270・はじめての ごくひえんしゅう
|д゜)4月ですでに暑いって事は……
(夏の事は考えない)
「今、何と?」
「ですからねぇ、今お付き合いのある?
辺境大陸なんですけどぉ、
そちらを完全に支配下に置く事は出来ないかと
ご提案申し上げているんですよぉ?」
ランドルフ帝国、帝都・グランドール―――
その王宮、謁見の広間で、帝国のトップである
六十代の老人が、
リーゼントのような髪型の二十代半ばの青年から
とある提案を受けていた。
「……今、ランドルフ帝国を含めた
クアートル大陸の四大国は、
あの辺境大陸の同盟諸国と同盟を結ぶよう
交渉している最中だ。
すでに我が帝国とドラセナ連邦は正式に
彼らの同盟国となっておる。
それに対し軍事行動を起こすというのか?」
皇帝マームードはさすがに看過出来ず、
目の前で跪いている青年に問い質すと、
「いやん♪
そんなお怖い顔なさらないで―――
第一、あんな弱小国の集まりを、軍事的に
支配下に置くなんて、ウチがいちいち
やるわけがないでしょう?
ちゃーんと二等国か三等国として扱いますわ♪
ちゃーんと♪」
それを聞いた皇帝は大きくため息をついて、
「それはザハン国の意志……
ひいては、メナスミフ自由商圏同盟の
意志と見てよいのか?」
「いいえぇ?
もちろん、このタクドルの一存ですよぉ。
今はまだ―――ね。
それに弱小国連合相手に、ザハン国が本気に
なるわけないじゃありませんか。
なぁに、一千隻の船でも持っていけば、
後は思うがままですって♪」
恫喝を前提に話す彼に、マームード他
同じ謁見の間にいる全員が眉間にシワを
寄せるが、
「そういえばぁ?
ランドルフ帝国も、新型船の訓練と称して、
200隻からなる船団であちらに向かった事が
あるそうですわねぇ♪
そういう中途半端な事をおやりになるから、
いけないんですのよぉ?
最初にビシッ!
と決めておかないから……
国内でも反対派が出て来て収拾がつかなく
なっちゃうんですぅ♪
あ、そうそう。
もしこちらが向こうの同盟諸国を
隷属化したとしても―――
その後のご関係に口を出すつもりは
ありませんから♪」
暗に、そちらも隷属化させたいのであれば
ご自由に、とタクドルは提案するも、
「念のため聞いておくが……
あちらの戦力をどうとらえておるのだ?
人間の国は言うに及ばず、ラミア族、
獣人族、ドラゴンにワイバーン―――
果ては精霊、魔族・魔界まで同盟諸国に
いるのだぞ?
脅しや圧力に屈するとでも思っているのか?」
同席していた、大柄な体を鎧に包む黒の短髪に
半開きの目をした将軍―――
ロッソ・アルヘン帝国武力省将軍が、さすがに
頭が痛くなってきたという表情をすると、
跪いていた彼は立ち上がって、腰をクネクネと
踊るようにして、
「あらぁん♪
イケメン将軍がそんな顔しちゃイヤ♪
それに我がザハン国の最新鋭の船は、
水中対策もありますし……
ドラゴン・ワイバーンが相手だとしても、
対空兵器も充実していますからねぇ♪」
「対水中・対空はそれでいいとしても、
魔族や魔界とどう対抗するつもりなのです?
下手をすれば、人類が敵対したと思われて
しまう可能性も―――」
今度は同じく軍のトップの両翼を担う、
黄色に近いブロンドの長髪をした女性……
メリッサ・ロンバート魔戦団総司令が問うと、
「魔族・魔界ぃ?
