55話 採取旅 初日(前)
長らくお待たせいたしました!
とりあえず、初日ってことで出発です。
新しい調合アイテムなどもありますが、それは使用時に説明など載せる予定。
…ちょっとえげつない?会話がありますが割とこんな感じで進んでいきます。
まだ夜も明けきっていない早朝。
首都モルダスに3か所ある検問所で一番学校に近くて、私が初めて利用したその場所には沢山の人が行き交っていた。
大きな通りを野菜や果物、鉄くずやよくわからない品物が山ほど入れられた木箱、樽なんかを乗せた荷馬車が次々に検問所からモルダスの一番街や二番街へ続く路を辿って流れていく。
そういった行商人や荷馬車以外にも、冒険者らしき人たちや遠くからやってきたらしい珍しい服装の人もたまにいたりして中々面白い。
「ライム、貴女あまりキョロキョロと落ち着きなく周囲を見回すのは止めなさいな。ただでさえ目立つんだから、変に目でもつけられたら大変でしょうに。ほら、フード被って」
「どの時間帯でも貴族は通るんだ。ベルの言う通りしっかりフードを被って髪を隠しておけ。それから荷馬車や馬車には近寄るなよ。轢かれるぞ」
「そんなことしないってばっ!流石の私だって1か月以上都会で暮らしてこっちの生活にも慣れてきてるし、荷馬車とか馬車が危ないことくらいわかってるよ。第一、いつまでも田舎者じゃないんだからその辺ちゃんと認識してよね!例えば……」
人や物で溢れていて、家と家の距離が歩いて10分かからないとか、外で水浴びしたら駄目だとか寝間着で外に出て水遣りはしちゃいけないとか、ゴミを出す日が決まってるとか。
指を折りながら今まで学んだことを披露していく。
流石にコレだけ知っていれば都会生活も問題ないでしょ?と胸を張って顔を上げた。
「……なにさ、2人ともその顔」
私の数歩後ろに立っているベルとリアンは何故かがっくりと肩を落として項垂れている。
ベルがうっすら微笑んで遠い所を見ているのがちょっと怖い。
リアンなんか今にも毒でも吐きそうなくらい低くて鬱々としたため息付きだ。
「―――……誰だ。この非常識の塊と僕を同じ工房に配属したのは」
「学園長が考案したらしい謎のアイテムでしょう。そもそもワート教授が危機感の欠片もない田舎者をスカウトしたのが問題じゃなくって?なんですの、外で水浴びって。私だって野宿の経験や遠征中がありますけど、そんなことした覚えないですわ」
女としてどうかと思う、と言わんばかりの視線を受けて思わず首を傾げる。
人が水浴びしてるのじーっと見る方が悪いんじゃないの?
って思ったのはまあ、言わない方が良さそうだから黙って置いた。
なんか怒られそうだもんね。
「非常識とか田舎者とか失礼な!ちゃんとエルとかミントに聞いて調査したのを褒めてよねー。エルもミントも2人みたいに怒らなかったし。全く、都会育ちの人って怒りんぼなんだから」
「もう、いい。とりあえず、君は人並み以上に人の目を気にしてくれ。厄介ごとは御免だからな―――……後、外で服は絶対に脱ぐな。襲われても文句は言えないぞ」
「ライム、こういう人が多い所には色々な人間がいるんだから十分気を付けなさいよ。知り合う人間が皆例外なく善人なんてことはあり得ないんだから」
「ベルはともかくリアンは私を何だと思ってるのさ。そんな歩く危険物みたいな評価いらないよ」
思わず頬を膨らませてリアンとベルを見上げる。
く、2人とも頭1つ分背が高い当たり憎たらしい…っ!何食べたらそんなに育つんだ!
