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【書籍化中!】アルケミスト・アカデミー(旧:双色の錬金術師)  作者: ちゅるぎ
イメージする段階。

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105話 シスターと私と回復アイテム調合三昧

とりあえず、投稿。

後で修正したりしなかったり!!!

まだつづく……あと一話くらいは続くはずです。


その後、いよいよ販売へ!

ってかんじです、予定では……



 騎士団での販売まであと二日。



 気怠さの残る体をベッドから引きはがして、部屋を出る。

あくびを噛み殺しつつ台所へ。

サフルはすでに起きていて掃除を終えた所らしく、掃除用具を片付けている所だった。



「おはよう、サフル。私ちょっと眠気覚ましに教会まで走ってくるから、朝ご飯は少し待ってね」



そんなに時間はかからないと思うから、と話しつつ簡単な身支度を整える。

サフルは掃除を終えて、洗濯をしに行くつもりだったらしい。

手には大きな桶と洗濯物を抱えていた。



「おはようございます、ライム様。食事に関してはお任せいたしますが、教会までお供させていただきますので少々お待ちいただけませんか? 今、洗濯物を置いてまいりますので」


「え? お供って……何時間もいる訳じゃないし大丈夫だって。それより工房にいてくれる方がいいかなぁ。ほら、リアンとベルが降りてきたら私が教会に行ったって伝えて欲しいし」


「ですが、護衛をつけずに外出するのは」


「教会までだし、こんな時間に誰もいないよ。シスターは起きて仕事してるみたいだけどね」



一時間くらいで戻るから伝言宜しく、と手を振って工房を出た。

早朝という時間の所為か外は静まり返っている。


 大きく伸びをしつつ固まった肩を解すように体を動かし、息を吐きながらまずは畑を見て聖水や水を与えておいた。

今日も晴れそうだからね。



(昨日のうちに予定していた調合素材は作り終ったのは良かったんだけど、な)



 日付が変わる前に調合素材は全て揃え終わった。

んだけど、長時間立ちっぱなしで調合をするのは結構疲れる。

しかも時間の制限があるから何とも言えない焦りがあって、精神的に嬉しくない状態だったりして。



(お店を始めたら時間に追われて調合することが増えるのかも)



 あまり時間を気にしながら調合するのは好きじゃない。

今迄みたいに好き勝手に調合出来たらいいのに、なんて考えつつ薄暗い空を見上げた。


 遠くに見える山々の裾の方から黄金色の朝陽が顔を出し始めている。

あまり雲のない空を見上げて朝独特のヒヤリとした空気を吸い込んだ。


 山の中に住んでいた私にとって、街の空気は少しだけ賑やかで、ちょっとだけ違和感がある。

草と木と土、そして季節に応じた温度と独特の匂いが薄い。

そんな空気にもだいぶ慣れたと思うけど、朝一番の空気を吸うと少しだけ懐かしさを覚える。



「ミント、起きてるかなぁ」



久々に顔を見る、と口元が緩むのをそのままに走り始める。


 石畳が敷き詰められた道は意外と走りにくい。

一定の速度で足を動かしながら静まり返った道を進む。

誰もいない街に一人でいるような不思議な感覚を味わいながら、長い坂道を一気に駆け上がる。


 長く大きな坂道を登りきると、見慣れてきた教会が私を見下ろしていた。

少しだけ上がった息を整えていると誰かの足音が聞こえてきたので視線を向ける。



「あらあら。おはようございます、ライムさん。ずいぶんと早起きなのね」



ニコニコと嬉しそうに箒を手に近づいてくるのはシスター・カネットだった。

優しい笑顔は相変わらずだった。

ただ、どこかソワソワしてるように見えて首を傾げる。



「おはようございます。色々あって採取に行ったり調合したりで忙しくてなかなか来られなかったんですけど、暫くは街にいるので運動がてら走って来たんです。あの……ミントは元気ですか?」


「元気ですよ。ただ、丁度外に出ていて帰って来るのは昼くらいになるかしら。色々入用だから採取を兼ねて外に行ってもらっているのだけれど」


「……外って、モルダスの外ですか?」


「ええ、街の中にはモンスターは出ないでしょう? スリの類はいると聞いたけれど、私たちを狙いには来ないから接点もなくって。人相手の捕縛術も時々やらないと忘れてしまうから……それで、どうしようかと思っていたのだけれど、『冒険者』として外に出ればいいなんて考えもしなかったわ」



