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256・はじめての どうめい

|д゜)こちらもやっと年越し

(若干ズレる)



「やれやれ、終わったぞ」


「ありがとうございます、フェルギ様」


ドラキュラのコスプレのような格好をした、

外見的には七・八才くらいの少年に私は感謝して

頭を下げる。


風精霊(ウィンド・スピリット)様の魔力を無効化した後、何とか性別を

固定化する事には成功したのだが、


いくら条件で、

『魔力が無くなっても死ぬ事などあり得ない』

と設定したところで、突然の魔力消滅による

影響はかなりあったらしく、


いくら食べてもお腹が空くという状態で、

いったんパック夫妻のいる病院へと搬送(はんそう)


急遽(きゅうきょ)、亜神・フェルギ様を呼んで、彼に

魔力補充をお願いし―――

ようやく一段落したのであった。


「シンさん」


「フェルギちゃんもお疲れ様なのー」


そこへ、グリーンの髪と瞳を持つ少年と、

白銀のミドルショートの髪をした少女が

入って来た。


土精霊(アース・スピリット)様と氷の精霊(アイス・スピリット)様だ。


「ちゃん付けはまあいいとして……

 しかし、精霊というのは本当に魔力の

 カタマリなのだな。


 あそこまでゴッソリ持って行かれるとは

 思いもよらなかったぞ」


以前、彼には大型の魔力動力源用の魔導具に、

魔力を補充してもらった事があり、その時は

研究員の方々が驚いていたくらいだったのだが。

(■248話

はじめての まりょくぐらい参照)


そのフェルギ様がそこまで言うという事は、

本当に(すさ)まじい魔力を有している、という

事なんだろう。


「それで、ダシュト侯爵家の方々は?」


「緊張が解けたのか、何かぐったりして

 しまいまして。


 恐らく精神的な消耗(しょうもう)だとパックさんが」


「それで回復までの措置(そち)として、一時このまま

 入院してもらうらしいのー。


 明日には回復するでしょうって言ってたー」


精霊の少年少女の答えに、私はホッと胸を

なでおろす。


そこで私は改めて亜神に向き合い、


「フェルギ様もありがとうございました」


「まったくだ。

 俺様も魔力を回復させてもらうとしよう。

 うまいものでもたらふく食ってな」


「わかりました。

 支払いは私、シン宛にして頂ければ」


「酒もよろしく頼むぞ。

 この姿では大っぴらに買いには行けぬ」


そう言って彼が苦笑すると、私もそれに

釣られて吹き出し―――

そして全員で笑い出した。




「それでは、お世話になりマシター」


「今後ともよろしくお願いします」


片眼鏡に八の字のヒゲの……

クルズネフ・ダシュト前侯爵と、


その妻である薄い紅の長髪の女性―――

ルイーズ様が一礼して挨拶し、


「そ、それじゃ。冬の間だけですが」


「また来るねぇ」


黄色い髪をショートボブ風にした少年、

現ダシュト侯爵家当主であるノルト様が、


薄茶の長髪に白いローブのような衣装を着た、

婚約者である風精霊様と共に片手を振って、

別れを告げる。


数日後、心身ともに回復した前侯爵夫妻は、

息子とその婚約者の『少女』と一緒にチエゴ国へ

帰る事となり、


その見送りとして、私とラッチがワイバーン便で

飛び立つ場所まで来ていたのだった。


「これでダシュト侯爵家も安泰(あんたい)デス!!

 シンさん、ホントーにありがとう

 ゴザイマシタ!!」


前侯爵は何度も私の手を握り締めて、

ブンブンと頭を下げ、


「あの、外はお寒いですから……

 また入院する事になってしまいますよ?」


「それに、早く本国にこの事を伝えませんと」


妻と息子に促され、彼らは揃って空の旅人と

なり―――

見送りを終えた私と娘は、屋敷に向かって

歩き始めた。




「ねー、おとーさん。

 これからどうするの?」


「ん? そうだなあ」


歩きがてら黒髪ショートの娘が、その

燃えるような赤い瞳を私に向ける。


「お母さんたちのいる産院に寄ろうか。

 何か適当に暖かいものでも買って」


「うん、そーだね!


