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ソリオンのハガネ  作者: 伊那 遊
第一章・新入生の問題児たち
19/75

 17 ニール=クチバ

 木で造られた室内に、こくりこくりと船を漕ぐ女性の姿がある。

 部屋の中央には大きな木造のテーブルと、それを囲む複数の椅子が置かれている。その一つに座るのは眼鏡をかけた茶髪の女性だ。不揃いに短く切られた髪は男性的で、マントのようなぶかぶかの皮の衣装には、身だしなみに気を遣わない彼女の性格がよく表れている。

 複数人での使用を前提とした家具の配置だが、現在この家で暮らしているのは彼女一人だけだった。木造の暖かな部屋なのに、その光景はどこか寂しい。

 うたた寝の最中、女性は夢を見る。かつてこの家に、彼女以外の人間が暮らしていた頃の夢を。

 その始まりの日を。



 ◆


 かんかん、というノックの音が耳に入ってきた時。

 魔物の素材を用いた実験を行っていたニール・クチバはふと顔をあげ、家の入り口に目を向けた。

 何故自分はそんな事をしたのだろうとまずは考えた。まさかこの場所を訪ねてくる者などいるはずが無い。その思い込みからノックの音が意識に引っかからなかったのだ。

 最初よりも強く、入り口ドアが外から叩かれる。

 風の音にしてはおかしい。浮かんだのはその程度の疑問だった。ここに至ってもニールは、外から人がやって来たという発想には行き着かなかった。

 しかし現に、音がある。三度目のノックも行われる。ニールは戸惑いながらも、その場に座ったままじっとドアを見つめ続けた。

 混乱が収まるより先に、音の正体が向こうからやって来た。

 がちゃり、と。

 外からドアが開かれた。


 立っていたのは小さな子供だった。


 目が合う。まだ十かそこらに見える、小さな女の子だ。その無機質な瞳がニールを見据える。背筋が強烈に粟立(あわだ)った。

 可愛らしいなどという感想は欠片も抱かなかった。ニールを、次いで室内を検分していく子供の視線。その目には何の感情も宿ってはいない。

 そこでようやく気付いた。その小さな少女の後ろに、何人もの子供がまだいる事に。

 十代半ばくらいの少年と、同じ年頃に見える少女が二人だ。少年の手にはもう一人、ぐったりとした女の子が抱えられている。

 男の子が一人と、女の子が計四人。みすぼらしい身なりの年端もいかない子供が五人、ドアの向こうに立っていた。あり得ない、とニールは思った。この周辺は子供が生存できる環境では無い。

「こんなとこに人が住んでるのか。なあ、そこの人」

 女の子を抱えた少年が、ニールを見て言った。

「ここは安全か?」

「……」

 訊かれている意味は分かる。だがあまりの出来事に、咄嗟に言葉が出て来ない。ニールは混乱したままそっと頷いた。

「あんたに迷惑はかけない。家の外でいいから、こいつを安静にするのに場所を貸して欲しい」

「あ、ああ。それくらいなら、構わないが……」

「助かる」

 それだけの短いやりとりで、あっさりと少年はこちらに背を向けた。二人の少女も踵を返し、最初の小さな少女がドアを閉めようとする。慌ててニールは子供達を呼び止めた。

「ま、待て! 本当に外で過ごすつもりか!?」

「それは、構わないと言ったのを撤回するって事か?」

「そうじゃない。怪我人がいるんだろう? 中に運べ。たいした設備も無いが外よりはマシだ」

 少年は意外そうな顔をして、まじまじとニールを見つめた。まさかこちらが、平然と怪我人を外に放り出す外道にでも見えるというのか。中々に失礼な子供だ。

 しかしすぐに、素直に頭を下げた。

「恩に着る」



 床に散乱していた実験用の器材や素材が片隅に寄せられ、即席の簡易ベッドに怪我人の少女が寝かされていた。

 応急処置は既に済まされ、少女の口からは安らかな寝息が漏れている。見守る子供達の表情も、最初の時よりは穏やかになったようにニールには思えた。あくまで最初と比べればだが。

