表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
260/312

260・はじめての かっくう

|д゜)ソバ・ウドンの七味が美味しい季節。


「オイ、また王都から魔力通信機で情報が

 来ているぞ」


「ほとんど毎日ですね……

 いえ、仕方ないといえばそうなんですけど」


クアートル大陸において―――

大ライラック国とモンステラ聖皇国、

この二ヶ国が侵攻をする可能性が高いと

ティエラ王女様から伝えられてから、


私は公都『ヤマト』の冒険者ギルド支部に、

通うように連日おとずれていた。


あれから、同盟諸国での多国間会談が頻繁(ひんぱん)

行われるようになり、


そこで決まった対応や対策を共有するため、

こうして私に向けて情報が届けられていた。


「まず、新生『アノーミア』連邦の宗主国、

 マルズが第九王子、エンレイン様の派遣を

 決定……


 あくまでもいざという時、という限定

 ですが―――

 まあこれは、ワイバーンの女王ヒミコ様と

 婚約している事が挙げられるでしょうが」


「エンレイン王子が派遣されれば、自動的に

 ヒミコ様とその配下も出るからな。


 よしんば、ヒミコ様だけでも……

 ランドルフ帝国のワイバーンたちに

 顔が利くんだろ?」

(■184話 はじめての せっとく

■185話 はじめての かしだし

(ドラゴン)参照)


アラフィフの筋肉質の体をしたギルド長が、

一緒に書類に目を通す。


「ええ、それをきっかけに―――

 というのも何ですが。


 チエゴ国からはフェンリルの

 ルクレセントさんを、

 ライシェ国からはグリフォンの

 ミマームさんを、


 緊急時に限り出国を認める、と申し出て

 くれています」


「アイゼン王国からも、人魚族の共同出撃を

 認める旨の申し出があった。


 他、天人族に白翼族も……

 亜人・人外勢ぞろいって感じだな。


 で、オメーは何しているんだ」


と言うジャンさんの視線の先には、室内を

うろうろとしている褐色肌の青年がいて、


「い、いやあ―――

 産まれたばかりの子供とミリアが

 気になってッスねえ」


レイド君が落ち着かない様子でそう言うと、


「それでミリアに、


 『アンタがここにいても出来る事は

 ほとんど無いんだから、ちゃんと

 仕事してきなさい!!』


 って怒られたのを忘れたのか?」


「まあまあ。

 妻と子供が気になるのは私も同じですから。


 それでジャンさん、他に何か情報は入って

 来てます?」


彼をかばうようにして、ギルド長に話の方向を

元に戻させるよう誘導すると、


「んー……

 そうだなあ、後は―――


 そういや、例のドラセナ連邦に『ゲート』を

 設置する件が通ったそうだ。


 ランドルフ帝国経由で、魔王・マギア様が

 すでに向かったようだぜ」


「あ、それと……

 森の精霊様ッスか?


 近日中に土精霊様を中心として、

 迎えに行く人員が選定されるッス」


そこでふぅ、と私が一息ついた後、

ある書類に目を通し、


「しかし―――

 さすがにすごいですね、ランドルフ帝国は。


 ワイバーン隊の運用数だけで500って……

 こっちはヒミコ様の群れ全てでも200くらい

 ですのに」


「まあ、ダテに帝国じゃねぇからなあ。

 帝都グランドールだけで人口1千万だろ?


