312・はじめての ないせん3
|д゜)シリーズはタイトル考えるのが楽
「ドルミン様。
沿岸国の一角が崩れたようです」
「意外としぶとかったな。
まあ、一ヶ国でも破れたらそれでいい。
これで海上にも戦力を派遣出来る」
メナスミフ自由商圏同盟・モトリプカ―――
その首都・エムビーア……
そこで従者と思われる赤い短髪の青年が、
主であろう青みがかった短髪に白髪が混じる
アラフィフの男と語り合っていた。
「ただ一国、ザハン国だけは頑強に抵抗を
示しておりますが」
「だがそれもこれまでだ。
これで海からも内陸からも戦力を送り付け、
挟撃出来る。
時間の問題、というヤツだろう」
ドルミンと呼ばれた男はそう言って、
高い建物の中から窓の外を見上げるが、
「そのザハン国なのですが、奇妙な報告が
上がって来ております」
「?
奇妙、とは何だプラクス」
従者の青年の言葉に彼は聞き返すと、
「ええと―――
最前線に突然濃霧が発生し、戦闘不能に
なっているようです。
また魔法でこの霧に攻撃を加えたところ……
その魔法全てが返されたとかで」
「確かに奇妙ではあるが―――
霧を盾にしての反撃でもしているのか?
まあいい。
しょせんは苦し紛れ。
前線はそのまま死守しろと伝えろ。
どの道、海からも上陸されれば、
戦局は決定的になる」
「そうですね……」
報告を行った青年も、どこか腑に落ちないのか
生返事をすると、
「報告します!」
そこへ、従者の青年と主人の間くらいの年齢の、
一般兵と思われる者が駆け込んできて、
「あなたは確か―――
沿岸国占領後の出撃準備を命じていた
はずですが」
プラクスが年上の報告者にそう返すと、
「は、はい!
沿岸国であるヴォルゴはこちらの手に
落ちたのですが。
しかし出撃が不可能となったので、
こうして」
「ん? 出撃出来なくなったという事か?
何があった?」
今度はドルミンが問い質す。
「そ、それが……
もう春になろうというのに、沖合から
大量の流氷が流れ着きまして。
一隻や二隻ならまだしも、とても大軍が
出撃可能な状況ではありません!」
彼の報告に主従2人は顔を見合わせ、
「霧の次は氷、ですか」
「うむ―――
そういえば、ザハン国の大船団が辺境大陸に
出撃しようとした時、氷に阻まれたと聞いて
いるが」
従者の青年が両目を閉じ、
「たった1人の魔族によって、という
ものでしたか?
さらに神獣・フェンリル様まで現れて、
魔法を封じられたと。
それはただの噂か情報操作であろうと
結論付けられたはずですが」
「だが現に出撃出来ないというのは事実だ。
しかし、数隻なら出航可能なのか?
ザハン国の時はそれこそ、一隻も通さない
ほどのものだったと聞いているが」
主人である男の目が報告者に向かうと、
「それは可能と思われます。
と言いますより、一隻なら航行可能な
隙間が、まるであえて作られたかのように
流氷が分けられているとの事で」
それを聞いたドルミンはふーむ、とうなずき、
「救援でも来たのか?
クアートル大陸、もしくは辺境大陸から」
「侵攻を開始してからまだ5日です!
いくら何でも早過ぎですよ。
それに四大国であれば、海上で不穏な動きを
聞きつけ、自国民や知人を救援に来たと
考えられますが、
こうまで派手に敵対するというのは」
主人の意見に、プラクスは否定的に返す。
「もしくは賢人会議の連中が……
万が一に備え、戦力を配置していたか。
どちらにしろ、この目で見て確認せねば
なるまい」
そしてドルミンは従者の青年に向き直り、
「俺はヴォルゴ国の流氷の現場へ出向く。
プラクス、お前は濃霧とやらを調べて来い。
ザハン国の最前線というのなら、ルノイ国
だろう。
奴隷のファルコンを使えば、1日で戻って
来る事が出来るはずだ」
「はい、直ちに」
そして2人は2手に別れ―――
現場を把握して来る事となった。
「状況はどうなっていますか?」
ザハン国商業都市・スタット……
そこの富裕層地区の一角、
暫定的な司令本部となったロックウェル家の
屋敷で、私はそこの主人であるベルマイヤ氏と
次から次へと上がる情報を整理していた。
「『霧』のイスティール殿、
『対鏡』のノイクリフ殿のおかけで、
味方は最前線から順次撤退しておるそうだ。
たった2人で戦況を変えてしまうとは―――
光明が差して来たと思えるほどで」
真っ白な眉毛とヒゲを持つ老人が、アゴを
撫でながら語る。
彼は『商機の天秤』という
魔法スキルを持ち……
私たちを『負けない』と断じ、こちらに全て
『賭ける』判断をしたのだが、
「確かに状況は好転しつつあるようですが、
どう転ぶかわかりませんよ?
