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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第16章

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1012/1020

帝国への道4

「肉なんかはサーミャたちが狩りにいってくれて、野菜のたぐいは以前はカミロから買ってたんですが、リディたちのおかげでいくらかは畑で採れるようになったんで、その傍らで鍛冶をしている感じですね」


 狩っている獲物が並の狩人だと命の危険があったり、畑の野菜はエルフの種から育っているので、季節を問わず収穫できることなんかは言わずにおいた。

 しかし、こう考えてみると命を繋ぐための食料調達は女性陣に任せて、自分はのうのうと好きな仕事をしている、というふうでもあるな。

 やはり、ここは「お父さん」として出張を引き受けて良かったような気がする。


「聞いた感じは普通に聞こえなくもないんですけどねえ」


 カテリナさんが言う。その後はアネットさんが引き取った。


「それを〝黒の森〟でこなしている、というのがやはり普通ではないように思いますよ」


 俺は再び肩を竦め、笑い声が響く。


「さて、それでは少し急ぎますか」


 そうカテリナさんが言ったので、天を仰げば太陽が一番高いところに達しようとしている。周囲を見ると、水場になりそうなところがないようだ。

 昼すぎくらいには水場についておきたいのだろう。


 カテリナさんが手綱を操ると、馬は気合いが乗ったのか、力強く馬車を引き始めた。


 目的地にしていたらしい水場に着いて、馬と人間がそれぞれ補給をする。

 これが帝国へ出張ということでなければ、至極のどかな光景と言えるのだが、あくまでお仕事のための移動中だし、家族も一緒にはいないので、あまりそんな感じは受けない。


 手早く干し肉を腹に収めたカテリナさんとアネットさんが、地図を見ながら今後の道程について相談をしている。

 地図はルイ殿下のところが作ったものであるらしく、結構正確なものだそうだ。


 前の世界でも正確な地図は普通に軍事的な目的でも利用されていた。どこがどういう地形で、何があってという情報は、軍事以外でも重要だ。

 なので帝国に着いた時点で、帝国側の人間が道中フラフラしないように監視を兼ねての出迎えがいるはずである。


「アネットさんが来たのってもしかして、帝国の地図も?」

「いえ、その辺は大丈夫ですよ」


 大丈夫、と言うからには既にできているのか。そりゃそうか。諜報機関があるのだ、その辺り何もしていないはずがない。

 恐らく帝国も王国の地図は持っているんだろう。帰ったらアンネにそれとなく聞いてみようかなぁ。


「ただ、確認は必要ですので、見られる範囲のものは見ます。変わっている場所もあると思いますし」


 俺はなるほど、とアネットさんの言葉に頷いた。


「それじゃ、行きましょうか。今日は次の町に着くまで休みません」

「分かりました」


 カテリナさんに促され、俺は馬の首筋を軽く叩いてやってから、出発の準備を整える。

 その最中、アネットさんが言った。


「そう言えば」

「なんです?」

「〝黒の森〟の地図はあるんですか?」

「うちがちょっとまとめたものはありますが、正確なものはないですね。ただ、できる範囲のものは作っていこうかなとは思ってますよ」

「なるほど」

「ああ、勿論、『偽物』もね」


 俺が言うと、アネットさんは一瞬目を丸くしたが、すぐに頷き、カテリナさんは少し悪い顔で笑って、全員馬車に乗り込んだ。

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― 新着の感想 ―
まあ、その「お父さん」の作った矢じりやナイフ、それに多分農具のおかげもあるんでしょうし、大丈夫だと思うよエイゾウさん?
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