちなのだ。
みな我先に集積所に侵入すると、喜び勇んで略奪を始めた。
そして、この様子を近くで伏せて見ていた人達がいた。
帝国軍猟兵隊の皆さんだ。
彼らは、蛮族が集積所の中に入りこんだのを確認すると、あっというまに周囲を包囲した。
そしてわざとせまーく作った出入り口を封鎖してから、遠隔式の着火装置で集積所内部の火薬に火をつけた。
またたく間に炎が集積所を飲み込んだ。
焼け出された蛮族は、当然逃げ出そうとした。
が、できなかった。
集積所の周囲は、がっちり鉄条網で囲まれていたからだ。
帝国軍が念入りに張り巡らせた鉄条網は、敵の侵入を防ぐための防壁ではなかった。
侵入してきた蛮族を逃さないための檻だったのだ。
集積所の中に閉じ込められた蛮族は、大半がこんがりローストされてお亡くなりになった。
猛火をくぐり抜けて出入り口までたどり着いた勇者は、周囲を包囲した帝国軍猟兵の矢の嵐で蜂の巣になった。
鉄条網に組み付いていたものは、外から猟兵の皆さんが槍を突きこんで倒した。
こうして蛮族の一団およそ二個大隊は一人残らず全滅した。
対する帝国軍の被害は、猟兵隊の負傷者が数名だったそうだ。
「コンラートは、この作戦を蛮族ホイホイとか言っていたな」
と作戦の立案者であるジークは語っていた。
正式名は、浸透攻勢に対する誘引式能動防御戦術というそうだ。
蛮族ホイホイのほうが覚えやすいかな、とも思ったけれど、私は黙っていることにした。
私は、ジークがちょっと難しい感じのかっこいい名前が好きなのを知っている。
ジークはこうも言った。
「賊共の浸透戦術は、どこを突破されるかわからんから厄介なのだ。ならば待つのではなく、敵の目先を誘導すればいい。相手が罠を警戒して襲撃をためらうのなら、それでも構わん。その時は、こちらが前線近くに安全な補給拠点を確保できるだけの話だ」
そう、この囮の物資集積所、補給拠点としてもちゃんと機能していたのだ。
一個連隊がおよそ一月にわたって戦えるだけの物資を備蓄してあったのだが、ジークは惜しげもなく焼き払った。
決戦に使う兵の命を、金で買えるのだから安いものだ、と彼は言って笑った。
正直に言う。
超かっこいいと思った。
私のときめきポイント大増量である。
もっとも、私は彼に惚れているので、その分の加点が大きいことは認める。
えへへ。
蛮族を完封してもらった私は、おかげで攻撃作戦に専念できたのだ。
すごかったこと二つ目は、帝国軍の連絡将校だ。
今回の作戦、私の指揮も大変円滑で、アリシアちゃんは終始ご機嫌であった。
これ実はすごいことなのだ。
帝国軍とランズデール領軍は、指揮系統が違う。運用方法もぜんぜん違う。
合同演習すらしたこともない二つの軍が、一つの作戦に従事するのは、実のところかなり難しい。
そこを乗り越えてすいすい作戦を進められたのは、帝国軍の連絡将校の働きによるところが大きかった。
その将校とは、つまりクラリッサなわけなんだけど、私はもう彼女を手放せないと思う。
ところで、連絡将校ってなんであろうか。
軍と軍の間をつなぐメッセンジャーみたいな仕事を想像されたあなた、お仕事的には間違いではない。
そして、私にはただのメッセンジャーは必要ない。
私が蛮族との戦いで、領主連合軍の指揮官をしている時にも、各領主と連携を密にするためにこの手の将校がつけられたことがある。
彼らは、現在の状況を、微に入り細を穿つように伝えてくれた。
そして私は、三日目で我慢の限界に達し、全員を副将メアリに押し付けた。
情報量が多すぎたのだ。
指揮官は、情報をインプットしたら答えを返す機械ではない。
私のクレバーな頭脳にだって限界があり、しかも前線をひーこら言いながら駆け回ってくたくたなのである。
できれば、その点についてご配慮頂きたかったのだが、彼らは自分の職分を優先した。
仕方がないことではある。
「状況をアリシア様に伝えろ」というのが彼らに与えられた司令なのだ。
ただ、私は凡人なので、彼らの期待には応えられなかった。
その点、なんでもおおざっぱに済ませるメアリは、当時の私にとってとても都合が良かった。
彼女は、将校たちの話をいつも簡潔にまとめてくれたからだ。
「状況は、極めて不利です。今日も一日頑張りましょう」
うん、アリシア、今日も頑張る!
