259・はじめての あかちゃん
|д゜)今年もまた人間ドックの季節が(恐怖)
「おめでとう!」
「シンさん、おめでとうございます!」
タリス伯爵家の一件から半月ほど経った頃。
街中を歩くと、いろいろな人からこんな
挨拶をされるようになった。
「両方とも男の子だってねー!」
「おめでとう!」
そう、メルとアルテリーゼに子供が産まれ、
私は新たに二児の父親となったのである。
前もって決めておいた名前―――
メルの子には『シンイチ』、
アルテリーゼの子には『リュウイチ』と
名付けられた。
そして今、私が向かっているのは……
公都『ヤマト』の冒険者ギルド支部。
そこで新しく父親となった、男性陣の面々と
会うためである。
「よう、おめでとうパパ」
「おめでとうッス、パパ!」
父子のように、アラフィフの筋肉質の
現ギルド長と―――
黒髪・褐色肌の次期ギルド長が片手を振る。
「おっ、来たかパパ」
そして頬に十字のキズが入った、40代くらいの
強面の男性が、満面の笑顔で出迎える。
『飛走』の使い手であり、
『疾風のカルベルク』という異名を持つ……
ブリガン伯爵領の冒険者ギルド支部の、
ギルド長だ。
彼の奥さんであるエクセさんは、私たちの
中では一番最初の出産となり、
無事娘が産まれ、魔力通信機でそれを伝えられた
カルベルクさんは―――
隣りの領地からすっ飛んで来た。
そしてそれから三日後にメルが、四日後に
アルテリーゼも出産し、
その次にミリアさんが女の子を出産。
そしてシャンタルさんも男の子を産み、
ルーチェさんが最後になったのだが、
その夫である、長身で細身の青年・ギル君は、
一人だけ重苦しい雰囲気で座っていた。
「えーと……
確かギル君とルーチェさんの子供について、
でしたね?
私に相談したい事というのは……」
当人である彼は黙ってうなずく。
「ああ。ルードとルフィナ―――
この2人についてだ」
ギル君の代わりに、ジャンさんが渋面を作り、
他の人たちもまた複雑そうな表情となる。
そう、ギル君とルーチェさんの間に生まれたのは
双子だった。
「何ていうか、よりによってという感じッス」
「双子は不吉の象徴、か。
馬鹿馬鹿しい話だが、年寄り連中はなぜか
そういう伝統を大事にしやがるからな」
レイド君とカルベルクさんが、吐き捨てる
ように話す。
「やはり、双子は忌避される傾向が強いの
でしょうか」
私が問い質すと、
「まあそうだな。
ホレ、ここのドーン伯爵の次男次女が双子
だっただろう?
それであの2人も苦労して来たんだ」
そういえば、ユーミさんとザースさん……
あのお二人が双子だったっけ。
(■81話 はじめての ふたご参照)
父親の事をよく思っていなかったけど、そういう
背景もあったのか。
確かブリガン伯爵領のマフィア―――
アシェラットさんのところにも、
レオナさん、ソアラさんという双子がいた。
あの人たちもそういう事情があって、
裏社会に流れたのかも知れない。
「迷信に過ぎないとはわかっていても……
縁起とかどうしても気にするヤツはいる」
続けて、苦々しくギルド長が語る。
確かに、地球でも―――
双子忌避の歴史はあった。
日本でも畜生腹と呼ばれたり、また相続争いの
元ともなるので、不吉の象徴として忌み嫌われて
いた過去がある。
「シンさんのところでも……
やはりそうだったんスか?」
ここの次期ギルド長の青年がおずおずと
聞いてきて、
「ひと昔前まではそうでしたけど―――
今ではむしろ、その珍しさから歓迎されて
いますよ。
三つ子なんて、子だくさんの象徴として
あちこちに呼ばれたりしますし」
するとギル君の顔がパァッと明るくなる。
「だがよ、ひと昔前まではやっぱり不吉の象徴
だったんだろ?
何で今では価値観がひっくり返ったんだ?」
「そ、そうです!
その解決策さえあれば、ルードと
ルフィナも―――」
すがるようにギル君が迫る。
「ええと、まず落ち着いてくださいね?
