317話 ロベイ・エシド・ツギロロ隊長
初登場がいっぱいwww
サックリ採取に行く予定だったのに…どうしてこうなったのか。どうして。
若干顔色の悪い冒険者ギルドの偉い人と何処か生き生きとしたワート先生の対比がすごい。
午後、態々手紙を持ってきてくれたのはワート教授とスタード助手先生だった。また、レーナとジャックも一緒に来てくれていたのだけれど、再会してすぐに冒険者ギルドへ向かうことに。
雰囲気が草臥れきったワート先生とスタード助手先生は、まだ若干隈は残っているものの疲労している様子がないウィン助手先生をみて何か言いたそうな顔をしていた。顔色は悪くても向かう先が向かう先で、しかも用事が用事なので貴族らしい服装をしているけれど、色々と心配。
私は護衛としてサフルについて来てもらっているので合計七名で冒険者ギルドに入ると、パッと視線が集まって一気に静まり返った。
視界の端で受付をしていた職員が一人、ギルドの奥へ引っ込んでいくのを確認。すぐに戻ってきた職員は緊張からか強張った表情だ。
「ご足労いただき有り難うございます。別室を用意しておりますので、こちらへ」
こくり、と軽く頷いたワート先生を先頭に全員が案内役の職員についていく。
何度か通った細長い廊下があって、私達は一番奥に位置する突き当りの部屋に案内された。そこには立派な応接用の長机と部屋にいる全員が座れるだけの椅子。
花瓶などはないけれどテーブルには長い布のようなものが中央に敷かれている。
「そのままお進みください」
言われた通り歩いていた順番のまま席に着けば、目の前に冒険者ギルドの偉い人たちと騎士団のミルフォイル副隊長やラゴン隊長、そして数名の見覚えのない騎士の人達が座った。ミルフォイル副隊長と年の近い人と、壮年の体格のいい騎士、それに彼らの部下らしい人達が数名。
「全員着席いただき次第、この度捕縛された冒険者についての話に移らせていただきます。進行は首都モルダス冒険者支部ギルド長 スード・ヨウセ・チャイフンが所用で不在のため、副ギルド長であるダント・イモス・ナフィが行います」
ペコリ、と一礼し案内してくれた女性がすっと扉の前で一礼し出て行った。
足音が遠ざかったのを確認し、一人がテーブルの中央を見渡せる場所に立った中年の男性が部屋の角に置かれている魔道具へ魔力を流したので、結界を張ったことがわかる。
「防音結界と認識阻害結界の両方を張っております。ご挨拶遅れました、私が副ギルド長を務めさせていただいているダント・イモス・ナフィと申します。以後お見知りおきを……さて、早速ですが皆様ご多忙のことと思いますので手短に話をさせて頂きます」
話し始めたダント副ギルド長は、私達から目を逸らすように手元の資料を手に取った。その口から滔々と語られた『あの子たち』の正体だ。
「まず、あの二人は双子の姉弟だった。本名はアロー・ティマとロアル・ティマ。個人孤児院の出身でまともな教育をされていない。育った子供は才能が豊かであれば貴族に売られ、それ以外は娼館、奴隷、闇ギルドへ納品されていたようだ。国境付近にある村にある施設で、他にも違法な作物や薬品を製造し様々なところに流しているという黒い噂も多くあることから、騎士団に調査結果を渡している」
なるほど、と頷いてから壮絶な育ちだなぁと考えていると彼ら自身のことについて語られ始める。これだけ詳しく、ということは自白剤を使ったのだろう。
「先ほどの紹介で『本名』といったのは、冒険者名を複数使い分けていたことが問題になっているからでもある。というのも、特定の冒険者ギルドでは人物の確認作業が杜撰だったことが分かった」
「……冒険者ギルドは、職員の教育もまともにできておらんのか」
低い、お腹の底に響くような声は壮年の騎士のものだ。