『負けない』とはいえ、『勝てる』という
事ではありませんので―――」
気を引き締めるためにも、私がややネガティブな
見解を話すと、
「あのような状況から、『負けない』状態にまで
巻き返すだけでも御の字でしょう。
それに、シン殿のお話では……
四大国が支援に向かっておるのでしたな?
ならばそれまで耐えれば売り時も見えてくる!
商機、いや勝機はあると思われますぞ!」
鼻息荒く語るベルマイヤさんを見ると、
まるで商売の話でもしているような錯覚に
陥るが、
「しかし四大国とて、全面戦争を望んでは
いないんじゃねぇんですか?」
「こちらの内戦ですし、支援も限定的に
ならざるを得ないのでは」
出撃した人たちと入れ替えにやって来た、
『見えない部隊』のメンバーである
ジャーヴさんとユールさんが懐疑的に話す。
「そういや、魔族の人たちも来たと聞いて
おりやすが」
細身の男が室内を見渡すと、
「4人来て頂きましたが、その内3人は
各地で動いてもらっています。
他、フェンリルのルクレセントさんや
ティーダ君、レイド君やミリアさん、
また妻のアルテリーゼも今は浮遊島に」
「普通なら『少ない』と思うのでしょうが、
魔族にフェンリル様にドラゴンですからな。
ワイバーンもすでに複数待機しておりますし」
ジャーヴさんよりさらに痩せた痩身の男が、
そう補足して来る。
「しかし、今後どのように動かれますかな?」
老人の言葉に私は少し考え込み、
「前にも言いました通り、新魔導塔とやらの
破壊を最優先で行います。
そうすれば少なくとも、強制的に戦わされる
奴隷は無力化され―――
モトリプカとしても戦力は維持は出来ない
でしょう。
後はそこから、話し合いに持っていければ」
ある程度叩いたところで交渉に持ち込む。
戦争とはいえ、相手の全滅を狙っている
わけではない。
落としどころを考えなければならないのだ。
「辺境大陸の国家としては、何か望む事は
無いのですかな?
確かシン殿はウィンベル王国の者だと
お聞きしましたが」
「今回、私どもは国家として動いておりません。
ただ魔族や人外に関しますと、こちらで
行動を強制する事は出来ませんので……
確かタクドルさんがまた王国にいらっしゃった
でしょう?
その時、そういった事も伝えたのですが」
ザハン国の官僚であるタクドルは―――
ロックウェル家の協力、後ろ盾を得て
ウィンベル王国へと現状、そしていざという時の
支援を求めに向かったのだが、
(■310話 はじめての ないせん1参照)
そのタクドルが帰国する前に内戦が始まって
しまい、ラーシュ陛下とのやり取りは老人に
届いていなかったのである。
「そういえば不思議だったのですが、
あなた方はどうやってタクドルよりも先に
我が国へ来られたのですかな?」
当然の疑問をベルマイヤさんが口にする。
まあ時間的には、まるで待ち構えていたような
タイミングだったしなあ。
しかし『ゲート』の事を現段階で彼に説明する
わけにもいかず、
「まあ魔族や人外の方々には、彼らなりの
移動方法がある……
としか。
それは正式に国交を結べば情報が入って来ると
思います。
それよりまずは新魔導塔ですが―――」
話をそらす、というより本題に入るため
ジャーヴさんとユールさんに視線を向けると、
「いくつかは発見しましたが……
全部とは限りやせん」
「ただ非常に高い建造物のため、発見そのものは
容易です。
ワイバーンを動かせるのであれば、偵察して
発見後、改めて攻撃でいいかと思われます」
2人の回答に私もベルマイヤさんもうなずく。
確かにそうだ、厳重に隠されているのなら
ともかく―――
かなり目立つ高い建物のようだし、少し探せば
見つかるだろう。
「ですが、攻撃する側としてはなるべく危険を
減らしておきたいです。
位置を確認次第、浮遊島を近付けてそこから
滑空を……」
と、そこまで話していたところ、
「そういえばシン殿。
その『ふゆうとう』というのは?