 そういうえばルイーズ様、帰っちゃったん

 だよねー。

 せっかくおかーさんたちと仲良くなって

 いたのに」


「あー……」


私はラッチに対して相槌を打つ。


産院は、当然ながらダシュト侯爵家が入院した

病院に隣接していて、


それですでに出産経験のあったルイーズ様は、

妊婦たちの話し相手として、産院に通って

いたらしい。


メルやアルテリーゼも彼女に相談に乗って

もらい、すごく安心したという事で、


帰りには多少、お土産を奮発(ふんぱつ)させてもらった

のである。


「アルテリーゼはラッチを産んではいるけど、

 人間の姿では初めてだし―――

 メルだってやっぱり不安はあっただろう。


 そこで経験者の話は、何よりの薬になる

 だろうし」


もちろん、公都内にも出産経験者は大勢

いるわけだけど……

誰かしら何らかの職に()いてしまっている事で、

その話に接する機会は少ない。

病院、特に産院はそういう人材集めに苦労して

いたとも聞くし。


「そういや、何買っていく?」


「肉まんー!!」


肉まんは、最近になって公都で流行り始めた

ものだ。

どちらかというと、衣が厚い餃子(ギョウザ)という

感じだけど。


餃子と違うのは、衣である皮に重曹を使って

いる点。

ただ私が何とか肉まんを再現しようと、

頑張って作っていたものだが、なかなか

思うような形にならず、


だけど味自体は住人たちに受けたので、

そのまま出回る事になってしまった。


もちろん中身が甘い(あん)のアンマンもあり、

今では焼き芋に並んで、それらの屋台も

公都内でチラホラと出て来ていた。


「それはラッチが好きなやつじゃないのか」


「バレたかー!」


そして私の指摘にイタズラっぽく笑う

ラッチの手を引きながら―――

売っている屋台を探しに冬の公都を歩いた。




「では偵察・けん制に派遣した部隊の症状は

 治ったのだな?」


大ライラック国、首都・マルサル……


中世の軍服に身を包んだ面々が、長テーブルを

囲って、無表情で席につく。


議題は例の―――

大ライラック国とモンステラ聖皇国の中間地点で

『魔法・魔力を無効化』された件について。

(■252話 はじめての にらみあい

■253話 はじめての もんばん参照)


そして、その症状をランドルフ帝国にて、

チエゴ国のフェンリルに治してもらった

件についてであった。

(■254話 はじめての あとしまつ参照)


