255・はじめての せいべつ
|д゜)短くまとめるつもりだったんだけど
(今年も変わらず無計画)
「ほーん。
じゃあ無事に終わったんだ?」
「ああ。
両国とも本国に戻って報告するだろうし、
しばらくは原因究明のため動かないだろう」
アジアンチックな童顔の妻に、私は答える。
ティエラ王女様の要請を受け―――
ランドルフ帝国へ出向き、大ライラック国・
モンステラ聖皇国の両部隊……
かつて私が魔法・魔力を無効化させた彼らを
元に戻し、
『ゲート』で戻って来た私は、まず王都
フォルロワでライさんに報告。
そして公都『ヤマト』に戻ると―――
その足で産院へと向かい、妻たちと情報共有
していた。
「一緒に行っていたルクレセントのヤツは
どうしたのだ?
そのままチエゴ国へ戻ったのか?」
モデルのような顔立ちの、ドラゴンの方の妻の
問いに、私は首を左右に振り、
「急いでも船で2日かかるって話だから、
その間は王都でティーダ君と一緒に、
食べ歩きでもしているって。
まあもしかしたら、チエゴ国に戻る前に
こっちに寄るかも知れないけど」
「そういえば、昨日行って今日帰って
来たんだよね?
もうギルド長への報告はしたの?」
メルが冒険者として疑問を口にすると、
「それは王都で、魔力通信機で済ませて
あるから。
一応、後で顔出しだけはしておこうかなって
思っているけど」
そこへ、ライトグリーンのショートヘアーをした
眼鏡をかけた女性と、
亜麻色の髪を後ろで三つ編みにした、幼さの残る
女性、
そして赤い長髪の男勝りな目をした三人の妊婦が
部屋に入って来た。
「あっ、シンさん。
もう戻られたんですか?」
「ええ。
王都で報告は済ませてありますが、
後で支部には寄る予定です」
まずミリアさんに挨拶し、
「そういえば児童預り所でも……
もう『はろうぃん』一色になってましたね」
「チビどもがいろいろな格好をして、
面白かったなあ」
ルーチェさん、エクセさんが話に続く。
そういえば、もう今年もやっていて
おかしくない時期になっている。
特に旧スラム地区の子供たちも交えてやるから、
かなり大規模なものになるだろう。
「このお祭りが終わったら、新年を迎える前に
留学組が帰って―――」
「年越しソバを食べるのであろう。
こういう形で季節に触れるのも、存外
悪くないものだ」
妻二人が、しみじみと語る。
この世界に来た頃の年越しは、慌ただしく
いつの間にか過ぎてる、という感じだった
しなあ。
「ラッチはどうしてました?」
「ラッチちゃんは『ガッコウ』だったけど、
帰りに見かけましたよ」
「人間の姿で、ドラゴンの翼と角を付けたような
格好をしていました」
ミリアさんとルーチェさんの言葉に、どうなんだ
それは、と思いつつ、
「あー、来年からウチのチビどもにも
やらせてみたいなぁ、アレ。
絶対楽しいだろうしさ」
そうエクセさんが話していたところに、
「検診の時間です」
「ご家族の方は外へ」
「……! ……♪」
共に長い銀髪をした、パックさん、
シャンタルさんと―――
その夫婦と同じシルバーの長髪を持つ、
12・3才に見える少女、ゴーレムの
レムちゃんが入って来て、
私は一通り挨拶をすると、産院を後にし、
そのまま冒険者ギルド支部へと向かった。
「まあ魔力通信機で聞いた通りだな」
「お疲れ様ッス!」
支部長室で、アラフィフの筋肉質の
部屋の主と……
褐色肌の青年が私を労う。
「でも、こうなると早いものですね。
年が過ぎるのも―――」
「そうだな。
決まった行事とかがあると、特にそれを
感じるよ」
「『はろうぃん』も、もう今年で3回目に
なるッスもんねえ」
男三人で、とりとめもなく雑談に興じる。
「そういえば留学組ってそろそろ成人では?
来年あたり卒業になるのでは」
私の問いにジャンさんがうなずき、
「そうだな。
となると、あの嬢ちゃん……
ホレ、あのワイバーンとくっついたヤツ」
「アンナ・ミエリツィア伯爵令嬢ッスか?