 ――しかし、まあ。

 一体どういう者達なのか、さっぱり分からない。

 そこらの街にいるような普通の子供では無いのは確かだった。子供達は皆どこか、荒んだ目つきをしている。一番小さな女の子など、それを通り越してまるで人形のようだった。

 あからさまな疑念と警戒の視線をニールに向け続けている少女もいるが、そちらのほうが余程人間味があって安心できる。少なくともこの子供達は、これまで幸せな人生を歩んではいまい。会ったばかりでもそれくらいの事は察せられた。

「ありがとう。本当に助かった」

 子供らしからぬ口調で黒髪の少年は頭を下げ、礼を言う。今に至るまでの子供達の様子から分かっているが、この少年が他の少女達のまとめ役であるらしかった。

「そこまで仰々しく感謝されても困る。怪我をしている子供を助けるのは当然の事だ」

 心の中だけでニールは苦笑する。らしからぬ口調と言えば、自分だって女らしさの欠片も無い喋り方だった。

「名前も聞いても? ……ああ、そう警戒しなくていい。見ての通り、私はこんな辺鄙(へんぴ)な場所に一人で住んでいる偏屈な魔術師だから。国や街とは無縁の生活を送っている。君達にどんな事情があったところで、私には無関係だ」

「こんな場所に、一人で?」

「世間に関わらずに一人で暮らすのに、ここ程うってつけの場所も無いだろう?」

 こちらもまた、何か訳ありなのだろうと少年は納得したようだった。

「それじゃ、名乗るけど。俺は神谷鋼。あんたは?」

「ニール・クチバという。それにしても、少々変わった名前だな」

 カミヤ・コウ。帝国系の名前だろうか。

 少年と少女達は、一人だけくすんだ銀髪の少女がいるものの、あとの四人は帝国人の特徴である黒髪を持っていた。子供達はもしかすると帝国から脱走した奴隷かもしれない。もちろん密告しようとか、国に突き出そうとか、そういった事は微塵も考えなかったが。ニールもどちらかというと、奴隷制を堂々と敷くようなあの出身国に嫌気が差して、こんな所に住んでいるという側面があるのだし。

 詮索するような事を口走ったからか、ある黒髪の少女がじろりとこちらを睨んできた。先程からニールを最も警戒している少女である。当然カミヤ少年も気付いていて苦笑したようだった。

「ついでに紹介するよ。こいつは……、ルウとでも呼んでくれ。見ての通り他人に対してちょっと警戒心が強いが、大目に見てくれると助かる」

「気にしないさ。こんな場所に家を建てて暮らす私は、十分に怪しさ満点だという自覚はある」

 自分が紹介されているというのに相変わらずそのルウという少女は喋りもせず、他の子達もそうだがニールとの一切のやりとりをカミヤ少年に一任しているようだった。

「……で、こっちの小さいのが日向」

 次に紹介されたのは最初にドアを開けた人形みたいな子供だった。

 ニールは子供達の中ではその子が一番苦手だ。ぱっちりした大きな瞳の黒髪の小さな女の子は、年相応の笑みでも浮かべていれば愛らしい姿をしているのだろうが、どうにも表情が無さ過ぎる。ヒナタと再び目が合うも、警戒すら浮かんでいない観察の視線に思わず気圧(けお)された。

 そうしている間にカミヤが意識のある最後の一人、銀髪の少女を手招きで呼び寄せた。きょろきょろと家の中を興味深そうに見やっていたその少女は、ニールの見たところ一番子供らしい素直な反応でとことことやって来た。

