二十九 の、望むところ
性的な表現が少し&糖分多めです。
苦手な方はご注意下さいませ。
二十九 の、望むところ
俺の格好や疲労を考えて、今日は家に帰らせて貰える事になった。
また後日詳しい状況や顛末の説明をする為に協会に行くようだ。
話は色々と聞いたけど協会って実際にはどんなトコなんだろうなぁ。
なんて考え事をしている間に、空の家に着いた。正直、歩いていて気が気じゃなかった。
何が楽しくて上着一枚で街を歩かにゃならんのか。深夜だったし、空が一緒だからまだ良かったけどさ。
自宅ではなく空の家に来たのは、俺の家の窓が割れているからだ。
ここのところ、俺の家にばかり来て貰っていたので空の部屋に入るのは久し振りだ。
……あれ。寧ろ女になってから初めてじゃね?
なんか、なんかなぁ。ほら、他の人の部屋の匂いって自分とは違うから良く分かるだろ?
今までも慣れ親しんだ安心する匂いだったんだけど、今はそれに加えて、こう、胸がドキドキする。
しかも部屋に入るのと同時に後ろから抱き締められたもんだから、鼓動の早さも二倍だ。
空は俺の首元に顔を埋めて、すぅ、と深呼吸をした。暖かい呼気がこそばゆくて少し身を攀じる。
「油断した。危険な目に合わせて悪い」
「あ、いや、そんなの空のせいじゃないし。何かされる前に空が助けてくれたんだ。
謝る必要なんてないよ、いつもありがとう、空」
まぁ、空が自分を責めるのも分かる。
例えば今回の件で助けに来た空が怪我をしていたら、俺は自分を責めただろう。
こればかりは自分が自分を許せないのだから、周りが何て言っても仕方ない。
でも……それじゃ困るんだよなぁ。
「えと。ところで、シャワー借りてもいいか?」
「ん、あぁ。服は後で持って行くよ」
「さんきゅ」
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シャワーから出て、空の部屋の前に立つ。
うむ、暑い。季節柄、深夜でも気温は高くてシャワーから出た後はドライヤーを掛けるから尚更だ。
で……それを抜きにして、身体が熱い。鏡を見れば茹で蛸の様な顔色をしてるんだろうな。
ドアノブを捻り、部屋に入る。冷房が効いていて火照った身体には丁度良い。
机に向かって何かを書いていた空が、こちらに振り返った。
「おかえ──り?」
で、そのまま呆気に取られてポカンとしている。
そりゃーそうだよなー。だって、今の俺の姿、空のシャツ一枚だもん。その下はパンツが一枚だけ。
やっぱりミニワンピみたいな丈だけど、ブラジャーを着けてない分、痴女度はさっきより上がってる。
「あの、空、魔力が欲しいんだ、けど」
「お、おう……いや待て。俺ジャージ置いたよな?」
はい。置いてあるのをそのまま放置して来ました。
とことこと歩いてベッドに座り、隣をぽんぽんと叩く。
「いや、おま。その格好は」
黙殺してもう一度ベッドを叩いた。
一つ溜息を吐いた後に、空が隣に座る。
「あの、さ」
「ん?」
「魔力はいつもと違う方法でさ?」
うぅ、顔から火が出そうだ。
空の顔が直視出来ない。
「空のモノにして欲しい。全部っ!?」
言い切るのとほぼ同時に口を塞がれた。舌が唇を分け入って来て、口内を蹂躙する。
そう言えば、唾液でも魔力の供給が出来るって言ってたっけ。
渇いた身体にじわじわと魔力が浸透して、キスと二重に、頭の芯からとろとろに溶かされる。
「海、悪い。手加減出来そうにない」
至近距離で目と目が交錯する。
余裕のなさそうな、情欲に染まった瞳だった。
まぁ俺も余裕なんてないけどな!
「の、望むところ、だ、きゃ」
ベッドに抑え付けられて、空が上に伸し掛かって来た。
少し押し返そうとしてみるものの、ビクともしない。
これから蹂躙されるんだ、と思うと被虐心が刺激されて、背中にゾクゾクとした感覚が走った。
や、ヤバいなぁ。癖になったらどうしよう。
初めてだと言うのに散々啼かされてしまったのは……恥ずかしいので秘密である。
この物語はフィクションです!
糖分多めになると筆が進むとか、自分でもどうかと思う。
さて、最終話にあたる、三十話も24時に予約投稿します。
これでようやくひと段落ですねぇ……。




