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【書籍化中!】アルケミスト・アカデミー(旧:双色の錬金術師)  作者: ちゅるぎ
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186話 水蜂について

 間に合った!!!

遅くなってスイマセン。蜂です。ぶんぶんぶーーーーーーん!!!!!



青い蜂って実際にいるらしいですね。チラッと見たけど(ネットで)綺麗でした。

青は、いいよ。青は。きらきらだ。

 



 夕食は、集落の女性陣が腕を振るった食事になった。



 集落中にミルミギノソスの大群が迫っていることは知れ渡っていたので、それらを討伐したことで等しく感謝され、労われることになったらしい。

 お陰でお腹いっぱいになって、汗や泥も洗い流せたのは良かったんだけど……。



「ベル、私お風呂に入ったのに余計に疲れた気がする」



 げんなりしながら結界の張られた夜の道を歩く。

帰るのはセンカさんの家だ。

一緒に歩くベルにそう言えばベルも疲れた顔で深いため息をついた。


 ほぼ同時に私たちは空を見上げる。


 雨は結界に弾かれるので耳をすませば微かに雨の音が聞こえてくるのだけど、その音と人工の月に照らされた布がキラキラ透けて輝くのを見るのは好きだった。

 空を見上げながら歩いているとベルが口を開く。



「そういえば、明日は水蜂の巣を見に行くって言っていたわよね?」


「うん。ミルミギノソスに巣が荒らされてないか点検に行くって言ってたよね。私もついて行っていいって言われたから、着いていくんだ。この青っこいのも返したいし」



 頭の上にいつの間にか乗っている青い蜂に指を差し出すと寄り添うように移動して、硬い何かが触れた。

 何処に触ったのか分からないので大人しくしていると、頭の上から飛び立つ音が聞こえ、私の少し前を嬉しそうに8の字に飛び回っている。



「この蜂の巣が無事だったらいいな。ハチミツ欲しいし」


「アンタって意外とリアンに似てるわよね。そういう善意だけで動かない所、信用できるわ」


「一応、助けたいって気持ちは勿論あるよ?」


「分かってるわ。じゃなきゃ、わざわざ列を離れたりしない。利益だけを優先するなら助けに行かない。ハチミツはあると嬉しいけれど、なくても支障はないもの。命を危険にさらしてまですることじゃない……ハチミツが実際に手に入るかも分からないのに」



 言われてみれば確かに、と我に返った私を見てベルが笑った。

雨の匂いを纏った穏やかで心地いい風が私たちの髪を揺らす。

時々足を止めて頭上にある布について話したり、今日は一緒に寝ようかと話をした。

 何気なく振り返るとぼんやりと淡い灯が見える。



「今頃、盛り上がってるかなぁ? ベルは本当に参加しなくても良かったの?」


「嫌いじゃないけど今日は気分じゃないのよ。リアンは元々この集落を知っていたから馴染みやすいのかもしれないけれど、私はどうにもね」



 暫く歩く音だけが響いて、虫の鳴き声がどこからか聞こえてきた。

遠くの方にぼんやりとセンカさんの家の明かりが見える。



「私もこの集落は嫌いでもないし居心地も悪くないの。でも、どうにも落ち着かなくて」



 思い出してみるけれど落ち着かなさそうにしている様子はあったっけ? と首を傾げる。

手に持った魔石ランプの橙色の明かりで照らされたベルの横顔はやっぱり綺麗だった。



「不特定多数の人間がいる、それもかなり珍しい腕利きの職人がいる場所でドレスを着ないで参加なんてできないのよ。……いくら集落で閉ざされた場所だって言っても、私は『上流貴族』で『ハーティー家』の人間だから」



 そう話すベルは複雑そうな表情だった。

片眉だけがクンッと吊り上がり、唇はきつく結ばれている。

普段暗い夜でもキラキラしてる紅い瞳は何処か冷たく此処ではない何処かを見つめている。



「そういえば、ベルってパーティーの前後凄い顔してるよね」



 こんな感じで! と真似してみると凄く変なものを見る目を向けられた。

何よその顔、と言いながら少しずつ表情が緩んでいくのを見てほっとする。


(いつものベルだ。私が知ってる、いつものベルに戻った)