「お前も自己紹介」

「分かった。……私の名はダリアクレイン。よろしく」

 初めて少年以外の声を聞く事が出来た。しかし、そんな事よりも。

「ダリアクレイン?」

 思わずその名前を反芻(はんすう)する。

「……何か?」

「ん、いや。なんでもない」

 ――まさかな。さすがに、それは。

 名前から連想した彼女の正体をニールは脳内で振り払う。少々変わった名前どころではない。名付けた者は何を意図してそんな名にしたのだろう。

 ダリアクレインはニールの心中を探るように、じっとまっすぐな目で覗き込んで来る。彼女に限らず少女達の態度からは、一応は助けてあげたというのにニールをあまり信用していないのが窺えた。今までどんな環境にいたというのか。信頼を得るのは骨が折れそうだ。

「お前ら、んな警戒しなくていい。誰も彼も疑っても仕方ねえだろ」

 少年の一声は少女達にとって大きな意味を持つらしい。

 カミヤが窘めるように言うと、ヒナタがニールや屋内への観察の視線を即座にやめ、怪我人の少女の元へと寄り添った。ルウは変わらずニールに警戒の視線を向け続けるも、不本意そうに頷く。ダリアクレインも少し表情を柔らかくした。

 僅かにだが笑みすら浮かべて、銀髪の少女は改めて口を開いた。

「コウが信用する人なら私も信用する。助けてくれてありがとう」

 その表情の変化でニールも気付いたが、ダリアクレインはかなり整った顔立ちの女の子だった。今の年端もいかない外見でも美少女と形容するにふさわしいものを持っていて、あと数年もすれば相当な美人になるだろうと分かる。だからこそ余計に、くすんだ髪や薄汚れた格好が痛々しいものとして映った。

 この時点でもう、怪我人の治療が終わり次第子供達を放り出す、という選択肢はニールの中では無くなっていた。

「どういたしまして。コウ君をすごく信頼してるんだな、君は」

「うん。だからニールも信じる。でもコウを裏切ったりしたら殺すから」

「…………ん?」

 助けてあげたいとニールに素直に思わせる、柔らかな笑みを浮かべたこの少女から、今何か物騒な単語が漏れなかっただろうか?

「おいこら何いきなり喧嘩売ってんだお前は!」

 カミヤが怒鳴り、ダリアクレインの頭をどついた。結構痛そうな音が鳴る。

「け、喧嘩など売ってない」

「ああ?」

 凄まれ、涙目になるダリアクレイン。カミヤは目を合わせながらも、それ以上何も言わない。傍から見ているニールでさえもちょっと少年の気迫は怖いくらいで、銀髪の少女もすぐに根を上げた。

「ご、ごめんなさい」

「あ、ああ、いや、そこまで私も気にしてないさ。それほどコウ君が大事なんだろう」

 しゅんとなったダリアクレインに、むしろこちらがかばう言動を取ってしまった。何故殺す宣言された本人が罪悪感を抱かねばならないのだ、と釈然としない気持ちになるが、ついでに意識を切り替える。

 怪我人の容態も落ち着いているようだし、次は子供達の汚れた格好をどうにかしたい。

 この人数分の体を拭けるような布はあったかな、と考えながら、ニールは立ち上がった。



 ニールの住処は、非常に見つけづらい場所に建っている。

 まずここいら一帯のルデス山脈という土地自体が、通常人間が寄り付かない場所だ。それに加えてこの家は、山脈のそこそこ奥地にある名もなき湖のただ中、離れ小島の上に位置している。

 より正確に言おう。

 草木すら生えていない岩山だけがある離れ小島の、その岩山をくり抜いた内部だ。島に上陸してみないと分からないような入り口から中を覗くと、小屋と呼んで差し支えないしょぼくれた木造家屋が建っている。かなり違和感のある光景である。

 そこがニールの住処なのだった。

 人が外から来るなどあり得ないとニールが思ったのも致し方ない事なのだ。むしろカミヤ達はよくここを見つけたなと思う。そもそもこの小島へ渡るのだって難しいはずなのだが。