 それより聞きたい事があるんだが」


私の話の後、そうジャンさんに聞き返され、


「?? 何でしょうか?」


私が改めて彼に向かい直すと、


「何で俺が不参加って決まってんだよ!」


と、不満を隠そうともせずに言い放つ。


「いや、だって仕方ないッスよ。


 同盟諸国もランドルフ帝国もドラセナ連邦も、

 争いになっても不拡大方針って……

 決まったじゃないッスか」


「ジャンさん1人対軍だとして―――

 手加減って出来ますか?」


「努力はする!!」


その答えに、このバトルジャンキーは……

と、私とレイド君は頭を抱える。


「被害が出ればあちらさんだって、引くに

 引けなくなってしまいますよ?」


「魔物相手ならともかく、国相手は

 マズイッス!!」


続けて2人で彼をたしなめると、


「あ~もう、面倒くせぇな。


 いっそこのままレイドにギルド支部長の座を

 譲って、俺は引退って事にして―――」


「でもそうなると、恐らくギルド本部に

 申請を通さなければならないッスよね?」


「で、今のギルド本部長は……」


そこまで言うとギルド長はがっくりと

うなだれて、


「そ~なんだよなぁ。


 何でアイツは良くて俺はダメなんだよ

 チクショー」


「だからライさんはティエラ王女様の将来の

 相手として、活躍を見せる必要があると」


「何度も言っているじゃないッスかぁ~、

 もう―――」


そう、実はこのやり取りは記憶によると、

五回はやっている。

ていうかよっぽど戦いたかったんだな、

ジャンさん……


しかし気落ちしているその姿が、あまりにも

気の毒なので、


「う~ん……


 そんなに戦いたいのであれば、訓練という

 名目で行ってみたらどうでしょうか」


「あん?」


私の言葉にギルド長が顔を上げ、


「ランドルフ帝国に行った時、ちょうど若い

 軍学校の学生に絡まれた事があったんですよ。


 ウィンベル王国のゴールドクラスの実力を

 示すという事で、話を通してみれば」


するとシャキッ! とギルド長は姿勢を

整えて、


「よし!

 その案もらった!!」


そして支部長室内にある魔力通信機に

向かって、


「あーあー、こちら公都『ヤマト』

 冒険者ギルド支部。


 支部長のジャンドゥだ。

 本部長ライオットはいるか? どーぞー」


ジャンさんが本部と交渉するのを、

私とレイド君は微妙な表情で見守った。




「はぁ……

 まったく、ギルド長ってば。


 孫―――

 じゃなくて、アタシたちに子供が

 出来たんだから、少しは落ち着いたら

 いいのに」


ミリアさんが娘を抱きながら、眼鏡に手を

かけてため息をつく。


「魔界に行った時は、ウキウキで魔物を

 倒していたもんねー」


「それで今はミスリル銀のショートソード所持で

 あろう?

 (たち)が悪いなどというものではないな……」


私の妻二人、メルとアルテリーゼも、

微妙な表情で語る。


「まぁここしばらく、訓練試合もしていない

 もんなぁ」


「今じゃ『神前戦闘(プロレス)』会場みたいに

 なっていますからね、ギルドの訓練場」


ギル君とルーチェさんが、それぞれ双子を

片方ずつ抱きながら呆れて、


「それじゃ、俺が戦ってやっても……あたっ!」


「だから落ち着けって言ってんだろーが!」


カルベルクさんの言葉に、娘を抱いた

エクセさんが肘鉄(ひじてつ)をくらわす。


あの後、私は家族が入院している施設で、

ギルド支部での話を共有していた。


機密もあるので詳しく話せない事もあるが、

そのへんについては、カルベルクさんに

エクセさん、ギル君、ルーチェさんは

『何も聞いていませんよ~』と、慣れた感じで

スルーしてくれている。


「……? ……」


「そーだよー、男の人っていつまで経っても

 子供っぽいんだからー」


ふと横を見ると、いつの間に入って来ていたのか

ラッチとレムちゃんが同年代の女の子同士で、

横目でこちらを見ながらおしゃべりしていて、


「ホントよねー」


「わたくしも同感ですわ」


と、ミリアさんとルーチェさんも同意し、

私とギル君、カルベルクさんはそろって

肩をすくめる。


「お、おう。じゃあ俺はこれで」


「は、はい。

 お疲れ様でした」


バツが悪そうに退室する別の町のギルド長に、

私は一礼した。




「ふーん。

 じゃあシンはまたしばらく、

 公都を離れるって事?」


「今回ばかりは『ゲート』をフル活用させて

 もらうから、そうはならないと思うけど……


 長ければ1週間くらいになると思う」


カルベルクさんが出て行った後、私は家族と

改めて今後の事を共有する。


「『敵味方双方になるべく被害を出さない

 ようにする』―――


 こんな条件を達成出来るのは、シン以外に

 おらぬからのう」


「おとーさん! 早く終わらせて来てね!