温厚を絵に描いたような顔でシスター・カネットは嬉しそうに話す。


 シスターという身分で外に出る為には教会を通して申請を出したり、伺いを立てたりしなきゃいけないそうだ。



「そういえば、まだ正式に名乗っていませんでしたね。私はトライグル国首都モルダス支部第一教会のシスター長のカネットと申します。教会関係で困ったことがあれば相談してくださいね、力になれると思いますから」



「偉い人、ってことですか?」


「ある程度の権限は与えられておりますけど、それだけなのよねぇ」



それだけという割には肩書が凄い長かった気がする。

 ひっそり冷や汗をかきながら私は調子を合わせて頷けば、ニコニコと嬉しそうにシスター・カネットはミントや孤児たちの様子を聞かせてくれた。


 私が裏庭や雑木林に用事があることが分かっているようで、教会の裏手へ案内してくれたんだけど……裏口の前でピタッと足を止めて私に笑いかける。



「少々待っていて下さるかしら。聖水を持ってきますね」


「あ、ありがとうございます。それと、私たちの工房七日後に開店するんです。もしよければ参考にしてください」



慌ててポーチからリアンから預かった手紙を取り出す。


 上質の封筒と高そうな蝋で封をされたそれを渡して、その場で目を通してもらう。

書いてあるのは商品取引の際の注意事項だ。



「手紙にも書いてあると思うんですけど、トリーシャ液とか私たちの工房で販売するアイテムはミントか私に伝えてください。シスターさん達が買う分には、寄付を兼ねて安くしてるので……店での売買はちょっと困るんです」



店で買い物をする場合は他の客のことを考慮して通常の値段で売らざるをえない、と言えば手紙を読み終わったシスターカネットが複雑そうな表情をしていた。



「私たちにとってはとても有難いけれど、それだと申し訳ないわ。ライムさんたちが卒業するまで、月初めに聖水を大瓶で三つほど融通するとしても採算が……」



ここでふと疑問が浮かんだ。


 教会の状態は、正直良い方だと思う。

でも、孤児院を兼ねているシスターたちが生活している修道院は、結構年季が入っているし手入れはした方がいいと思うんだよね。


手入れは行き届いているけど、経年劣化なのか壁には亀裂が入っているし、外に置かれている物も古い物が多かった。



「シスター・カネットって偉い人なんですよね? 受け取るお金多くしたりできないんですか? 修繕費とか要求すればいいんじゃ」



最近見た騎士団の副隊長を思い出しながら何気なく問うと、ピタッと動きと笑顔が固まった。

想定外の反応に首を傾げると彼女は徐に微かに見える王城の辺りを指さす。


 目を細めてそちらに目を向けると、立派なお城といくつかの白い建物があるのが分かった。

目はいい方だからね。



「教会自体は一つしかないのですが、首都は少し特殊なのです。他の国もそうなのですけど、教会とは別に特別支部というのが設けられていて、そこに『癒し』に特化したシスターや司祭なんかが多く集められているのです。教会は祈りや交流、困ったことなどの相談や懺悔を聞くところとして広く知られているけれど、特別支部はそうではないの」



「教会とは別にもう一つ教会があるんですか?」


「ええ。紛らわしいからあちらは教会ではなく『治癒院』と呼ばれているみたいねぇ。『癒し』というのは有事の際だけでなく、多くの人々から望まれる希少な力――…ですから、予算のほとんどはあちらに割かれるのです。なので、下手すると首都の教会は地方教会よりも資金繰りが苦しくて……ああ、ごめんなさい。こんなことライムさんに話すことじゃなかったわ。今、聖水を持ってくるから待っていらしてね」



