302・はじめての すわけ
|д゜)週末はAIと格闘している事が多くなった
(そして精神と体力をごっそり削られる)
『……以上を持ちまして、今回の避難訓練を
終わります。
『ガッコウ』は今日は終了となりますので、
保護者引率の元、児童は帰宅してください』
魔力通信機を使ったクーロウ校長先生の
指示の下―――
初めての避難訓練は終了し、
各自それぞれ、子供たちは家に帰る事に
なったのだが……
「えーと」
「そんな事を言われてものう」
東洋系の童顔の妻と、ドラゴンの方の
欧米モデルのような妻が微妙な表情となる。
避難訓練が終わった後、ここ、児童預かり所まで
戻って来た子供たちによると―――
(基本的には孤児用の施設なので、帰る場所が
ここしかない児童もいる)
空を飛んで外壁を越え、公都郊外の場所で
着陸した彼らは、
待機、もしくは引き取りに来た保護者や、
登下校時の護衛に当たっている担当者の
引率で、帰宅する手筈になっていたのだが、
帰りは『蜂箱』で低空飛行だと聞かされ……
不満タラタラだったらしい。
「そうは言われてもなぁ。
あれ、遊びじゃないんだけど」
「まあ子供に緊急事態を理解しろ、
と言ってもねー。
しかも『そうなるかもしれない』想定だし」
「高いところを飛ぶにしても―――
喜ぶ子、怖がる子と半々だったようだがのう」
やれやれ、とメルとアルテリーゼと一緒に
ため息をつく。
すると薄い赤色の髪をした、アラフィフの
上品そうな婦人が、私たちのいる乳幼児用の
部屋へと入って来て、
「お疲れ様でした。
シンイチちゃんやリュウイチちゃんは
どうしていますか?」
どうやらリベラさんは、息子たちの様子を
見に来てくれたらしい。
「今はすっかり寝てますよー」
「まあ飛んでいた時も眠っていたじゃが」
妻であり母親である2人が、乳幼児用の
ベッドへ視線を送る。
「空を飛んだ事のある赤ちゃんなんて、
この街どころか、王国始まって以来じゃ
ないかしら」
所長はベッドをのぞくとすぐに私たちの
ところまで戻って来て、イスに腰掛ける。
「まあいざという時のためですから」
「他の子供たちの様子は?」
「というか、ミリっちやルーちゃんの子の
姿が見えぬのだが」
するとリベラさんは軽く微笑んで、
「一応、避難訓練の後は帰宅する、
という事になっていましたから。
今は冒険者ギルド支部の、家族用の
職員寮か……
自宅じゃないですかね」
あ、そうか。そういう事に決めていたし、
ミリアさんは職員だから職員寮へ―――
ルーチェさんは家に帰ったのか。
むしろ児童預かり所に残っているこちらの方が、
特殊なわけで。
「何か申し訳ありません。
自分たちだけ」
「いえいえ。
あまり人がいなくなっても、子供たちが
寂しがりますし……
こうして残って頂ける方が助かります」
確かに、ここはレイド夫妻やギル夫妻の他、
多くの乳幼児がいたはずだけど、今はすっかり
静まり返っている。
「それに、メルさんやアルテリーゼさんも、
子供たちの面倒見がよく―――
人気がありますから」
それを聞いて2人に視線を向けると、
「ま、まあねー。
子供産んでからちょっと変わったって
いうか」
「我が子が一番可愛いのは変わらぬが、
他の子供たちも気になるものなのだ」
そう照れながら妻たちは話す。
そこへ扉の外から聞き覚えのある声がして、
「うぅう、さぶっ!
浄化水つめたっ!」
そして静かに扉が開かれ、
「おとーさん、おかーさん、
メルおかーさん。
ただいまっ!!」
黒髪ショートに、真っ赤な瞳を持つ
娘が現れ、
「ラッチちゃん、ここ家じゃないよー」
「まあ実家と変わらないくらい入り浸って
おるが」
そう母親たちにたしなめられ、
「避難訓練はどうだった? ラッチ」
「楽しかったー!
ボクはドラゴンの姿になって飛べるけど、
ハニー・ホーネットに運んでもらった!」
娘が喜んでいるとまた母親2人が、
「遊びじゃないんだからねー」
「まったく、まだまだ子供よのう」
と呆れるような声を出し、
「そそ、そーいえばおとーさん。
公都の外まで避難したのはいいんだけどさー、
あれからどこ行くの?」
マズいと思ったのか、ラッチが話の方向性を
変えると、
「ん?