 出来ればお花見の時までに」


メルの後に、アルテリーゼとラッチが続いて、


「お前は戦争を何だと思っているんだ……」


私が呆れてつぶやくように言うと、


「まーまー、だってシン。

 この前も『子供が産まれるまでに』って

 何度も言っていたじゃない」


「そういう意味では、ラッチの事は言えないで

 あろう」


アジアンチックな妻と欧米モデルふうの妻に

指摘され、何も言い返せなくなって黙る。


「でも一番気の毒なのは敵さんだよなー」


「そういう理由で、期限付きで計画を片っ端から

 (くつがえ)されているわけですからね」


と、エクセさんとミリアさんが加わり、


「まあシンさんに敵対したのが―――」


「運の尽き……という事でしょう」


ギル君とルーチェさんがそれぞれ、

ルード君とルフィナちゃんを抱きながら、

ウンウンとうなずく。


「まあでも、冗談抜きで産まれてきた弟たち、

 妹たちのためにも―――

 サクっと解決してきてね、おとーさん」


黒髪ショートの娘が、その燃えるような瞳を

私に向けて、


「そうだな。

 次の世代の世界が戦乱の世の中なんて、

 たまったもんじゃないし。


 おとーさん、頑張ってくるよ」


そう私が答えると、


「それでこそ私たちの夫」


「我が子たちの未来のために、頑張って

 くれい」


メルとアルテリーゼからも激励(げきれい)

の言葉をもらい……

その後はしばらく歓談に興じた。




「師匠、お久しぶりッス!」


金色の短髪をした青年が、元気よく私に向かって

あいさつする。


「そういえば、ランドルフ帝国以来ですね」


あちらの軍学校の若い学生軍人たちに

絡まれた際、私と妻たちが仲裁を買って

出た事があった。

(■219話 はじめての わさび参照)


「ええ、しかし―――

 師匠もこの計画に関わっていたとは、

 思ってもいませんでした。


 この浮遊島ってのはすごいですね!

 こんなものが出来たんじゃ、空中における

 作戦がほぼ無制限で可能になりますよ!」


ワイバーン騎士隊として彼は熱く語る。


そう、ここはあの浮遊島の上……


あれから数日後、私はライさんに呼ばれて

ワイバーン騎士隊の特別訓練―――

その最後の仕上げに来ていた。


「でも、隊長のメギ公爵様が見えません」


「どこに行っているんでしょうか」


シルバーヘアーをした十代前半の少年、

そしてブラウンのショートカットの女性、


ニコル・グレイス伯爵子息と―――

その妻、アリス・グレイス令嬢が、

ウィンベル王国所属航空管制として

参加していて、軽くため息をつくと、


「今から隊長はお前だ。

 シーガル・レオニード」


そこへ、グレーの短髪に白髪が混じった、

前国王の兄が姿を現す。


「ライオネル様」


彼の一声で、周囲にいたワイバーン騎士隊の

面々も、一斉に(ひざまず)く。


「ライさん、シーガル様が隊長というのは?」


「ああ、以前から言ってただろ?

 メギ公爵家はあいつの兄が次々と亡くなった

 ってんで……

 早く跡継ぎとして復帰させて欲しいと、

 公爵家からせっつかれていたんだ。


 今回の極秘任務を機に、シーガルを隊長に

 交代させる事にした」


急にフランクにしゃべり始める私と彼に、

二代目隊長は目を白黒させて、


「ど、どういう事ですか?

 ライオネル様と師匠って知り合い?」


まあその疑問は当然だろうな―――

そこで私はライさんと共に彼に向かって、


「前国王の王兄(おうけい)にして、

 冒険者ギルド本部長ライオット……

 ライオネル・ウィンベルだ」


「ええと、『境外(けいがい)の民』―――

 シンです」


二人の自己紹介、もとい正体を明かすと、


「師匠が!?」

「は?」

「シン殿が!?」


「本部長!?」

「ぜ、全属性のライオットって」

「まさか」


と、現場は混乱の声に包まれた。




「知っていたのか? レップウ」


「ええ。ただこの事は極秘中の極秘でも

 ありましたので」


ひとしきり騒動が収まった後……

シーガル様の愛騎『レップウ』が人の姿、

赤髪の青年になって申し訳なさそうに答える。


ライオネル様は冒険者ギルド本部に対する

監視役として、潜入していた事―――


王家は代々、王族の中の実力者を冒険者ギルドに

送り込んでいた事、


そして私……

『万能冒険者』であるシンの本当の能力は、

この世界のほとんどを無効化出来る事。


そして現在、クアートル大陸において―――

大規模な戦争を起こさせないために、

『見えない部隊』と共に暗躍していた事などを

彼らに公表した。


「はー……

 そりゃ師匠には勝てないわけッスよ」


「す、すいません。

 反則みたいな能力で」


私が謝るとシーガル様は慌てて、


「いやそうじゃないッス!