ぷりぷりと怒っていると鐘の音が響き渡った。
どの方角からでも見える高くて立派な鐘塔に目を向ける。
朝日はまだ昇っていないけれど、空の下の方は薄明るくなっていて思わずわあっと声が出た。
「今日は洗濯物と保存食の乾燥がよく進みそうないい天気になりそうだね!」
「……言うに事欠いてそれ?!」
「ベル、相手はライムだぞ。普通の感性を期待する方が間違ってる」
「そ、そうですわね。相手はライムでしたわ」
「なんか褒められてる気がしないんだけど」
「褒めてはいない。事実を伝えているだけだ」
じじつ、と呟いたところでシスターがこちらへ走ってくるのが見えた。
遠くからでも目立つ大剣とシスター服の組み合わせは間違いなくミントしかいない。
嬉しくなってミントの方へ走り出せばミントが驚いたように目を見開いて、止まってしまった。
どうしたんだろうと思いながら走っていると、視界が狭いことに気づいてフードを外し……これか!と気づく。
フードを外した私にミントはいつもの優しい笑顔を浮かべてこちらへ向かって走ってきてくれた。
「ミント!おはようっ!今日から私がご飯作るから楽しみにしててね…っ!」
「おはようございます、ライム。ふふふ、ライムの作るご飯楽しみにしてますね」
ミントの手を取って待ち合わせ場所に引っ張っていけば、丁度ディルも到着したところだったらしい。
背には大きな槍を背負い、学院で見た時と同じ召喚服にマントを身に着けている。
マントも召喚服と同じく高級な錬金術で作られた防御力と魔力耐性のある布をふんだんに使っているようだ。
腕や指に嵌っている装飾品は多分魔石を使ったものだろう。
(召喚師ってどんなことができるのかよくわからないし後で聞いてみようかな)
背負い袋のようなものを持っていないので首を傾げつつ、声を掛けた。
さっきから凄い見られてるし。
「ディルもおはよう!今日からよろしくねっ!」
「――…おはよう、ライム。俺の方こそよろしく頼む」
挨拶を簡単に済ませた所で外に出る為、検問の列に並ぶ。
外に出る手段は基本的に検問所を出るしかない。
早朝だと検問所では出ていく人より入ってくる人間の方が多いみたい。
行きかう人から荷物が少ない私達に不思議そうな視線を向けられるけど、視線だけで話しかけられることはなかった。
私達の荷物と言えば私のトランクくらいだからね。
前に並んでいる人たちは冒険者らしく、ちらほら聞こえる会話にリアンとベルは耳を傾けているらしい。
ディルは私の左側に、ミントは私と手を繋いでいるから右側にいる。
「そういえばディルとミントって護衛したことあるの?」
「正式な依頼で護衛は受けたことがないが、練習はしたことがある。盗賊は何度か討伐したことがあるから安心していい」
「私は教会の依頼で数回経験があります。でも、ここ数年はないので…できるだけ失敗しない様に気を付けますね。盗賊は以前にも話したと思いますけど、討伐経験がありますし魔物ともソレなりに戦えるとは思いますよ」
「2人とも戦えるんだよね……私もせめて魔物相手に戦えればなぁ。一応、杖は持ってるんだけどちゃんと戦い方を習った訳じゃないから、魔力を込めて思い切り振り下ろすくらいしかできないんだ。後は攻撃アイテム投げるくらいで」
「攻撃アイテム、ですか?」
「あ、ミントは見たことない?フラバン」
ポーチからベルが作ったフラバンを取り出してミントに見せる。
薄く赤色を帯びた手のひらより少し大きい位の爆弾は一見すると大きな木の実って感じ。
元々フラバムの実を加工して作ってるから当然なんだけどね。
「フラバムと似ているんですね。でもこれ、導火線がありませんけど……どうやって使うのですか?」
「魔力を込めて思いっきりブン投げるんだよ!まぁ、投げる時には言うから敵から離れてね。これ持ってるの私だけだから」
わかった、と頷くのを見てそういえば、とディルに視線を向ける。
検問所まであと1組という所まで来ていたので気になっていたことを聞いてみた。