「ランドルフ帝国でフェンリルに謁見(えっけん)した

 者たちは、全員回復しております」


「モンステラ聖皇国の者たちも、同様かと」


幹部クラスであろう面々が、口々に意見を

述べる。


「以前、我が国の間者たちも同様の症状に

 なったと聞くが……

 これについての関連性は?」


六十代くらいに見える老人―――

この国の頂点である軍王ガスパードの言葉に、

担当者らしき若い男は一瞬(ひる)むも、


「め、明確に関係があると断言出来るものは、

 まだ何もありません。


 ですが派遣部隊がそうした症状になる前、

 魔力感知器に反応を確認。

 また、『範囲索敵(サーチ)』の使い手にも。

 高速で何かが地上を過ぎ去ったという

 証言も取れています」


「続けよ」


軍王の言葉に彼は汗を(ぬぐ)いながら、


「こ、これらにより……

 決して何の気配もさせず、また気付かれずに

 この現象が起きたわけではないという事、


 かなり遠い位置で存在は確認出来るという事、


 さらに地上に何の痕跡も無かった事から、

 飛行する物体であったのではないかと推測

 しております!」


そこで静まり返っていた他の上層部も

ざわつき始め、


「魔力感知器に反応はあったと」


「『範囲索敵』にも引っ掛かったわけだ」


「だが、ハッキリとした目撃証言が無いのは

 どういう事だ?」


確認と疑問が彼らの中で()き起こり、


「目にも止まらぬ速さで、それでいて

 魔法や魔力を消し去れる存在―――」


「だが、いくら速度を出していたとはいえ、

 それほどの広範囲に効果を及ぼせるもの

 なのか?」


「そんな兵器、もしくは人材が……

 ランドルフ帝国やその同盟諸国にあると!?」


半ば困惑、そして恐怖を(ともな)った疑惑となり、

それが感染するように広がっていくが、


「静まれ。


 現状、それが事実だと認めざるを得ん」


ガスパードの一言で、議論の場は静まり返る。


「事実を無視した戦略など、立てられる

 はずもなかろう。


 まずは冷静になって状況を整理しろ。


 範囲、時間、条件―――

 何もかも、だ」


そこでいったん沈黙の場となった会議に、

再び火が(とも)され、


「よろしいでしょうか」


若手の一人が手を挙げて発言の許可を

要望する。


「これらが人為(じんい)的……

 兵器・魔法その他によるものと考えた場合、


 明らかに両国を狙って来たという事に

 なります」


青年の言葉に、『バカな』『どうやって』

と反発の声があちこちで上がるが、


「良い。続けてみよ」


軍王ガスパードの鶴の一声で、再度現場は

静寂(せいじゃく)となり、


「ランドルフ帝国では、フェンリル様の

 怒りに触れるような事があったのでは、

 と言われたようですが、


 それならば、何も魔力感知器や『範囲索敵』に

 引っ掛かる事無く発動したはずです。


 何より接近を知らせてから、それを行うのは

 不自然です」


そこで彼はいったん息をついて、


「さらに報告では、高速での接近報告を受けて、

 全員が上空を警戒していたと記されています。


 それで地上から接近した何かへの発見が遅れ、

 目視する時間を失ったのではないかと。


 翼や尻尾(しっぽ)のようなものが見えたとの報告も

 ある事から、ドラゴンかワイバーン、

 それに(るい)する存在であったと思われます」


的確に指摘していく若者の言葉に、いつしか

周囲はただ黙って耳を傾ける。


「では、ランドルフ帝国で『治療』が実際に

 効果があったのはどう見る?」


ガスパードがメインの問題に切り込むと、


「わかりません。ですが……

 何らかの仕掛け、もしくはカラクリがあるのは

 確かでしょう。


 帝国または同盟諸国は、何かあれば実際に

 『解決』し過ぎています。


 異種族への寛容政策、それに奴隷待遇の改善、

 我が大ライラック国やモンステラ聖皇国に対し

 影響力を高めようとしている中で―――


 不自然なほどこちら側に、貸しを

 作り続けている。


 小官(しょうかん)はそう考えます」


しばらく誰もが無言のまま、時間が経過する。

すると国の頂点である老人が沈黙を破り、


「一線を越えた、とランドルフ帝国で言われた

 ようだが……

 その所見は?」


それについては他の幹部が立ち上がり、


「やはりそれは、例のモンステラ聖皇国の

 亜人・人外の兵器化計画―――

 もしくはそれに関するものかと」


その答えを受けた軍王は再び黙り込み、

全員が次の言葉を発するのを身を固めて

待ち受けていると、


「……よかろう。


 今回の議題での推測及び見解を、

 モンステラ聖皇国へ送れ」


「陛下!?」


想定外の命令だったのか、幹部の一人が

思わず声を上げるが、


「今回、標的になったのは我が国と聖皇国だ。


 ならばこの件について―――

 我が大ライラック国だけが動かなければ

 ならん、という道理はあるまい?」


つまり情報を流す事により……

モンステラ聖皇国も何らかの行動を取らせる、

という事を意味しており、


それを理解した面々から深くうなずく。


「ふっふふふ……」


不意に軍王ガスパードは笑い出し、それが

意外だったのか周囲には困惑の表情が浮かぶ。


「へ、陛下。何をお笑いに―――」


「いや、何。


 本当の『同盟国』らしくなって来たでは

 ないか、そう思ってな」


その返答に、彼らは困ったような顔をしながら、

それでもつられて笑い出した。




「……ほう……

 大ライラック国の使者が、これを……」


モンステラ聖皇国、首都・イスト―――


その中心にある大聖堂の一室で、病的なまでに

()せた頬の男、レオゾ枢機卿(すうききょう)は……

腹心たちを前に書面に目を通す。


メルビナ大教皇から国の実権を奪い―――

大教皇代理としてだが、実質的な最高権限は

今や彼の手にあり、


そして彼の腹心たちによる会合は、現在の

聖皇国の最高意思決定機関と言っても良かった。


「『範囲索敵』や、各種の魔力計測の機器にも

 反応した事、さらにハッキリとした目撃情報は

 無いが、飛行生物らしき存在である事……


 これらはおおよそ、我が聖皇国の派遣部隊の

 証言とも一致します」


「その上で、これらは何らかの仕掛けか

 カラクリがあると―――

 これも我が国と共通した認識です」


会議は大ライラック国の申し出を肯定的(こうていてき)