 むしろ、そんな能力を持ちながら自身の行動を

 厳しく制限している事に、感服しています!」


するとニコル様、アリス様も、


「そうですね。

 その気になれば王国の乗っ取りなんて、

 簡単に出来るでしょうし」


「というか魔力・魔法を完全無効化出来るので

 あれば、この世界では無敵と思われますわ」


「一応、この事はウィンベル王国でも秘中の秘(ひちゅうのひ)

 ですので―――

 家族にも今のところは内緒にしてください」


私の言葉に、二人は素直にうなずく。


続けてワイバーン騎士隊のメンバーも、


「そこまでの力を持ちながら、あくまでも

 平民として、国家や世界の発展に尽くすなど

 考えられませんよ」


「生活も何もかも、シン殿が来る前とは

 一変しましたからねえ」


自分の場合は、日本での生活水準を目指した

だけなので、そこまで賞賛されると気恥しく……

と思っていると、


「そうだぞー。

 敵じゃなかった事に感謝しろよ、お前ら。


 まあコイツは小心者だから、大それた事が

 出来なかっただけだと思うが」


「否定はしませんけど言い方ぁ!!」


私が反発すると、ライさんは意地悪く笑い、

そして騎士隊メンバーや訓練の準備をしている、

軍事関係者であろう人たちも笑い始めた。




「まあともかく、今日からシーガルがこの

 ワイバーン騎士隊の隊長だ。


 本来ならもっと大々的にやりたかったんだが、

 今は緊急事態。

 それに、今回は極秘任務でもある。


 作戦が成功したら、国を挙げて二代目就任式を

 やるからな」


「ハッ!!」


一通りのやり取りの後、改めて訓練に入る。


滑空(かっくう)状態で―――

 どれくらい飛べるようになりましたか?」


「高度によりますが、かなりの距離を

 稼げるようになりました!」


「当初は、落ちるまでの時間が延びる程度と

 考えておりましたが……

 今では一定の高度以上であれば、難なく

 地上に降りる事が可能です」


「それにしても驚きました。

 まさか、魔力を使わないで飛べるなんて」


人の姿になったワイバーンたちが口々に語る。


前回、私がライさんに聞いた、

『例のワイバーンの訓練』とはこの事で、

(■259話 はじめての あかちゃん参照)