「冒険者を志す者が多く、ギルド職員になれる資質を備えたものは少ない為です。ただ、今後はこのようなことが起こらないよう抜き打ち検査を行うとともに当該施設職員は直ちに処分及び改善をしています。して、話を戻しますが……髪や瞳の色が似ている同じ年頃の冒険者を殺して奪い取る、というのも良くあることだったようで合計四枚の冒険者カードを所持しておりました。一定の人と関わらない採取系の依頼を受けた後、特定の条件を満たした冒険者とパーティーを組んで無理やり『大義名分』を作り上げ自衛と称して殺害、モンスターを誘導したりして殺害していたようです。最初は、姉が『わざと襲われて』弟が姉を救出するために殺害、という理由を作っていたとのことで、該当者が十八名おります。実力が同等のものから、最近は中堅冒険者も犠牲になっており複数のギルド職員が怪しんだ為、騎士団に調査依頼、そして口の堅い冒険者に指名依頼を出し見張らせておりましたが今回は運悪く見張りができる冒険者がおらず、騎士団へ応援を求めておりました」
副ギルド長の言葉を引き継いだのは、今まで一言も発さず静かに何かを書きとっていた男性だった。全体的に線が細く、ひょろりとしていて特徴をあげろと言われると、とても困る顔をしている、というのが特徴かもしれない。
「こちらでも応援要請を受けて、調査が得意なものを向かわせたのですが現場にたどり着く前には彼女たちが当該者二名を捕縛し、検問所の騎士に引き渡してくれていまして……今ここにお呼びしたのは、当該者の処分について話をするためです」
「私共、教員が呼ばれているということは公にしたくないという意向だという認識で宜しいですかな」
あまり聞かない口調のワート先生は真剣な表情でジッと副ギルド長を見据えていた。その問いを受けた副ギルド長は、迷うことなく頷く。
「その通り。冒険者ギルドの不祥事もそうだが、騎士団にも落ち度がある。何せ、前々から調査を依頼していたのに街で起こした揉め事の報告もこちらには上がっていませんでした。彼女らが将来有望であることは我々も存じており……」
「なるほど、それでどのような謝意を示すおつもりで」
ニッコリと笑顔を向けたワート教授に副ギルド長が静かに控えていた職員に何やら指示を出す。
彼らは私とレーナ、ジャックの前に綺麗なトレイを置いて、そこに金貨五枚、直径五センチほどの魔石を各種並べた。それに加えて金のインゴット、銀のインゴットを一つずつ並べる。
「金貨五枚、各種大魔石を一つずつ、金と銀のインゴットを。お三方とも登録をしているようですし、ギルドランクも一つ上げて差し上げましょう。また、残党がいる可能性もありますから完全に調査が終わるまでは警備も付けます」
これでいいだろう、という副ギルド長をスルーして先生はジッと壮年の騎士へ視線を向けている。勿論、視線を向けられた彼は気付いていて、うむ、と小さく頷く。
髭を撫でながら何かを考えているようだった。
「騎士団の詫びは二十四時間体制での警備、ってのじゃ納得いかないと。ならば、双色のお嬢さん……君は我々に何をしてもらったら嬉しい」
「え、私ですか? えーと、私なら……」
突然話しかけられて驚く私に向けられる多くの視線の中に、値踏みするようなものは確かにあるけれど、心配を含んだ視線が半々といったところ。どこか面白そうな視線を向けてくるのはガタイのいい壮年の男性だ。
ふっと思い浮かんだのは【発泡水】の素材のこと。採取に行く場所は知っている。作り方も知っているし、それに必要なものは……と、そこでようやく考えがまとまった。
「揃わなかった調合素材の採取に同行し、手伝うっていうのは? 実は、調合に使う素材は量が多くて、高い所にあるものもあります。採取自体は生徒である私とレーナ、ジャックがしますけど、その間の警戒をお願いできたら安心して不足分の素材を採取できるんです。なんというか、本当なら採取は終わっている筈なので……」
「ほう! そういう事なら引き受けよう。そちらの二名はどうだね」
好奇心に満ちた目が向けられ、レーナとジャックは戸惑っていたけれどそっとレーナが口を開いた。長い睫毛を物憂げに伏せている姿はベルとは違った方向のご令嬢って感じ。
「私に決定権はありません。直接対峙したのはジャック様で、危険をずっと訴えて私たちが取る最適な行動を指示してくれた上に、採取物を集め、こうして調合に関する手筈についてまで考えているのはライムさんなので」
