279・はじめての ききかんり
|д゜)6月なのにこの暑さは何事オブザデッド。
「あっ、エードラム様!
それにビルド!!
クエリーの陣痛が始まったよ!!」
あの後、雪妻草を手に入れ、雪鮫を倒し……
無事、里へと帰還した私たちは、
着いて早々、クエリーさんの出産が迫っている
事を、他の獣人族の女性から告げられ、
「何だって!?」
「すいませんシン様!
俺たちはクエリーのところへ!」
ブラウンの短髪に、ハチマキみたいに頭に
布を巻いた青年、エードラム様と―――
ダークブラウンの毛並みの、狼のような
頭をしたビルドさんが、そのまま駆けて行き、
「ではわたくしはこれを、すぐライブラに
飲ませます」
狐耳にブロンドの毛並みの獣人族の女医さんが、
採取した薬草を持ってさっそく行動に移る。
そして我々はというと……
「ス、雪鮫―――」
「こんなに巨大なヤツなんて、見た事もないぞ」
巨大な獲物の周囲に、獣人族のギャラリーが
集まる。
せっかく倒したんだし、という事で、
アルテリーゼの乗客箱に吊り下げる形で、
雪鮫もお土産に持って来たのだが、
「しかしずいぶんと涼しいね。
生臭さもほとんど無いし」
「このまま凍り続けてくれれば、
氷柱代わりになるのだがのう」
アジアンチックな童顔の妻に、西洋風の顔立ちの
妻と一緒に、その十メートルはあろうかという
巨大な魚の前で話していると、
「おとーさんってどっか行くと、必ず
何か倒して持って帰ってくるよね」
シンイチとリュウイチを抱いた、黒髪ショートの
娘が、巨体を見上げながら話しかけて来て、
「いや別に狙っているわけじゃ……」
言い訳のように返すと、そこへ長老らしき
年寄りの獣人族がやって来て、
「シン様が倒したのですかな?」
「え? ええまあ、成り行きで―――
襲われたので仕方なく。
やっぱり邪魔ですかね、コレ」
里の大きな広場のようなところにデン!
と置かれた巨体を前に、私が恐る恐る
たずねると、長老は首をブンブンと左右に振り、
「と、とんでもありません!
出来ますれば、これを譲って頂きたく。
対価について話し合いのですが」
「えーと、もともと差し上げるつもりで
持ち帰りましたので。
別段、対価とかそういうのは。
クエリーさんの出産祝いに加えてもらえれば、
と考えています。
ていうか、やっぱり食べられるんですか、
これは?」
さり気なく話の方向性を変えるために
質問すると、
「そうですな。
食しても美味なのですが。
それより、雪鮫は死んでもなかなか
腐らない事で有名なのです。
体に魔力が残るのか、ずっと凍り続けて
おりまして……
夏場に獲れたという話は聞いた事が
ありませんが、この大きさなら
20日くらいもつかも知れません」
おおー、じゃあ天然の氷柱として使えるな。
そんな事を考えていると、獣人族の青年が
一人走って来て、
「おーい、クエリーの子が産まれたぞ!!
女の子だ!!」
その言葉に私たちは顔を見合わせ、
そして周囲はやがて歓声に包まれた。
「おめでとうございます、クエリーさん」
「おめでとー!」
「よくやったのう」
「おめー!」
落ち着いてから、クエリーさんと面会する。
薄い赤っぽい毛並みを持つ彼女は、
産まれたばかりの子供を抱いていて、
「ありがとうございます。
お見舞いに来て頂いていたようで―――
あ、そちらがシン様とお二人の?」
メルとアルテリーゼがそれぞれ抱いている、
二人の息子に彼女は片手を振る。
「はい、シンイチとリュウイチといいます。
クエリーさんのお子様の名前は?」
そこで夫であるエードラム様が照れ臭そうに、
「コーデといいます。
クエリーと話し合って決めました」
「最後の最後まで悩んでいたものね、あなた。
でもそれで悩むのなら、もっと涼しい時期に
身重になるように考えて欲しかったわ」
そればかりはどうしようも、と思うが、
確かに今は夏真っ盛り。
産む側としてはいろいろ言いたくも
なるだろうなあ。
「しかし大変でしたよ。
両親や、最終的には長老まで名付けに
参戦して来てしまって」
ビルドさんが頭をかきながら答え、
「俺のおふくろも、嫁に子供が出来た事には
喜んでくれたんだけど……」
「エードラム様のお母さんはココに
いないのー?」
ラッチが無邪気にツッコミを入れるように
聞くと、
「それが、ここは帝都から離れ過ぎて
いてなあ。
ワイバーン便を使えば短時間で着くけど、
おふくろが高いところ苦手で」
彼の答えが、家庭の事情やしがらみとは
関係無かった事に安堵し、
「あ、シン様。
ここでしたか」
そこへネストさんが入って来て、
「診察ですか?