何かの符丁でしょうか」
あ、と思わず声に出てしまう。
そんなに話してはいないはずだが、すでに
2・3回は彼の前で言ってしまったかも。
しかし、『ゲート』はともかくとして、
これを隠したまま作戦行動を伝えるのは
無理じゃないだろうか?
私は頬をポリポリとかいて、
「えーと―――
まあこれも国交を通じたら明かしてもらえる
でしょうが、
私どもは『浮遊島』なるものを持って来て
います。
これをワイバーンやドラゴンの補給基地として
いるのです」
という説明にベルマイヤさんが目を丸くした後、
そのまま同じ部屋にいたボディガードらしき
2人の青年の方を向き、
「私どもは何も聞いておりません!!」
「何も聞こえませんでしたー!!」
と、彼が何か言う前に大きな声で宣言し、
「何ですか!?」
「何かありました!?」
と、そこへ……
黒髪ロングの童顔の妻と、ダークエルフのような
魔族女性が入って来て、
その説明に少々時間を要した。
「あー、浮遊島があるとはいえ、
新魔導塔の位置がハッキリするまで
動けないのね」
「確かこちらには、ファルコンという飛行戦力が
あるんでしたっけ。
奇襲するにしても、位置が明確になってからで
ないとやりにくいでしょう」
私の妻、メルと魔族女性オルディラさんが、
持って来た手料理を口にしながら話す。
そしてその手料理の中にひきわり汁が
入っていて、
「匂いが独特ですが―――
うまいものですな、これは」
この屋敷の当主である老人も、感触は悪く
ないようで、
「あ、この香り知っています。
確かミソ、ですよね?」
「これが豆から作られていると聞いた時は
驚きましたが……」
ベルマイヤさんの護衛の2人も口に合った
ようで、普通にそれを受け入れる。
「ミソも納豆もたくさん作ったので、
後でみなさんでお食べください。
そして特に納豆!!
納豆の宣伝を―――」
唯一の魔族女性が力説するが、
「それで、話を元に戻しますが……
新魔導塔の位置が明確になったとして、
出来れば一気に時間をかけずに叩きたいん
ですよね」
「それはまあそうだろうが。
しかし複数あると聞いておるし、
同時攻撃は難しいのでは?」
老人がそう聞き返して来る。
「何でそんな事にこだわるのー、シン?」
人間の方の妻も理由をたずねてくるので、
「モトリプカの攻勢はかなり計画的で、
組織的に行動しています。
新魔導塔が1基破壊されたと聞いたら、
残りの塔の防衛に戦力を集中させる
でしょう。
あの塔あっての戦術でしょうからね」
ふむふむ、とベルマイヤさんはうなずくが、
「しかしそうは言っても限界があるのう。
いくらドラゴンやワイバーンといった
戦力があるとはいえ、同時多発で目標を
攻撃するなど、至難の業。
多少の差は仕方ありますまい―――」
と、現実的な意見を述べる。
「破壊されりゃ、どこだって警戒するに
決まっていやすぜ」
「あちらさんとてバカではないでしょうし……
まあ、そもそも新魔導塔が1基だけだと
思い込んでいた、我々が甘かったのですが」
そこで私がうーん、と天井を見上げて
考えると、
「じゃあ壊さなかったら?」
と、そこでメルが提案してくる。
「え?
でも壊さないと、その機能を無力化
出来ないんだけど」
「シンなら出来るでしょ」
そうツッコミを入れられて、思わず
『あ』と声を上げる。
「そうですね。
シン殿なら恐らく可能でしょう」
続けてオルディラさんも同意し、
そして私を『境外の民』と知っている
残りのメンバー2人もうなずき合い、
「確かにそうだな。
『壊された』というよりそっちの方が、
まだ相手も油断するだろ」
「破壊となると敵の攻撃だという事が明確に
なりますが……
故障した、動かなくなったというのなら、
まずその原因究明に集中するはず」
と、ジャーヴさんとユールさんも肯定する。
しかしザハン国の人たちは、何を言って
いるのかわからないという顔をしていた。
まあ目の前にいる中年が、実は魔力や魔法を
無効化出来る能力を持つ―――
なんて信じられないだろうしな。
だがそれよりも、自分の中にある考えが浮かび、
「新魔導塔……
従来の魔導塔の延長線上にある魔導具
とはいえ、新規のものですよね?