ムサシ君と恋仲になった―――」
彼の疑問にレイド君が答え、
「おう、それだそれ。
卒業して国に戻ったら、多分そのまま
結婚って事になるだろう。
あっちでも出産ラッシュが続きそうだ」
この国では成人年齢が十五才だし、
どこも似たような環境だと聞いた。
特にミエリツィア伯爵令嬢は貴族だから、
結婚と出産は義務のようなもの。
多分、すぐに産まれるんだろうなあ。
「じゃあ今年の『はろうぃん』は……
彼らに取って、独身最後の思い出みたいな
ものになりますね」
「もともと留学組ってのは、国を代表して
やって来ている連中だしなあ」
「身分が高いと、いい事ばかりってわけでも
ないんスねえ」
男三人でしみじみと語り、
「あ!
そういえばオヤ―――じゃなくギルド長。
子供の名前はもう決まったッスか?」
今一瞬親父っていいかけたよなあ、というのは
スルーしてあげて、
「それがなかなかなあ。
リベラと一緒に悩みまくっているよ。
産まれてくるのが男か女かもわからねーから、
両方考えなきゃならねえし」
地球だとある程度大きくなれば、エコー検査で
まだお腹にいるうちに性別はわかるけど……
当然ここにはそんなものはなく。
「シンさんはどうッスか?」
「あ、私はだいたい決まりましたので―――」
「マジかよ。どんな感じの名前だ?」
そこで私は、妻たちに話した名前を説明すると、
「そうか、シンは『境外の民』だったな」
「名前に意味を持たせるッスか。
何かいいッスねえ、そういうの」
現ギルド長と次期ギルド長は父子のように語り、
「じゃあちと相談に乗ってくれねえか?
俺もリベラも煮詰まっててよぉ」
「そうッスね。
シンさんの話を聞けば、何か進展するかも
知れないッスから」
「構いませんよ。
それに、ちょうど『はろうぃん』の様子を見に
児童預り所に行きたいと思っていましたし」
そんな事を話しながら、近況の情報共有がてら
会話は盛り上がった。
「とりっく・おあ・とりーとー!!」
「お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞー!!」
それから十日ほど後……
時間にして午後六時を回ったくらいの頃に、
子供たちの声が、公都『ヤマト』の中を
巡り始めた。
やり方は例年と同じく、仮装した子供たちが
夜の公都で方々の家を回っていく。
そして子供たちには、だいたい五・六人に対し
大人が一人、護衛として付き添っていたのだが、
今年は旧スラム地区の子供たちが参加するという
事もあり、保護者の方々の不安を払拭すべく、
『蜂箱』で子供たちの送り迎えをしている、
ハニー・ホーネットが一匹、一緒に飛んでいた。
彼らは去年、参加する形で『はろうぃん』に
いたが、
特に旧スラム地区の子供たちの送迎を担当して
いる事から、その保護者たちの信頼も厚く、
子供の一団につき一匹、護衛として同行する事に
なったのである。
その事を知った方々は安心して『はろうぃん』に
積極的に参加してくれていた。
「とりっく・おあ・とりーと!!」
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!!」
そこへ、獣人族とラミア族、鬼人族、さらに
ハーピーと人間の子供たちがやって来て、
私の屋敷の前で大きな声を上げる。
「はいはい。
じゃあその前にまず、これを飲んで」
「ん?」
「何コレー?」
私が差し出したのは、あの『奴隷殺し』を
使ったポタージュ風のスープと、
さつま芋やかぼちゃを入れて甘くした、
お味噌汁だった。
さすがに季節は冬、特に今日は寒いので―――
まずはこれで暖を取ってもらうためだ。
「甘ーい!」
「おいしいー!!」
フーフー言いながら、子供たちはそれを
口に付ける。
私は護衛を務める獣人族の青年や、
ハニー・ホーネットにも勧めて、
「お疲れ様です。
