254・はじめての あとしまつ
|д゜)年末年始もいつも通り更新!
(それだけが取り柄)
「え~と……
賞金首クラスが2人、後はケチなコソ泥が
5、6人というところか。
他は下っ端と―――
そんで報酬は……」
「あ、ギルド長。
後でそりゃ下で合算してもらうッスから。
今はとにかくサインして欲しいッス」
冒険者ギルド支部、その支部長室で―――
その部屋の主であるアラフィフの筋肉質の男と、
褐色肌の青年が、父子のように事務処理に
追われる。
もともとは……
『はろうぃん』の警備の予行演習として、
門番兵長であるロンさん・マイルさんと一緒に
北側で自分の能力を使って、隠蔽や隠密を
見破る目的で使ってみたのだが、
本当に不審者を発見してしまい―――
賞金首や盗賊など、犯罪者たちを捕まえて
しまった事で、
その報酬を受け取るために、私は彼らと一緒に
ギルド支部まで来たのである。
「おし、これでいいかレイド」
「あざーッス。
じゃあ、下に提出して来るッス!」
レイド君はジャンさんから書類を受け取ると、
そのまま退室し、
部屋にはアラフォーとアラフィフのおっさん
二名が残された。
「ったく……
余計な仕事を増やしやがって、アイツら」
不満そうな顔をしながら、ギルド長はドカッと
ソファに腰掛ける。
「しかし、どうしてわざわざ公都に―――
ドラゴンとワイバーン、その他亜人・人外が
これだけいて、悪さが出来るとでも思って
いたのでしょうか」
私が疑問を口にすると、ジャンさんは軽く
ため息をついて、
「少し前なら、まあやりようはあっただろうが」
「え?」
彼の言葉に私が思わず聞き返すと、
「スラム地区だよ。
あそこは正式な公都区域じゃなかっただろ。
ちょっと前まではリコージが、非合法組織とか
作っていたんだ。
その時ならつけ入るスキもあったんだろうよ」
(■224話
はじめての かんゆうとうでだめし参照)
あー、そうか。
確かにあの時なら、かなり治安が悪かった……
というか勝手に公都周辺に住み着いた人たち、
って扱いだったから、どうにも出来なかったん
だよなあ。
「でもリコージさん以下、私たちが
捕まえましたし……
そういった情報は入っていなかったん
でしょうか」
「それがよ、来た連中はみんな―――
偵察とか下見の類だったらしいんだ。
ホラ人間、自分の目で見なけりゃ信じない
面倒くさいヤツもいるだろ?
で、これまでにもそういう連中が何度か
来た事はあったみたいなんだが、
自分の目で確認して、『ダメだこりゃ』
って事で何もせず引き返していたらしい」
それを聞いて私は微妙な表情になる。
「え~と……
つまり盗賊や犯罪者の間では、ここでは
悪さ出来ないというのは共通認識だったと。
で、それでも納得出来ない人たちが自分の目で
確認して、帰っていくのが定番でしたが、
それを私が発見してしまったという」
「そういうこったな。
ま、警備強化されたとわかれば、
そういう事をするヤツも減るだろう」
私も対面のソファに座りながら、ふぅ、
と軽く息を吐く。
「しかし、まだ盗賊とかいたんですねえ。
ちょっと前に、男が少ない種族が
パトロールして狩りまくっているっていう
話があったと思うんですけど」
(■206話
はじめての くうちゅうせん(だんたい)参照)
「そりゃあすぐには絶滅しねぇよ。
他国に逃げるとか、身を隠したりも
するだろうしな」
そこでいったん、二人とも飲み物に口をつけ、
「捕まった犯罪者は牢屋行きでしょうか」
「盗賊とかはそうだろうが、賞金首は死刑が
決まっていると思う。
処刑は王都に送られた後でやるだろうが」
まあそれは仕方ないか。
私がこの世界に来たばかりで出会った、
『血斧の赤鬼』・グランツとやらも―――
各地で女性を要求したり、殺したりしていたって
話だったし。
そんな事をギルド長と話していると、
「あ、シンさん。
ちょっといいッスか?」
そこへレイド君が戻って来て、
「はい、何でしょうか?」
「え~っと、その~……
例の、犯罪者狩りをしている亜人・人外の
パトロール部隊がですね。
殺すくらいなら賞金首を引き渡して
欲しいと―――」
彼の言葉に、私は視線をジャンさんに向けると、
「おう、出来るぜ。
シンがとっ捕まえたんだから、犯罪奴隷として
売り払う事も可能だ」
「え?