ふふふ、と柔らかい笑みを浮かべて今度こそ教会内に入ったシスターの後ろ姿を見送る。


 聞いたことのない『治癒院』という施設についてリアン達にも聞いてみよう、と思いながら改めて周りを見渡す。


 裏庭には、子供の字で『キャロネ』『マタネギ』『マトマ』などと比較的育てやすい野菜の名前が書いてあった。

小さいけれど芽も出てきていて、雑草もない。

野菜の芽を野良ネズミリスから守る為なのか、継ぎ合わせた網のようなものや手製の罠で畑を囲っているようだ。


 畑を観察していると修道院の煙突から細く煙が昇り始める。

どうやらシスターたちが朝食の準備を始めたらしい。



「でも、そっか。その『治癒院』みたいなのを知ってるからリアン達、教会に色々持ってくのダメって言わなかったのかも」



産まれた時からモルダスで暮らしている二人のことだ。


 経営状態だって多少知っていると考えた方がいい。

そうじゃないと食べ物とか比較的高い砂糖を使ったジャムを「持って行っていい」って言う訳ないもんね。

ジャムは二人とも好きだし。



「洗濯液とかも、寄付の意味合いがあるみたいだし」



販売価格を設定した後に『教会に売る場合の価格は別に算出する』と言っていたリアン。

旅が終わってから時々、ミントやシスターについて調べたりギルドで聞いたりしていたベル。


 教会が身近に無かった私には分からないんだけど、教会という場所を大事に思う人は意外と多い。

 昼とかに来ると結構にぎわってて、午前と午後一回ずつの『お祈り』には結構な人が来ている。

びっくりしたのは冒険者や騎士も多く来てるって所だ。


 長期の護衛とかでモルダスを離れる時には大体の冒険者や騎士がお祈りしに来るんだって、ミントから聞いた覚えがある。



「お待たせしてごめんなさい。それと、これは使えるかしら……?」



聖水を受け取ってポーチにしまう私の前に差し出されたのは小さな袋。


 断りを入れてから中身を覗いてみると、ちょっと大きめの種が入っていた。

何の種なのかは分からなかったのでシスター・カネットを見ると、困ったように笑っている。



「ごめんなさい、何の種なのかは分からないの。子供たちが参拝に来て下さる方から頂いたみたいなのだけど……何かの花の種、らしいわ。食べられない物を植える余裕がないからしまってあったのだけれど」


「リアンに見てもらいますね。これ、貰ってもいいんですか?」


「ええ。持って行って下さいな。時々、教会では使えない物なんかを頂くから、使えそうな物があれば役立てて下さると嬉しいのだけれど……ごめんなさいね。あまり役に立ちそうな物を渡せなくて」


「植物の種とかって結構調合素材になったりするので、私としては全然。えっと、雑木林に入ってもいいですか? 畑は荒らさないので」


「もちろんです。私たちも時々見回っているのだけど、スライムや野良ネズミリスって結構な短期間で湧くから小さな子供たちが心配で……助かります。その代わり、雑木林のモノは好きにしてくださいね。香草や薬草も少しですけど生えている筈ですから」


「ありがとうございます、じゃあちょっと見てから帰りますね。明日また来ますっ」



種が入った袋をポーチに入れて、代わりに杖を取り出す。


 戦闘は苦手だけど、スライムと野良ネズミリスなら何とかなる。

頑張るぞ、と気合を入れて雑木林と教会の敷地を仕切っている柵を乗り越えた。

雑木林は一切手が入っていないからか、草が伸びていて足元が少し見づらいけど、歩き難いわけじゃない。


 浅い所をぐるっと見て回って、野良ネズミリスを5匹、スライムを2匹倒して工房に戻った。

討伐部位を切り取ってギルドで換金しようと思ったけど、ポーチに入れておけば腐らないのである程度まとめてから提出することに。


 坂道を走っていると、ちらほら人が家から出てきていた。

大体が母親で、時々眠たそうな顔で家を出る冒険者や騎士のような恰好をした人たちとすれ違う。





「……で、聞いているのか? ライム」



なのに、なんでだろう。


 工房のドアを開けた瞬間に腕を組んで仁王立ちしているリアンに捕まった。

ソファに行くことも台所に立つこともできないまま、入り口で何故か説教されている。



「聞いてるってば。別に何ともなかったし、リアンは神経質すぎるよ」


「君が能天気なだけだろう。いいか、錬金術師を狙った犯罪は少なくない。用心するに越したことはないし、そもそも君には警戒心や探知能力が皆無なんだからサフルを連れて行くくらいしろ。いいな、明日からは必ず連れて行くんだ」