どうでしょうか、今のところは……」
「特に問題があったとかは聞いてないですね。
今回初参加の子供たちも、初めて見るお菓子が
多いらしくて、すごく喜んでいますよ」
小休止出来た事で、彼にもホッとした表情が
浮かぶ。
「あと、フェンリルのルクレセント様も
ご参加なさっているという話ですが、
婚約者であるティーダ様の付き添いとして、
方々を歩いているとの事」
結局あの後、ルクレさんとティーダ君は
公都に立ち寄り―――
『はろうぃん』の話を聞いて、参加する
ために滞在。
年齢的にルクレさんはお菓子を用意する側での
参加になってしまうので……
ティーダ君に同行するという形で、
『はろうぃん』を楽しむ事になった。
「わかりました。
引き続き、気を付けてお願いします。
じゃあ子供たち、お菓子だよー」
そこで私が様々な種族の子たちに振り返ると、
ワッと歓声が上がる。
ちなみに今回用意したのは―――
・各種フルーツの寒天ゼリー
・チョコクッキー
・ぼた餅
・アンパン
・ジャムパン
・クリームパン
と、ここまでは去年と同じだが、
追加したものもある。
それはポトテチップスのようなスナックふうの
お菓子。
甘味だけでは偏るだろうと、薄い芋の
揚げ物に……
塩や胡椒を振ったものを紙袋に入れてある。
また梅が手に入ったので、薄い小麦粉の
焼きものに、梅をペースト状にして挟んだ
ものも。
それとちゃんと甘い物も増やしてある。
鬼人族から羊羹の作り方も教わり―――
それ自体は水と寒天、餡があれば出来るらしく、
さらに栗やさつま芋を加えたりして、数種類
作り、
・ポテトチップス各種
・梅ジャムせんべい
・羊羹各種
が今回新たに加わった。
「ありがとー!」
「ありがとー!!」
お礼をする子供たちを前に私は、
「食べたらちゃんと歯をみがくようにね」
と、小言のような注意を促し、みんなを
見送り……
「ラッチも今日は『はろうぃん』に参加している
からなあ」
妻たちは産院に入院中で、私は一人大きな
屋敷を振り返り、
早く次の子供たちが来ないかと、寂しさを
かみしめた。
「えっと、どういう事?」
『はろうぃん』の数日後、私は―――
グリーンのサラサラした髪の、濃いエメラルド
グリーンの瞳を持つ少年と、
透き通るようなミドルショートの白い髪をした、
12・3才くらいの外見の少女を前に……
困惑していた。
「風精霊の事なのですが」
「以前、別の国の貴族の子のお嫁さんに、
って話が上がっていたでしょ?
で、今回その話が正式に決まったみたいなの」
土精霊様と氷の精霊様の
言葉に、
「おー、そりゃめでたい」
「で、何でシンに相談があるのだ?」
「まー、確かにおとーさんに頼めばたいていの
事は何とかなるけど」
メルとアルテリーゼ、ラッチが会話に参加する。
と言うより、私とラッチがお見舞いに産院に
来たところ―――
土精霊様と氷精霊様が乱入して来た形になるの
だけど。
「確かノルト・ダシュト侯爵様でしたっけ?」
「でも留学組は確か、『はろうぃん』の後、
全員帰国したのでは」
同室のミリアさんとルーチェさんも話に加わる。
そう、あの『はろうぃん』が終わった後……
チエゴ国他の留学組は、年越しを家族で過ごす
ために、全員が故郷へ里帰りしたはずだ。
「風精霊だけ帰って来たのですが、
向こうで婚約が正式に決まった後―――
ちょっとマズい事になったって
言ってましたから」
「多分、ワイバーン便か何かで至急来ると
思うのー。
1日あれば来れる距離だし」
それまで話を黙って聞いていたエクセさんが、
「いったい何しでかしたってんだ?
その風精霊サマはよ」
全員の疑問を代弁するかのように、彼女が
質問すると、
「風精霊自身が何かした、という事では
無いのですが」
「今回は風精霊そのものが、問題だったと
思いますの」
??
別に彼(彼女)が何かやらかした……
というわけではないのか?