「そういえばディルは身分証どうするの?私たちは冒険者ギルドに登録してるからギルドカードあるけど」
「俺もギルドカードがあるから大丈夫だ。ライムはよく採取に行くのか?」
「よくって程じゃないけど、こっちに来てから2回リンカの森に行ったよ。ちょっと遠くに行かなきゃ採取できないのは不便だなーって思っちゃった」
「ああ、確かに。ライムの家だったらすぐに色々採れたもんな」
懐かしそうに目を細めるディルの表情を見て“やっぱり、本当にディルなんだ”と感じた。
おばーちゃんが死んじゃう前にディルとは一時期一緒に暮らしていたことがある。
必要なことを終わらせてから探険っていう名目で山の中で遊びまわったっけ。
私の家は大きな山の頂上に近い場所にあったから遊ぶ場所にはある意味で困らなかった。
その山自体も特殊だったみたいで、洞窟や温泉、小さな沢もあったっけ。
お蔭で錬金術に使う素材は沢山あったんだよね。
「ディル様はライムの家に行ったことがあるのですね」
「ディルでいい。行ったことがある、というよりも一時期同じ家に住んでいた。モルダスからだと馬車で1か月はかかる」
「モルダスから馬車で1ヶ月だとそう気軽には行ける距離ではないですね……確か山の上に在るとか」
「ああ、大きな山の中腹と言われているが実際は頂上よりだな。山に登るのも天候に恵まれて慣れていれば1日で辿り着けるが、2~3日掛かることもあるだろう」
「と、遠いですね」
目を瞬かせるミントと表情は変わらないまでも比較的友好的なディルにちょっぴりホッとしつつ、ベルとリアンの方に視線を移すと時折ディルの様子を窺っているのが分かった。
如何したんだろうと2人を見ていると気まずそうに視線を逸らされる。
様子がいつもと少し違う2人にどうかしたのか聞こうとした時、私たちの番になってしまった。
さっさと進んでいくリアンとベルを追って大きな門の横にあるカウンター窓口へ行く。
「身分証を見せてください」
私達が全員身分証であるギルドカードを提示した所で兵士の方はすんなりと通行許可を出してくれた。
ちょっと拍子抜けしつつ検問所を抜け、人通りの多い場所から離れた所で先頭を歩いていたリアンが足を止めた。
「この辺りでいいだろう。改めて、今回の採取について説明する。まず、リンカの森へ続くこの街道を進んでいけるところまで進み、そこで野宿とする。忘れられし砦までは片道5日ということだから、休憩は午前午後1回ずつと昼食時の合計3回。行きは採取を控え、帰りはリンカの森に立ち寄って少し採取を行いたい。休憩は行きと同じ、若しくは少し多めに取ろうと思っている」
ここまでで質問はあるか、と全員を見回したので私は首を横に振った。
私とベルは工房で調合してる時にどういう風に進むのかっていうのは聞いてたからね。
「盗賊が住みついているという噂は商人や冒険者の間でも随分広まっているので、もしかしたら先に討伐されているかもしれない。ただ、商人や行商人は殆ど通らないと聞いているので荷馬車に乗った人間が見えたら十分気を付けるように」
「偽装、ですか。盗賊が時々とる手段ですね」
ミントの言葉にリアンはそうだ、と頷く。
私といえば、なんでわざわざ荷馬車に乗って行商人に成りすますのかさっぱりわからず首を傾げた。
「……行商人だと思って油断した冒険者や旅人を襲う盗賊も少なくはないんだ。積んだ商品の中に仲間を隠し奇襲する、という方法もあるから十分気を付けろ。特にライムは、人影が見えたらすぐにフードを被るように。盗賊は“人間”も商品にすることが多い」
「それはわかったけど、なんで名指し?」
「君が一番警戒心に欠けるからな。行商人以外にも冒険者や旅人を装うこともあるから基本的に知り合い以外は警戒しろ」
「う、うん。努力はするけど」
「……ミント、貴女はできるだけライムについてやってくれ。放置するとなにをするかわからんからな」
「わかりました」
「先頭はベル、最後尾は…―――」
誰に任せるべきかと視線を巡らせたリアンに対して今まで黙っていたディルが
「俺が務めよう。索敵は比較的得意だからな」