「僕も同じ意見です。まず間違いなく、ライムさんの警告がなければ不意を突かれ、この場所に立っていません」
「そうかそうか。ならば当事者が言うように採取地までの護衛と細かなことは引き受けよう。何日がかりでの採取になるのだ?」
「リンカの森なので、それほど時間はかからないです」
「ふむ。なれば、折角だ、第三区域にいってみるか。そこに望む採取物があるのであればあの辺で……いや、そのあたりは協議した方が良いか。ラゴン隊長はどうするつもりだ」
「ウチの大事な契約錬金術師様なので、俺たちが護衛しますよ。勤務調整をしますので、ご協力を」
「む。いや、儂は次代育成の為に副官たちにある程度任せておる。儂も同行しよう。かまわんか、ライム嬢」
なんかよくはわからないけれど、強い隊長さんが来てくれるなら助かるので頷けば、機嫌良さそうにガハガハ笑ってそれっきりニコニコしながら事の成り行きを見守るように、腕を組んでいる。
ミルフォイル副隊長が、遠い目をしている気がしたけれど、まぁ、返事してしまったものは仕方がない。
「……話もまとまったようなので」
「お待ちください。冒険者ギルドのランク上げについては、取り消しを。今後留学や試験勉強などがありますから、ランクが上がり、冒険者ギルドから断りにくい強制依頼などが来ても困りますので。ランクを上げるのならば、金貨三枚上乗せに変更を。本来採取できた素材を作るレシピを購入する費用として金貨三枚は妥当でしょう──断るなど、先見の明のある冒険者ギルドの皆様はしないから、三人は安心しなさい。基本、必要レシピは各自調達だから先立つものは必要だ」
「先生…」
ぼったくりじゃ、と言いそうになるのをどうにか押しとどめる私の声が響いてすぐ、冒険者ギルドの副ギルド長が慌てたように口を開く。
「承知しました。ライム様方には冒険者ギルドとしても、世話になっております。冒険者の生存率が上がったのはあなた方の功績の一部でもある……一人金貨五枚、追加いたしましょう」
「ええ、それだけあれば十分でしょう。特に、貴族籍を持たない彼女にとって金貨は、決して気軽に支払える額ではないと考慮し、余裕を持たせて下さるとは。さすが天下の冒険者ギルドですね」
感謝いたします、とシレッと言い切ったワート先生の言葉に慌てて頭を下げる。
こういう時は黙っておくほうがいいのだ。絶対に、間違いなく。
あと、私にもわかるのは、今交わされているのがすべての理由ではないという事だ。多分、私達に秘密にしておきたいことが他にもあるんだろう。
「謝礼についても決まったことですし、当該者たちの処分については?」
「犯罪奴隷として奴隷商へ引き渡します。なに、実績のあるところに引き渡したので、そこでしっかりと罪を償うために働くでしょう。買い上げる人間も今のところいないようですが、おそらく反省はしないでしょうから……さて、申し訳ないがここで見聞きしたことは他言無用、ということで魔力契約用紙に署名を頂きたく」
「あ、あの! 同じ工房生にも話は……きっと、お金の出どころとか気になると思うんですけど」
驚いたように目を見開かれたけれど、直ぐにゆるりと首を振られたので諦めて署名をする。ここは粘っちゃいけない気がするんだよね。
隠し事をするみたいでいやだな、と思いつつワート先生に続いて名前を書く。
私達が署名し終わったところで、偉い冒険者ギルドの人たちがゾロゾロと退室し、残ったのは顔馴染みの隊長さんたち。そして、壮年の隊長だ。
冒険者ギルドの面々が出て行ったのを確認してすぐ、持っていたらしい魔道具を発動。パッと防音結界が再び張られた。
「はー…いやぁ、なんつうかな、本当に肝が冷えたぜ。あの厄介な双子は俺らでも手を焼いてたんだ。なんせ、目撃者は即座に死体だもんな。最近は若干慣れなのか杜撰になってきてはいたが、最初の頃なんか隠蔽工作もそりゃーもー凝ってるのなんの!」
「ええ、まさか弟と姉が入れ替わって隙をついて殺しているなんて思いもしませんでしたよ。簡単な変装も得意だったようですし、女子供、新人中堅問わず片っ端から殺していたので」
やれやれ、と深い息をついたラゴン隊長とミルフォイル副隊長は机を挟んで疲れた顔で笑っていた。あまりに疲労が滲む姿に申し訳なく思いつつ、捕まってよかったと返せば深く同意される。