そして風精霊そのものが問題というのは―――
「あのう、近いうちにダシュト侯爵家が公都に
来ると思いますので」
「シンさんは、そのために予定を開けておいて
欲しいの」
二人の少年少女の言葉に私は困惑しながらも、
「まあ、『はろうぃん』終わった今、
これと言って何かしなければならない事は
ありませんし……
わかりました。
一応、体は空けておきます」
こうして約束をした翌日―――
ダシュト侯爵の一家が、公都『ヤマト』へ
やって来たのであった。
「お、お久しぶりデスネー、シン殿」
「その節はお世話になりました」
私の屋敷の応接室で……
片眼鏡、八の字のヒゲのある30才前後と
思われる男性と、
ほんのりと紅い長髪を揺らしながら、
二十代後半に見える女性が一礼する。
先代ダシュト侯爵様と、その夫人。
クルズネフ・ダシュト前侯爵と、その妻
ルイーズ様だ。
そしてその二人の対角線上に座る二人―――
父親より濃い黄色をしたショートボブ風の
髪形をした、十才を少し過ぎたくらいの
少年と、
薄茶の長髪に白いローブのような衣装を
まとった子供がいた。
ノルト・ダシュト現侯爵様と、風精霊様。
その二人が隣り合って座り、
さらにその対面には土精霊様と氷精霊様が、
カップルのように座っていた。
私から見て、対面が先代ダシュト侯爵様夫妻、
左側にノルト様と風精霊様、そして右側に
精霊様二人組が座り、
背後には娘のラッチが立っている、という
なかなかカオスな配置となっていた。
「それであの、問題というのは」
取り敢えず私の方から話を切り出す。
先代ダシュト侯爵様夫妻は話し辛そうに
していたが、
意を決したようにクルズネフ・ダシュト前侯爵が
口を開き、
「実はデスネー、ワタシたちの息子である
ノルトと、風精霊様が結婚してくださる事が
正式に決まったんデスヨー」
「精霊様を迎え入れるというのは大変名誉な
事で……
以前、我がチエゴ国はフェンリルの
ルクレセント様との婚約も決定して
おりますが、それに続く慶事だと国を挙げて
喜ばれていたのですが」
それだけ聞くと、めでたく喜ばしい事にしか
聞こえないのだけれど、
次に風精霊様が、今日一番の爆弾を
投げ込んで来たのである。
「それなんだけどねー。
ホラ、ノルトって男でしょ?
それで僕の性別なんだけど……
わかんないってゆーか、決めてなかったん
だよね」
「ハ?」
その言葉に思わず疑問形の声が出てしまう。
そこでおずおずと土精霊様が片手を挙げ、
「実は精霊化する際は、その元となった時の
生き物の性別が反映される事が多いのです」
「土精霊もわらわも、元々は人間だったの。
だからその時の性別がそのまま、精霊化した
時も引き継がれたんだけど―――」
そこでチラ、と視線が風精霊様に移り、
「僕はねー、そのまま自然現象?
が精霊化したような感じなんだよねー。
近い存在といえば、レムちゃんがそうかな」
確かにレムちゃんは岩のゴーレムであり、
無機物が自我を持ち始めたものだ。
岩に性別はなく、今は女の子っぽい衣装を
着せられているだけで……
男女どちらでもない、が正解だろう。
「じゃあ、風精霊様はもともとは風だった、
という事デスカー?」
先代侯爵様が質問すると、
「どうだろうねー?
風だった時の記憶なんか無いしさー。
でも多分、男も女も無い存在だったんだと
思うよー」
「そ、そうですか……」
そこで先代侯爵夫妻は二人して頭を抱える。
そりゃあ、自分たちの最愛の息子の婚約が
決まったかと思ったら―――
相手は男でも女でもない、と知ったら……
いやこの場合男でも問題か。
何せ、跡継ぎを産めない=お家断絶という事に
なってしまうから事態は深刻だ。
「取り敢えず、性別をどちらかに固定するって
事は出来ないのー?」
私の背後から、ラッチが意見を述べると、
「あの、失礼ですがこの子は誰デスカー?」
「父上、この人はラッチちゃんです。
アルテリーゼ様のご令嬢で―――」
「あら、まあ」
そういえばご夫妻は会うのは初めてか。
しかし、これで少しは緊張がほぐれたのか、
侯爵の家族に笑顔が浮かぶ。
「方法は考えられなくは無いのですが」
土精霊様の言葉に、全員の視線がいっせいに
そちらへ向く。
「ど、どのような事デショウカー!?
協力は惜しみマセンヨー!!」
先代侯爵様がすがるように聞き返す。
「恐らく、精霊化する際に性別は決まるのだと
思われます。
ですので、いったんシン殿の『抵抗魔法』で
風精霊の魔力を無効化してもらえば、
あるいは……」
「それでいいんですか?
私としては別に構いませんが」
そう私が答えると、氷精霊様が首を左右に
振って、
「そう簡単な話でもないのー。
恐らく風精霊は、純粋な精霊に近いと
思われるの。
だから魔力そのものが存在を作っていると
考えられるの。
その魔力が一時的にもなくなってしまうと
いうのは問題なの」
「え……っ?
つ、つまりそれって、風精霊様が消滅して
しまう可能性があるって事!?」
婚約者である少年が思わず大きな声を上げる。
「うーん、でもこのままだといけないん
だよねー?