 そこまで考えてふと気づく。

今までベルに私はお礼を言ってなかったんじゃないかなって。

この機会だし、と思い切って伝えることにする。

 どうせ……その、いつかちゃんと伝えたいって思ってたし。



「今更だけどさ、ベルが私達の為にって色々してくれてるのは私もリアンも分かってるよ。リアンはともかく、私は貴族のこと色々知らないし、貴族自体が良く分かってないんだけど……必要最低限でも全然いいと思ってる。私は採取と料理、ベルは戦闘と赤属性の調合、リアンは商売と薬の調合を頑張っていけば卒業できそうだし、あとは何とかなるかなって」



 アンタは詳しく知らないから能天気ねって言われてしまえば、そこで終わりだ。

実際、私が貴族だったら多分そう言い返すんじゃないかな、と思いつつ視線を落とす。


(そういえば、このビトニーさんに貰った服は着心地が良くて好きなんだけど、ヒラヒラが気になるんだよね。扱ってる生地自体が高そうだし)


ベルがたまに着ているドレスもこんな感じなのかな、と考えながら歩いていると黙り込んでいたベルが口を開く。



「ッ、なんとかって……あ、アンタは言うけど、私は貴族として色々と」

 


 パッと声を荒げたベルに落ち着いて、と軽く腕を叩く。

キュッと唇を噛み締めたのを眺めながら私は言いたいことをどんどん口にする。

言ったもの勝ちだと思うんだよね、こういうのって。



「色々気遣ってくれてるのも、家の体裁? とかいうのを護ろうとして頑張ってるのも知ってるよ。ベルは運動神経いいからダンスとかも得意なんだろうけど、社交界が嫌いなのは知ってる。すっごい顔に出てるもん、工房から出ていく時」



 うぐ、と小さく呻いたのを見ておかしくなってきた。

どうやら隠してるつもりだったらしい。

リアンもベルの機嫌が悪そうなときは気を付けてるんだけどな、と思いつつ頷く。


 センカさんの家が見えてきた。

 あと500メートルもすれば到着する。



「顔に出てたのね……はぁ。私が社交界を嫌いなのは、面倒だっていうのもあるけど、婚約者を探さなくちゃいけないからなの。女の駆け引きは実はそれほどないのよ。私は当主じゃないし、人気のある男どもは軟弱な感じで好みじゃないから、絡まれることもほとんどないわ」



 うん、と相槌を打って歩く。

 速度がグッと落ちた。



「恋だとかより、戦って自分の力を試したい。今は、そうね、工房でライム達と色々な調合をしたり、客商売も中々面白いと思ってるわ。こうして旅もできるし、ご飯は美味しいし、友達が出来るとは、その、思わなかったから」



 うんうん、と頷けばベルが気恥ずかしそうに笑う。

でもその表情は直ぐに曇った。



「嫁ぎ先を決めるのって、嫌なものね。背中にナイフを突きつけられてるみたい。私はもっと、ライム達と一緒に調合して、旅をして、生きてるって実感や初めて見る物やことに触れて……って考えてしまうのよ」