そして最後まで話を聞いてください。
冷静に……」
そこで焦げ茶の短髪をした青年は、浮かせていた
腰をソファに戻し、
私は一度深呼吸のように大きく息をつくと、
「まず一度、捨てるんです。
双子のうちどちらかを」
すると、『オイ』『いやいやっ!?』
『いくら何でもそれは』と、抗議の声が
上がるが、
「いやあの、落ち着いて!
打ち合わせてそれを行うんです!」
「ん?」
「打ち合わせッスか?」
「何だそりゃ」
そして私は、その内容を彼らに説明し始めた。
翌日、公都『ヤマト』のとある道で―――
赤ちゃんを抱いたギル君の姿があった。
彼はそっと道端にその赤ちゃんを置くと、
「誰かいい人にもらわれてくれ、ルフィナ」
そう言ってその場を立ち去った。
そこですぐに今度は、亜麻色の髪を後ろで
三つ編みにした女性……
ギル君の妻、ルーチェさんがやって来て、
「あらあら、こんなところに赤ちゃんが。
わたしも赤ちゃんを産んだばかりなの。
1人育てるのも、2人育てるのも一緒だし、
わたしのところに来ましょうね」
そして自分の赤ちゃんを抱いて、その場を
立ち去り……
それを見守っていた複数の影が動く。
「こんなのでいいの? おとーさん」
私の隣りで、黒髪ショートの娘がきょとんとして
質問し、私はただうなずく。
「茶番だな」
「はい。後は普通に育ててもらえれば―――」
ジャンさんの言葉に私は答える。
「一度捨てるっていうのは、こういう事ッスか」
「しかし何つーかよ。
こんなくだらない事で……」
レイド君とカルベルクさんが感想を述べるが、
「くだらないからいいんですよ。
これを繰り返していって―――
『何も起きない』『不吉でもなんでもない』
という事がわかれば……
双子に対する偏見自体、風化していきます」
その説明に、ラッチはふむふむとうなずく。
「まあ、そうだな。
こんな事くらいで不吉な事が起きなく
なるってんなら―――
そもそも不吉でも何でも無かったんじゃ
ねぇか? って事になる」
この公都のギルド長はいち早く理解して、
その事を語る。
そして、この事は公都に通達されていて、
「あんなのでいいのか」
「シン殿の故郷の風習だと聞いたが……」
「確かに一度捨てているわけだし、
それで拾うのだから―――」
と、あちこちからギャラリーの声があがる。
「俺も一足先に向こうに戻ったら、これを
広めてみるか」
「あれ?
カルベルクさん、エクセさんと一緒に
戻らないッスか?」
ブリガン伯爵領のギルド長に、この公都の
次期ギルド長の青年が返す。
「いつまでもギルド長と次期ギルド長が、
留守には出来ねぇんだよ。
お前さんも今のうちに、自由を満喫して
おくんだな。
確かコイツに子供が産まれたら、
引退するんだろ、ジャン?」
「そうしたいんだがなぁ……
コイツを見ていると、隠居はまだまだ先に
なりそうだ」
ジャンさんとカルベルクさん、二人のギルド長に
たしなめられ―――
レイド君は肩をすくめた。
「おー、シン!」
「旦那様、来てくれたのか」
その後、私はラッチと一緒に産院の一角に
作られた……
乳幼児専用の施設へと来ていた。
「具合はどう? メル、アルテリーゼ」
そこで我が子を抱いた妻たち―――
アジアンチックな童顔の女性と、
欧米モデルふうの女性……
嫁二人を労う。
「私たちは至れり尽くせりだね」
「数時間置きの授乳はキツいが、病院側で
すぐ起こしたりしてくれるからのう」
そこでメルは私にシンイチを、アルテリーゼは
ラッチにリュウイチを手渡す。
「うわあぁ……!