受け止め、


「……ずいぶんと素直に情報共有して来た

 ものだな。


 それについて、何か要請や要望は……?」


枢機卿の言葉に彼らは困惑した表情を見せ、


「それが何も」


「言外に、『そちらからも何か情報を提供しろ』

 という意図は見えますが」


今回、大ライラック国からはただ情報が送られて

来ただけで―――


見返りや要求はなく、それがモンステラ聖皇国を

却って当惑させていた。


「……試されているのかも知れませんね」


「試す?」


腹心の一人が自分たちのトップである

レオゾ枢機卿に聞き返すと、


「……我々が、大ライラック国の庇護下(ひごか)

 何もかも指示された上でしか動けない

 国なのか……


 それとも、同盟国として共に並び立つ、

 国家()りえるのか……」


彼の言葉に周囲は沈黙する。


「……まあいいでしょう……


 ……それに、こちらとしてもこの程度の事も

 知らないと思われているのは、少々(しゃく)です……


 他、諜報関係では何か情報は入って来て

 おりませんか……?」


自分たちにも独自の情報網はある。


何か新しい発見や見出したものは無いのかと、

枢機卿は問いかけ、


「それにつきましては、若干(じゃっかん)ではありますが

 動きが」


「……何でしょう?」


口を開いた部下は先を促され、


「ランドルフ帝国において、フェンリル様より

 例の症状を治して頂いた際、


 実は辺境大陸でも同様に、様々な問題を

 解決していた人物がいたとの情報を

 入手しました」


「何だと!」


「それはいったい―――」


ガタガタッ、と席が動く音や立ち上がる者も

出て来て、


場を制するようにレオゾ枢機卿が片手を

水平に振ると、彼らは姿勢を元に戻し、

そして説明が続けられる。


「その人物は、魔力溜まりによる毒の解毒(げどく)

 または呪いの解呪(かいじゅ)……

 果ては魔力溜まりそのものを治したと

 いわれる冒険者でして」


「冒険者だと?」


「国家に正式に所属する者ではないと

 いうのか?」


「それほどの人間が―――」


通常、強力な魔法や有効な特殊タイプの

スキル・魔法を持つ者は、王族や貴族が

こぞって召し抱える。


そんな実力のある人間が、好き好んで冒険者を

する事は無く、よほどの物好きでも無い限り

あり得ない。


だから彼らは『冒険者』という言葉に反応し、

疑問を口にしたのだが、


「あの合同軍事演習において、特別顧問を

 務めた者です。


 名前をシン。平民であり冒険者でありながら、

 ドラゴンの妻を持ち、各国上層部に非常に

 顔が()く人物であるとの事。


 辺境大陸での二つ名を……

 『万能冒険者』というそうです」


そう述べる彼と、自分の隣りの者と彼らは交互に

顔を見合わせる。


「あの合同軍事演習のか」


「ふむ―――

 平民でありながら、それほどの大役を

 任されるというのは、確かに何かありそうだ」


「だがしょせんは平民。

 調べるのは簡単なはず……


 それだけはそいつの身分に感謝だな」


と、楽観的な意見が口々に出て来るが、


「それが、そういうわけでもなさそうなのです。


 確かに一定のところまでは軽々と調査出来たの

 ですが、


 ある範囲を超えるとどこからか力というか、

 圧力のようなものが立ちはだかり―――


 それがどうも、ランドルフ帝国の諜報機関が

 動いているようなのです。

 それも、皇帝直属の……」


その言葉に場はざわめき、


「皇帝直属だと?