 それが悪いことだとは私は思わないけど『貴族』は恵まれている分、責任も義務もついて回るのだと前にベルに聞いたのを思い出したので何も言うことができなかった。



「貴族として産まれ育ったことに後悔はないわ。ない、けど………駄目ね。こんなに楽しい冒険知っちゃったら、我慢できなくなりそう」



 ボソッと珍しく力なく呟いたベルだったけれど、パンっと両頬を叩いて顔を上げた。

再び顔をあげたベルは普段通りの強気な目に。



「……ま、いいわ。私、相手には妥協しないって決めたの。私の意見を忠実に聞く都合のいい男を捕まえて見せるわ!」


「あ、うん、そっか」



 がんばってねと言えば楽しそうに私の手を掴んでグッと空につきあげた。

ベルには『一緒にいい男捕まえるわよ!』って意気込んでいたけど、私は貴族お断りだ。


 センカさんの家に戻ると、既にセンカさんがいた。

挨拶をして少し話をした後は二人で二階へ上がって、ベルの部屋で同じベッドに入る。



「あ、こっそりリアンの使ってる部屋のベッドで寝てたらリアン凄く驚くんじゃない?」


「絶対イヤ」


「えー……いい悪戯だと思ったんだけどな」


「死んでも嫌」


「そ、そこまで……?」


「ライム、先に言っておくけどそれをディルにしちゃ駄目よ。翌日には貴族になってるから。絶対にしちゃだめよ」



 思い付きの悪戯はものすごいダメ出しを食らったけど、まぁ、うん楽しくて慌ただしくて、凄く疲れた一日はこうして終わった。

水蜂の子は私のいる所ならどこでもいいらしく、タオルを敷いた上で眠ったみたい。



(さっきまで野生の蜂だったのに、蜂感がどこにもない……ってどういうことだろ)

 


「この青っこいの、本当に蜂だよね?」    


そう思わずベルに聞いたらベルは一瞥もせず


「どこからどう見ても虫でしょ」


と答えた。

 まぁ、蜂なんだけどさ。見てくれも、しゃべらない所も。





 ◆◆◇




 朝日に照らされたカルンさんが二階から降りてきた。




 どうやら、宴の後はセンカさんの家に泊まったらしい。

欠伸をしながら降りてきて食卓に並んだメニューを見て目を輝かせ、まだ眠っているリアンやラクサ達を起こしに行った。



「皆センカさんの家にいたんですね」


「カルンが酔いつぶれた連中を担いできたのさ。起きて歩いていたのはリアン坊とカルンだけさ。ああ、ディルは着いてすぐに青ざめてトイレに駆け込んだよ。ラクサは熟睡していたから空き部屋にケイパーやミルルクとまとめて放り込んだがね」



 みっともない、とセンカさんは鼻息荒くブツブツ呟いている。

朝食はふわふわのパンケーキを大量に作ったんだけど、足りなさそうだから具だくさんの味噌汁やタレをかけながら焼いた肉と川で獲れたという新鮮な魚の串焼き、オニギリや野菜の酢漬けなんかを並べた。


 統一感のない食卓だったけど、人数が多いから量が確保できていれば大丈夫だと思う。

頭が痛い、とかまだ半分眠っているような顔で降りて来た仲間たちに苦笑しつつ、ベルに絞ってもらったレシナとハチミツで作った飲み物を出す。


 氷はミルルクさんが出してくれた。

食事が終わった所で、センカさんに私とリアンは魔石を手渡される。

掌の中でコロリと転がった魔石は水色で大きさは中魔石と大魔石の間といった大きさのものだ。

 魔石自体の純度は抜群で、大きさもあるとなればかなり高いだろう。


 よくみると、ディルはミルルクさんに、ラクサはケイパーさん、ベルはカルンさんにそれぞれ水色魔石を手渡されている。

大きさも純度もそれぞれだったけれど、ミルルクさんがディルに渡した魔石はかなり大きかった。



「さて。早速ですが、水蜂について説明させてください。知っている方も確認を兼ねて最後まで聞いてくださいね」



 ニッコリ笑ったカルンさんに私たちは慌てて首を縦に振った。

私たちの反応を見て満足したのかカルンさんは自身の道具入れから水魔石を取り出す。

カルンさんの視線は私の頭上にいる小さな水蜂に向けられている。



「まず、ライムさんが保護したのは水蜂で間違いありません。主食は花の蜜ですが、水魔石を大変好みます。水蜂については、そうですね……リアンくんは何処まで知っていますか?」



