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一炊の夢 ~エリートリーマンのやり直し~  作者: もぎ すず
第三部 儚きエリートリーマン
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直近のあらすじ

 夏休み、菱前(ひしまえ)老人と渡米し、まずロサンゼルスで、企業パーティに出席した。

 パーティを主催していたのは、米国のグローバル()トラディショナル()マネージメント()社。


 今回、ヒシマエ重工の銀行買収に、高額な融資を打診してきた投資会社だ。

 この融資、『夢』の中でも時系列こそ異なるが、同じような流れを辿っていたりする。


 パーティに参加した日本人は俺と菱前老人、そして小山田(おやまだ)一郎(いちろう)を名乗る三十歳くらいの男の三人だけだった。


 俺はこの小山田という人物を知っていた。

『夢』の中での知識だが、いまより二十年ほどあとに、彼が地面師として指名手配される。ようは詐欺師だ。


 彼からもらった名刺の裏を取ったところ、名刺に書かれていた長田(ながた)商船株式会社なる会社は実在していた。

 ただし、専務職に小山田なる人物はいなかった。


 同名の人物が営業職にいたことから、どこかでその営業の名刺を手に入れたあと、肩書きを変えて作り直したのだと思われた。

 名前と身分を偽っている段階で、この小山田は敵である。


 そして彼が「GTM社からこのパーティに招待された」と説明したことから、巨額銀行詐欺事件にGTM社が関わっている可能性がかなり高まってしまった。

 一応、善意から融資を打診してきた可能性もあったのだが、その可能性はほとんど消え去ったといえる。


 それを知った菱前老人の怒りようはものすごく、直後は物騒なあれこれを呟いていたほどだ。


 それでもさすが、老人は戦時中を生き抜いただけのことはあった。

 表面上の怒りを押し殺して、翌日に地面師の小山田と一緒に出かけていった。


 一人になった俺は、記憶の欠落を埋めるため、ラスベガスに飛んだ。

 冤罪事件の裁判のとき、検察側の冒頭陳述で、俺はラスベガスから日本行きの飛行機に搭乗したと聞かされたからだ。


 だが、記憶力には自信がある俺がいくら思い出そうとしても、なぜラスベガスに行ったのか、そこで何をしたのかが思い出せない。


 現地に行けばなんとかなるとは思っていなかったが、本当に偶然、いつものフラッシュバックがおこり、過去の自分の行動が判明した。


 大口の契約受注に成功し、日本に帰国する直前、俺が苦手としていた亜門(あもん)清秋(せいしゅう)をこの地で見つけたのだ。

 何をするのか興味を抱いた俺は、サングラスで変装してこっそり跡をつけることにした。


 結果、やつがウイルスによって人の能力を底上げされたチート人間の末裔であることが分かった。

 そのウイルスを作成したのが、エーイェン人という地球外生命体。


 数百年は昔、彼らが乗った宇宙船が、太平洋のどこかに墜落した。

 船が沈む前に、船員は三台のムーバに乗って中国、日本、米国に向かったという。


 中国と日本にいたエーイェン人たちは、すでに滅びていることも分かった。

 なぜ米国のエーイェン人だけ残ったのかといえば、地下で細々と研究していたことで、エネルギーの供給源であるプログレッシオの円盤のエネルギーがまだ残っていたからだろう。


 俺はそこで、九星会の目的を知った。

 彼らは一度、世界に混乱をもたらし、それを収めることで、世界全体の政治や経済を牛耳ろうと考えていたようである。


 いま世界には国際連合――通称国連があるが、もっと権力の強いあのような形式を目指しているのかもしれない。

 地球統一国家のような野望を真面目に目指している集団がいることに驚いたが、そのための混沌がすぐそこに迫っていることにも驚いた。


 結果、俺はエーイェン人の生き残りと共闘し、九星会ひいては亜門清秋の野望を打ち砕こうとした。

 だがここで、運命の歯車が狂い出す。


 俺はエーイェン人を出し抜こうとしていたし、エーイェン人も俺のことを信用していなかった。

 結果、俺はここで有ったことをすべて忘れ、精神の時を戻す薬を飲んで、十五歳の進路面談の日に戻ってしまったのだ。


 当時、傲慢だった俺は自業自得だろう。

 だが騙されたことへの文句は言っていいと思う。そのせいで、しなくてもいい苦労をいろいろ背負い込んでしまったと思う。


 記憶の欠落がなくなった俺がホテルに戻ると、菱前老人はすでに戻っていた。

 そして、話巧みに地面師のホームグラウンドを案内させたという。


 老人は、収穫があったと上機嫌だ。

 これなら明日の会談もうまくいくのではないかと思う。


 もちろん、相手に疑いを持たせないという意味でだ。

 そうして翌日、俺たちはGTM社との会談に臨むのであった。



最終章『儚きエリートリーマン』がはじまりま……の前に、今回は時間があいたので二章後半部分のあらすじとなっています。

そして本編開始の準備は整っているのですが、コロナに感染してしまいました。(本日発症四日目)


家族全員コロナ感染中なので、いまは各自部屋に篭もって食事も個別に摂っていたりします。

症状は私が一番軽く熱はすぐ引き、喉がやすりで削られたような状態が二日続いて板チョコを一日一枚だけという状態でした。カロリーがまったく足りませんね。


昨日(三日目)から食事も復活したのですが咳がとまらず、今日ようやく咳もおさまった感じです。発症から四日でほぼ元通りは、高齢のわりに回復が早い気がします。

それでもしばらくは重症化のリスクがあるので、安静にしているつもりです。


仕事先に事情を話したところ五日待ってくれることになりまして、今日からそっちに集中します。

『一炊の夢』最終章の再開は、早くて五日後になると思います。(体調しだいです)

そんな感じですので、最終章『儚きエリートリーマン』最短五日後からはじまりますので、よろしくお願いします。


そういえば、「もしかしたら感想欄に来るかも」と期待してネタバレしないでおいておきましたが、エーイェン人ですが、どうだったでしょうか。

実はこれ、中学時代に読んだ小説『幼年期の終わり』をリスペクトしています。


この『幼年期の終わり』と『星を継ぐもの』は中学生のときに出会って、自身の人格形成にまで影響を及ぼしました。ネタバレなしでぜひ読んでみてください。

そして読後に「そういうことか」とニヤリとしていただけると嬉しかったりします。

それでは!(ちょっと空元気)

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― 新着の感想 ―
[一言] 星を継ぐもの、は僕もすごく思い入れのある作品ですね。最初に読んだのは漫画版でしたが。 今からこの後を読んでいきます。楽しみです。
[良い点] 再開嬉しいです! ですが、体調を優先してください。 早く良くなりますように。
[一言] 私は39℃前後の熱が10日以上続きました。 味覚異常と熱で、アイスとジュースだけで生きてました。 無糖のお茶や紅茶どころか水すらダメでした……。 味覚異常は一ヶ月くらいかけて徐々に良くなりま…
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