そんなおとぎ話を真に受けるほど、
ピュアな心はもうこの乙女心には無いん
ですわよぉ♪
ですがそうですわねぇ―――
しょせん、数百年前に魔王が、たかが
合計100万程度の人間の連合国に
敗れたとも聞いておりますしねぇ。
ま、もし魔界全体が敵に回ったとしても、
メナスミフ自由商圏同盟がちょーっと
本気出せば十分でしょ」
魔王・マギアの伝承は知っているようで、
それでもなお、問題にはならないとタクドルは
言い切る。
そしてバレリーナのように片足を軸にして、
一回転するように謁見の間の重鎮たちを
見回すと、
「と、ゆーわけでしてぇ……
これからのザハン国の動向に注目しても、
介入しないで頂きたいんですぉ♪
あ、イケメン美少年からの注目は全然
オッケーですわぁ♪
それではご機嫌麗しゅう~♪」
相変わらずクネクネした動きのまま彼が
立ち去ると、疲労の色を濃くしたメンバーが
その場に残された。
「何なんだよもー!!
あの水鳥のケツみてーな頭したアホはぁ!!
下手すりゃ魔界と人類の最終戦争の
引き金引くっつーの!!
わかってんのかバカー!!」
「言いたい事はわかるが、やけ食いするのなら
納豆以外にしてくれないか。
見ているこっちが気持ち悪くなる」
その後、皇帝マームードは緊急会議を行い、
ザハン国及びメナスミフ自由商圏同盟の動向を
探ると共に、
各省庁のトップに対して、対策を練るよう
指示し―――
それでアルヘン将軍とロンバート総司令は
顔を合わせていたのだが、
魔戦団総司令である彼女は荒れまくっており、
話し合いどころではなくなっていた。
「どうしたの、メリッサちゃん」
「あ!
オルディラちゃん~!
聞いてよ~、今ウチの国にアホが
来ていてさ~!」
そこに現れたのは、ダークエルフのような外見の
魔族の女性、『腐敗』のオルディラで、
「新作の納豆料理が出来たという事で、
案内したのですが……
何がありました?」
一緒に、末端ではあるが王族である、
パープルの長髪に前髪を眉毛の上で揃えた
ティエラ王女が来て、
とにかく事情を聞く事となった。
「ン~♪
いいですねぇ、この納豆とチーズの相性が♪」
「納豆チーズリゾット―――
久々の自信作ですよぉ!」
四人となった彼らは、オルディラが持ち込んだ
納豆の新作料理に舌鼓を打つ。
特にメリッサ・ロンバートは納豆を一度、
ウィンベル王国で食して以来の納豆狂であり、
(■177話
はじめての しゅっこう(らんどるふていこく)
■213話
はじめての ごうどうぐんじえんしゅう参照)
その関係で、オルディラとはプライベートに
おける親友同士でもあった。
「確かに美味い。
だからこそ何か悔しい気が」
「意外と、と言いますか結構合うんですよね。
カバーンとセオレムにも好評で」
アルヘンは複雑そうな表情をしながら、
ティエラは素直に美味しそうに食べる。
ちなみにチーズはシンが製法を地球から
持ち込んだ、カッテージチーズもどきなので、
厳密にはチーズとは呼べないのだが……
こちらの世界ではまだチーズが存在しないため、
チーズとして通っている。
(■122話 はじめての らくのう参照)
「それはそうと―――
そのザハン国の水鳥頭?
とやらが、ウチや同盟諸国にケンカ売りに
来る可能性がある、と。
地上の魔族領ならともかく、魔界って
血の気が多いある意味脳筋集団だから……
しかも魔界王であるフィリシュタは、
あそこの料理や娯楽をすごく気に入って
いますからね。
下手をすると、そのメナスミフ自由商圏同盟が
地上から消えてもおかしくないですよ」
「もーいいよそれで。
パーッとやっちゃえ」
オルディラが話を元に戻すと、メリッサは
投げやりに答え、
「そう簡単に言うな。
第一、その余波がクアートル大陸にまで
及ばないという保証は無いのだぞ?
