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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第14章 秘密のインク編

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808/1020

ちょっとした宴

 カミロの部屋を出た俺は、仲間たちが待つ食堂へと向かう。

 そこには、すでにワイワイと話す皆の姿があった。


「お、エイゾウ。お帰り」


 サーミャが手を上げて迎える。


「ああ、待たせちまってすまん」


 俺は苦笑しつつ、席に着きながら言った。


「カミロが祝いの食事を用意してくれるらしいぞ」

「そうなのか。珍しく気が利くな」


 ヘレンがそう言って笑った。俺もそれにつられて笑う。

 カミロは程なくしてやってきた。沢山の料理とともに。


「待たせたか?」

「いや、俺はそれほどでも。他の皆は分からんが」


 俺が肩をすくめると、そのすくめた肩に重い一撃が飛んできた。

 俺は少しだけ顔をしかめつつ続ける。


「……いや、どうやら俺の腹は待ちきれないらしい」


 派手ではないが、確かに響いた腹の音が皆の笑い声にかき消された。

 テーブルに素早く並べていく料理人さんたちに、俺は声をかけた。


「どうもありがとう」

「いえ、腕によりをかけましたので、どうぞ楽しんでいただければ」


 朝も見た朗らかな笑顔で返してくれる。俺もこの後の食事のことも手伝ってニッコリと笑顔を返す。

 サーミャが肩を揺らしている気がするが、気にしないでおこう。


 ズラッと並んだ料理。突然のことで食材も限られたのではないかとカミロに聞くと、


「こういうときに人脈ってのがものを言うんだよ」


 とのことである。横のつながりってやつだな。


「それじゃあ、食べましょう。せっかくの祝いの席だもの」


 ディアナが優雅に微笑む。


「そうね。みんなで楽しく食事をするのが一番」


 アンネも上品に頷く。


「ほんと、めでたいことだもんな」


 ヘレンはいつものように朗らかだ。


「ええ、こういう時間が何より大切ですから」


 リディの言葉に、全員がうんうんと同意する。


「よし、それじゃあ乾杯といこう」


 俺は音頭を取って焼き物らしいジャグを掲げた。


「チェインメイル完成を祝って、乾杯!」

「乾杯!」


 みんなでジャグを合わせると、ガラスのような澄んだ音ではないが、コツンといい音が響く。

 それを合図に、皆が思い思いに料理を口にし始めた。


「うん、美味しい!」


 リケが満面の笑みを浮かべる。

 サーミャもモリモリとスパイスらしきものがたくさん掛かっている肉を頬張っている。

 どの料理も絶品で、他愛もない話に華が咲いていく。


「ねえ、エイゾウ。チェインメイルの出来はどうだったの?」


 その話の途中。ふとディアナが尋ねてくる。そういえば彼女は布に包まれた姿は見ているが、中身は見せてなかったな。


「うーん、まあ及第点ってとこかな」

「あら、珍しく謙遜?」


 横で聞いていたアンネが苦笑する。


「いや、本音だよ。まだまだ完璧とは言えないからな」


 俺は自分の技術のまだ足りない部分を認識していた。今はかなりの部分をチートに頼っている。

 〝最上級〟の品を全くチートに頼らず作ることは不可能だとしても、いずれその割合は減らしていきたいところだな。


「でも、あれだけの物を短期間で作り上げるなんて、すごいじゃないか」


 どうも割と酔っ払ったらしいカミロがストレートにフォローしてくれる。


「そうですよ。親方は自信を持ってもいいと思います」


 こちらはかなり呑んでいるはずだが、顔色が全く変わらないリケも同意する。


「まあ、そこは置いといて、とにかく良かったよ。マリウスの役にも立てそうだしな」


 なんとなく気恥ずかしいような気がして、俺は話題を逸らした。


「なんせ、俺にとって大切な友達だからな」


 酔いも手伝っているが、本心でもある。

 騒がしかった食堂が少しだけ静かになる。話題を逸らすにしても、もう少しやりようはあったかな。

 しかし、それは杞憂だったようだ。


「似合わねぇ~」


 サーミャの言葉に、食堂が再び騒がしくなる。

 だが、その騒がしさに紛れて、その言葉が俺の耳に届いた。


「ありがとうね、エイゾウ」

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― 新着の感想 ―
[一言] 戦場の現地生産ではないし、通常品質でいいならエイゾウを指名する必要あったのかな、という。 その辺の店売りの品を使えばよかったのでは・・・この辺だとチェインメイルって珍しかったりするのだろうか…
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