次の避難先か?」
「そーだよー。
だって、外に出て終わりってわけじゃ
ないよね?」
そこで私は両腕を組んで、
「う~ん……
状況次第だけど、公都を離れなければ
ならないとなれば―――
王都か同盟を組んでいる他国、って事に
なるかなあ」
一時退避ならすぐ戻る事が出来るけど、
それ以上の被害となれば、そうなる事も
考えなければならないだろう。
「そうですか……
でも、そこまでの被害が出る状況って
考えられますでしょうか?」
そこでリベラさんが首を傾げ、
「まあねー。
今公都って、ドラゴンにワイバーン、
いろいろな種族がいるしー」
「それでもどうにも出来ない事態って、
そうそうないのではないか?」
と、メルやアルテリーゼも疑問を抱くと、
「敵対ならそうだろうけど、自然災害も
あるからね。
さすがに噴火や地震とかはどうにも
ならないだろう?」
「あー、それは長期避難が必要かも」
「下手をすれば土地を捨てるしかあるまい」
そう言うと妻たちも納得する。
まあ、本当の本当に最悪の事態になったら、
『ゲート』で魔界へ逃げ込むというチート級の
避難経路があるけど。
そんな事を考えていると、ノックの音がして、
「所長、こちらにいらっしゃいますか?」
「ええ。何でしょう?」
そこへ施設の女性職員らしき人がやって来て、
「ええと、戻って来るハニー・ホーネットや
ハーピー族の方々のための軽食を用意するとの
事でしたが」
「あら、そうでしたわね。
ではみなさん、私はここで―――」
そう言ってリベラさんが席を立とうとすると、
「手伝いますよー」
「せっかくいる事だし」
と、メルとアルテリーゼが申し出ると、
「おかーさんたちは、リュウイチやシンイチの
お世話しててー」
「そうだな。
ここは私たちが行ってくるよ」
そうして2人を乳幼児用の部屋に残すと、
私と娘とで手伝いに向かった。
「あ、パックさん。
それにシャンタルさんも」
数日後、冒険者ギルドに呼ばれた私は、
支部長室で……
夫婦揃って白銀の長髪を持つ、この公都の
医者兼研究者と顔を合わせた。
そしてそこにはもう1人―――
「おお、シン殿。
久しぶりなのである」
上半身こそ茶色のロングカールの少女。
だが下半身は植物の花の異形……
アルラウネのプリムさんがいて、
っていうかプリムさんしゃべれたっけ?
「◎&@□▲※○」みたいな感じじゃ
なかったっけ?
と困惑していると、
「こんにちは、シンさん」
「おう、よく来たな。
じゃあ話を始めるとするか」
グリーンのサラサラした髪の隙間から、濃い
エメラルドのような瞳をのぞかせた少年と、
この施設の主である、アラフィフの筋肉質の
男性が一緒に入って来て、
「ちわーッス、シンさん」
「冒険者ギルドではお久しぶりですね」
続けて入って来た、褐色肌の長身の青年と
丸眼鏡の女性が、ギルド長が座ったソファの
バックに位置取り―――
話がスタートした。
「ああ、あの発酵食品の効果で……」
「今までは土精霊様がいなければ、
ろくに意思疎通も出来なかったのである。
それがこうして人の言葉を話せるとは、
感無量なのである!」
「ボクも最初は驚きましたよ。
『え!?普通にしゃべっている!?』って」
彼女は下半身が植物なのでソファに座る事は
出来ず、一角に立ったままドヤ顔で語り、
その横には土精霊様も浮かんでいて、
「他にも、いろいろと効果が確認されています」
「会話能力獲得の他に魔力アップ、それに
彼女が実らせる果実にも様々な付与効果が」
パック夫妻が書類をめくりながら説明する。
プリムさんはアルラウネで、半植物の彼女は
果実を実らせる事も出来る。
その果実にいろいろな効果が出来た、
という事か。
「アレ?
でもプリムさんって、果実なんて作って
いたッスか?」
「確か、お酒の原料となる花の蜜しか
公都に提供していなかったような」
(■136話 はじめての みつ参照)
レイド君とミリアさんが夫婦で揃って首を
傾げると、
「別にありゃ酒限定ってわけじゃねぇぞ。
それに、ハニー・ホーネットたちが公都に
巣を作るまでの限定的なモンだったはずだ。
ま、今でも作り続けてもらっているけどよ」
「土精霊様がいらっしゃるおかげか、
常に絶好調なのである!