魔力封じの魔導具を使い、滑空状態でどれだけ

飛べるか、またどこまで距離を出せるかを

試してもらっていたのである。


当然、あの翼と体のサイズ比では、羽ばたいた

ところで飛行は不可能だろうが、


それでも飛ぶための羽はあるわけで、それのみで

どれだけ空中で移動・運動能力を得られるかを

確認したところ―――


当のワイバーンたちでさえ驚くほどの、

機動力を達成出来たとの報告が上がった。


「通常時と比べれば格段に(おと)るが……

 魔力無しで、空を飛ぶ戦力が襲い掛かって

 来るんだ。


 敵さん、腰を抜かすだろうぜ」


「魔力探知機にすら引っ掛からないって

 事ですからね。


 あちらさんから見れば、悪夢以外の何物でも

 ないでしょう」


ライさんの後に、二代目隊長となった

シーガル様が答える。そしてニコル様と

アリス様が、


「それで今回の仕事は―――」


「滑空訓練の再確認でしょうか」


「せっかく『境外の民』様が来たんだ。

 そんな簡単な事をするわけねぇだろう。


 なぁ、シン♪」


シーガル様の問いに、からかうように

ライオネル様は、私に視線を向ける。


話を振られた私は軽く咳払いをした後、


「今回の訓練は、ちょっと特殊です。


 まず魔力ありの状態で、最高速度とまでは

 言わないまでも、それなりの速度で飛んで

 もらいます。


 その後、私が能力で魔力を『無効化』します。


 つまり、ある程度速度を確保した後―――

 目的地に向かってその余力で飛ぶ。


 当然、着陸前に再び私の能力で元に

 戻しますが、


 その事に耐えきるのが今回の訓練です」


そう説明すると、ワイバーン騎士隊の面々は

互いに顔を見合わせ、


「し、師匠。


 あの~、『無効化』してから飛んで、

 そのまま着陸ではだめなんでしょうか?」


二代目隊長がおずおずと手を挙げて質問するが、


「そりゃ今までの訓練で散々やったろ。


 シンは魔力・魔法の『無効化』、そして

 『解除』を任意で切り替えられる。


 それに慣れろって話だ」


それに対し、ライさんが返す。


「そもそも、相手の目視範囲まで行けば、

 魔力探知は関係無くなりますからね。


 ならば回復させた方がいい。


 ランドルフ帝国に侵攻して来るのは、

 大ライラック国……

 その精鋭中の精鋭が来る可能性があります。


 ワイバーン騎士隊はそれを相手にするのです。


 そのためにはこの手段が不可欠なのです。

 一撃で相手の初動を抑え、無力化させる

 この方法が―――」


するとシーガル様は隊長として、

ワイバーン騎士隊メンバーに向き直り、


「これより、ウィンベル王国所属航空部隊、

 ワイバーン騎士隊は訓練に入る!


 各自、離陸準備に入れ!」


それに呼応するかのように航空管制の二人も、


「アリス!

 『物体浮遊魔法(フローティング)』の準備を!」


「了解!」


夫婦の彼らは息ピッタリに、ワイバーンの体に

固定された箱に乗り込んでいき、


「何ぼさっとしているんだ。

 お前もだろ? 行くぞ」


「あ、はい」


一足遅れて、私とライさんも管制『騎』に

乗り込んでいった。




『こちら、ウィンベル王国所属航空管制、

 ウィンベル王国所属航空管制!


 ワイバーン騎士隊に告ぐ!

 これよりシン殿が魔力無効化をこちらを除いて

 全騎にかける!


 総員、備えよ!!』


アリス様が拡声器を通じ、指示を出す。


航空管制機ならぬ航空管制騎は……

五騎のフォーメーション二隊を組む騎士隊から、

上空三十メートルほどを飛んでいた。


条件範囲指定をするため、離れる必要が

あったからである。


「シンさん、お願いします」


「わかりました」


そして私は外の拡声器とつながっている

機器に向かって、


『これより下、30メートル以下において―――

     ・・・・・

 魔力などあり得ない』


そう私が宣言すると、下にいるワイバーンたちは

速度を落とし、


「!!」


「……っ!!」


「!?」


そして声までは聞こえないが―――

体勢を崩したワイバーンが数騎。


しかしすぐに立て直し、フォーメーションを

再現して滑空状態を保つ。


「おう、立て直したか。

 下は海とはいえ、ヒヤヒヤするぜ」


ライオネル様も確認したのか、ホッとした

声を出す。


当然下には、墜落した時に備えて救急部隊も

待機していた。


そしてそのまま一分ほど飛び続けると、


『こちら、ウィンベル王国所属航空管制、

 ワイバーン騎士隊に告ぐ!


 これよりシン殿が魔力無効化を解除する!

 総員、備えよ!!』


そしてまたアリス様が私に拡声器の端末を

渡して来て、


             ・・・・・

『この世界、魔力があるのは当たり前だ』


そう宣言すると、


「……!」


「??」


「……!? ……!」


また若干のフォーメーションの乱れはあった

ものの―――

速度を『魔力あり』の状態で上げていく。


すると今度はライさんが拡声器の端末を

手にして、


『これが、今回の訓練だ。


 シンの『無効化』も『解除』も、

 言葉を発した後に間髪入れずに来る。


 それを体で覚えるんだ、いいな』


それからしばらく訓練は、前国王の兄が

納得するまで続けられた。





( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

本作品は毎週日曜日の16時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】

https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288


ネオページ【バク無双】

https://m.neopage.com/book/31172730325901900


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【かみつかれた】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686


【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「そーだよー、男の人っていつまで経っても子供っぽいんだからー」 男はいつまでも少年(悪ガキ)であり、女はいつの間にかオンナになる。
(*ゝω・*)つ★★★★★  現代のステルス機みたいなモノですかー ソレに魔力無効化コンボでは相手国の軍人たち涙目w 作戦実施回が楽しみです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