「ええぇ……? だってサフルはベルと一緒に走り込みもしなきゃいけないんだよ?」


「………よし、じゃあ僕もいこう。ベルと行くくらいなら教会まで君のお守りを兼ねて走る方がいい。そうしよう!」


「やだよ、リアン煩いもん。それに、リアンのことを想えばベルと一緒に走り込み行った方がいいって。体力絶対つくしさ」


「君はあの地獄を体験していないからそういうことが言えるんだ」




ブツブツ言い始めたリアンの腕を引いて台所へ。


 サフルと一緒に人手を確保したので、朝ご飯の下準備を手伝って貰った。

調合時間減らすわけにはいかないからね。うん。




◇◆◇





 朝食を終えた私は、食器を台所へ持って行って直ぐに調合釜の前に立つ。




 私以外の二人はご飯ができた段階で起きて来たベルに連れて行かれた。

静かになった室内に懐かしさを感じつつ、アルミス軟膏のレシピを確認する。

失敗すると素材が勿体ないからね。


【アルミス軟膏】アルミス草+浸水液。軽い切り傷やあかぎれ、乾燥にも。

家庭に一つあるとお母さんが喜ぶ一品です。浸水液に切ったアルミス草を入れて魔力を注ぎながら十分間混ぜ続け、粘りが出たら完成。


 手帳に記された調合内容をざっと確認してから、手順通りに素材を入れていく。

調合素材自体は少ないんだけど、軟膏系は時間と腕力がいる。


あと、レシピには『切った』アルミス草ってなってるけど、効果は『擂った』方が品質と効果が上がる。それにほんの少しだけど調合時間も少なくなるんだよね。



「まずは、火加減調整……最弱にしてっと。浸水液とすり潰しておいたアルミス草を入れて……こっから十分混ぜる、と」



アルミス軟膏の最大調合量は十回分だから三人で十五回調合すれば準備完了。

初級ポーションも最大調合量は十回分なので、こっちは十回調合すれば大丈夫。


 昨日より余裕はあるかな、と考えながら両手で杖の柄を握り締めた。

擂り潰した薬草が浸水液の中にジワリと広がっていったのを確認してから、魔力を注ぎながらゆっくり混ぜていく。



「最初はいいんだよ……最初は」



ふぅっと息を吐いて、徐々にトロリとしてきたアルミス軟膏を睨みつける。


 魔力を注いで五分経った辺りから粘度が一気に上がってくる。

最後の三分間が本当にきついんだけど、ここで気を抜くと品質が落ちるからもう必死だ。

連続調合は流石に厳しいので、腕に負荷がかからない初級ポーションを挟むことになっている。


 そうこうしている間にも徐々に腕にかかる重さが増してきて、私は歯を食いしばった。

足は肩幅に開いて、腕だけじゃなくて全身を使って混ぜると少しだけマシになるんだよね。

全力で混ぜて、混ぜて―――…一回目の調合を終える。



「入れ物は、木の保存容器っと」



調合釜近くにある小さな台に並べておいた十個分の容器に均等に軟膏を入れていく。


 このアルミス軟膏の良いところは、木の保存容器でも長期間品質が保たれる事だ。

ポーションなんかの液体って、瓶じゃなきゃダメなんだけど軟膏はよっぽど汚れない限りは問題なし。

一度使うと出来るだけ、管理に気をつけなきゃいけないけど。



(日の当たりすぎる場所だと乾いちゃうし、湿気の多いところだとカビが生えるんだよねぇ。使ってない状態なら大丈夫だけど)



家庭で使うならこまめに少しずつ、で半年くらい。

冒険者なら一回の遠征で2個は持っておきたい、と言われているらしい。


 木の容器に全て詰め終えたら布切れを蓋の上から被せてリボンを結ぶ。

ちなみに木の容器には、サフルが蓋と容器の底に私たちの工房を表す焼き印を押してくれている。


 次に工房にこの容器を持って来てくれれば、容器代として鉄貨1枚分を引いた金額で売るつもりだ。

軟膏って大きな瓶に入れておけるからね。そこから専用のお玉とかで掬って容器に移し替えるくらいなら品質低下もしない。


 ちょっとだけ重たくなった腕を揉みながら、初級ポーション二回とアルミス軟膏一回を調合したところで、工房のドアが叩かれた。



 返事を返すとベルの声が聞こえてきたのでドアを開ける。

毎回ちゃんと相手を確認してからドアを開けなさいってベルにもうるさく言われてるんだよね、実は。


 ドアを開けると、前日と同じように二人を担いだベルがさっぱりした顔で笑っていた。

うっかり引きつりそうになった口元を気合で笑顔の形にして、工房内にベルを招き入れる。



「おかえり、えーとご飯は出しておけばいいかな」


「先に食べようかしら。汗を流したらすぐ調合に取り掛かるから先に調合していていいわよ。それと、今日はスライムの核が五つ手に入ったの」


「五つも!? スライムいっぱいいたの?」


「検問所の所で騎士から湧き水が出てるって場所を聞けてね。水場にはスライムが多いから、ちょっと足を延ばしてみたら結構な量のスライムがいて助かったわ。代わりにウルフとは戦えなかったけど、明日からは積極的に見に行ってみるから」