「……念の為僕も後ろに下がろう。気配位なら僕も察知できる」
やや硬い声色の2人に思わずベルとミントを見る。
ベルは呆れたように小さく肩をすくめ、ミントは苦笑しながら2人を見守っているようだ。
微妙な空気になったのを元に戻したのもリアンだった。
「盗賊がいた場合だが……まず、香を焚く。使うのは【痺れ薬】だ。風上から風下へ流れていくから間違って吸い込まない様に。薬は即効性だが僕が鑑定して状態異常を確認してから近づき、捕縛。その後1人ずつに分けて“ちょっとした実験”をさせてもらう」
「実験、ですか」
不思議そうに首を傾げるミントにベルが返答する。
「フラバンと調合した毒薬の効力を確認するだけですわ。使用するのは“毒薬”“猛毒薬”“麻痺薬”くらいですから最低でも3人生け捕りする必要があるので協力してくださいませ。最終的にはまとめて吹っ飛ばしますけれど」
「ああ、できれば1人は僕に譲ってくれ。新しく武器に塗るタイプの薬を調達したからどのくらいの効果があるのか確かめたい」
「でしたらフラバンで吹っ飛ばすのは2人にして1人は貰いますわよ。腕が鈍ってないか確認しておきたいですもの。上手く真っ二つに出来ればいいのですけれど」
「すいません、もしよければ私にも1人任せてもらえませんか…?この剣、実はまだ試し切りしていなくて……魔物と人とでは色々違いますし」
「あら、構いませんわよ」
「僕も構わない。試し切りなら2人くらい融通するが……まぁ、薬で動きは鈍っているだろうが」
腰に付けたホルダーから塗り薬数種類を取り出して眺める普段通りの表情リアンとミントとディルが合流してからお嬢様の仮面を装着して微笑を浮かべながら楽しげに話すベル、普段と同じ柔らかい笑顔のミント。
話してる内容と表情が釣り合ってなくて、無意識に距離を取った。
私の左隣にいたディルが呆れたような目で3人を眺めつつやれやれと首を振る。
「……ライムがああなってなくて正直安心した」
「そういわれると私もディルが変わってなくて安心したよ。こんな感じのディルはちょっと怖いし見たくないかなぁ、なんて」
「ん。ちなみにあの3人はいつもあんな感じなのか」
「ミントのは初めてだけど、ベルとリアンは割と容赦ないよ。特にベルは戦闘とかが関わると逆らっちゃいけないなーって思う」
「―――…ライム、辛くなったらいつでも俺に言え。工房の1つくらい用意してやれるから」
ポンッと慰めるように頭を撫でられるまでは良かったんだけど続いた言葉に私はディルからも距離を取る羽目になった。
「なにそれ怖い」
「……っ?!」
ディルが、ディルがベルみたいになった!と戦慄しているとベル、リアン、ミントの3人の中で話がまとまったらしく私たち2人に号令がかかる。
どうやら出発するらしい。
まぁ、いつまでも止まってる訳にはいかないし、ね。
◇◇◆
そんなこんなで出発した私達。
他愛のない話をしながら進むのは意外と楽しくて、結構なペースで進んでいたらしい。
リアンが1度目の休憩を告げた時にはリンカの森を過ぎてちょっとした休憩地点に辿り着いていた。
休憩地点っていうのは、見通しがよくある程度開けた場所で建物があるわけではないけれど、よく野宿に使われている場所を言うらしい。
見分け方は簡単で、焚き火の痕が複数ある場所だという。
近くに水源があることも多いし、それらがない場合は周囲が見渡しやすく敵襲にすぐ気が付ける開けた場所が多いんだって。
この中継地点にも野菜などを積んだ荷馬車が3台、大きな馬車が1台、冒険者たちが数人くつろいでいた。
「水源はないようだが、ここで休憩にしよう。あと4時間も歩けば昼食時だ」
ふう、と疲れたようなため息を零したリアンに私たちは頷いた。
周りの人達から程よい距離を取って円形に腰を掛ける。
「ミントとディルは疲れてない?大丈夫?」
「はい。私は全然大丈夫です。普段とは違う景色が見られるというのはこんなに楽しいのですね!ベルもいい方ですし、お友達が増えて凄く嬉しいです」
