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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第8章 帝国の皇女編

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309/1020

新製品の練習

 リケの操る竜車が森に入った。ホッとする感じを覚えて、俺は苦笑する。こっちの世界に来てから1年もしないが、ここから先はすっかり「勝手知ったる」領域になってきたな。

 他の人々からすると、ホッとするどころかゾッとするところらしいが、「住めば都」とでも言おうか、ここが生活拠点の俺には逆にピンとこない感覚である。


 そんな勝手知ったる森の中である。街や街道と比べると警戒の度合いは下がる。サーミャの話も合わせれば、天然の衛兵たる狼達が雨期のあとの腹減り状態で巡回しているようなので、潜伏しようにも難しかろうことは明白だしな。

 ただ、気を抜きすぎてワンチャン狙いされた場合や、熊に出くわしたりすると厄介なので最低限度の警戒は怠らない。

 警戒をしていると、魔力が濃いからだろうか、街にいるときよりも感覚が鋭いような気もする。また今度リディに聞いてみようかな。


「ただいま」


 結局、道中は何事もなく家にたどり着いた。音を聞きつけたのか、匂いか、はたまた気配なのかは分からないが、俺たちが戻ってきたのを察知したらしく、サーミャたちが表に出ていた。気晴らしに狩りにでも出ているかと思ったが、家にいたらしい。


「おかえり。何事もなかったか?」

「ああ。皆何事もない。いたって平穏無事に帰ってきたよ」


 俺がそう言うと、サーミャとリディ、そしてアンネがホッとした顔をする。俺たちが心配で狩りに行く気分でもなかったってことだろうか。なんとなく気恥ずかしいような、嬉しいような。

 リケがクルルを止めると、まずルーシーが荷台からぴょーんと飛び降りて、サーミャたちの前でおすわりをした。まるで彼女もただいまの挨拶をしているようだ。リディがしゃがんで「おかえり」と言いながら頭を撫でてやった。


 その後、クルルを荷車から外してやったり荷物を倉庫や家に運び入れたりといった、いつもの作業をする。アンネも少し手伝ってくれた。


「すみませんね、手伝っていただいて」

「いえいえ、体を動かすのは好きなので。それに、ご厄介になっている身分ですし」


 アンネは体躯に違わぬ力を発揮した。うちの家族はリディを除いて全員見た目より力持ちだったりするので、見かけそのままというのも新鮮と言えば新鮮である。うら若い女性に対する褒め言葉にならないのは重々承知なので、うっかり口に出したりはしないが。

 いつもより少し早くに片付けが終わったので、めいめいのことをする時間も少しだけ長い。


「よし、それじゃあ始めるか」


 鍛冶場に火を入れて、作業できる態勢を整えたら、板金を取って火床で加熱する。加熱した板金が薄くなるまで叩いて伸ばしたら、適当なところで切り分けた。


「親方、何してるんです?」


 いつものように鍛冶場に火を入れるなら、と自分の練習をしていたリケが覗き込んできた。


「そろそろ、籠手の一つも作ってみようかなと思ってな」

「おお、防具も作るんですか!」


 俺は頷いた。防具は俺の“力”でも手間がかかる割に作れる数が多くはないこともあって、これまではやってこなかったが、ヘレンが家族になって今回のアンネの件もあったりと、身を守る方法も考えたほうがいいのかなと思い始めたのだ。

 ただし、である。


「今日はまだ練習だ」

「親方に練習なんて必要なんですか?」

「もちろん」


 俺は苦笑しながら言った。いくらチート能力を貰ったといえども、元々は全くの未経験である。防具のようにとんでもなく複雑なものを作るなら、予めある程度の感覚を掴んでおきたい。

 ひとまず、指あたりの可動部の試作品を作るべく、俺は細かく鎚を動かした。

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