もし魔界がこちらを味方と認識してくれたと
しても、我ら同盟諸国と魔界対、それ以外の
人類連合となる可能性もある」
アルヘンが彼女をたしなめ、
「かと言って、こちらからザハン国や
自由商圏同盟を刺激するわけにも―――
あちらはあくまでも脅しで済むと思って
いるみたいですし、我がランドルフ帝国が
介入する事で……
本格的な軍事行動に踏み切られても困ります」
ティエラの言葉に、他の三人は『う~ん』と
うなる。
「とにかくこの件、わたくしの方から
ライオネル様に話してみましょう。
彼からシン殿に話が行けば、何か解決策が
出てくるかも」
そこでやはりというかシンに期待が行き、
そこにいる全員がうなずいた。
「ああ。タクドルならこちらにも来た。
恫喝作戦を取るから、『許可』を求めにな」
「はぁ~……
堂々と余計な手出しをするなって、圧力を
かけに?
正気じゃないのは髪型だけにしてくれっての」
同時刻―――
ランドルフ帝国皇帝・マームードと、
ドラセナ連邦女帝・イヴレットは、
王宮でトップ同士の極秘会談に臨んでいた。
「そこはさすがに官僚よ。
言質を取らせず、言外にこちらと敵対する気は
無いと……
さらにこれは軍事行動とも明言しておらぬ。
詭弁もいいところだが、これではこちらは
動くに動けん」
皇帝はそう言って渋面を作る。
「時期的にもビミョーなところで来やがった
からねえ。
クアートル大陸四大国で圧力をかけ返す事が
出来れば良かったんだけど」
「共同声明と共同開拓計画だけで、本格的な
軍事同盟はその後進める予定であった。
もし戦争状態に突入すれば、今は我が帝国と
そちらしか動けぬが―――
それでは厳しいだろう」
女帝の言葉にマームードは認めるように返し、
「メナスミフ自由商圏同盟……
その窓口みたいに、ザハン国しか
クアートル大陸と取り引きしてないけどさぁ。
それでもウチとそちら―――
それに大ライラック国と、四大国の内三ヶ国と
交易しているんだ。
経済規模から見て、四大国合わせてもさらに
その2~3倍の国力はあるだろうさ」
ランドルフ帝国・ドラセナ連邦の二ヶ国だけでは
とても対抗出来ないと彼女は分析する。
「タクドルは辺境大陸の事を、弱小国連合と
称しておった。
だから積極的に戦端を開くつもりはあるまい。
脅せば何とかなると思っておるのだ」
「かと言って、もしドンパチが始まったら、
アタシらも無関係じゃいられないよ。
何より日和見して、どっちつかずと
あちらの同盟諸国から見られてもマズい。
取り敢えず世話ンなった万能冒険者にゃ、
一報入れようと思っているけどさ」
イヴレットの言葉に、マームードは『む?』と
姿勢を正し、
「万能冒険者とはシン殿の事か?
奇遇だな。
余もそのように考えておった」
「へー、あの人皇帝サマの信頼も厚いのかい?
ただものじゃないとは思っていたけどさ」
そこで皇帝は首を傾げ、
「そなた、シン殿について何も聞いて
おらぬのか?
もうメルビナ大教皇殿は知っているという
話であったが」
「いったい何の話だい?」
そこでマームードはアゴに手をあてて、
「状況が状況であるし……
早めに知っておいてもらった方がよかろう。
女帝イヴレットよ。
帰国を少し待ってもらえぬか?
緊急事態ゆえ、シン殿の口から説明して
もらった方が良い」
「いやー、そりゃ困るよ。
それに彼は今、海の向こうにいるんだろ?
迎えが行って、戻って来るまで―――
ティエラ王女さんの風魔法が一番早いん
だっけか。
それでも5・6日はかかるはず。
アタシが一度戻ってからでも、そう
時間的には変わらないと思うけど」
「心配するな。
1日で来るであろう。
というより、確かドラセナ連邦にも
『ゲート』が設置されたと聞いているが?」
(■260話 はじめての かっくう参照)
「……あ!