 話を急に振られたリアンは昨日浴びるほど飲んだらしいのに、涼しい顔をしている。

眼鏡の位置を直してから口を開いた。



「まず、水蜂は共存型の魔物です。共存対象は主に人間ですが、まれに魔物同士で共存する事例も報告されているとか。水蜂の餌は花の蜜。これらを巣にため込み、水蜂の魔力によって熟成・濃縮したハチミツを【ジェムニー・ブルー】もしくは【ジェムニー】と呼びます」


「普通のハチミツじゃないの?」



 ジェムは宝石や宝石のように美しい、もしくは希少だったり優れたものにつけることが多い呼び方だ。前にリアンが教えてくれたし、水晶石の品質も最上位はジェムだからね。



「普通の蜂蜜には魔力が含まれていないんだ。ハニービーと呼ばれる蜂の蜜が市場の95%を占めているから知らないのも無理はないが……それだけ水蜂のハチミツは希少だ」


「基本的に【水蜂】の数が少ない上に、見つけるのが難しいですからね」



 まず、と前置きしたカルンさんの視線は私の頭の上に乗った水蜂で固定されている。

カルンさん曰く水蜂の生息に欠かせないのは水だという。


 雨が多いか一定以上の水気があるのが第一条件。

 第二条件は水蜂の好物になる特定の花が咲いているか魔力が一定以上湧いていること。

 第三条件は、巣作りに必要な土があること。



「水蜂が使う土は特殊です。白磁粘土と呼ばれる特殊な粘土で作られます。白磁粘土は別名人形粘土とも呼ばれ、魔力で固まる性質を持っているのを利用し、深い川や湖などの近くで巣を作り、ある程度完成した所で木から巣を切り離し水の中で生活をします」


「水の中にも虫がいるんですのね」


「数は少ないですが、魔物の虫は数種類確認されています。水棲昆虫は普通にいるのですが、魔物になると魚を捕食するものもいますよ。水蜂は陸上でも飛べますが、水中では更に速く飛びます。あと、水の中に咲く花の蜜を集めることができるのは水蜂だけですね」



 へぇ、と感心して頭の上に指を差し出してみる。

するとモゾモゾと動いて、差し出した指先に僅かな重みと昆虫独特の手足の感覚が。

 思わず口元が緩む。

ゆっくり怖がらせないように蜂が乗った指を目線の高さまで下ろしてみる。



(逃げないんだよなぁ。コッチ見てるみたいだし。虫だからどこ見てるかイマイチ分からないけど)



 じーっとお互いを観察する様に眺めているとカルンさんに名前を呼ばれた。



「その蜂は、巣だったばかりの蜂でしょう。蜜を集める蜂の中でも先鋒と呼ばれる役割を担っている筈です。体躯が小さいのは敵に見つからないようにする為だと言われています」


 カルンさんの言葉に何かが引っ掛かって首を傾げた。

この蜂がいたのはどう考えても川や湖の近くではなかった筈だし、近くに花もなかったはずだ。

草花が生えていれば絶対に気付く自信があるから間違いない。



「もしかしてこの蜂、迷子になってたのかな」


「迷子ではなく偵察していた所に巻き込まれたと考えた方が良いでしょう。ミルミギノソスやギフトートバードは水蜂を見かけると積極的に捕まえて食べます。水蜂は良質な魔力を補充するのに適していて数もいますからね。食べられなかったのは運が良かったです」



 鳥が虫を食べるのは知っていたのでギフトートバードに狙われていたら危なかっただろうな、と考えていると全員が同じことを考えたらしい。

ああいう状況でなければ確実に餌になってるだろうなぁと苦笑する。


 蜂は暢気に私の指の上から落ちないようにクルクル回っていた。



「さて。水蜂についてですが……生息域は結界で覆って隠しているので気軽には入れません。道中も特殊な結界で道が分からない様に工作しているので何も考えずについて来てください」



