288・はじめての とくてん2
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(新旧で回線速度2倍くらい違う)
「……夢で、かつてマルズ帝国にいた―――
『境外の民』に会ったって
いうんですか」
赤い短髪を半眼のアラサーの男……
新生『アノーミア』連邦の諜報の総司令である
アラウェンさんが私に聞き返してくる。
ここは公都『ヤマト』の冒険者ギルド支部。
そこの支部長室で、
「話を伺うに、やはりシン殿と同郷の方
だったのですね」
「魔力通信機で連絡をもらった時は、
何かと思いましたけど―――」
アラウェンさんの部下である、灰色の髪に
白髪混じりの、武人といった感じのアラフォーの
男性、フーバーさんと、
薄茶のショートヘアーをした、三白眼の少女の
ような童顔の女性……
ルフィタさんもソファに腰掛けていた。
「それで死後も、自分が迷惑をかけた獣人や
奴隷たちを見守るために、ずっとこの世に
留まり続けていたってのか」
「でもシンさんがいろいろと解決して
くれたんで、ようやくあの世に行く事が
出来たと。
まあ確かに今の状況を見れば、安心する
でしょうッスけど」
アラフィフの筋肉質のギルド長と、褐色肌の
次期ギルド長の青年がうなずく。
「しかし、わざわざウィンベル王国まで
やって来られるとは」
魔力通信機で彼らに連絡したのは確かだが、
一応『こんな事がありましたよー』くらいの
気持ちでいただけに、事が大げさになったようで
恐縮してしまう。
「いやいや!
こんな重要事項、魔力通信機のみで
済ませられないですよ!」
「いやでも、夢の話ですよ?
ただの自分の気のせいかも知れませんし。
名前も名乗りませんでしたし、その夢に
出て来た人物が―――
本当に私と同じ『境外の民』かどうか
確証も無いんですから」
アラウェンさんの言葉に私が答えると、
「ですがそこはシン殿ですし」
「シン殿ですからねー」
私が微妙な表情になるのと同時に、
ジャンさんとレイド君は苦笑する。
「それで、他には何て言ってました?」
マルズ国の諜報機関総司令が先を促すと、
「そうですね……
夢なのでおぼろげではありますけど、
獣人族や奴隷たちの事を引き続き頼む、
自分の名は忘れ去られて欲しい、
そんな事を言っていたと思います」
それに対し、アラウェンさんはふむふむと
うなずき、
両隣りにいる部下二人が、記録として手元の
書面に書き込んでいく。
「それだけか」
「あの世に行く前にお礼を言いに来た
だけッスかねえ」
立っているギルド所属の二人が感想を述べる
ように話すと、
「ん~、後はですね―――
これがなかなか思い出せなくて」
夢でその『境外の民』に会ってからすでに
数日が経過しており、
別にこちらで記録を取っていたわけでも
無かったので、どうしても記憶があいまいに
なってしまう。
「まだ他に、シン殿に言い残した事でも
あったのですか?」
フーバーさんがそうたずねてきて、
「何でも、彼はこの世界の神様が私と同じように
誤って連れて来てしまった存在らしいので、
向こう、私の故郷の世界に戻してもらって
転生する前に、何らかの特典をもらえたよう
なんですよ」
「特典ですか」
次いでルフィタさんが興味津々の表情となる。
「しかし彼は、自分はそれを受け取る資格は
無いと思っていたようでして。
それならば、とこちらの世界にいる私に、
それを渡そうとしたのです」
「おお、そりゃすげぇ」
「で、何をもらったッスか?」
そこでギルド長と次期ギルド長が食いついて
くるけど、
「そこがよく思い出せなくて……」
私の言葉に、その場にいた五人がずっこける。
「いやいやっ!?
シンさん!
それはちょっとあまりにも」
アラウェンさんがいち早く立ち直るも、
「だ、だから夢なんですってば!