 では、あの『闇の帳(やみのとばり)』が?」


「だがあれは皇族どころか、それこそ皇帝陛下

 直々の命令にしか従わないと聞いた事があるが」


「それを一平民の事で使う事などあるのか!?」


と、新たな疑問を面々が口にするも、


「……よほど、マームード陛下に

 気に入られた……


 いえ、それだけランドルフ帝国に取って、

 重要な人物である、という事ですか……」


実は孫を助けてもらって以来、マームードは

陰日向(かげひなた)でシンをバックアップする方針を取って

いるのだが、その事情まで彼らは知る事もなく。

(■180話 はじめての せんぞがえり参照)


自分たちのトップの見解に、誰もが

口を挟む事はなく、


「……この情報……

 大ライラック国へ送って差し上げなさい。


 返礼として、ね……」


「は、はい!」


報告をして来た部下は頭を下げて了承する。


「さて―――

 これから私どもはどう動けばいいか、

 決めなければなりませんね……


 ……フェンリル様の仰っていた、

 『一線を越えた行為』……


 どう考えても、亜人・人外の兵器化計画の事を

 指しているのでしょうから……」


枢機卿はどこを見るでもなく、自分自身に

問うように話を進める。


「……さて、今回の件が警告だとするならば……


 すでに私どもは一線を越えている事になる……

 今ここで踏みとどまるか……

 ……それとも活路を求めて、さらに一線を

 越えるか……


 ……このままでは追い込まれる一方……

 そしてその事を、大ライラック国では

 理解しているのか……


 ……確認してみたいものです……」


独り言のように語り続けるレオゾ枢機卿に、

腹心たちはじっとそれを聞き続けた。




「ふーん、おもしれーな。

 年越しにソバを食うなんて」


産院にて、まだ十代くらいに見える赤い長髪の

女性―――

エクセさんが天ぷらそばをすすりながら話す。


「まー、去年から始めたから。

 今年は二度目だね」


「まだラッチが人間の姿になる前じゃったのう」


「そーだっけ?」


アジアンチックな童顔の妻、そしてもう一人、

欧米モデルのようなプロポーションの妻が、

娘と一緒にそばを食べる。


今年は妻二人、メルもアルテリーゼも妊娠して

しまったので……

年越しは産院で行う事にしたのだ。


「あの時ゃギルドの食堂で食ったッスよね」


「お夜食としても美味しいですし、他の

 冒険者たちも喜んでいましたわ」


褐色肌の青年と、丸眼鏡のタヌキ顔の女性、

レイド君とミリアさんが隣り合ってベッドに

腰掛け、


「まさかレイド(にい)とミリ(ねえ)と一緒に、

 子供が出来るなんて」


「わたしたちが子供の頃は、考えも

 しなかったよー」


レイド君と同じくらい長身で細いギル君と、

亜麻色(あまいろ)の髪を後ろで三つ編みにした(おさな)っぽい

顔立ちのルーチェさんが、しみじみと語る。


確かにそうだなあ。

彼らとはもうかれこれ、五年ほどの付き合いに

なるけど、


ここに来たばかり頃は―――

結婚したり、子供が出来るなんて思いも

しなかった。


「そういえばレイド兄、今日はジャンさんは?」


ルーチェさんが父親の事を聞くように、

レイド君に質問すると、


「オッサンはギルド支部ッスねえ。


 ただ今頃は、リベラ所長と一緒にそば食ってん

 じゃないかと」


「児童預かり所の子供たちが寝たら、

 先生がギルドに向かうって言ってたのよ。


 子供の名前の件もあるし……

 年越しに一緒に考えましょうって」


レイド夫妻が妹分に答える。


「それで年明けは、鬼人族の新年を祝う

 お祭りがあるんでしたっけ」


ギル君もそれに続き、


「ん? 何だいそりゃ?」


エクセさんが聞き返してくると、


「あー、それはですねー」


「まあ見ればわかると思うがの」


「そーだ!

 餅つきがあるんだよねー!」


メルとアルテリーゼ、そしてラッチが、

去年のお正月を思い出したのか話に入り、


「へぇー、なんだか面白そーだな」


その後は、エクセさんにみんなが説明する側に

回り、年明けまで盛り上がった。




( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

本作品は毎週日曜日の16時更新です。

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全国的にはどうなのか知りませんけど、私の住んでいる辺りでは餅は三十日につくものという風習があります。大晦日までに餅つきは済ませておけって事なんでしょうけど。 母の里の方では土日の二十八日か二十九日に済…
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