そして当然今回が初の実戦投入。
その信頼性はいわばぶっつけ本番で、
確かめるしかなかったはず―――」
そこで私はベルマイヤさんの方を向いて、
「もし、ですよ?
そんな魔導具が故障したり直ったりを
繰り返したら……
どうなると思います?」
「まあ、信頼性は揺らぐのう。
そしてそんな物を中心に戦術を立てて
いたとしたら―――
戦争どころではなくなるかと」
すると妻や魔族、『見えない部隊』の2人は
私へ視線を集中させ、
「あー、やっぱりシンって結構エグい事
考える時があるよね」
「全ての新魔導塔を破壊するより、
そちらの方が相手の動揺は大きいと
思われます」
「やっぱおっかねぇわ、シンさん」
「敵にしてみれば、たまったものでは
ないでしょうなあ」
彼らの言葉に、さらにベルマイヤさんは
困惑した表情を見せると、
「方針は固まりました。
間もなく新魔導塔の位置は判明するで
しょうから、その時に行動を開始します」
ポカンとしているザハン国の面々を前に、
私たちは連絡を待つ事になった。
「見渡す限りの流氷だな……
いったい何が起きている?」
メナスミフ自由商圏同盟の沿岸国、
ヴォルゴに到着したドルミンは―――
その光景を苦々しく眺めていた。
「まあいい。
出撃出来ないという事は、入港も不可能だと
いう事だ。
クアートル大陸の四大国が来ても、これでは
救援どころではあるまい。
それを危惧しての短期決戦だったのだが、
これで時間の枷が外れた事になる」
彼はすぐに切り替えて、踵を返す。
「ドルミン様、いかがなさいますか?」
前線の責任者であろう軍人が、彼に
新たな指示を求め、
「もうここに戦略的価値は無くなった。
新魔導塔の範囲ギリギリだし、奴隷戦力は
内陸まで引かせろ。
防衛だけなら通常戦力だけで十分だろう」
すでに海上へ戦力を送る事が出来なくなったと
彼は判断し……
主要戦力としての奴隷を内陸へと戻し、ここは
占領維持だけしていればいいと伝える。
「わかりました。
それと―――」
「ん?」
部下が言葉を続けたので、ドルミンは
聞き返すが、
「あ、いえ……
何でもありません。
どうかお気をつけて」
「気になる事があるのなら言ってみろ。
現場にいるのはお前なのだ。
どんな些細な事でもいいから報告しろ」
そう促された彼は言い辛そうにして、
「え、ええと―――
自分が見たわけではないのですが。
兵たちが、白い巨大な狼が現れ……
遠くからこちらをジッと見つめていたとの事。
目撃情報しかありませんし、証言の確認が
取れておりませんので、報告するかどうか
迷いました」
「白い巨大な狼―――」
そこでドルミンは自分の頭脳からデータを
検索、記憶を引き出す。
辺境大陸への迎合に反発した、ザハン国の
軍の一部が……
出航しようとした際に、この流氷と共に
神獣であるフェンリル様に魔法を封じられた、
と―――
だが今回は別段、ハッキリと辺境大陸に
敵対したわけでもない。
方針には反対したし、いずれ衝突する事も
やむを得ないと思ってはいたが……
まさかそれだけで?
彼は首を軽く左右に振ると、
「魔法が使えなくなった、もしくは
魔導具が動かなくなったという報告は
あるか?」
「ハ?
い、いえ―――
そのような情報は入ってきておりません。
もしあれば、真っ先に報告しているかと」
言われてみればそうか。
もしそんな事態が起きていれば、ここは
大騒ぎになっていたはず。
「わかった。
引き続きここを確保しろ。
主要国はザハン国以外落とした。
あと5日もすれば決着はつく」
「ハッ!! わかりました!」
部下が最敬礼するのを見届けた後、
ドルミンは再びモトリプカへと戻っていった。
「なるほど……
確かに酷い霧ですね」
一方、ザハン国との最前線であるルノイ国へ
来ていたプラクスは、
イスティールが発生させた濃霧を前に、
困惑の色を隠せないでいた。
「それと、ですが―――
部下たちの間で、大きな白い狼を見たと
噂が出回っております。
わたくしも遠目でハッキリとした姿は
見えなかったのですが、確かに巨大な
白い獣らしきものを」
「……それがフェンリルだと?