軽い、ちっちゃいね」
「2人ともお前の弟だよ、ラッチ」
すやすやと眠る我が子の顔を見ていると、
「シンさん―――
ギルとルーチェの事、ありがとう
ございました」
近くのベッドから、ライトグリーンの
ショートヘアーをした、タヌキ顔の
丸眼鏡の女性が……
娘を抱きながらお礼を言って来て、
「いえいえ、故郷の風習を伝えたまで
ですから―――
ミレーヌちゃんの具合は?」
ミレーヌとは、ジャンさん・リベラさんが
二人で考えたレイド君とミリアさんの
娘の名前だ。
ギル君とルーチェさんの子供である、
ルードとルフィナも同様に、あの二人が
名付けている。
「さっきおっぱい飲んだばかりだから、
しばらくは寝ているだろ。
あとルーチェさんに関しちゃ、あたいも
気になってたんだ。
同じ場所、同じ時期に産んでいるしさ。
シンさん、ありがとな」
赤い長髪のカルベルクさんの妻……
エクセさんも子供を抱きながらこちらを
見て、
「カミラちゃんは元気でしょうか?」
「あ、もうバリバリ。
お腹にいた時はあまりに元気だったから、
男の子だと思っていたんだけど―――
まさか女の子とはねえ。
ま、オヤジがスゲー喜んでいたから
いいけどさ」
そう言って愛おしそうに我が子を撫でる。
「そういえばシン、肝心のルーチェさんは?」
「この寒空の中で例の風習をやって
もらったから……
一応、子供たちと一緒に検診を受けているよ」
メルの問いに私は答え、
「迷信のためとはいえ、災難よのう」
「だけど、これで双子や三つ子への、
風当りが和らげば―――」
と、アルテリーゼに話していると、
「ルーチェさんの診察終わりました。
別段異常はなく……」
「あっ、シンさん来ていらしたんですか」
そこで同じく夫婦そろって白い長髪の、
パックさんとシャンタルさんが姿を現す。
そして二人の間には、赤ちゃんを抱いた
12・3才ほどに見えるシルバーの長髪の
少女がいて、
「おお、レムちゃん。
弟だってわかるのかな?」
「ええ、シャンタルがおっぱいをあげる時
以外は、ずっとリクハルドを抱っこして
いるので―――」
「困る半分、助かってもいますよ」
彼らの間に産まれたのは男の子。
ちなみにリクハルドという名前は、
ドラゴンの巣にいた、すでに子育てが
一段落した夫妻……
レアンドロさんとキーラさんが考えて
くれたそうだ。
(■223話
はじめての もっていくもの参照)
これはドラゴン族の伝統とか、決められた
名付けというものではなく―――
私やみんなの妻たちの健康管理や、
医療業務に忙殺され……
名前を考える時間が無かったので、
レアンドロ夫妻にお願いしたそう。
お疲れ様です、と心の中で手を合わせる。
とにかくこれで今回産まれたのは、
―――男の子―――
・私とメル・アルテリーゼの、
シンイチとリュウイチ。
・ギル君とルーチェさんの双子の片方、
ルード。
・パックさんとシャンタルさんの、
リクハルド。
―――女の子―――
・カルベルクさんとエクセさんの、
カミラ。
・レイド君とミリアさんの、
ミレーヌ
・ギル君とルーチェさんの双子の片方、
ルフィナ。
そして産まれた順は、
1:カミラ
2:シンイチ
3:リュウイチ
4:ミレーヌ
5:リクハルド
6・7:ルード・ルフィナ
合計七人が、公都の新たな住人として
産声を上げたのであった。
それから数日は、公都の方々から出産祝いや、
ドーン伯爵家を始め関わりのある貴族、豪商から
お祝いの品が続々と届いたが、
その最中、王都・フォルロワから魔力通信機で、
ある一報が届き
私は単身、急いで王都の冒険者ギルド本部へと
向かった。
「……大ライラック国とモンステラ聖皇国が
攻めて来る?
とんだ出産祝いですね」
私の前には、グレーの短髪に白髪混じりの
アラフォーに見える冒険者ギルド本部長と、
パープルの長髪に、前髪を眉毛の上で揃えた
ランドルフ帝国王女様がいた。
二人の後方にはサシャさんとジェレミエルさんも
真剣な表情で控えており、
「も、申し訳ありません」
「いえ、ティエラ王女様のせいでは―――
それで、いったい何が?」
クアートル大陸がその二ヶ国を中心に、
キナ臭くなっているのは承知していたが、
だからこそ戦争になる発端を潰そうと、私や
ウィンベル王国の『見えない部隊』、そして
ランドルフ帝国、ドラセナ連邦の面々で
暗躍して、
大規模な争いに発展しないよう、動いてきた
つもりであった。
「二ヶ国同時に、ですか?