 はい、と頷いた私たち全員の表情を確認しカルンさんが【ジェムニー】と呼ばれるハチミツの手に入れ方を教えてくれた。



「まず、巣に近くなると必ず水蜂が現れます。数匹が一定の距離を保って飛ぶのでゆっくり、大きな声をあげずに彼らの進む方向へ着いていきます」


「ついていく……んスか? 道に迷ったりしそうっスね」


「蜂たちに用事があるのだと分かってもらう必要があるので、ついて歩かなければなりません。今回は人数が人数です。二人一組で行動します」


「……警戒されては元も子もない、か」



 ディルの言葉にカルンさんが頷く。

大人しく穏やかな蜂だという水蜂も怒らせたり危害を加える『敵』だと認識した場合は容赦なく襲ってくる。



「ミルルクさんとディルくん、ケイパーさんとラクサくん、センカさんとリアン君、ベルさんは私と行きましょうか。ライムさんは荷物を沢山持てるのでセンカさんとリアン君について行って、ハチミツを多めに各女王蜂から貰って下さいね」



 水蜂から蜜が貰えるのは一年に一度。

対価になるのは水魔石だという。



「蜂についていくと、巣が近くにある所まで案内してくれます。そこで小さな水魔石を先導してくれた蜂に一粒渡して下さい。すると、蜂も意図を汲み取って巣へ『報告』しに一度巣に戻るので私たちはその場で待機です」



 大人しく話を聞いていたけど、段階を踏まなきゃいけないことに驚いた。

うっかりニンゲンみたい、と呟けばカルンさんが苦笑する。



「ほぼ変わりません。女王蜂は念話を使って対話ができますよ。ただし、彼らは魔物ですから対価はお金ではないものになります。『商売相手』としてはあまり向きませんが『共存共栄』は可能です」



 ちなみに、とカルンさんは続けた。

順序を破ったり危害を加えたり、脅したりすると一斉に蜂が突っ込んでくるそうだ。

無数にいる蜂の攻撃を全て躱すのは難しいだけじゃなくて群生しているいわば蜂の集落のような場所に行くのだから、すべてを聞かなくても大体分かる。



「つまり、蜂の後について行って止まったら魔石を渡せばいいんですよね。大きいのをあげる時は瓶に入れて」


「その通りです。こちらにメモとして特徴を書いておいたので『水蜂の園』に入る前に目を通してくださいね―――……では、気をつけていきましょう。獣除けの結界などは施していますが、彼らにとって最大の敵はヒトですから心配りを忘れずに」



 蜂は美しいからと乱獲され、蜜は希少で美味であることから飼育をもくろむ密猟者は未だ少なくないそうだ。



 《ジェムニー(水蜂のハチミツ)の入手方法》


 ・青い蜂の後を追う(騒がない・攻撃しないが鉄則)

 ・蜂が止まったら小さな水魔石の粒を渡して待つ(長い時は数日。短ければ数分)

 ・先鋒蜂に変わって守護蜂が現れ、OKであれば近づいてきて大きく八の字飛行をする。

  一匹または数匹近づいてくるのでハチミツを入れてもらう瓶に水魔石を入れて蜂に渡す。

 ・女王蜂が魔石の質などを判断し、適切だと思った量の対価(蜜)を決定。

  魔石に応じた量と品質のジェムニーを分けてくれる


 全員注意事項をしっかり確認し納得した所でいざ出発。

今回は一緒にセンカさんもついて来てくれるみたい。



「この位の時間に出ると丁度活動が活発になり始めるころなので水蜂の邪魔にもならないでしょう」


「あの、カルンさん。この青っこいのの家もあると思いますか?」


「恐らくあると思います。いくつか巣は把握していますが女王蜂は分蜂などによって増えて今は二十程ありますし……何より自分の巣を水蜂は忘れません。女王蜂は、ミルミギノソスやギフトートバードの群れが集落にいたことを知っています。恐らくライムさんに懐いている先鋒蜂のことも聞いているでしょう。貴女が真っ先に注目される筈ですから驚いて大声など出さないように気を付けて下さいね」