本当にただの何でもない夢かも知れない
ですし。
ただ今回ばかりは内容が内容でしたので、
連絡したわけで―――」
「ま、そうだな。
一応、ライの野郎のところにも報告したが、
スゲー微妙な感じだったしよ」
「それで『何か動きがあったら』、とか言って
いたッスけど、
夢の話なんてどう扱ったらいいのか、
わからないッスもんねえ」
ジャンさんとレイド君も困惑のまじった笑いを
浮かべると、
「しかし、その特典とやらがどういうものか
わからないのですか?」
「シンさんご自身は、どこか強くなったとか
そういうのじゃないんですよね?」
フーバーさんとルフィタさんも続けて情報収集に
努めるけど、
「多分、私は断ったと思うんですよね。
今自分が持っている能力だけでも、
とんでもないものなのに、これ以上に何が
必要かというと……
それに私の方針で、私以外が使えない方法は
後世に残さない事にしていますから」
するとマルズ国・新生『アノーミア』連邦の
諜報機関のトップがふぅ、と一息つき、
「まあそうですね。
それなら問題は無い―――
かな?」
そこで私は両腕を組んでうなり、
「う~ん……
でもそれでその参謀? の人、
引かなかったような記憶もあるんですよ。
それで何か妥協点を提示したような」
「ですからそれを!」
「ぜひ思い出してくださいっ!!」
同じく諜報機関の男女が私に迫り、
「まあまあ、落ち着け」
「第一、夢の話なんて数日も経てば
覚えていない方が普通ッス」
こちらのギルドメンバーの二人が、
彼らを止めに入る。
そこにお昼を告げる鐘が鳴り響き、
「もうお昼ですか」
「そういえばお腹が空きました」
フーバーさんとルフィタさんも冷静になり、
「じゃあメシにしましょうメシに!
また何か新しい物、増えているんでしょ!?」
と、アラウェンさんが急にテンションを上げて、
「そうだな、出前を取るか。
そこそこ寒くなってきたし―――
パイコーメンなんかいいんじゃねぇか?」
「そうッスね。
どちらにしろこんな事、外で話せる事じゃ
ないッスから」
ジャンさんとレイド君も同調し、
「ですね。
あ、そういえばお酒はどうしましょうか。
多分、パックさんの研究所にいるカプレさんに
連絡すれば、持って来てくれるかと」
すると諜報機関の三人がそれぞれ顔を見合わせ、
「お酒、ですか。
そりゃ願ってもない事ですが」
「お酒まで新しいものがあるんですかい」
「本当に次から次へと……
あ、ヨダレが」
どうやら彼らも、お酒はそれなりにたしなむ
らしい。
「ええ、飲んでみればわかりますが、
馬や羊、山羊といった動物の乳を発酵させた
お酒でして―――」
そう私が言いかけたところで、
「……思い出した!!」
自分自身で、思わず大声を出してしまい―――
五人の注目が集まった。
「ズルズル、つまり……
発酵食品を食べたら、何らかの効果を
上げるようにしてもらったと?」
アラウェンさんがパイコーメンを食べながら
質問してきて、
「そうですね。
永続的に効果が出るものでなければならない、
と思って―――
それなら食品に特典をつけてもらったんです」
私はチキンカツ定食を食べながら答える。
「それで、効果はどのような」
「種族ごとに異なる効果なんですか?」
フーバーさんとルフィタさんも総司令と同じ
パイコーメンだが、
アラウェンさん→鶏ガラ醤油
フーバーさん→味噌ベース
ルフィタさん→担々麺
で食べており、それぞれの好みを思わせる。
ちなみに鶏ガラは、もちろんこの世界のニワトリ
ではなく、魔物鳥プルランのものだ。
「そこまでは思い出せないんですよ。
特に注文を付けた記憶も無いので……
ただ吸血鬼さん一族が最近、
この公都にやって来ましてね。
太陽の光に弱いとの事なので、その体質改善に
なればと言ったような」
するとギルド長と次期ギルド長は、それぞれ
海鮮丼とかき揚げソバセットと騎士団セットを
食べながら、
(騎士団セット=ラーメン&ギョーザ&
チャーハン)
「おう、あいつらか」
「確かに、あの連中がお昼でも働けるように
なったら、いろいろ出来そうッスけど」
それを聞いていたマルズ国の諜報機関の
総司令は、
「また種族が新しく増えたんですか」
「まあシンさんですし」
「シンさんがおりますしねー」
続けて部下二人もこちらに視線を向けて
来たので、
「別に私のせいじゃないですよ!?