「ありがとう。久しぶりにさっぱりした」

 少しは慣れてくれたのか、少女達を代表してダリアクレインが礼を言う。

 あれから二十分ほどが経過している。

 あの後ニールは薄汚れた状態の子供達をどうにかするため、家の中を引っ繰り返すようにして探し当てた手拭いの布をそれぞれに押し付けた。そして、まずは女の子達から外の湖で体を拭いてくるよう言いつけたのだ。

 今は彼女達が戻ってきたところで、カミヤ少年は入れ替わりに体を拭くため外へ出ている。

 子供達の中で最も話が通じる少年がいない状態で、他の少女達と意思疎通が出来るのか少し心配していたのだが。何の含みも無いダリアクレインの様子からして杞憂だったようだ。


 ――と、いうか。


 ヒナタ・ルウ・ダリアクレイン。

 小奇麗になった三人の少女を見て、気付く事がある。

 三人共、容姿がかなり見目麗しいのだ。もし身分が奴隷であったとしたら、労働力以外のものが期待される高値で取引される存在だったのではないか、と勘繰ってしまいそうな位に。

 だが一方で、卑屈さやひ弱さとは真逆の雰囲気があるようにも思える。何に恥じる必要もない、芯の通った力強さをそれぞれが宿しているような。あるいは脱走奴隷かもという推測は全くの的外れかもしれなかった。

 冷たく荒んだ瞳を持つ、外見に限れば育ちの良さそうな美少女達と、それを率いる年若い少年。

 本当にこの子達は、どういう集団なのだろうか。訊いたって警戒されるだけのような気がするものの、ニールもそろそろ子供達の素性が気になってきた。

「なあ、君達はどうやってこの小島まで辿り着いたんだ?」

 ダリアクレイン、長いのでもうダリアと心中でも呼ぶが、ニールの問いに考える素振りをしたのは彼女だけだった。ダリアは言っていいのか訊ねるようにルウを見て、首を横に振られて困ったようにこちらに視線を戻す。ちなみにヒナタは一貫して無言のままだ。

「なあ、ルウ。それくらい教えてくれたっていいだろう?」

「……それなら、後でコウに訊いて下さい」

 丁寧で、それでいて冷たい声音が返ってきた。後はただ何を言っても黙殺だった。

 たとえ些細な情報でも、少年の許可なく渡したくないという事か。あの少年にはそこまで神経質なところは見られないから、このルウという少女が面倒な性格をしているだけなのだろう。

 あの少年にはかなり信頼を寄せているようなので、好奇心に動かされるニールは切り口を変えてみた。

「コウ君がやはり、君達のボスか」

「……」

「彼は慕われているな。裏切ったら私を殺す、とダリアは言ったが、君もそういう過激なところがありそうだ」

「……当たり前でしょう。あの人を利用し傷つけるような事があれば、あなたにはそれなりの代償を払ってもらいます」

 案外すぐに食いついてきた。ついついニールは調子に乗って、挑発まがいの発言をする。

「君は殺すとは言わないのか?」

「もしあなたがコウの敵なら、本心から殺して差し上げたいと思いますけど。例え裏切られても、コウはきっと命まで取るのを望みませんから。あの人は優しい方なので」

 ……会ったばかりの自分が心配する事ではないかもしれないが。

 女であるはずのニール自身にはあまりピンと来ないが、思春期の乙女が持つ恋愛感情のパワーは凄まじいものだと話では聞く。ダリアといい、あの少年は中々に重い愛を向けられる身であるようだ。この場合、少女達同士の仲は大丈夫なのだろうか。