伝説の神獣の?」
青年が報告してきた人物を、射すくめるように
にらむと、
「そそ、そこまでは―――
ですが、正体不明の白く巨大な獣が、
出現しているという事は間違いありません!」
年下の彼ににらまれた身分の高そうな軍人は、
焦るように言葉をつなぐ。
ふぅむ、とプラクスは周囲の景色に目をやると、
「魔力反応は?
新魔導塔を防衛するためにも、相当な数の
魔力探知機を配置していたはずだが」
「そ、それが……
突然降って湧いたかのように現れたとの
事です!
姿を消す時も、忽然と探知機の画面から
魔力反応が消失したとの報告が」
その言葉に青年はまた考え込む。
実際、『見えない部隊』やルクレセントたちは、
魔力封じの魔導具を自在に使い、切り替える事で
魔力を使ったり封じたりしているだけなのだが、
そのカラクリを知らない彼らには、何が起きて
いるのか想像もつかなかった。
「このルノイ国に設置した新魔導塔は?
不具合などは起きていないか?」
「それについては警備も厳重にしておりますし、
異常があったとの報告もありません!
正常に稼働しております!」
それについては何の異変もなく、堂々と
報告出来たようで、彼は自信満々に答える。
「とはいえ、試作からいきなりの実戦投入
なのです。
油断せず警備を行ってください。
どのようなわずかな異常でも見逃さない
ように」
「ハ、ハハッ!!」
最敬礼で答える彼を横目に、プラクスは
新魔導塔を見上げた。
「ほんじゃー行く? シン」
「うん。
じゃあ一応確認を―――
ワイバーンたちが陽動作戦を離れた場所で
起こす。
敵の目がそちらに向けられた時に、
私とアルテリーゼが新魔導塔へ向かう」
この時、彼らの上空にはすでに浮遊島が
移動しており、
そこに設置された新魔導塔が、第一目標に
なろうとしていた。
「だいじょーぶ?
アルちゃん」
メルが心配そうにたずねると、黒髪ロングの
欧米モデルのような顔立ちの妻はその大きな
胸を張って、
「滑空して魔力無しで戻ってくれば
いいだけだからのう。
しかしホント、我が夫ながらえげつない
手段を考えつくものよ」
「本当にそうッスねえ」
「心の底からシンさんが敵じゃなくて良かったと
思いますよ」
そこへ、褐色肌の長身の青年、レイド君と、
その妻であるタヌキ顔に丸眼鏡の女性、
ミリアさんが続く。
「ではレイド殿。
そろそろ参りましょうぞ」
歴戦の戦士を思わせるいかつい顔をした、
白緑の髪の青年、
ワイバーンのハヤテさんがやって来て、
「じゃあシンさん、お先ッス!」
「行ってきます!」
そしてまず、レイド君がワイバーンライダー組と
なって浮遊島から出撃した。
「し、司令!」
「? どうした?」
ファルコンに乗って帰ろうとするプラクスを
見送りに来ていた、現地に司令は……
駆けつけてきた部下に振り向く。
「魔力探知機に反応アリ!!
飛行戦力と思われるものが出現しました!!」
その報告に、プラクスはファルコンから降りて、
「方角は?
戦力はどれくらいだ?」
「ほ、方角はザハン国側で―――
戦力としては少ないと思われます」
彼らは濃霧の向こう側、ザハン国の上空へ
視線を送ると、
「ワイバーン、か。
しかし数体程度……
偵察か?
油断はするな。
新魔導塔に近付こうとするのなら、
ファルコン部隊を全て出撃させろ」
プラクスとその部下たちはワイバーンの
行方を、固唾を飲んで見守った。
「そろそろいいんじゃないかな。
レイド君たちはザハン国との国境付近で、
魔力封じの魔導具を外す手はずになって
いるから、相手側も彼らに気付いたはず」
「そうだのう。
では―――」
一方その頃、上空の浮遊島では……
アルテリーゼがドラゴンの姿へと戻り、
「じゃあ行ってきます」
「気を付けるんだよー」
恰幅のいい赤毛の女性、
元マフィアの女ボスであるブロウさんたちに
見送られ―――
私はアルテリーゼに乗って、新魔導塔へと
飛び立った。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
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