お邪魔でしたら、すぐに」
そう言って家族が腰を浮かせると、
「すいません。
大丈夫とは思いますが、一応一日に
何度か様子見をさせてもらいますので。
あ、それと―――
ライブラさんの容体が落ち着きました。
シン様方が雪妻草の採取を手伝ってくださった
おかげです」
彼女からの言葉に、家族はホッと胸を
なでおろす。
「良かったー」
「じゃあお腹の子供も大丈夫かの」
妻たちの言葉に、獣人族の女医は診察準備を
続けながら、
「はい。産婆のお話では、もう2・3日中に
産まれるのではないかという事で……
あ、それじゃクエリーさん、これ」
何かの小袋のような物を渡された彼女は、
それを受け取ると、
「えっ!?
何コレ冷たい!?」
「ネストさん、これは?」
クエリーさんの兄がそれについて聞くと、
「シン様が獲ってきた雪鮫の切り身を、
氷嚢のようにしたものです。
この暑さですし、妊婦は元より―――
体力の無い子供やお年寄りにも配らせて
もらっています」
ネストさんの答えに、魔物にはいろいろな
使い道があるものなのだなあ、と感心しながら、
私たちはいったん外へと退室した。
「……では、気を付けて行かれよ」
「お世話になりましたわねぇ。
これまでの受け入れ、そして滞在に対する
厚遇、感謝いたしますわ」
ランドルフ帝国、帝都・グランドール―――
その王宮、謁見の広間で、帝国のトップである
六十代の老人を前に、
リーゼントのような髪型の二十代半ばの青年、
それに数名の使者が跪いていた。
「何にしても、フェンリル様の怒りが
解けて良かった。
下手をすると、一千隻の大船団全員、
魔法が使えなくなったまま……
ザハン国に送り返す、という事に
なっていたかも知れぬ」
帝国皇帝陛下、マームードの言葉に―――
一時的に魔法を無効化されていた事を
思い出したのか、タクドルの後方にいた
使者たちはその肩を震わせる。
「そうですねぇ。
もしそうなっていたら、もーっとお手数を
おかけしていたと思いますわぁ」
メナスミフ自由商圏同盟、その一国……
ザハン国官僚にして、今回の一件の
最高責任者であるタクドルは、おどける
ように返すと、
「―――して、辺境大陸はどうするのだ?