当時の王国における蛮族との戦いは、毎日こんな感じであった。
戦線がとっちらかって、もうどうしようもなかったのである。
各自、現場を死守して力戦せよ、ぐらいの指示が精一杯だったのだ。
しかして今回の北方遠征である。
作戦初日、クラリッサは、ランズデール領軍の諸将に補給もろもろの連絡を済ませると、私に尋ねた。
「何かご質問はありますか」
「ないわ」
そのまま会議は終了となり、作戦が開始された。
私は、帝国軍の状況について一切気にせず襲撃部隊を指揮し、首を刈って回った。
それから何日間か同じように過ごした。
作戦も後半に差し掛かったある日、試みに私はクラリッサに尋ねた。
「後方の状況を教えて」
「はっ。現在帝国軍勢力下の全域において、敵脅威は完全に排除された状態にあります。各宿営地および、前線補給集積所の通常部隊行動圏内への蛮族浸透は確認されておりません。周辺偵察に関しては、敵攻勢が予想された東部外郭防衛線周辺を密に実施、総戦力およそ二個大隊ほどの散兵を補足しておりますが、防衛にあたるの第三猟兵連隊をもって十分に対処可能であると判断しております。現状の部隊配置について、詳細をご確認されますか?」
「お願い」
結果から言うと、クラリッサは、帝国軍のほぼすべての状況を把握していた。
戦いの場にあっては、戦局すべてを見通すことは難しい。
戦場の霧というやつだ。
彼女は、これを晴らすために、自らの足を使って駆け回り、部隊指揮官からも直接の情報を集めてまとめていた。
情報は集めるだけでは意味がない。
相互矛盾する情報については、関係する情報を精査して正誤を判断しなくてはならないが、クラリッサはそこまでを自分のお仕事として頑張ってくれていた。
ちなみにクラリッサは第一攻撃部隊の観戦武官まで兼任している。
「質問なし」の一言で済ませるわたしみたいな指揮官のために、この気が遠くなるような作業を毎日ずっと続けてくれていたのだ。
私は感動した。
クラリッサに後光が差して見えた。
ちなみに、今までのわたしの副官、脳筋メアリの場合を比較のために話そう。
やつは、ほぼどんな質問にも「問題ありません」で済ませようとする。
ろくに情報の裏付けも取らずにだ。
問題ありそうな場合でもいっつもこの返答で、問題が発覚しても力づくで解決してから「やはり問題ありませんでした」で貫き通す。
これこそが、メアリ流副官道だ。
力こそパワーを地で行っている。
メアリの性能を数値化したら、武力92、知謀8ぐらいだと思う。
頭脳は余裕の一桁だ。間違いない
ちなみにジークが武力88、知謀100、わたしが武力98、知謀80ぐらいの自己評価でいる。
わたしはこの日、メアリを首にして、クラリッサを副官に据えることに決めた。
もう一度言うけど、わたしはクラリッサの献身にとても感動したのだ。
折角なので、戦後の話もちょっとだけしよう。
クラリッサの頑張りにいたく感動した私は、副官をクラリッサに替える旨、メアリに通達した。
するとメアリは大変喜んで
「よっしゃ!」
と言ってガッツポーズした。
喜ぶのかよ!