「だなぁ。生まれたばかりのガキも殺しやがる畜生だ。やつら、今頃死ぬよりひどい目に合ってるだろうよ……冒険者ギルドの連中もよほど腹に据えかねていたのか、一番『すごい』奴隷商に売りやがった。金を回収するまで意地でも殺さねぇ、そういう奴隷商は始末におえねぇが、必要だと俺ぁ思うね。被害者の家族も少しは浮かばれるだろ。売りつけた代金は、遺族に等しく分配される」
「稼ぎ頭を失う、子供を失う苦しみは勿論、被害者の中には先ほどラゴン隊長が口にした通り生後間もない赤子や妊婦もいたと聞いています。親切心から『保護』してくれた人のいい人間も無残に殺し、その罪を他者に擦り付けていますからね──胸糞悪い話です」
残虐性で言えば近年稀にみるほどだ、と吐き捨てたミルフォイル副隊長に珍しいなと思いつつ、相槌を打っているとレーナたちが酷く青ざめていた。ワート先生も口元が盛大に引きつっていて「良く生きて帰ってきたな」とか呟いている。
「嬢ちゃん、どうして警戒していたのか聞いてもいいか」
ずっと気になっていた、という壮年の騎士の言葉に私はレーナたちに答えたように『嫌だと思ったから』と返す。感覚的なことだから、出来るだけ伝わる様に自分なりに言葉にしてみたんだけど全て聞き終えた彼は何処か納得したように頷く。
何に納得したのかはわからなかったが疑問は解決したらしく、ニコニコして私の頭を撫でる彼はハッと気づいたらしい。
「そういえば、自己紹介がまだだったか。儂はロベイ・エシド・ツギロロという。ロベ爺とでも呼んでくれ。実は、ライム嬢ちゃんが経営している店の『ふぁん』というやつでな! ほれ、あの『センベイ』はひ孫と訓練がてら梯子して手に入れておる。それと、なんだ……試供品として『貼り薬』を配っただろう。知り合いにどうにか一枚だけ譲ってもらって少し痛めた腰に貼ってみたんだが、あれはいい! あんな素晴らしいオリジナルアイテムを作れるなんて素晴らしいなんてもんじゃないぞ。年が同じ連中とよく会って話す機会が増えたが、ライム嬢ちゃんの店の評判はすこぶるいい」
うんうん、と凄まじい熱量の彼に驚きつつ、彼の口から出てくるのは誉め言葉ばかり。
有難いと思いつつ、そこまで大したことじゃ……と考えていると日常のちょっとしたことまで伝わっていて酷く驚いた。迷子になっていたり、困っている人に手を貸したりとか声をかけたりとか、本当に皆やっているようなことばかりだったからね。
いったいどこで見てるんだろうという疑問が浮かんだものの、人が多い都会なのだから、人の目も多いってだけだろう。それに、騎士という職業柄色々な情報を持っていて危ない人や犯罪が起こる前に気付けるよう気を配っているのかもしれない。
部屋を出る頃には、私はすっかり彼に気に入られたらしく『ロベ爺ちゃん』と自然に呼べるまでになっていた。最初は抵抗したんだけど、ミルフォイル副隊長の目がどんどん死んでいくから、もう諦めた。
ギルドの受付で報酬という形で口止め料を受け取り、そのまま工房へ。
今日は隊長二人、副隊長一人がいるから大丈夫だと他の騎士は皆帰らされた。工房へついて、私がお茶とお茶菓子の準備をしている間に、いつものテーブルにはリンカの森の地図やメモ用紙などが配られているし、レーナやジャック、そしてワート先生たちはもう完全に事態についていけなくなっていたので苦笑する。
「話す前に、ちょっと休憩しませんか? ええと、果実茶とホイップクリームとジャムのパンと野菜とお肉のパンを作ったので。小腹空きましたし」
お替りがなくてごめんなさい、と先に謝罪して全員に配る。面白いほどに視線がお茶とパンに釘付けになっているのには笑ってしまった。
サフルには、自室で作業をしているラクサに渡したらサフルの分を食べてくれと台所に置いて来ている。ルヴやロボス、青っこいのにはお茶を淹れつつ渡してあるから問題なし。
「じゃあ、いただきまーす。あ、ジャムはオオベリージャムにしました」
甘いものが苦手だったら、各自交渉して交換するようにと伝え、野菜とお肉のパンにかぶりつく。もぐもぐ、と咀嚼しているとロベ爺ちゃんが豪快にパンをもって噛り付いた。