亜神のフェルギさんの元部下の人たちで、
彼が復活したのでやって来ただけです!」
私が慌てて釈明のように話すと、
「とにかくまあ、これに関しちゃ何か効果が
出ればすぐわかるだろ。
それに今は夢の話なんかより、フラーゴル大陸
とやらの方が問題だしよ」
ジャンさんが気を遣ってか、話題を変えて
くれて、
「新生『アノーミア』連邦では、それについて
何か情報は無いッスか?
メナスミフ自由商圏同盟とか、ザハン国とか」
続けてレイド君もそれに乗っかると、
「いやーマジ、それが全然。
海の向こうのそのまた向こうって
なりますと」
「ただ、マルズ帝国時代からランドルフ帝国とは
つながりがありますから―――
その時の記録に名前が散見されますので、
それなりに歴史は長い国だと思われます」
「まあ逆に言うと、それくらいしか
わかっていないんですけど……」
アラウェンさん、フーバーさん、ルフィタさんの
三人はそう口にする。
地球のように世界中がネットワークで繋がれて
いるわけでもなし―――
この時代というかこの世界の今の環境では、
情報を把握するのは難しいだろう。
「まあ、あちらの大陸に関しては向こうの
出方待ちでしょうね」
「で、こっちの方はこれとか食って、
どんな変化があるのか出るまで待つしか
ねぇと」
私の後に、ギルド長がたくあんを箸で
つまみながら語り、
「でもそれって人間もッスか?」
「そうですね。
多分、普通の人間でも何らかの効果が
認められるんじゃないでしょうか。
そもそも発酵食品って、身体の調子を
整える効果が備わっていますので」
続けての次期ギルド長の質問に私が答え、
「しかし鬼人族の里にも発酵食品って
あったんですよね?
それはどうなるんでしょうか」
諜報機関の総司令が疑問を口にすると、
「あー、それもありますね。
ですが発酵食品って同じものでも、
土地によって変わったりしますから。
それにここは魔族も関わっていますので、
そうなると効果は未知数と言えるのかも」
私の説明に彼はふむふむとうなずき、
「発酵食品って事は……
酒も入るんですか?」
「じゃあいっぱい飲んで、この体で実験して
証明しないと♪」
同じく諜報機関の部下二人が、
お酒を手にすると―――
「そうだぞ!
こういう事も情報収集の1つだからな!
自分自身の体で得たものは間違いない!!」
「あんたたちはただ飲みたいだけで
しょうが……!」
アラウェンさんの言葉にフーバーさんが
つっこみ、
それを見て私たちギルドメンバーが笑うと、
彼らも笑い始めた。
「ま、まさか……!
日の光を克服出来た、なんて……!?」
それから数日後―――
パック夫妻の自宅兼病院兼研究所にて、
パープルの髪をワンレングスにして片目を隠した
女性が、
信じられない、という体で身体検査を
受けていた。
「そうは言われましても」
「現にこうして昼間、普通に活動出来て
いるのですから」
シルバーの長髪を持つ中性的な顔立ちの夫と、
夫よりも白い白銀の長髪を持つドラゴンの妻が
記録を取りながら検査を進めていく。
『境外の民』の夢を見たという事は、この
研究者の夫妻……
パック氏とシャンタル氏にも伝えられ、
『吸血鬼一族の、太陽の光に弱いという弱点が
どうにかなるかも知れない』
という情報も共有されており、
またそれとなく吸血鬼さんたちにも、
『発酵食品は各種族によっては体質改善が
異なるので』という理由で協力要請。
問題はどのように確認するかであったが、
(さすがに『日光浴びてみてください』という
要求は不可能だったので)
意外にも吸血鬼さんたちの一人がそれに
気付いた。
地下牢の一角に住処を提供されていた彼らの
一人が、ある時ふと昼間に目覚め―――
普段なら眩しくて危険で疎ましく
思っている外の光が、
なぜかとても暖かく感じられ―――
ふと手の先だけ日光にあててみたところ、
何でもない事に気付き、恐る恐る足や腕、やがて
全身を日の光にさらしてみたところ、
日光が全く脅威で無くなっている事に
気付いたのだという。
そして全員が全員、日光を克服していた事が
判明し、
その原因究明のため、事情聴取と検査を兼ねて
パック夫妻の診察を受けていたのであった。
「こ、このような事がありえるのですか!?
