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【書籍化】尽くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?  作者: 斧名田マニマニ
6章 今日はいっしょにねよう

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二人の夜③

「あれっ……なんか……ご馳走?」


 ダイニングテーブルの上に乗った料理を見て、思わずそう呟く。


 りこの料理はいつも品数が多くて、手が込んでいるけれど、今日は輪をかけて豪勢だ。


「たまにはこういうのもいいかなって思ったの……! ほんと! それだけだから……! 湊人くん、座って座って!」

「う、うん」


 でも料理のラインナップも、普段と全然違うような……。


 米が見えないほど岩牡蠣が入った炊き込みご飯、ステーキ、ビーツのスープ、まぐろの山芋かけ、アボカドと卵のサラダ、ナッツやヒマワリの種なんかの穀物がまぶされたヨーグルト――。


 量……! どう考えても多いよな……!?


 それにりこはいつも和食の時は和食でまとめるタイプなのに、今日はバラバラだ。

 しかも、いつも食事の時はほうじ茶が出てくるのに、なぜか真っ赤なジュースが置かれている。

 鼻を近づけて匂いを嗅いでみると、ザクロジュースだった。


 ……ちょっと待った。

 牡蠣にアボカドにザクロ……。


 俺は以前、ちょっとスケベなギャグマンガで出てきたセリフを思い出した。


『牡蠣とアボカドを食べてきたし、ザクロは毎朝必ず飲んでる! 俺の精力は常に限界を超えている!』


 俺はそのセリフを読んで、結構真面目に「もし俺が困ったら牡蠣とアボカドとザクロに頼ろう……」と思ったものだ。


 ……偶然だよな……?


 でも、き、気になる……。


 俺はりこがエプロンを脱いでいる隙に、急いでスマホを取り出し、検索をかけてみた。


【牡蠣、アボカド、ザクロ、精力増量】と――。


 すると、検索候補のトップに『性欲アップに効果的な食べ物リスト』というのが出てきてしまった。

 急いでタップし、ページの中身を確認する。


 牡蠣、アボカド、ザクロだけじゃない。

 ステーキ、ビーツ、卵、マグロ、穀物と、テーブルの上に並んでいる料理は全部、精力を増量させる食品が使われていた。


 りっ、りこおおおおおおお……!?!?!?!?!?

 これどういうことだよ……!!!!!!!


 ここまで一致していて、偶然ということはないだろう。

 頭にカアアッと血が上り、くらっとなる。

 その直後、鼻の奥がツンとして――。


「あれ」

「きゃあっ、湊人くん、鼻血が……!」


 たったこれだけのことで興奮しすぎて鼻血を出すような十八歳に、精力増量の料理を食べさせたらまずいだろう。


 ◇◇◇


 それから十五分。

 鼻にティッシュを詰めて、ソファーの上に横になる俺を、床に座ったりこが心配そうに覗き込んでいる。


「大丈夫? 病院行く?」

「心配しすぎだよ。でも、ありがとう。もう血も止まったし大丈夫だよ」

「よかった……。どうして急に鼻血が……」

「ははは……」


 俺が興奮したことはいいとして、りこはなんであんな行動に出たのか。


「りこ、今日の料理って、どうしてあのメニューにしたの?」

「……っ。そ、それは……そのぉ」


 話題を振った途端、目に見えて動揺しはじめたりこを見て、いよいよ確信を持つ。

 やっぱり偶然じゃない。

 ここはもう一歩踏み込んで追求しないと……!


「その何?」

「秘密っ」


 りこが照れくさそうにプイッとそっぽを向いてしまう。

 くっ……。破壊的にかわいい……っ。


 ってそうじゃなくて!


 とりあえず、りこが確信的にあの食材を選んだことはわかった。


 ……てことは、りこは俺に、せ、精力増量する料理を食べさせたかってことだよな……?

 女の子が男の精力を増量させたくなる理由って……ひとつじゃないか……?

 つ、つつつまり……。


 いやいやいや!!

 ありえないって……!?


 りこが俺と……とかありえないって……!!


 結婚してるって言っても、俺たちは恋人同士なわけじゃないし。

 別に好きな人がいる子だし。

 しかも相手は俺だし。

 それにりこだよ!?


 美少女でめちゃくちゃモテるけれど、普段の様子を見ていればわかる。

 彼女は絶対そういうことに慣れていない。

 そんな子が、ここまで思い切った行動を起こすわけがない。


 でも、だったらなんで俺の精力をパワーアップさせたがってるんだ……!?


 やばい、また鼻血が噴出しそう。

もし「りこすき!」「りこがんばれ!」と思ってくださいましたら、

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『★5』をつけて応援してくれるとうれしいです


感想欄は楽しい気持ちで利用してほしいので、

見る人や私が悲しくなるような書き込みはご遠慮ください( *´꒳`*)੭⁾⁾

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