じゃあここは一発、賭けてみよっか」
あっさりと話を進めようとする風精霊様に、
「そんな事で息子の婚約者を失うわけには
いかないんデスヨー!!」
「それに風精霊様との婚約はすでに、国の
内外に発表されてしまっているんです。
その精霊様に何かありましたら」
クルズネフ・ダシュト前侯爵様とルイーズ様が、
それで起こるであろう影響を危惧する。
特に婚約者となった精霊様が消滅、なんて
事になったら―――
悪い噂が立つ、なんてレベルじゃないだろうし。
「え? 別にいーじゃん。
それに結婚なんて人間の間じゃ、賭けみたいな
ものでしょ?」
「どこでそういう事を覚えてくるんですかね?」
軽く返す風精霊様に私がツッコミを入れる。
何ていうか、命に対する感覚が希薄というか……
そういえば自分の眷属に手を出された事で、
ハイ・ローキュストの大群に滅ぼされそうに
なっていた新生『アノーミア』連邦を、見殺しに
しようとしたくらいだしなあ。
だけど、ダシュト侯爵家に取っては今後に
関わる事だ。
世継ぎもそうだけど、婚約者であった風精霊様を
消滅させてしまったら―――
下手をすれば同盟諸国から責任を問われる
可能性だってある。
するとそこで、ラッチが後ろから私の肩を
トントン、とつつき小声で、
「(要は消滅させなければいいんでしょ?)」
「(ま、まあそれはそうだけど)」
私も小声でうなずくと、娘はさらに耳に口を
近付けて来て、
「(おとーさん、条件付きで無効化出来るん
だよね?
だから、魔力無しでも死ぬ事や消滅する事
なんてあり得ないって……
そう条件を付けてみたら?)」
「あっ」
思わず声を上げてしまい、それで今度は私に
注目が集まる。
確かにそうだ。
二重三重に条件を付けるなんて、今までも
やって来た事だし―――
それで最悪の結末は回避出来るはず。
「いったん、魔力を無効化すれば
いいんですね?」
「は、はい。
魔力は無くても精霊である事そのものは、
継続出来ると思いますから」
「要は魔力を回復する前に、自分で性別を
決める事が出来ればいいと思うのー」
二人の精霊様の許可を得て、
「じゃあ、やってみます。
あと、一時的に魔力を無効化させますけど、
多分お腹がすごく空くと思いますので。
ラッチ、ちょっと適当に食べるものの準備、
お願い出来るか?」
「りょーかい!」
確か『はろうぃん』用に準備したお菓子の
残りが、いくつか余っているはず。
それを娘に取りに行かせた後、私は風精霊様を
部屋の中央に立たせて、
「では『抵抗魔法』をかけます。
よろしいですね?」
「わかったー。
んで僕は、女の子になればいいんだね?」
風精霊様の言葉に周囲はうなずいて同意すると、
「では……
皆さま、巻き添えになるかも知れませんので、
少々離れてください」
そして他の全員を離れさせると私は小声で、
「(魔力が無くなっても死ぬ事などあり得ない、
そして、魔力がある事などあり得ない)」
そうつぶやくと、
「……?
何か体がすごくダルくなったような。
これでいいのかなー?」
風精霊様は自分の体のあちこちを見回す。
とはいえ、外見上はもともと中性的な体と
顔立ちをしているので、違いはわからず、
「えっと……
じゃあ、私が確認を」
「そ、そうデスネー。
お願いシマス」
ルイーズ様の申し出に夫が答え、二人を
残して私たちは廊下へと移動し、
そこで食べ物を持って来たラッチと遭遇し、
「あれ? どうなったの?」
「いや、今確認中で―――」
そう話したところ、応接室の扉がバン!
と勢いよく開かれ……
「やったよー、ノルトちゃん!!
僕、女の子になったってー!!」
と、風精霊様がノルト様に抱き着くと同時に、
『ぐぎゅるるるぅ~……』
と、大きなお腹の音が廊下に響き、
「あ、あれ?
何かすごくお腹が減ってきたような」
「大丈夫!
今食べ物持ってきたから!
早く部屋に戻って食べて!」
そこでルイーズ様も顔を出し、
「で、ではどうぞ早くこちらへ」
そこで全員が応接室へと戻り―――
風精霊様は、勢いよくお菓子を食べ始めた。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
みなさまのブックマーク・評価・感想を
お待ちしております。
それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
こちらもよろしくお願いします。
【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】
https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288
ネオページ【バク無双】
https://m.neopage.com/book/31172730325901900
【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894
【指】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914
【かみつかれた】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686
【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958