さすがに最近は寒くて蜜の出も落ちて
いるのであるが。
それにワタシも果実を作る事は出来るので
ある。
いかんせん数が少ないので、そのまま
ハニー・ホーネットたちに渡したりして
いたのであるが―――」
そこでパック夫妻が片手を挙げて、
「それを研究対象として、いくつか
頂いていたのです」
「それで、発酵食品における各種族の
覚醒を平行して分析しておりましたら」
ああ、なるほど。
それで発覚したというわけか。
「果実を食す事による付与効果……
というのは具体的にわかっているんですか?」
すると医者兼研究者夫妻はペラペラと手元の
書面をめくり、
「体力や疲労回復回復、というのは
これまでの効果でもありましたが―――
まあこれは食べ物としてですね」
「特筆すべきは、そこに状態異常回復効果が
加わった事でしょうか。
これは会話能力獲得と同様、発酵食品によって
得られたものと思われます。
まあこれはお金で希望者を募って確認した
事ですが」
ふむふむ、と私がうなずくと、
「そういや、避難経路に参加してもらった
ハニー・ホーネットだが、アイツらは何か
無いのか?」
そうジャンさんがたずねると、プリムさんは
両腕を組んで、
「う~ん……
そもそも彼ら、人間の食べ物は食べないので
あるから。
主食はワタシの蜜だし―――
ワタシはここでいろいろな物を食べて、
久しいのであるけど」
それもそうか、という反応をみんなが見せる。
「子供たちがあげるフルーツジュースとかは、
喜んで飲んでいるみたいッスけど」
「発酵しているようなものを食べている様子は、
児童預かり所でも見かけなかったし……
料理自体食べているのを見た事がありません」
極論、言ってしまえば虫だからなあ。
食べられる物自体限られるだろうし。
「で、だ。
シンに相談したい事があったんだろ?」
そこでギルド長が本題に入るよう促す。
「え?
発酵食品による覚醒効果の話じゃなかったん
ですか?」
「それはついでというか―――
そこにいるプリムが、お前さんに相談したい
事があるんだと」
その言葉に私がプリムさんに振り向くと、
「あ、最初は土精霊様に話を持って
行ったのであるが」
「やはりシンさんに相談した方がいいと
思いまして」
アルラウネと土精霊様が申し訳なさそうな
態度になり、
その相談とやらを語り始めた―――
「ハニー・ホーネットが増え過ぎている、と?」
「はい。
それでそろそろ巣分けに入った方が
いいのでは?
という事になっているのである」
「その場所の選定をボクに相談されまして……
シンさんなら、いろいろなところに話が通り
ますし、先に相談しておいた方がいいと
思ったんです」
2人の話によると、ハニー・ホーネットの数が
増えまくっているそうで、
下手をすると公都の人口くらいいるとの事。
「確かにそういえば、あちこちで見かけるように
なったような。
ていうか、今公都の人口ってどれくらいに
増えているんですか?」
するとジャンさんが頭をガシガシかきながら、
「この前、めでたく1万突破したぜ。
まあ亜人や人間に化けられる人外も含めた
数だが。
割合は人間6・獣人2・それ以外って感じだ」
もう1万人になっていたのか―――
そしてそれに匹敵するハニー・ホーネットが
いると……
「ここにいればドラゴンやワイバーンが
守ってくれる上に、仕事にも事欠かない
ッスからねえ」
「娯楽や料理の最先端でもありますし、
治安も非常に良好ですから―――
子供優先の政策も相まって、増えてくれって
頼んでいるようなものですよ」
続いてレイド君とミリアさんが現状を
説明すると、
「そう、そうなのである!!
ハニー・ホーネットたちも外へ蜜を集めに
行く事もあるが……
冒険者や獣人族の護衛つき、さらに
ドラゴンやワイバーンも加わる事があるから、
まったく数が減らないのである!!
それはそれでいい事なのであるが」
「実際、公都に来てからハニー・ホーネットが
受けた被害って、タイガー・ワスプに襲われた
時くらいですし」
(■151話
はじめての きゅうしゅつ
(はにー・ほーねっと)参照)
私はそれを聞いて考え込み、
「しかし巣分けと言っても―――
今は冬季ですし、暖かくなってから改めて
相談、ではダメだったんですか?」
いくら何でも今すぐ、というのは温度的にも
キツいだろう。
私の質問に、アルラウネの少女と精霊の少年は
顔を見合わせて、
「それはそうなのであるが~……」
「ここ、居心地が良過ぎますので、
あまり住み続けますと、出て行きたく
なくなりますから」
プリムさんが言い難い事を、土精霊様が
代わりというように話す。
「となりますと移動先は、ここと同じか
準ずるくらいの環境が必要になりますね」
「まずは王都の児童預かり所へ打診してみては
どうでしょうか?