あーあーあー!!
そうだよ!!
アレ使ってアタシもこっちまで来りゃ
良かったんだ!!
チクショー!!
今頃気付くなんてー!!」
指摘された女帝はそう叫ぶと、背もたれに
だらんと背中を預け天井を仰ぐ。
「まあ、あれは緊急用だから―――
そう頻繁に使われても困るのだがのう。
ではシン殿に来て頂くぞ。
異論は無いな」
「お任せしますわぁ~……
もうどうにでもしてぇ~……」
「人聞きの悪い言い方をするでない。
ではさっそく、ティエラに行かせよう」
そして両国のトップも、シンに相談するという
道を選び―――
すぐに動き始めた。
「一千隻からなる大船団を寄越すってか。
それで軍事行動ではないって言い張るのは、
あまりにも無理がねぇか?」
小一時間もすると、ウィンベル王国の一室で、
事情をティエラ王女様から聞かされた
ギルド本部長が頭を抱え、
「砲艦外交、というやつでしょう。
それを恫喝に使えるという事は、
かなり大規模な軍事力を抱えていると見て
いいでしょうね」
王都・フォルロワから魔力通信機で緊急連絡を
受けて……
私も『ゲート』を使ってすぐに王宮へと
駆けつけ、
話し合いに参加していた。
「申し訳ありません―――
ですがこれは軍事行動だと明確な言質は
取らせず、さらに彼の一存だと言っている
事から、どこまで対応していいものか
帝国でも考えあぐねておりまして」
それを聞いたライさんは、グレーの短髪に
白髪が混じったその頭をガシガシとかいて、
「メナスミフ自由商圏同盟、つまり商業圏で
まとまっている連中か。
交渉もいやらしそうだなぁ」
「厄介な相手ですね」
私も彼の言葉に相槌を打つ。
「さ、最悪……
我が帝国とドラセナ連邦だけでも、
反対を表明出来れば」
王女様の提案に、先代国王の兄は首を
左右に振って、
「ダメだ。
四大国同士の同盟もまだ締結されていない
中で、そんな事をすりゃ―――
残りの二ヶ国を狙ってくださいと言っている
ようなモンだ。
下手すりゃあっち側に、大ライラック国と
モンステラ聖皇国を取り込まれかねん」
ランドルフ帝国もドラセナ連邦も、同盟を
組めるようになるまで紆余曲折があった
ものなあ。
「これから俺は、ティエラ王女様と共に
各国に緊急会談を呼び掛ける。
すまないがシンは一足先に……
ランドルフ帝国まで行ってくれねぇか?」
「そうですね。
ドラセナ連邦のイヴレット様も待たせて
いらっしゃるようですし―――
妻たちへ連絡してからすぐに向かいます」
こちらへ来る事は家族に伝えてあったものの、
私は魔力通信機を借りて、メル、アルテリーゼ、
ラッチに改めて事情を説明し、
『ゲート』を通して、クアートル大陸へと
向かう事になった。
「『境外の民』―――だって?
別世界から来たってのかい?
確かに浮世離れしている雰囲気はあった
けどさぁ」
大使館を通さず、直接王族専用の『ゲート』で
向かって欲しいとティエラ王女様から頼まれた
私は、指示通りに行動し、
皇族専用の区画で待機していたドラセナ連邦の
女帝・イヴレット様にすぐに面会をセッティング
されて……
そこにはマームード皇帝も控えており、
私は一人で、二ヶ国のトップに会うという
胃の痛い事態に直面していた。
「どうされたシン殿?
顔色が悪いようだが」
「いえ、だって私は平民なんですよ?
それが皇帝陛下と女帝の二人と同席って……」
マームード皇帝の気遣いに正直に答えると、
「ハッハッハ!
帝国どころか、魔界王ですら敵ではなかった
貴殿が何を!」
「はあっ!?