本国に戻ったら、未だ属国化の強要を
目指すか?」
ランドルフ帝国トップの問いに、彼は首を
左右に振って、
「ちょーっとわたくしの手には負えない案件だと
いう事が、わかりましたからねぇ。
わたくしよりもっと上の方に掛け合って、
相談すべき事案だと判断した次第ですわ♪」
すると皇帝マームードはうなずいて、
「そうするがよい。
ああ、ドラセナ連邦および大ライラック国とは
魔力通信機で連絡が取れておる。
いったん我が帝国と連邦から出航し……
大ライラック国の港に集結後、北方に向かう
予定だ」
その答えに、タクドルの表情は真顔になる。
実は彼は帝国に滞在しながらも、情報収集は
続けており―――
大ライラック国もザハン国の船団受け入れを
申し出た事……
またランドルフ帝国を通じ、辺境大陸との
関係強化に舵を切った事などを把握していて、
「(つまりは、大ライラック国も辺境大陸との
同盟に向けて動き出した事―――
モンステラ聖皇国も事実上、歩調を合わせて
いる事から、クアートル大陸の四大国全てが
辺境大陸と軍事レベルで一体化する事は
間違いないようね。
帰ったら忙しくなりそうだわぁ……♪)」
そしてすぐにいつもの軽い表情に戻り、
彼は立ち上がると、
「何から何まで感謝いたしますぅ♪
それではご機嫌麗しゅう~♪」
踊るように一回転すると、部下である他の
メンバーを連れて、謁見の間を後にした。
「おう、戻って来たか」
「帰ってくるなり、いきなり奥さんたちと一緒に
出掛けてしまったんで―――
心配したッスよ」
アラフィフの筋肉質のギルド長と、褐色肌に
黒髪の次期ギルド長が手を振って来る。
公都『ヤマト』に帰還した私は……
冒険者ギルド支部へとやって来ていた。
「どうもすいません。
大ライラック国の依頼は割とすんなり
終わったんですけど、向こうの知り合いの方が
出産間近だというので」
私が頭をかきながら答えると、
「まあ、そのヘンはあの2人―――
ラウラとつっちーから聞いている」
「でも結構帰るの遅かったッスよね?
何かあったンすか?」
「ええまあ、その報告も兼ねて」
そして私は、帝国自治区の獣人族の里で、
あった事を二人に説明した。
「雪鮫か。
俺も2・3度狩った事はあったな」
ジャンさんが事も無げに返し、
「その後、その山に雪を回収……
簡易な氷室を作ってきたッスか。
まあこの暑さッスから、喜んだでしょうね」
レイド君もうなずきながら語る。
そう、一段落した後―――
雪鮫の切り身を冷却グッズのように扱って
いたのを見て、
アルテリーゼがせっかくだからという事で、
雪山と里を何往復かして……
雪を運搬したのである。
「しかし、参りましたよ。
こっちではあちこちに氷柱と風を起こす
魔導具が設置されていますが、
久しぶりに夏の暑さを思い知ったと
言いますか」
暑さ対策がされている公都と向こうでは
比べようもなく、
改めて本当の夏の暑さを実感した私は、
こちらでの涼しさをかみしめていた。
「まぁなあ。
夏になりゃチビどもが体調を崩したり、
眠れなかったりで大変だったんだが」
「今じゃどちらかと言うと、冷たいものの
食べ過ぎで、お腹を壊すのを心配する
くらいッスからねえ。
俺も昔には絶対戻りたくないッスよ」
二人は父子のようにしみじみと両目を閉じる。
「後はまあ、帰りに―――
向こうの冒険者ギルド本部に寄って、
シンイチとリュウイチのお披露目をした
くらいで」
帰りにまた寄るって言ってたしな。
そこでベッセルギルドマスター他、
カティアさんや女性職員と妻たちの
話となり、
「あ、そうそう。
そこでの話で出たんですが、
クアートル大陸に移送してもらったザハン国の
船団は、本国へ出航したそうです」
「おー、やっとか」
「次はどう出て来るッスかねえ。
大人しくしてもらえるとありがたいッスけど」
ザハン国は元より……
さらに上に、メナスミフ自由商圏同盟とやらが
いるみたいだしなあ。
一応、大人しく全員帰したんだし、少なくとも
次の手を打ってくるまでは時間もかかるだろう。
「それとですが、どうも大ライラック国が
本格的に四大国同盟に前向きになって
いるっぽいですよ。
帰る時に、ティエラ王女様が教えて
くださいました」
するとジャンさんが手持ちの飲み物を、
グイっと飲み干し、
「スタンピードとやらを片付けたんだろ?
かつて国軍の1/3を失ったとされる
大災害―――
それをあっさりと解決したんだから、
その時点でそういう判断が出来なけりゃ、
指導者じゃねぇよ」
自分も組織のトップという立場だからか、
当然というように語り、
「そういえば、モンステラ聖皇国は
どうなっているッスか?」
レイド君が四大国の残り一ヶ国について
聞いて来て、
「共同声明に参加しているし、自動的に
参加するんじゃないですかね?