わたしの副官、そんなに嫌だったのかよ!
首にした私のほうが、何故かダメージを受けてしまったので、私はクラリッサに慰めてもらった。
クラリッサに頭をなでなでしてもらいながら、でも私は気づいてしまったのだ。
もし、クラリッサにまで見捨てられたら、私はぼっちになってしまうということに。
大変な事態である。
クラリッサは有能だ。
いつ引き抜きがかかっても不思議ではなかった。
ステイシーもいるじゃないかって?
予想通り、メアリと同レベルの脳筋だったよ。
あの女に副官は絶対無理だ。
そんなわけでもしクラリッサに見捨てられないよう、わたしは賄賂を贈ることにした。
ご褒美に何を挙げたら忠誠度って上がるのだろうか。
たくさんの帝国軍士官を従えて人望がすごそうなジークに、私は相談した。
「勲章はどうだ?」
「勲章ですか・・・」
正式な勲章の推薦状を書いてもいいんだけど、それだと帝国からのご褒美になってしまう。
できれば、私はクラリッサを私物化したいのだ。
「クラリッサには、私個人からご褒美をあげたいんですよね」
「なら、アリシアお手製の勲章にしよう。デザイン含めて軍で準備してもいい」
「ほんと!?ありがとう、ジーク!」
私が、欲望をお礼に隠してジークにハグすると、ジークは任せろ!と力強く請け負ってくれた。
割とすぐに完成したので、私は早速クラリッサにプレゼントすることにした。
予め、私は意匠には翼を使うとだけ聞いていた。
帝国軍旗も双頭の鷲だ。
だから猛禽の翼のような雄々しいデザインを想像していたのだが、出来上がった勲章は、天使の羽を模したような、可愛らしい見た目のものだった。
「アリシアにちなんだ勲章だからな」
あんまり強そうじゃないな、と私は思ったが、ジークはこの意匠が気に入ってるようだった。
個人で作ったプレゼント用の勲章である。
黒字に白銀の翼が映えてとても綺麗だし、これでもいいか、と思った私は、折角なのでちょっとしたサプライズと一緒にプレゼントにすることにした。
砦の謁見の間に、暇な将校さんを集めて、ちょっとした授与式を開催したのだ。
暇な人が多かったのか、かなりの人が参加してくれた。
呼び出されたクラリッサは、ちょっとびっくりしていたみたいだけれど、
しかつめらしく気取った私が勲章を胸につけてあげたら、すごく喜んでくれた。
「ありがとうございます。アリシア様」
受け取ったクラリッサの、はにかんだような笑顔がとても可愛かったので、私も頑張ってよかったなと思いました。
参加してくれた将校さんたちからも暖かい拍手を頂いて、とてもいい授与式だった。
うん。
ここまでなら、いい話だなー、で終われただろう。
ところが、そうは問屋がおろさなかった。
アリシア白銀翼付武勲章
後に、このお手製の勲章が、公式に帝国軍の勲章として登録された事を知って、私はたいそう恥ずかしい思いをすることになる。
ジークのいたずらは国を平気でを巻き込むからほんと困ってしまう。
ところで私には、クラリッサの他にもう一人近衛騎士がいる。
ステイシーだ。
今回の遠征にも、彼女はもちろん同道した。
一応同道した。
一言で言うなら、ステイシーは、近衛騎士、珍プレー好プレー集の珍プレー担当だった。
彼女の大活躍についても語ろう。大迷惑ともいう。
ステイシーは私の護衛を自認しているらしく、常に私についてきた。
蛮族への連続強襲作戦にも同道したのだが、
最初の攻撃に参加したら撤収するという取り決めを無視して、第三次攻撃にまでついてきた。
ランズデール領軍は、戦意過多による抗命には、おおらかなところがある。