つまりあちらは、同盟として共に行動している
事を、もう隠さなくなったと……」
「いや、それがなあ。
ちょっと事情が複雑なんだ。
ティエラ王女様、ちょっと説明してくれ」
「は、はい。
ええと―――
そもそも、この事を通達して来たのは、
その二ヶ国なのです」
ライさんに促され、ティエラ様が話し出す。
私はその言葉に首を傾げ、
「え?
つまり宣戦布告して来たという事でしょうか」
すると彼女は首を左右に振って、
「どう言ったらいいものか……
まず、通達は二ヶ国同時ではありません。
先にモンステラ聖皇国が―――
次いで大ライラック国が使者を寄越して
きました。
ですので一応、別々の動きと見ております」
私はそれにうなずき、彼女は説明を続ける。
「内容は、モンステラ聖皇国の方は、
『我々の支配者は大精霊様以外に認めない』
『亜人も人外も、大精霊様に従うべきである』
とする、原理主義者とも言える一団が、
大ライラック国の方は……
ランドルフ帝国及び同盟諸国の、亜人・人外に
対する融和政策に反発する若手が暴走し、
地理的にモンステラ聖皇国は、南に位置する
ドラセナ連邦を―――
大ライラック国は西にある我が帝国に対し、
強襲を仕掛ける可能性があるとの事です」
「それを使者が伝えに来たのですか?」
「モンステラ聖皇国と大ライラック国の……」
腰まで伸びた長い金髪を持つ童顔の女性と、
ミドルショートの黒髪の眼鏡をかけた同性が、
ライさんの後ろから話に入って来て、
「はい。
それに関しまして―――
『こちらでも何とか最後まで阻止に努める』
『万が一、ランドルフ帝国に攻め込んだ場合、
そちらでどう処分しても構わない』
という旨の書状も受け取っております。
恐らく、ドラセナ連邦にも同様の使者と
書状が行っているはずです」
「こちらに報せる事で敵対意思は無いという事を
見せつつ……
貸しを作っている事にもなるわけか。
なかなかいやらしい手を使うなぁ、オイ」
ティエラ様の後にギルド本部長が、ため息を
つきながらつぶやく。
実際、やり方としてはすごく上手い。
あくまでも本国はこちらとやり合う気は無いと
情報提供をし、
その上で―――
国家の所属とは離れた部隊を送り込む。
原理主義者や義勇軍の体を装ってはいるが、
正体はそれぞれ指令を受けた正規兵による
軍だろう。
「しかし、『どう処分しても構わない』
とは……」
「捨て駒、という事でしょうか」
サシャさんとジェレミエルさんが顔を
見合わせるが、私は首を左右に振って、
「そう判断するのは早計かと―――
下手をすれば、最強の戦力を送り込んで
来ている可能性もあります」
地球でも朝鮮戦争で、中国が義勇軍で参戦した
事があったが、
その中には北京で、主席のボディガードを
担当した第66軍も含まれていたという。
つまり、精鋭中の精鋭を
投入して来たという事だ。
「勝てばそのままなし崩しに、負けても
トカゲのしっぽ切りで逃げられる。
むしろここまで考えて計画した軍事行動に、
弱い戦力を充てる事は無い、か」
「確かに―――
裏で大ライラック国とモンステラ聖皇国が、
組んでのものだとすれば……
その可能性は極めて大きいと思われます」
ウィンベル王国の前国王の兄と―――
ランドルフ帝国の王女様がともに納得する。
「さて、理由はどうあれ……
クアートル大陸ではこの2つの軍が、
動き始めようとしているわけだ。
表面上は狂信者どもの集団と、
軍の統制を外れたならず者たち。
どっちが相手にして嬉しくない軍だと思う?」
「そもそも戦争したくないんですけどねえ……」
これまで、何とか戦争回避のために動いてきた
つもりではあったものの―――
こういう奇策を取られるとは思わなかった。
しかし相手も人間なのだ。
それも国家を運営する者ならば、ありとあらゆる
予想や今後を考え……
手を打ってきたとしてもおかしくはない。
むしろこっちが追い詰めてしまった―――
その可能性だってあるだろう。
そう考えていると、
「なあ、シン。
気にするなとは言わんが、そう難しく
考え込むな。
少なくとも全面戦争、総力戦は避けられて
いるんだ。
この程度で済んでいるのなら、むしろ
御の字だろ」
ウィンベル王国の国家運営に携わる人から
そう言われて、気が軽くなる。
「でも困りましたね……
今まではシン殿が行けば、全て丸く収める事が
出来たのですが、今回は―――」
「あ、そうですよね」
「大ライラック国とモンステラ聖皇国、
どちらかしか相手に出来ないわけですから」
女性陣が、今回一番致命的な問題を
指摘してくる。
そう。
もし大ライラック国とモンステラ聖皇国が
裏で組んでいるとすれば……
同時侵攻の形を取るだろう。