子供たちに懐くのは実証済みですし」
そこでパックさんとシャンタルさんが、
学者の立場で意見を出して―――
まずはライさんを通して、王都・フォルロワへの
移動を中心に、各地の受け入れ先を検討する
事となった。
「この前は新生『アノーミア』連邦でー、
今回はライシェ国かあ」
数日後、快晴の日を選んで……
私はアルテリーゼの『乗客箱』に乗り込み、
一路、ライシェ国へと富んでいた。
メルがやや不満そうにつぶやくと、
『しかし1万とは。
そんなに増えておったのか』
伝声管を通して、アルテリーゼが話の方向を
変えるためか話しかけて来て、
「め、迷惑をかけてしまって―――
申し訳ないのである」
同乗しているプリムさんが頭を下げる。
結局あの後、ライさんからラーシュ陛下に
話が通り……
取り敢えず最恵国待遇を結んでいるライシェ国へ
打診したところ、2つ返事で受け入れられ、
30匹ほどのハニー・ホーネットを、この
『乗客箱』に乗せて輸送している最中で
あった。
(ラッチはシンイチ・リュウイチのお世話のため
お留守番)
ちなみに新たな女王蜂候補は7匹ほど
産まれていたようで、
王都・フォルロワの他、ドーン伯爵屋敷周辺街、
東の村、ブリガン伯爵領のカルベルクさんの町、
さらにそこと公都の中間の開拓地にも送られ、
6匹目がライシェ国へ―――
もう1匹は現在の公都にいる女王が後継者として
育てるとの事だった。
ちなみに数の配分は、王都に1,000匹。
他は500匹ずつ。
ライシェ国へはまずアルラウネのプリムさんが
同行し……
環境や人に慣れたらさらに『鉄道』などで
送り込む予定だという。
「寒い中すまないな。
こっちだけ室内で―――」
私は伝声管でアルテリーゼに謝意と感謝を
伝えると、
『いやまあ、寒い事は寒いがな?
我、ドラゴンぞ?
人間のシンが考えるほどヤワではない。
気遣ってくれるのは嬉しいがのう』
「おー、さすがアルちゃん」
人間の方の妻がハニー・ホーネットを
抱きしめながら答える。
とはいえ、休みを数回入れてもすでに、
10数時間ほどは飛んでいるだろう。
「そろそろ休むか?
ライシェ国へは後どれくらいだ?」
『もう目と鼻の先よ。
1時間も飛べば着く。
ならばこのまま……』
と、途中で彼女の言葉が止まり、
「どったのアルちゃん?
ってありゃ」
すぐに状況確認のため、メルが窓の外、
そして下を見下ろすと―――
「何かうごめいている?
地上だからこちらに危険は無いだろうけど」
「ありゃー、狂リスの群れだねー。
何かから逃げているのか、それとも追いかけて
いるように見えるけど」
私の目視だと、1匹が7,80cmほどで
大型犬くらいあるように見えるんだけど……
リスの大きさであっていいはずがない。
「う~ん、アルテリーゼ。
あの狂リスの前後に何かいるか?」
『うむ、ちと待て。
む、アレは―――
冒険者か?
商人もおるようだが。
どうやら、馬車とその一行が追いかけられて
いるようだの』
「……?
いや、リスが何で人間を追いかけるんだ?
馬車がリスの好きそうなものを積んででも
いるのか?
それとも、肉食とか?」
私が問うと、目の前のメルがコクコクと
うなずき、
「あ、もうバリバリ。
シンの世界のリスって肉食べないの?」
「草食だし、しかもあんなに大きくないよ。
で、その冒険者とか商人、追い付かれたら
マズいよね?」
『見たところ2・30匹の群れに見えるが、
骨も残らんじゃろうな』
仕方がない。このまま見捨てるわけにも
いかないし―――
緊急事態と判断し、アルテリーゼもそれを
わかってか下降する。
彼らと狂リスの群れの間に入るようにして、
ホバリングみたいに空中停止すると、
「あ、あのドラゴン様は!」
「もしや公都の!?」
「姐さん!? た、助かったー!!」
商人や冒険者たちもこちらを確認したのか、
安堵の声を上げる。
アルテリーゼや他のドラゴン、ワイバーンたちの
知名度も上がっているし……
何より味方だと認識してくれるのは助かる。
しかし姐さんってどこかで聞いたような。
だが今はそれどころではない。
そして狂リスの集団もこちらの存在を認めた
ようで、急ブレーキで停止するが、
「げっ歯類で、それだけ大きくなり―――
また肉食である事など、
・・・・・
あり得ない」
そう私が宣言すると、
「キキッ!?」
「キーッ!!」
「キュウゥウウ」
と、バタバタと倒れていく。
生きているようだが……
無力化には成功しただろう。
「アルテリーゼ、取り敢えず着陸を」
『うむ!』
そうして私たちは、助けた人たちと対面する
事となった。
「シンさん!
