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【連載】「偽物だ」と追い出された最強聖女たちの、自由気ままな珍道中  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第四章 新たな地へと向かう聖女たち

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37、辺境伯からの依頼

 その後ギルド長の元へ向かった四人は、封筒を手渡されて……中身を確認したベルドに連れられ、次に訪れたのは北側にある辺境伯の住む城であった。

 連れてこられた場所に目を丸くしてベルドとウルを見る二人。ウルは額に手を当て、ベルドはいたずらが成功したような表情でミナたちを見ていた。

 どうやらウルは何も言わずに二人を連れてきて、驚かせようとしたベルドに呆れているようだ。


「……ベルドたちは本当に、紫級冒険者なのか?」


 訝しげに目を細めて彼を見つめるミナ。レアも同様だ。

 多分これは指名依頼、というやつだろう。前のギルド長であったドレイクから、二人は人攫いの件の指名依頼を受けていたという話なのだから。


 ニコニコと笑うベルドからは動揺が見られない……ということは本当に紫級冒険者なのだろう。

 ただし、それ以上の実力があるのは確実だ。能ある鷹は爪を隠す、なんて言葉を聞いたことがあるけれど、この二人はそれなのかもしれない。

 

 そもそも幾ら茶級に近い冒険者だからって、こんなに指名依頼が来ること自体珍しいのではないかと思う。それだけ冒険者としての腕があるのか……それとも別の理由か。

 そんなことを考えていると、隣にいたレアが音を立てて手のひらを合わせた。

 

「それか、後ろに権力者がついてるとか!」

「……その可能性は高いな。もしくは――」


 本人、もしくは実家が権力を握っているのか。

 そこまで言おうとして、止めておいた。ウルの顔から血の気が少々引いているような気がしたからだ。僅かな変化であるので、多分普通の人は気がつかないだろうけれど。

 ある程度ベルドの出自に予想がついたミナは、ベルドへと視線を送った。彼はミナが何かを察したことに気がついたのだろう。苦笑いをたたえていた。


「まあ、なんとなくわかってるかもしれないけどさ。後で改めて話すから、聞いてくれる?」

「……わかった」

「話しても大丈夫なら、聞くよ!」


 ミナとレアはここで追い詰めることはしない。だって、二人にも隠しておくべき出自があるのだから。そんな二人の様子を見て、ウルは気を張っていたのか胸を撫で下ろしていた。

 どうやらこのパーティの苦労人は、ウルで決定らしい。


「じゃあ、ここでこうしてても意味がないから、一緒に行こうか」


 そう話すベルドの後に続いて、三人も城へと足を踏み入れた。


 執事の案内により、城のある一室で四人は待機をしていた。

 ここは彼曰く、城の応接間。室内は深みのある青色を基調とし、調度品の端々に金装飾が使用されている。その派手すぎず、重厚な調和は辺境伯の趣味なのだろうか。

 個人的に言えばミナもこの部屋の装飾は美しいと思った。


 ベルドがティーカップで紅茶を飲む音が室内に響き渡る。ウルはまるでベルドを守る騎士のように、後ろで姿勢よく立ったままだ。本人が着席を固辞したのである。

 ちなみにミナとレアはお言葉に甘えさせてもらった。流石にずっと立っているのは、体力がついたとはいえ厳しい。ベルドとの間に一人分の空間を空けて、同じソファーへと座っていた。


 しばらくすると、その静寂が破られる。扉を叩く音が聞こえたからだ。

 室内にいた案内の執事が扉を開けると、そこには温和そうな……けれども内に秘める威厳を隠すことができていない男性が現れた。

 貫禄からして……彼が辺境伯なのだろう、そうミナとレアが直感で察したのと同時に、隣から声が上がった。

 

「お久しぶりでございます、シュトライト辺境伯様」

「おお、息災であったかベルナルド! ウルバーノも元気そうだな」

「恐縮です」


 二人は辺境伯の言葉に頭を下げる。

 なるほど、二人は偽名……まあ、多分愛称を名前として使っていたのだ。本当の名前はベルナルドとウルバーノか、とミナは思う。

 辺境伯が彼ら二人の顔を知っている、ということは二人が帝国貴族である可能性がより高くなった。というか、確実だろう。


 二人が元気そうな様子を見て、辺境伯は満足そうに頷いた。そしてベルドの……一応隣に座っているミナとレアを見て、目を丸くした。


「このお嬢さん方はどうしたんだ?」

「少し前からパーティを組んでおります」

「ほぉ、お前たちがパーティを……珍しいこともあるものだな」


 そう言いながら辺境伯はミナとレアの姿を視界に入れた。

 相手は舐め回すように見ているわけではないが……どこか居心地が悪く感じる。多分辺境伯と視線が交差してしまったからだろう。

 少しの間、見つめあってしまったミナと辺境伯だったが、すぐに相手が視線を外した。


「まあ、ここに連れてきた、ということは……実力は問題ないということで良いんだろう?」

「もちろん」


 ベルドは満面の笑みで辺境伯に同意をしているし、ウルも力強く首を縦に振っている。そんな二人の様子を見た彼は「それなら問題ない」と一人掛けソファーに派手な音を立てて座った。

 そして後ろに控えていた執事に目配せをすると、心得たと言わんばかりに執事がテーブルへと紙を広げる。


 広げられた紙に視線を送ると、それはこの周辺の地図だ。そして、辺境伯は駒のようなものをある場所に建てた。その場所は――


「この泉に瘴気溜まりができている可能性がある」

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