そうなると、どうしてもどちらかしか
対処出来ず―――
タイムラグが生じる事になる。
「シン、お前『境外の民』だろ。
分身とか分裂くらい出来ないのか?」
「出来ませんよ!」
ライさんはからかうように笑い、そして
他の人たちもつられて笑い出す。
でも笑ったおかげで却って冷静になり、
「あー……
もしかしたら、モンステラ聖皇国の方は
私がいなくても何とかなるかも知れません」
「と言いますと?」
聞き返してくるティエラ王女様に、
「聖皇国は大精霊様を信仰しております。
そして当然、精霊様も信仰対象の
ようですから―――
ウィンベル王国にいる精霊様たち……
水精霊様・氷の精霊様・
土精霊様―――
そして今はチエゴ国に行っている風精霊様にも
お願いして、
彼らが前面に立てば、モンステラ聖皇国も
強硬策は取れないかと」
「そういや以前、クアートル大陸にいる、
森の精霊様とやらにも協力してもらったんだろ?
彼女にも呼びかけられないのか?」
私はライさんの言葉に対してうなずき、
「そうですね……
軍を動かすとあれば、それなりの準備期間が
必要となるはず。
となればまだ時間的余裕はあります。
大精霊様の役をしてもらった事もありますし、
頼んでみましょう」
そこでモンステラ聖皇国に対する戦略は
まとまり、
「で、では―――
後は我が帝国という事になりますが」
ティエラ様が私に視線を送る。
まあモンステラ聖皇国は精霊様たちで
対応するとまとまった以上……
ランドルフ帝国へは私が参加する事に
なるわけで。
そこでギルド本部長が片手を挙げて、
「ランドルフ帝国には俺も行く。
シンばかりに任せておくわけにゃ
いかねえし、
ティエラ王女様の将来の旦那として―――
ちょっとは活躍しておかねぇとな」
「で、でもシン殿に任せておけば」
未来の妻として心配なのか、ティエラ様が
消極的に語るも、
「ここで、ウィンベル王国……
ひいては同盟諸国の軍がどういうものなのか、
お披露目しておくという意味もあるんだ。
それに最強戦力で来る事が想定されるのなら、
こちらもそれに匹敵する戦力であたって
やらにゃあ、悪いってモンだろ」
どこか嬉しそうな表情で語る。
あー、そういえば初見で手合わせを要望して
来たし―――
(■28話 はじめての おうと参照)
もしかしたらこの人もジャンさんと同じく、
バトルジャンキーの類かも。
普段は王族としての地位もあるから、
大人しくしているだけで……
「そうですね。
そういえば、例のワイバーンの訓練は
どうなっていますか?」
「お、アレか。
順調だぜ、今ではかなりの距離を出せる
ようになっている。
そうだな―――
アレで突っ込んで敵本拠地か司令官を
急襲、それならサクッと終わるかも知れん」
何の事かわからず、ティエラ王女様は
目を白黒させる。
すると両側から秘書二人が挟み込んで、
「大丈夫ですって!
この人は殺したって死にませんから」
「でもちゃんと帰って来てくださいよー。
第二夫人・第三夫人になる前に未亡人なんて
ゴメンですからね」
「だから何でお前らも嫁にする前提なんだよ」
そうライさんが二人をたしなめると、
「でっ、では……!
わたくしも参戦します!!」
「は?」
「え?」
突然の表明に本部長と私は面食らい、
「い、今までほとんどシン殿に任せて来て
しまっているのです!
今度ばかりは王族であるわたくしも出ます!
この、『暴風姫』なら、
戦力として十分なはず!
ランドルフ帝国が狙われているのだとしたら、
当然の事かと―――」
その後、みんなは彼女をなだめようと
時間をかけたが、
結局、ライさんと同行するという事で、
折れたのであった。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
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それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
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【指】【完結】
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【かみつかれた】【完結】
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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
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