「俺も大丈夫だ。召喚科の授業は実務も多いし、フィールドワークも多い。森や草原、相手によっては山や海に登ったり潜ることもある。召喚対象は自力確保が基本だからな―――…あっちに枝がありそうだから探してくる。今から集めておけば野営が楽になる筈だ」
「私はベルの手伝いをしてきます。ライムは休んでいてくださいね」
そう言うとミントは小走りに焚き火の準備をしているベルの元へ。
カップを用意している所を見るとお茶の準備をしてくれているようだ。
やったー、と喜びながらお茶菓子をポーチから探していると疲れた顔で手頃な切り株に座り込んでいるリアンが視界に入った。
分かってはいたけど一番体力がないのはリアンみたい。
「リアン、大丈夫?」
「……大丈夫だ」
「いや、そんな顔で言われても説得力ないし。取り敢えず、お茶菓子にレシナの乾燥果物出そうか?アレ、疲労回復に良いみたいだし、数はあるから」
「そういえば昨日も寝る間際に何か作ってたな」
「うん。レシナの乾燥果物作っておいたんだ。5日間の大半が歩きっぱなしになる訳だし、絶対疲れると思ったから。先に口に入れちゃってよ」
ほら、とこっそりポーチに入った瓶の中から乾燥したレシナを1つ渡すとリアンは小さな声で「すまない」と断った後素直に受け取って口に入れた。
「(素直なリアンってちょっと怖い)……どう?1枚でも効果ありそう?どのくらい出したらいいかな?」
「ん、そうだな……1人3枚、といった所だろう。食べると疲れがすっと抜けていく感じがする。効果の所為かもしれないが、これなら何とかなりそうだ。できればでいいんだが、遠出の際には少し多目に作ってくれないか。代金は払う」
「了解。っていうか、これやっぱり冒険者ウケしそうだよね」
「冒険者は勿論だが旅人にも人気が出るんじゃないか?行商人なんかも買うだろうな。馬の手綱を取っている御者なんかにも売れそうだ。アレは意外に疲れる」
といいつつ座り込んだリアンの表情には疲れが滲んでいる。
今日を含めて13日間は殆ど歩き続けなきゃいけないから、と考えて思わず眉間に皺が寄った。
最近、というかリンカの森に3人で採取に行ってから時間を作って走っているのは知っていた。
そう早急に体力ってつかないからこればかりはどうにもできないけど、頑張ってほしいとは思う。
「リアン、これのレシピ教えようか?この間の条件で魔力契約っていうの結べば大丈夫でしょ?」
「―――……情報料は金貨五枚だ」
「げ。いいよ、どうせ私達も食べるんだしこの間と同じ金貨二枚で」
「そういう訳には……ッ!」
「そもそもコレってお店の商品にもなりそうなんでしょ?そしたら私たちの評価にも関わるだろうし、タダでもいいかなって思ってるくらいだよ。でもタダっていうのは駄目なんでしょう?だから金貨2枚で諦める」
「そういうことなら仕方ないか。わかった、金貨2枚で手を打とう―――…まったく、金額を増やされるならともかく減らされるとは……やはり君は規格外だな」
「ちょっと、リアンってば私の事馬鹿にしてるでしょ」
「君がそう思うならそうなんじゃないか?」
ふっと口元を緩めてリアンは立ち上がる。
お茶が入った、と私を呼ぶ声がして枝を集めていたディルも合流した。
温かいお茶を飲みながらレシナの乾燥果物を1人3枚ずつ渡す。
私はあんまり疲れてなかったからリアンに1枚あげたけどね。
(山と平地じゃ体の感覚が違うっていうか……やっぱり山の上の方が動きにくいんだよね。なんでだろ)
正直、山を降りてからずーっと体が軽い。
変だなーなんて思いながら乾燥果物に感動するベル、ミント、ディルに笑顔を向ける。
やっぱり自分が調合したものを喜んでもらえるのは嬉しい。
そのうち、いろんな人に喜んでもらえるような物を調合できたらいいなぁ。
読んでいただいてありがとうございました!
ディルのキャラもなんとなく定まってきています。
意外と書きやすくてちょっと驚きつつ、早めに次回更新できるよう頑張るつもりなので生ぬるく見守っていただければ嬉しいです。