他の三ヶ国も歩調を合わせていますし」
「まあそうだろう。
それに対抗する理由も力も無いだろうしな」
私の答えに、ギルド長がシビアな意見を
補足する。
「でもこれで……
しばらくは静かに暮らせますかね」
「このクソ暑い季節に、忙しくなりたく
ないッス」
「そういやもう昼メシ時か―――
宿屋『クラン』にでも行くか?」
と、食事の話になったところで、
「あ、そうだ!
獣人族の里で、お土産にワサビを
いっぱい頂いたんですよ。
『クラン』にもお土産で渡すので、
冷やしソバでもひとつ」
「おう、そりゃいいな。
だが奥さんたちは?」
ジャンさんが聞き返して来たので、
「今は児童預かり所に行ってます。
猛暑ですので、朝まだ涼しいうちに息子たちと
一緒にそちらに行って……
夕方、涼しくなったら家に戻るっていう
感じですね。
昼食後、そちらにもワサビを届けに行く
予定ですから。
そういえばミリアさんは?」
私が次期ギルド長の青年の方へ視線を
向けると、
「ミリアも似たようなものッスね。
職員寮でも、他の女性職員が娘の面倒を
見てくれたりするんスけど、
それが申し訳ないのと、あとやっぱり
リベラ所長に見てもらうのが一番安心する
らしくて」
リベラさんは元孤児院の院長であり、
彼とミリアさんの母親代わりでもある。
百パーセントの信頼があるのだろう。
そこへお昼の鐘が鳴り―――
私たちは支部長室を後に、食事へ向かう事に
なった。
「採取依頼?」
「討伐依頼ではなく?」
翌日、私の屋敷にやって来た、焦げ茶色の
短髪をした青年から話を聞いた妻たちは、
その内容に首を傾げる。
「ギル君、まあ上がって飲み物でも。
それに採取って事は、急ぎでも
無いんでしょう?」
ギルド支部から来た冒険者を私は屋敷に
上げて、詳細を聞く事にする。
「でも採取ってまた薬草?」
ラッチが、先日採って来た雪妻草のケースも
あり、そうたずねると、
「いえ、採取して欲しいのは魔物です」
彼の言葉に、私たち家族は顔を見合わせた。
「あ~……
王家直属の研究機関からの依頼なのか」
応接室で話を聞いた私は、それを聞いて
納得する。
「は、はい。
要するに魔物の生け捕りですね。
ボーアやシープ、バイソン系の魔物は
すでに養殖が確立されているとの事
らしいのですが、
今後、養殖産業を拡大させていくにあたり、
各冒険者に依頼を出しているんです」
ギル君が飲み物に口をつけながら語る。
「そういやギル君。
ルード君とルフィナちゃんは元気?」
メルが彼の子供、双子について聞くと、
「あ、はい。
嫁も一緒でもうにぎやかです。
あと婦人会の方々もいろいろと、
世話を焼いてくださるので」
「双子という事で、何か言われていないかの?」
次にアルテリーゼが心配そうにたずねると、
「いえ!
逆にあちこちで人気者になってますね。
やっぱりシンさんがやってくれた、
あの儀式と―――
それと公都に住んでいる魔狼は、双子三つ子が
ザラですので、それも影響しているのか、
奇異な目で見られる事はありません」
ギル君とルーチェさんの子供は双子という事で、
忌避傾向があると聞いて、その対応をした事が
あるのだが、
その事を相談された私が、向こうの世界での
解決法というか、伝統行事みたいなものを伝え、
実践してみたのだ。
(■259話 はじめての あかちゃん参照)
「そうですか、それは良かったです。
共に子供が産まれたばかりの者同士ですし、
困った事があったら言ってくださいね」
「は、はい!
ありがとうございます。
それで、依頼の件なのですけど……」
そういえばそれを伝えに彼は来たんだった。
私は頭をかいて、
「断るような事はしませんけど―――
どの魔物とか、いつまでとか期限が
ありませんね?」
書類に目を通すと肝心な条件が抜けており、
「ああ、それについてはジャンおじ……
ギルド長が言ってましたけど、
どうも高ランク、もしくは高名な冒険者に
片っ端から声をかけているみたいなんです。
ただシンさんは何ていうか―――
王家直属の研究機関とはいろいろあった
みたいで?