じゃあ魔界以上の戦力だってのかい!?」
「いえ、別にあれは勝ち負けというわけでは」
どうも自分の評価が過大なようで困っていると、
「申し訳ありません。
どうもシンは自分の力をよくわかっているのか
いないのか、判断しかねる時がありまして」
そこへ、私から遅れる事十五分ほど―――
ライさんがティエラ王女様と一緒に姿を現し、
「あれ?
確か向こうで緊急会談を行っていたのでは?」
「そ、それが……
ラーシュ・ウィンベル陛下から、どうせ
結論は決まっているだろうからと―――
会談は自分が呼びかけるから、
ライオネル様と共に、帝国に戻るよう
言われまして」
王女様の言葉に私が首を傾げると、
「結局、お前さんに一任する事になるのは
目に見えているからだろ。
で、子供が産まれたばかりのシンに
それを依頼するっていう、誰もやりたがらない
役目を押し付けられたってわけさ」
そう言ってライさんはカラカラと笑い、
「確かに緊急事態ですから、引き受けるつもりは
ありますけど。
それに戦争状態に突入したら、我が子や
妻たちのいる国が危険に晒されるわけ
ですからね」
私の言葉に、他の四人は苦笑して返し、
「ただ今回は一千隻の大船団が相手ですから、
ぶっつけ本番というわけにはいきません。
あちらもそんな戦力を即座に用意出来るとは
思えませんので……
時間はあるでしょう。
なので、演習は必要だと思います」
「そうであるな」
「何でも言ってくれ!
船ならウチに腐るほどあるしよ」
マームード皇帝と女帝イヴレット様が私の意見に
同調してくれ、
「だが目立つとマズい。
それに四大国共同開拓の最中だ。
下手に大規模な軍事行動なんか取ると、
モンステラ聖皇国はともかく、
大ライラック国に警戒心を与えちまう」
「海やそこの港を使う事は出来ませんね―――
湖ではどうでしょうか。
内陸なら情報も隠しやすいと思いますし」
次いで、ライさんとティエラ様が現実的な
案を考え始め、
「船は本格的なものでなくても構いません。
要は一千隻がどれくらいの規模になるのか、
また、きちんと範囲が指定出来るのかの
確認のためで……」
と、そこで演習の詳細を詰めていき―――
その準備をしてもらう事となった。
「おー、壮観だねー」
「本当にこれだけの船が来るのか。
まあ、旦那様であれば一千隻が一万隻でも
同じ事じゃがの」
同じ黒髪の、童顔と欧米モデルような
顔立ちの二人の妻が、一ヶ所を見つめて語る。
あれから二週間後……
ランドルフ帝国の帝都郊外にある、とある
湖にて、
私はメル、アルテリーゼと一緒に、
船で埋め尽くされていた湖面を眺めていた。
「おとーさーん!
