表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第16章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

991/1020

護身用

 翌日。俺は静かに火を湛える火床の前で腕を組み、首をひねっていた。


「うーむ。良いサイズのものかぁ」


 ショートソードではいかにも武器然としすぎているし、今手元にあるナイフではリーチが心許ない。その中間、扱いやすく、いざという時に頼りになる刃が欲しい。

 30センチより少し短いくらい――刀で言えば短刀に近いか。脇差しと呼ぶには短すぎ、匕首にしては長い。

 だが、明確な呼称や規格があるわけではないし、自分の手に馴染む長さで作ってしまえばいいか。


「……20センチ前後、だな」


 普段使いのナイフが刃渡り十センチ前後だから、その倍と少し。長すぎれば携帯に不便だし、短ければ護身にも使えない。その中間こそが、俺の欲しかった「実用品」だ。

 衣服の下に忍ばせても邪魔にならず、必要な時にはすぐ抜ける。用途を考えれば、この辺りがちょうどいい。


「よし」


 決まれば動くのは早い。板金を積んであるところへ向かい、素材を吟味する。

 この板金は今ではリディやヘレン、ディアナ、アンネたちが作ってくれるものだ。鍛錬の成果か、どれを手に取っても厚みもほぼ均一だし、品質のバラツキもほとんど無い。


「これと……これを使うか」


 声に出して確認するのは、もう癖のようなものだ。

 以前、板金チームに使う時は一声かけたら、「使われるために作ってるんだから、報告なんかいらない」と言われてしまった。

 以来、俺は何も言わずに必要な分だけ取ることにしている。


 火床に板金を入れると、すぐに赤みを帯び、ゆっくりと熱が全体に回っていく。やがて、鋼は赤みを帯び、やがて表面が柔らかく光を放ちはじめた。

 俺はそれをヤットコで掴み、金床の上に置く。鎚を振り下ろすと、耳に馴染んだ金属音が鍛冶場に響き渡る。

 ガン、ガンと叩くたびに鉄が延び、重ねた板が一つになっていく。再び折りたたみ、火に戻して熱し、また叩く。

 その単純な繰り返しに、どこか心が落ち着く。


 今でもチートの補助がなければ、この精度で叩いていくことは難しい。

 それでも、少しずつ感覚が掴めてきた。

 いつかはこの手だけで、ある程度できるようにならないといけないな。


 炎の熱気と金属の匂いに包まれていると、時間への意識はあっという間になくなる。

 何度も折り返して叩き、純度が上がってくるのが肌で分かる頃、ふと窓を見ると、太陽が中天にさしかかろうかとしている。

 昼前か。悪くないペースだ。午後には形に取りかかれる。


 見ると、サーミャとリケのペースも良かったようで、完成したナイフや剣が転がっている。

 1本を手に取って見てみると、なかなかの品質だ。高級モデルに比肩するところに近づいているようにも思う。


「ようし、昼飯にするか」


 俺が皆にそう声をかけると、手を止め、昼食を取る準備に向かって行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=509229605&sツギクルバナー
― 新着の感想 ―
板金の在庫管理ってリケがやってるんですかね? 日々どんぶり勘定でテキトーに作りまくって積み上げてたら、ある日とつぜん床が抜けたネタとかありそう。
鉄扇に一票!
忍者刀でもちょっと長いのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