スライムの核を受け取ってポーチへしまい込む。


 リアン、今使い物にならないからね。


 ベルは報告をしながら、入り口付近に動けないサフルとリアンを放置して真っすぐに台所へ。

お腹が空いているのは分かっていたので、お皿にポーチから取り出した具材入りのパンを出す。

出来たてを直ぐにポーチに入れたから、ほかほかだ。

時間による劣化がないってホント有難い。


 スープとか温めるのは自分でできる、と言うベルの言葉に甘えて私は調合釜に向かう。


途中、倒れたままの二人の傍に水を入れたコップだけ置いておいたけどね。

サフルは息も絶え絶えながらもお礼を言ってくれた。


 私が三度目のアルミス軟膏を完成させた頃、食事を終えて汗を流したベルが腕まくりをしながら調合釜の前に。



「アルミス軟膏はどのくらい作ったの?」


「三回調合したから後十二回調合だね。初級ポーションは後八回調合すれば百個になるかな。あ、薬草とか少しだけど採って来たよ。スライムの核は手に入らなかったけど」


「採って来たって何処で? まさか一人で外に出たなんてことは」


「ないない。実は今日から毎日教会まで走ることにしたんだけど、裏庭に雑木林があってさ。そこでちょっとだけど香草とかが採れるんだ。出てくるモンスターも野良ネズミリスとスライムくらいみたい。時々ウルフが出るみたいだけど、何かあれば全力で逃げるか爆弾使う」



擂り潰したアルミス草を浸水液に投入し、杖を握り締める。

 魔力を注ぎ始めた所でベルも同じように釜の中をかき混ぜ始めた。



「アルミス軟膏の調合って、途中で目を離しても腕にかかる負荷で何となく分かるよね。完成かどうか」


「それ、多分ライムだけよ。見てないと分からないわ、特に最後の方」


「いやいや……ベルもきっと分かるようになるって。今日中に薬の調合終わるだろうから、寝る前に明日の下準備してもいい? オーツバーとかの材料出来るだけ計っておきたいし、時間に余裕があればゴロ芋の皮を剥いておきたいんだよね。売らないにしても、スープの素作っておけばちょっと安心だし。あと、乾燥果物も作りたい。あれ、便利でついつい食べちゃうし」


「分かったわ。スライムの核もあるし、どっちも予備があって困ることは無さそうだから」



会話をしつつも腕は動かし続けているので調合は順調だ。


 背後では物音がするから多分、サフルが起きたんだろう。

サフルには釜の中を混ぜながら今している調合が終わるまで、朝食を待って欲しいと頼んだ。


 完成した薬を詰め始めた所で、サフルが私の手伝いに来てくれたのでポーチから具を挟んだパンを渡しておいた。

リアンの分は起きてからだね、まだ動けないみたいだし。




 結局この日、リアンは私が三度目の初級ポーションを作り終わるまで起き上がれなかった。


 それでも就寝前にはアルミス軟膏 百五十個と初級ポーション 百本の調合を終わらせ、寝る前には翌日の準備もなんとか終了。

やれやれ、とそのままベッドへ倒れ込んだ。


 意識が落ちる前に『治癒院』について聞くのを忘れたんだけど、次の日聞けばいいやと思考を放棄した。




魔力がすっからかんになると眠くなるんだよね。体も重たくなるし。









ここまで読んでくださってありがとうございました!!


誤字脱字とか酷いと思うので、気づいたら教えて下さると幸いです。

眠気で、もう判断力ががががが……



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― 新着の感想 ―
なんで特に理由もなく必要だと言われている護衛を断るのかよくわからん ちゃんと理由も説明されてるし、自分が駄目なことも理解しているはずなのに…
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