食事系のパンのソースはマヨソースとショウユを砂糖やお酒と煮詰めたものを使っている。
「むっ?! うっまいのぉ! これは城で喰ったどの飯よりもうまい。ソースの味が堪らん。どれ、ちぃと行儀は悪いがこれも……ぬぅ。ふわふわの白いのとオオベリージャム、柔らかいパン……飲み物かと思うほどに美味い。果実茶、も……うむうむ。俺の妻の淹れる茶の次に美味い」
気に入った、と言いながらあっという間に平らげ、ラゴン隊長の皿に載っているパンに手を伸ばして怒られていたので、苦笑しつつ甘いパンを渡す。
「……これはライムちゃんのだろう」
「私はいつでも食べられるからいいの。ロベ爺ちゃんが気に入ってくれたなら嬉しいから食べて」
「そうかそうか。ライムちゃんや、赤の王国にも留学に行くと言っていたが誠か?」
「? はい。青と赤の国に行く予定ですけど」
「ならば、これを首に下げていくといい。儂の家紋が入っておる。あっちの国じゃちぃと有名人でなぁ……あっちの役人は実力主義。ライムちゃんは戦う術を持たないという事でちょっかいをかける不届き者もおるだろう。これさえ下げておけば、何かあればすぐに儂に連絡が来る。ウォード商会の倅が贈った指の輪っかだけじゃ、足りんこともあるだろうからな。護りは多い方がええ。そこの、サフルといったか。お前はライムちゃんの奴隷だな?」
は、と静かに膝をつき軽く頭を下げたのを見てロベ爺ちゃんはニィッと笑う。それからルヴとロボスにも視線を向けた。
「ライムちゃんや、もし、この老いぼれを信用してもらえるならば奴隷をちぃと預けてはくれんか。留学までに鍛えておいてやろう」
「サフルたちはどうしたい?」
「ライム様、ぜひ、学ぶ機会を頂戴できればと──掃除と洗濯は引き続きさせて頂きます。正直、どうやって鍛えたらよいのか迷っていたというのもあり、今後もライム様のお役に立てるよう更に強くなる機会を頂けたら死に物狂いで習得してまいります」
「そ、そんなに気負わなくってもって言いたいところだけど、サフルが強くなってくれると心強いしお願い。掃除と洗濯はしなくていいから、ロベ爺ちゃんの所でしっかり学んできて。ルヴとロボスはどうする?」
二頭に視線を向けると二頭もやる気満々で短く力強い返事が返ってきた。
そこでほっとして、私は立ち上がっておじいちゃんに頭を下げる。これは『主人』として当然のことだと思ったから。
「ロベイ様、どうか、私の大事な家族をよろしくお願いいたします」
「──承知した。儂から申し出たこととはいえ、お前たちの主人はとても立派だのぅ。最近の腑抜けた貴族の坊主どもに靴を舐めさせたいほどじゃ。ライムちゃん、任せておけ。爺ちゃんがしっかり鍛えて、安心して勉学に励めるよう鍛えておくからな」
「はい! あ、それでこれ……報酬になるかはわからないんですけど、非売品の『センベイ(ミル味)』です。よければ受け取」
「ライムちゃんは最高じゃな! よっしゃ、こいつら以外に奴隷はおるのか? いるなら都合がつく限り爺ちゃんが鍛えてやろう! なぁに、ちぃっと揉んでやるだけじゃ。そうだ、ついでにラゴン坊主の騎士たちもまとめて鍛えてやるとするか!」
「……はぁ?! おい、ロベイの爺さん! 俺たちには山積みの仕事が」
「がはははは! んなもの、儂の部下を貸してやる。問題ない。どうせ似たような仕事をしとるんじゃ、ミルフォイルも久しぶりに揉んでやるから楽しみにしておれ!」
「………ハイ」
消え入るような小さな声の副隊長を心配しつつ、どうにか休憩を終え、私達は明日出発するリンカの森へまでのルートや出発時間などについて確認。
ワート先生もいたので学院への報告は、まとめて請け負ってくれるという。同行してくれるのはウィン助手先生になった。最後はスタード助手先生と激しいジャンケンをしていたけれど、まぁ、決まったんならいいか。
伸びていきます。なぜか。本当にどうしてなのか。
あれですね、プロットとかいうお品書きみたいなのがない所為ですね!!!!!
皆さん慣れてきてると思うのであれですが(苦笑