いやあ、また危ないところを―――」
人あたりの良さそうな小太りの商人、
サンチョさんが満面な笑顔であいさつし、
「万能冒険者さん!」
「それに姐さん方も!」
「本当に助かりやしたぁ!!」
そして護衛と思われる冒険者たちは……
元傭兵『鷹の爪』の人たちで、
その元リーダーである、薄いダークブラウンの
短髪をした2メートル超の長身の男性が、
ペコペコと仲間と一緒に頭を下げていた。
「ラジーさん!
まさかこんなところで会うなんて」
彼らは元傭兵だが、今は公都『ヤマト』の
冒険者ギルド支部所属の冒険者たちだ。
だから商人の護衛をしていてもおかしくは
ないのだが、今は冬まっさかり。
それに『鉄道』だってあるのにと思い、
「行先は多分ライシェ国ですよね?
『鉄道』は使わなかったんですか?」
「いやあ、確かにあれは速度も安全性も
段違いですが―――
商人1人が持ち込める荷物なんて、
たかが知れていますからねぇ。
ですので、大量の荷物運搬には
まだまだ馬車が必要でありまして」
そういえば開通したばかりだし、運賃って
相当高いんだよな。
今のところ、お金持ちか豪商が移動の
ためだけに使う手段という感じ。
大量の物資輸送もしているけど、あれはまず
国関係が押さえちゃっているし。
「まだ護衛付きの馬車の方が安上がりなのかー」
「ままならぬものよのう」
メルとアルテリーゼがそうこぼすと、
「そういやシンさん。
倒した狂リスどもはどうしやす?
あいつらの毛皮や肉は高く売れやすぜ!」
そうラジーさんが提案して来たので、
「ちょっと様子を見に行きますか」
私たちは、無力化した狂リスの群れの様子を見に
移動した。
「生きている……ね」
「だねぇ」
「しかしこれは―――」
自分の力で無力化した場合、たいていの
獣はそのサイズ比から、手足の骨が重力に
負けて折れる、というのが定番だが、
今回は大型犬くらいという中途半端な
サイズであったからか、骨折などは
していないらしい。
そして目を引いたのは、恐らく子供であろう
小さな個体が混じっていて、
「どうかしたんですか?
シンさん、姐さん方」
ラジーさんが不思議そうに聞いて来るので、
「いやまー、ねえ。
私たち、子供産んだばかりのよ」
「だから子連れをヤるのはちょっとのう」
そう妻たちが答えると元傭兵の冒険者たちは、
「さ、さすが姐さん」
「お優しい」
とはいえ、ここでこのまま放置していては
凍死か他の魔物のエサとなるかの二択。
仕方ない、驚かさないようにとプリムさんや
ハニー・ホーネットたちには『乗客箱』で
待ってもらっていたのだが……
「遠くまで運んで逃がすか」
そうつぶやくと、『乗客箱』のある場所まで
戻り、ハニー・ホーネットたちを動員する
事にした。
「じゃー行ってくる。
メルとアルテリーゼは見張っててくれ」
「りょー」
「了解じゃ!」
そして私をハニー・ホーネットの1匹が、
狂リスたちはそれぞれ1匹ずつが担当して
抱え、空へと飛び立った。
「あ、アルラウネ殿、ですか」
「公都で見かけた事はありやしたが」
元傭兵の冒険者たちは、プリムさんを
目を丸くして見つめる。
やはり目立つよなあ、と思いつつ―――
私とハニー・ホーネットたちは高度を
上げていく。
サンチョさんやラジーさんたちの前では、
大っぴらに私の能力は使えず、
また今無力化を解いたとしても、狂リスたちが
大人しくしている保証は無いので、
動かなくなった狂リスたちを、数キロほど
離れた場所まで、ハニー・ホーネットたちで
運び出して降ろすと、
「この世界では―――
げっ歯類が巨大化し、また肉食である事は
・・・・・
当たり前だ」
そうつぶやくと、狂リスの群れは息を
吹き返し、
「キーッ」
「キキキッ」
「クゥーッ」
怯えるように、一目散に同じ方向へと
逃げ去った。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
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(;・∀・)カクヨムでも書いています。
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