だからここまでであれば、おー、あの姐ちゃん気合入ってるな!ぐらいで済んだのだが、
なんとステイシー、宿営所に帰る途中で迷子になってしまったのだ。
今回の北方遠征、初の行方不明者が私の近衛騎士である。
アリシア・ランズデールの面目は丸つぶれだ。
恥を忍んで猟兵隊の皆様に捜索を依頼することになった。
ステイシーは割りとあっさり見つかった。
彼女を保護してくれた猟兵隊の指揮官の方が、わざわざ挨拶に来てくれたのだが、私は顔から火が出るほど恥ずかしかった。
「すみません。我が隊のステイシーがお手数をおかけしていまい、本当に申し訳ない」
「いえ、帝国軍の教育に問題があったのです。アリシア様のお手を煩わせてしまいこちらこそ申し訳ありません」
私と猟兵隊の指揮官の方で、この後しばらくお詫び合戦が続いた。
この間、ステイシーはずっとにこにこしていたので、宿営地に戻った私は流石に怒って拳骨を落とした。
その後しばらくは、ステイシーが私と同じ宿営所となるよう調整したので問題なかった。
しかしこの問題児は、決戦時にもやらかしてくれたのだ。
私は精鋭部隊を率いて敵の本陣に攻撃を仕掛けたのであるが、なんとこの女、勝手に部隊に潜り込んで来やがったのである。
ところで帝国軍正規騎兵は、ランズデール騎兵と装備が違う。
帝国の騎兵は投槍がオプションになっているのだ。
そのため投槍を持っていないことが多い。ステイシーも持ってなかった。
おかげで本陣攻撃時、ステイシーだけは何もせずに敵の前を素通りすることになり、隣を走っていたランズデール騎兵隊指揮官のギュンターさん(33歳)はとてもびっくりしたそうだ。
「え、この娘、何しに来たの?」
と思ったらしい。
そりゃびっくりするよ!遊びじゃないんだぞ!
ちなみに本陣突撃後の近接戦闘ではべらぼうに強かったらしく、味方を支援してかなりの数の死傷者を減らしてくれた。
この活躍がなければ、本気で解任を考えるところだ。
作戦終了後に褒めて褒めてオーラを出しながら私のところに報告に来たので、私はご褒美にまた拳骨をくれてやった。
「解せぬ」
みたいな顔をしていたけど、私は君のその懲りない図太さが解せないよ!
この娘は軍隊を一体なんだと思ってるのかね!
要するに、ステイシーは、もう次の遠征は連れてくの止めよっかなってレベルの活躍ぶりであった。
強いだけじゃなくて、集団行動も覚えてもらわないと、アリシア困ります!
最後に残ったメアリであるが、基本的に脳筋なので、今回はジークの傍に置いてきた。
ジークは智将派なので、メアリの知育を狙ったのである。
結果から言うと何も学んでこなかったので、知力強化は一切諦めて前線で使うことにした。
決戦時に部隊の統率を任せたのだが、お留守番の鬱憤をはらすべく、部隊の先頭に立って突撃していた。
こんなにもかわいいのに、なぜメアリはわざわざ女を捨てに行くのか。
ほんと、もう、私は悲しい…
手柄首の数を巡って、ステイシーと元気に言い争っているメアリを私はクラリッサと一緒に眺めながら言った。
「四人も女将校がいるけれど、脳筋が二人も混ざると大変よね」
「えっ!?」
「…えっ!?」
えっ!?てどういう意味なの、クラリッサ!?
今回の北方遠征は、終始こんな感じだった。
なんだかんだ色々あったけれど、みんな無事に帰ってこられたので、うまくいったのではないかな、と私は考えている。
アリシア「ジークはヒモじゃないよ!そこんとこ私は強く主張したい!」
ジークハルト「俺はヒモでも一向に構わんがな」
メアリ「どうでもいいですけど、アリシア様の武力98は過少申告なのでは?」
ステイシー「自分の知謀8は否定されないんですね」