なので依頼をどういう内容で出すのか、
まとまらなかったのでは、と」
それを聞いた私は家族ともども、微妙な
表情になる。
つまり過去いろいろと迷惑をかけたので、
依頼は出したいけど強制や命令になるような
文言は避けたかったって事かな。
どの道無茶な依頼は、ライさんかジャンさんで
弾かれるだろうし。
私はふぅ、と息を吐いて、
「ちゃんと依頼を出してもらって、報酬と
条件が合えば私は受けますよ。
じゃあ久しぶりに、冒険者らしい事を
しましょうかね」
そう言って私が大きく伸びをすると、
「日帰りならいいんじゃない、シン」
「リュウイチやシンイチから、あまり目を
離すわけにはいかないしのう」
「とーぜん!
ボクも行っていいんだよね?」
最後のラッチが胸を張ると、
「う~ん……
出来ればラッチは留守番して、シンイチと
リュウイチを守って欲しいんだけどな」
「むー」
娘は不満そうに頬を膨らませて、それを見て
大人たちは苦笑した。
「伯父上」
「陛下。何かありましたか?」
ウィンベル王国の王宮、その執務室らしき
部屋で、
三十代と思われる金髪の青年が、グレーの短髪に
白髪混じりの男性を迎える。
「伯父上が丁寧な言葉遣いをすると、
相変わらず違和感がありますね」
「言ってくれるじゃねぇか、オイ」
陛下、と呼ばれたのはラーシュ・ウィンベル
現国王であり、
その彼が伯父上と呼んだのは―――
王国の冒険者ギルド本部長にして、
前国王の兄にあたる……
ライオネル・ウィンベルであった。
「しかし護衛も無しとはな。
本当に何があった?」
彼の指摘通り、執務室には今二人しか
おらず、
「ちょっと伯父上に見て頂きたいものが
上がって来たので」
そこで甥は、ライオネルにある書状を見せる。
「ふむ、どれ―――」
それを受け取った彼は目を通し始め、
やがて数分ほどで読み終えると、
「ん~……
危機意識が高いのはご立派な事
なんだがなあ」
「という事は―――
『危機判定』には何の反応も無い……
つまり安全という事ですね」
ラーシュ陛下の問いに、前国王の兄は静かに
うなずく。
「確かにシンの力は脅威だがよ。
その力を今まで、あらゆる争いや戦争回避に
役立てているんだぜ。
もはや病的と言ってもいいくらいだ。
彼の子供にその『能力』が受け継がれた
として、
危険と断定し、今のうちに対策を―――
こっちがそう動いている事をシンにバレた
時の方が、100倍危険だ」
「余も同意見です。
ただ一応、緊急事態管理委員から上がってきた
意見なので、無視する事も出来ず……
真の判定者である伯父上に相談を、と」
そこでライオネルはテーブルの上に書類を
静かに置くと、
「それにコイツら……
そもそもの前提から間違っているんだよなあ」
「と言いますと?」
聞き返す甥に彼は振り返って、
「シンの『能力』は―――
『自分の常識以外の事を起こさせない』
ものだ。
それはシンが別世界……
即ち、魔法や魔物がいない世界から来た事に
起因するもの。
だがシンの子供はこちらの世界で産まれ、
そして育つんだからよ」
「あ―――」
ラーシュ陛下もそれに気付いたようで、
声を上げる。
「わかったか?
シンの子供は、魔法も魔物もいる我々の世界が
全てなんだ。
つまり、彼らの常識はそれが基準となる。
能力を引き継いだとしても、シンのように
魔法や魔物を否定なんて出来やしない。
つまりこれらの懸念は、全くの見当違い、
という事だ」
国王はその言葉に静かにうなずく。
「しかしいい加減、こういう報告が続くようで
あれば、シンに関する事は王族・王家のみが
管理する、という事にした方がいいかもな」
「そうですね……
特に今回の件は論外です。
いったん警告し、その後また見当違いの
報告が上がるようなら―――
シンに関する議題そのものに関わらせない
ようにしましょう」
こうしてシンの知らないところで……
余計な疑念が消えたのであった。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
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それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
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