「……君も実は同じような意見だったりするのか?」

 余計な心配は切り上げて、ニールは恐る恐るヒナタにも訊いてみた。部屋の片隅で置物と化していた無表情少女は、ここにきてようやくニールにもその声を聞かせてくれた。

「鋼は警戒しなくていいって言ったから。あなたは、私達に悪意を向けるような人じゃないと思う」

 案外、というか見た目通りなのだが、とても幼い声だった。言っている内容は一見まともだが、やや引っかかる物言いである。

「君自身はどう思うんだ? 私は善人と悪人、どっちに見える?」

「……さあ? でも鋼は、誰も彼も疑っても仕方ないって言ってたし」

「……」

 少女達の異常性に気付き始めたニールは、さすがにそこで閉口した。



 もう少し後になって、知った事だが。

 それまで色々と辛い目に遭ってきて、子供達の心が最も荒んでいた時期がこの時だったそうだ。

 ニールの隠れ家にやって来る前、彼らは『地獄のような日々』を送っていたという。それがどんなものだったかは、本人ならぬニールには聞いた話から想像するくらいしか出来ない。

 コウはどうやら生来の強靭な精神力で己を支えていたようだが、彼ほど強くなかった少女達はコウの存在を支えにしてその日々を生き抜いたらしい。精神に強い負荷が掛かったためか、少女達には全員例外なくコウへの強烈な依存心が見られた。最初の頃など、少年の傍にいないと少女達は安らげないらしく、眠る時は片時も離れなかったのだ。

 宿を貸した初日に、家の外の洞窟内で寝ようとした子供達を引き止め、屋内で休ませたのだが。怪我人の少女とコウを中心に、寄り添うように丸くなって眠る少女達という光景を前になんだか生温かい笑いが出たのをよく覚えている。群れた野生の狼か、というのがそれを見たニールの感想だったと思う。

 彼ら五人とは、それからおよそ半年(・・)後に三人が《逆召喚》で日本へ去るまでの間、共同生活を続けた。

 安定した生活を続けるにつれ、少女達の態度も徐々に軟化し、ニールにも身の上話などを聞かせてくれるようになった。周辺との魔物との戦いで役に立つだろうと、こちらから魔術を教えたりもした。

 唐突に始まったたった半年くらいの付き合いだったけれども、コウ達との間には確かな絆を築けたと、ニールは信じている。




 夢の中だったのか、どこか途中からは寝起きの頭が描いた回想だったのか。

 その境界が曖昧なまま、ニールは覚醒している己の意識を自覚した。座ってぼんやりしている内、意識を手放していたらしい。

 二年ほど前の夢を見ていた。

 ――そうか。あれからもう、二年も。

 色々と面倒になって、一人でいる方が気が楽だったのもあり、こんな世捨て人みたいな暮らしを始めたのに。最近はあの頃を思い出して、なんとなく感傷的な気分になる事が増えた気がする。

 きっとこの家具がいけないのだ。椅子で囲まれた部屋の中央の大テーブルは、六人で生活するのにあった方が便利だからと、あの頃に皆で手作りしたものだ。他にもいくつも名残はあった。改築して家自体を広くもしたから、いまや屋内を見てもここが一人暮らし用には見えなくなっている。

 かんかん、とノックの音。ニールは驚いて椅子からずり落ちそうになった。どうやらあの音に起こされたらしい。

 がちゃり、とドアが開かれた。


「ニール! 来たぞ!」


 そこから顔を出したのは、懐かしき銀髪の少女である。

 今見ていた夢が夢なので、こちらの驚きも一入(ひとしお)だった。

「……クー」

「しばらく会いに来れなくて、すまなかった。でもニール、いい知らせがあるんだ!」

 あの頃からすれば信じられない程の、満面の明るい笑顔でダリアクレインは話し始める。その笑みだけで、ニールの胸も温かいもので満たされた。

 その表情が、溢れ出るほどの喜びの感情が、話を聞くまでもなくニールに知らせてくれる。

 きっと愛しい仲間との再会が叶ったのだ、と。

 思った通りの報告を始める少女を、我知らず笑みを浮かべたニールは優しく見守るのだった。



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