 穏やかだけど大事なことを大事だと教えてくれたカルンさんにお礼を言えば、初めて会った時の様に落ち着きがなくなり、最終的に照れくさそうにはにかんだ。

青い蜂は私の頭の上で暢気にブンブンと飛び回り8の字旋回。落ち着きがない。


 感情表現の一つなんだろうけど、どういう意味を持ってるのかまでは分からないんだよね。

虫って顔変わらないし。そもそも蜂に魔石をあげるって発想がなかった。



(そういえば、お腹空き過ぎて冬眠中の蜂を食べたことあったっけ。揚げたらサクサクして美味しかったな)


水蜂は色が毒っぽいから食用にはならなそうだ。

 そんなことを考えながら、結界の外に出る前に【認識薬】を全員で飲む。

全員がうっすら発光して見えるのを確認してから雨降る森へ足を踏み入れる。

 


――――……森は昨日と比べて、別の場所みたいに静かで穏やかだった。



ここまで読んで下さって有難うございます。

今回は一括変更なるものを試してみました。

……早く気づけばよかった機能です……(←今まで手作業だった

 投稿までに誤変換、無数にあったので今回ももしかしたら(しなくても)あるかもしれません。

見つけた場合は誤字報告などで教えて下さると嬉しいです!ソフトクリームあげたい。


 また、評価・ブックなどは勿論アクセスして読んで下さって有難うございます。

まだまだ暑い日が続きますし、妙な天候であることが多いですが体調を崩された場合はしっかりすっぱり自分を甘やかしてあげて下さい。むり、だめ……あつい…


=虫とか素材とか=

【ハニービー】蜜蜂。

市場に出回る95%のハチミツはこの蜂の蜜。

穏やかで良く世話をし、外敵から護ってくれると理解したら攻撃してくることはない。

魔力で人を覚えるらしい。


【水蜂】共存型と呼ばれる魔物。

元々は蟻だったといわれているが、水色の魔石と相性が良かった個体が【水蜂】に進化・変異した。

餌は花の蜜。巣に持ち帰る際に体内で魔力と混ざり合う。

また、口移しで巣の奥にある蜜室と呼ばれる蜜専用の部屋にため込むので魔力が凝縮。

蓋をする為に、蜜係と呼ばれる蜂は魔力を羽に纏わせるので更に魔力が染み込む。

その状態で熟成する為、糖度も味も見目も通常の蜂蜜とは異なる。

 水蜂によって熟成・濃縮させられたハチミツは【ジェムニー】【ジェムニー・ブルー】と呼ばれ恐ろしい程高値で取引される。

高い魔力回復効果を持つ。

 水蜂の生息条件は、一定以上の水気があること・特定の花もしくは魔力が一定以上湧いている事・巣作りに必要な白磁粘土があることの三点。

巣作りに関しては、水中に作るが蜜蝋を出す蜂と白磁粘土と魔力を練り合わせて白い巣を作り上げる。

ただし白磁粘土でコーティングするのは水と接する外壁部分のみ。


《ジェムニー(水蜂のハチミツ)の入手方法》

 ・青い蜂の後を追う(騒がない・攻撃しないが鉄則)

 ・蜂が止まったら小さな水魔石の粒を渡して待つ(長い時は数日。短ければ数分)

 ・先鋒蜂に変わって守護蜂が現れ、OKであれば近づいてきて大きく八の字飛行をする。

  一匹または数匹近づいてくるのでハチミツを入れてもらう瓶に水魔石を入れて蜂に渡す。

 ・女王蜂が魔石の質などを判断し、適切だと思った量の対価(蜜)を決定。

  魔石に応じた量と品質のジェムニーを分けてくれる


【白磁粘土】通称:人形粘土と呼ばれる。

白く滑らかな粘土を乾かし、不純物を取り除き、陶器や人形に使用する。

耐水・耐火・耐腐食効果があるが衝撃に弱いので錬金術で作った特殊な溶液を加えることも多い。水蜂が巣を作る際に使用する。



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