ここは奇跡の地なのですか!?」
オフェリアは興奮しながら二人に問う。
「実際、魔狼やワイバーンはここと関わってから
人の姿になる事が出来たと聞きますし」
「各種条件はあるでしょうが……
フェンリル様の加護、土精霊様が
改良した野菜や穀物―――
他にも魔族が関わった発酵食品などがあって、
それが種族によっては、良い方向に改善されて
いったのではないかと考えております」
それとなく理由を付けて、環境や食べ物によって
変化したのではないかと誘導する。
「後、我々は何をすればよろしいでしょうか?」
「そうですねえ。
身体測定はだいたい終わりましたし」
「出来ればここに来てからの食生活についての、
詳細な情報が知りたいですね」
そして今度は、彼らの食事についての確認が
始まった。
「……納豆が?」
「どうもそうらしいよ。
多分それが、一番効果のあるものだって」
人間の妻であるアジアンチックな童顔の女性の
疑問に、私は答える。
後日、パック夫妻からの報告を受けた私は、
児童預かり所にて、妻たちと昼食を取る傍ら、
情報共有していた。
「しかし吸血鬼たちは新顔であろう?
よくアレを食す気になったな」
「何でもあまり抵抗は無かったらしいよ。
というか、大好物っていう吸血鬼も多いん
だってさ」
続けてドラゴンの方の妻で、彫りの深い
目鼻立ちの彼女にも答え、
「なかなかの勇者ですね」
「でも、確かにアレを食べ始めてから、
いろいろ体の調子が良くなった気がします」
メルとアルテリーゼと同室の、同じように
乳児を抱える―――
ライトグリーンのショートヘアに丸眼鏡を
かけた、タヌキ顔のミリアさんと、
その妹分である、亜麻色の髪を後ろで
三つ編みにしたルーチェさんが話に加わる。
「吸血鬼さんたちの食生活を調べてみたら、
共通していたのがそれだったんだって。
ここの納豆はオルディラさんが開発した
ものを、代々受け継いでいるから……
その魔力も関係しているんじゃないかって
言ってました」
アラウェンさんにも指摘された通り―――
発酵食品は鬼人族も作っていたので、それが
異なる効果を上げたのであれば、そちらと何か
違う条件があったという事になる。
なので、魔力・魔法も含めて発酵させた事で、
異なる効果が付与されたのではないか、という
見方が浮上しているのだ。
「あと、吸血鬼さんたちには目に見える効果が
ありましたけど……
もしかしたら人間や他の種族にも、何らかの
効果があるのかも、という事で、
近々、全種族を対象にした健康診断を行うとの
事です」
「あー、前々からやってたヤツ?」
「子供らはともかく、大人は希望者だけで
あったからのう。
これを機に、みんなに受けてもらうのも
いいかもしれんの」
妻たちの言葉通り―――
健康診断というか、定期的な検診は行われて
いたのだが、
それは児童預かり所やガッコウに通っている
子供たちだけに限定され……
亜人や人外も含め、なかなか受けてくれる
成人は少なかったのだ。
そもそも病院とは、病気やケガをした時に
行くところであり―――
いくら金がほぼかからないと言っても、
元気なうちにどこか異常はないか調べに行く、
という事自体が理解の範囲外で、
それでも子供がいる親なら、『今あなたに何か
あったら、子供はどうなる?』と説得も出来た
ものの、
いわゆる独身族にこの説得は通じず……
その代わり、そこそこの小金持ちや豪商、貴族と
いった面々が、何かある度に病院を訪れる事と
なっていた。
「まあ、吸血鬼さんたちほどじゃないにしろ、
自分にも何かいい効果がついた可能性が
あれば、調べる理由にもなると思う。
公都主導で亜人・人外関係なく……
呼びかける事になるらしい」
そして話が一段落すると、
「あ! おとーさん、来てたんだね!」
そこへ、黒髪ショートに燃えるような紅い瞳の
娘、ラッチが入って来て、
「ラッチ、昼食はもう食べたのか?」
「食べたよー!
