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【書籍化】尽くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?  作者: 斧名田マニマニ
7章 妻と夫で彼氏と彼女!?

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高校生カップルの正しい過ごし方(休日編)③

 結局りこの希望どおりの品を購入することになったのだけれど、レジを済ませたあと、また新たな問題が浮上した。


「りこ、本当にこれは俺が持つから」

「だめだよお。湊人くんを荷物持ち係になんてできないもん」


 そう。いつぞや商店街で買い物をした時と同様、俺たちはまたしても、どちらが荷物を持つかで揉めたのだった。


 りこの選んだサーキュレーターは様々な機能の備わっているしっかりした品だったからか、そこそこ重量感がある。

 男の俺なら問題なくても、女の子のりこが片手で持ち続けるのは負担が大きすぎる。


「うーん、じゃあせめて商店街の時みたく二人で持つのは?」

「……それだと湊人くんと手を繋げなくっちゃう……」


 くっ、た、たしかに。

 もちろん、りこと繋いだ手を離すのは嫌だけれど、りこに重い荷物を持たせるのだってありえない。


「……わかった。二人で持つことにして手を繋ぐのをやめるか、手は繋いだまま俺にサーキュレーターを持たせてくれるか、りこが選んで」

「……! その二択ずるいです……」


 りこはうーっと唸って、その場にしゃがみ込んでしまった。

 その間も繋いだ手はそのまま。

 俺としてはまさかそこまで悩むんて思ってなかったから、かなり驚いた。


「大船駅までは湊人くんに持ってもらって、そこから私に代わるのは?」


 上目遣いで尋ねられ、思わずガラッとなるが、ここは心を鬼にして……。


「だめだよ。 二人で持つか、俺が持つかのどっちかだよ」

「ううーっ」

「ねえ、りこ。本当に俺は平気だから、今回は頼ってよ」

「でもでも、それ重いでしょう!?」


 俺は苦笑して首を横に振った。


「全然重くないから安心して。俺も一応男だし」

「重くないの? 本当に?」

「うん」

「……どうしよう。かっこよすぎるよ……」

「えっ!?」

「あ! 思わず本音が……!」


 りこが慌てて口元を押さえる。


「でもすごいね湊人くん。そんなに重いものを軽々持てちゃうなんて」


 感心しきった感じで言うから、照れくさくて仕方ない。


「こういう時、やっぱり湊人くんは男の子なんだーって思えて、ドキドキしちゃうの。えへへ」


 ああっ。もう。かわいすぎて困る。

 男女の力の差によってりこに意識してもらえるなら、今日から筋トレでもしようか。


 ◇◇◇


 ゆっくり買い物をしたため、家電量販店を出ると、ちょうど昼時になっていた。


「昼飯、どこかで食べてく?」


 深く考えずにそう尋ねたら、りこは勢いよく頷いた。

 おなか減ってるのかな?

 なんだかかわいいなと思って自然と笑みが零れる。


 りこと一緒にいると、ドキドキすることも多いけれど、こんなふうに穏やかで優しい気持ちになれて、いつもよりずっと笑う回数が増える。

 天使みたいなりこの存在が、そんなふうに俺をかえてくれるのだ。


「りこ、どこの店に入ろうか? 何食べたい?」

「湊くんはいつもどんなでお店に行くの?」

「うーん、俺は食にこだわりないほうだから。安くて一人でも入り易い店ばっかりだよ」

「私もそこに行ってみたいな」

「だけど、ラーメン屋とか牛井屋とかだよ?」

「うん。湊人くんが好きなお店で食べたいの」


 りこはそう言ってくれたが、さすがに牛丼屋に連れてくわけにもいかない。

 俺は悩みに悩んで、よく訪れる店の中でも比較的おしゃれなハンバーガー屋を選んだ。

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