魔導具の設置、終わったって!」
向こうから、黒髪ショートに燃えるような
紅い瞳を持つ、娘が駆け寄って来て、
「ラッチ殿、お待ちをー!」
「さすがドラゴンの子―――
同年代とは足の速さも比べ物になりません」
彼女の後に、ランドルフ帝国とドラセナ連邦の
研究者らしき人も駆けて来た。
結局、マームード皇帝、女帝イヴレット様、
そしてライオネル様とティエラ王女様を交えた
話し合いの後、
あちらの緊急会談でも、私に一任した方が
いいという事で方針はまとまり、
ランドルフ帝国内にて、ドラセナ連邦の
協力の下……
一千隻の大船団に対する演習を行う事に
なったのである。
なお、長期化しそうという事で、特別に
家族を連れての出張という形にして
もらっている。
「はぁはぁ……
で、では一応の確認を」
「演習内容は―――
1・魔力感知器による反応。
2・船団に搭載した魔導具の動作確認。
3・同じように水面下における魔導具の
動作確認。
となっております」
自分の力が、魔法・魔力を無効化出来るという
事は、トップシークレットなので……
伝えられない事もあるのだが、まあこんなもの
だろう。
1・魔力感知器による反応―――
これは言うまでもなく、魔力ゼロで強襲する
ためのもの。
2・船団に搭載した魔導具の動作確認。
今回、相手にするのは一千隻の大船団……
どこまで私の能力が及ぶのか、範囲を確かめる
ためでもある。
3・同じように水面下における魔導具の
動作確認―――
これは作戦の都合上、水面下だけ無効化を
外せるかどうかのテストのためだ。
こちらには今、水中戦力もあるので……
出来ればそちらを除外出来れば、より一方的に
有利に事を運べる。
なので今回、ラミア族に人魚族―――
ロック・タートルの方々にも参加してもらって
いるのだ。
「わかりました、お疲れ様です。
こちらはいつでも準備は出来ておりますので」
私が頭を下げると、研究者らしき二人は
わたわたして、
「あ、頭をお上げください!」
「皇帝陛下と女帝直々の命令で……
決して無礼な真似はするなと言い使って
おりますれば」
二ヶ国トップの命令だものなあ。
そりゃ恐れられもするか。
「ま、とっとと済ませて帰ろー。
シンイチとリュウイチの世話もあるし」
「そうじゃのう。
今は大使館で預かってもらっておるが」
メルとアルテリーゼの言う通り、息子たちである
シンイチ・リュウイチもランドルフ帝国に連れて
来ており、
主に大使館で面倒を見てもらっているのだが、
『しょ、将来の練習のために!』と、
ティエラ王女様がベビーシッターをやって
しまっているので―――
こちらとしても気が気ではなく。
「では行きましょう」
そして私は、『見えない部隊』……
その一員であるワイバーンの元へと向かった。
「では、演習内容の最終確認を。
魔力探知機のギリギリの範囲外まで
突っ込み、そこで私の指示で魔力無効化の
魔導具を使用。
滑空状態で船団上空を通り抜けます。
その時に私が魔導具・魔法の無効化を宣言。
一度通過した後、地上に戻り状況を
確認します」
私を乗せている一体のワイバーンが、
この説明に空中でうなずく。
何せ魔導具と魔法無効化の確認なので、
当然、発動すればこちら以外はそのどちらも
使えない。
さらに強襲は空から行う、という内容は
伏せられているので、
いったん地上に戻って報告を待つ事に
したのである。
この場合、魔導具・魔法の無効化確認は
船上で待機している人員にやってもらう
事になっており、
さすがに魔法を無効化するという事までは
知らせる事は出来ないので―――
魔導具の無効化をもって魔法も無効化されたと
認識し、水面に旗を振ってもらう。
それを見て水中部隊も自身を確認し、
魔法を無効化された人たちは、最後に集まって
もらってそれを解除する、という段取りに
なっていた。
「そろそろ上空です。
では、魔力無効化の魔導具を使って
ください」
ワイバーンの足には魔力無効化の足輪のような
魔導具が取り付けられ、
任意でそれをON/OFF出来る仕組みに
なっていた。
これは私がいなくとも、無効化による
強襲を出来るようにする、という事も
兼ねていて、
そしておよそ数百メートル下の大船団を
確認すると、
「視覚に入る船団において……
水面下10メートルを除き、
魔法、もしくは魔法により動く道具など
・・・・・
あり得ない」
そうつぶやいた後、船団上空を突っ切って
旋回、元の位置に戻って着地する。
そして三十分もすると、続々と報告者が
やって来て、
「第一船団、全ての魔導具の無効化を
確認しました!」
「魔力探知機には何も反応せず!
なお、探知機も現在無効化されています!」
「ラミア族からの報告です!
異常ナシとの事!」
「第二から第五船団まで、魔導具の
無効化があったと―――」
「人魚族からの報告で……!」
と、おおよその演習目的が達成されたとの
確信・確証を得た。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
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【指】【完結】
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【かみつかれた】【完結】
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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
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