今日はハンバーグカレーだった!」
ラッチは『ガッコウ』へ行っていたのだが、
私がこっちに来たと聞いて、急いでやって
来たようだ。
「しかし走ってこなくても」
「お昼休みが終わったら、
まだ戻るのであろう?」
母親たちが娘を心配するも、
「今日、午後の授業なーい!」
そうラッチは小さな胸を張って―――
高らかに宣言する。
「あ、なるほど」
「そういう日もあるんですね」
ミリアさんとルーチェさんがそれぞれ、
赤ちゃんを抱きながら話し、
その後、ラッチとも情報共有して……
公都ではしばらく、健康診断についての
話題が上がる事となった。
「何かスゲェ事になってんな」
ウィンベル王国、王都フォルロワ―――
そこの冒険者ギルド本部、トップの部屋で、
部屋の主である、グレーの短髪に白髪交じりの
細マッチョの40代前半に見える男性が、
手元の書面に視線を落としていた。
「どうかなされたのですか?」
「そんなに奇妙な報告が……って、
公都『ヤマト』からですか。
それなら気にする事もないのでは」
金髪を腰まで伸ばした童顔の女性と、
眼鏡をかけたミドルショートの黒髪の
女性―――
秘書風の二人は、本部長であるライオットに
事もなげに返す。
「慣れ過ぎだろうが。
サシャ、ジェレミエル」
呆れながら、冒険者ギルド本部長にして、
正体は前国王の兄・ライオネルは彼女たちに
その書面を見せる。
「どれどれ……
あ、これは」
「確か数日前に、シンさんが同郷の
『境外の民』の夢を見たとかで―――
それで実際に何か」
そして二人は書面を読み進めていくと、
「えーと、認められた効果?
・吸血鬼【魔力上昇・日光克服】
・人間【体力・疲労・状態異常回復速度上昇】
・魔狼【人・獣型両方の速度上昇、変身時に
薄い霧のようなものをまとう】
・羽狐【人・獣型両方の魔力上昇、変身時に
薄い霧のようなものをまとう】……」
「・ラミア族【熱さ耐性獲得】
・獣人族【身体能力上昇、匂い・眠り・麻痺・
毒などの状態異常耐性獲得】
・ハーピー【魔力上昇・夜目獲得】
え、これって」
書類から顔を上げた秘書たちが上司に問うと、
「例の発酵食品を摂取して得られた効果だ。
主に納豆が一番効果が高いだろうという
事だが―――
今判明しているだけでこれだよ」
ライオネルは深くため息をついて、
ソファに腰を掛け直す。
「でもあそこ、ドラゴンやワイバーン、
フェンリルや精霊様とも親交が
ありましたよね?」
「あの方々がさらに強化されるとなると、
想像がつかないのですが」
サシャ、ジェレミエルが懸念を伝えると、
本部長は首を左右に振り、
「いや、それがな。
例えばドラゴンだが、あまりこれといった
効果は実感出来ていないらしい。
だからそもそも、最初からそこそこ強い
種族にはあまり恩恵は無いのでは、
と分析しているようだ」
そして三人で顔を見合わせ、フゥ、と
一息つく。
「でも発酵食品って、作り方まで他国に伝えて
いますよね?」
「それは大丈夫なんでしょうか」
秘書二人の疑問に対しライオネルは、
「それがな。
もし全部の発酵食品に同様の効果があるの
なら、まず鬼人族に目立った何かがあるはず
だろうと。
あの公都の発酵食品はほぼ全て、魔族である
オルディラが関わっているから……
それが関係しているんじゃねえかって話だ」
「なるほど―――」
「でも一応、他国でも効果が出ているか
どうか、調べておいた方が。
輸出もしているでしょうし」
「その事で頭を痛めていたんだよ。
また面倒な事になったなあ、ってさ。
ま、幸いというか……
今こっちと交易している国々は、基本どこも
同盟を組んでいる上で、亜人や人外に寛容な
政策を示している。
人間も食えば効果があるようだし、
亜人・人外だけ危険視されるような事はない
だろうが―――」
そして彼は天井を見上げると、一際大きな
息を吐いた。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
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お待ちしております。
それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
こちらもよろしくお願いします。
【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】【完結】
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ネオページ【バク無双】【完結】
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https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894
【指】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914
【かみつかれた】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686
【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958