でも賞金首って、国に渡して賞金を
もらうものでは?」
私の疑問にギルド長は首を軽く振って、
「今回のは『生死に関わらず』だし……
すでに事務処理は済んでいるんだ。
むしろ売り払ってくれた方が、王都へ移送する
手間が省けるってもんだ」
「そういうものなんですか」
そこで私は考える。
死刑囚とはいえ、生き残るチャンスがあれば、
そうした方が私も気が楽になるだろう。
ただそれだと、彼らの被害者や遺族がどう
思うか―――
それも考えるとなると。
「ちなみに、欲しいって言っている種族は
わかりますか?」
「そーッスねえ。
聞いてくるッス」
「あ、すでにいらっしゃるんですね?
それなら私も一緒に……」
そして私はジャンさんを残して、レイド君と
一緒に一階へと降りて行き―――
パトロール部隊との交渉に入った。
「それでどーしたの?」
「奴隷に関わるとは珍しいのう」
アジアンチックな童顔の女性と、大人っぽい
色気とプロポーションの……
二人の妻がそれぞれ感想を述べる。
翌日、産院に寄った私は―――
昨日の出来事を家族と共有していた。
「結局売ったのー?」
ショートの黒髪の娘が、興味津々という
目を真っ赤に光らせて聞いて来る。
「ああ、条件付きで売ったよ」
「ん? とゆーと?」
「どのような条件を付けたのじゃ?」
メルとアルテリーゼが聞き返して来て、
「1人はハーピー族に、もう1人は人魚族に
売ったんだ。
ただし、絶対に逃がしてはならないという
条件でね」
そこで妻二人と娘は揃って首を傾げ、
「ん!?
でもハーピー族と人魚族だよね?」
「あやつらの住処は……
とても高い樹木の上か、水中深くに作って
いるのではなかったか?」
「ウン。脱出は出来ないんじゃないかなー?」
メルとアルテリーゼ、ラッチが口々に
疑問を語る。
「だからこその念押し、というのかな。
被害者や遺族が生きていたら、そいつが
のうのうと暮らしていくのは耐えられない
だろうしさ。
下手をすれば一生、地上は拝めない。
それくらいの罰はあってもいいだろう」
「それが条件?」
人間の方の妻の言葉に、私はうなずいて、
「ああ、もう1つある。
それは、賞金首だから賞金は出るん
だけどさ。
そのお金と合わせて、奴隷として売った
お金は―――
被害者や遺族への賠償金にあてさせて
もらった」
グランツの時はお金は入用だったから、
ありがたくもらったけど……
今の私には十分過ぎるほどの蓄えがあるからな。
「そういえば今日は、他の方々の姿が
見えないけど」
ふと話題を変え、病室を見渡す。
「ミリアさんは、ルーチェさん、エクセさんと
一緒に児童預かり所に行ってるよー」
「ほれ、みんな孤児院出身であろう?
それと、産まれてくる子供の名前に
ついても、聞いてくると言っておった」
ふむふむ、と妻たちの言葉にうなずき、
「あー、私もそろそろ決めておかないとなあ。
男の子と女の子。
一応、候補はあるんだけど―――」
「えっ!? そうなの!?」
「ぜひ聞かせて欲しいものじゃのう」
そこで私は懐からメモを取り出して、
「メルの子は……
男の子だったら『シンイチ』、
女の子だったら『メルリア』。
アルテリーゼの子は―――
男の子だったら『リュウイチ』、
女の子だったら『エリーゼ』。
で……ど、どうかな?」
恐る恐る家族に聞くと、
「どういう意味なの?」
ラッチがメモを覗き込みながら聞いて来るので、
「ああ、メルの方は―――
『シンイチ』は私の名前を取っているんだ。
イチ、というのは数字の一番目とか一回目と
いう意味」
「『リュウイチ』のイチも同じなのじゃな?」
そこでドラゴンの方の妻が割って入り、
「『メルリア』はまあ、私の名前をもじった
感じだねー。
リアは何か意味ある?」
当人であるメルも続けて聞いて来て、
「私の国じゃないけど、地球のある国の
言葉で、晴れやかとか明るいという
意味だよ」
フランス語だけど、確かそういう感じの
言葉だったはず。
「へー、そうなんだ。
じゃあ『リュウイチ』のリュウって?」
ラッチが興味津々で質問を続ける。
「リュウは私の国の言葉でそのまま、
ドラゴンって意味になる。
もっともあっちじゃ想像上の生き物だけど」
「面白いものよのう。
実在しないのに言葉があるなんて。
ではエリーゼとはどのような意味なのだ?」
女の子の方の意味をアルテリーゼが問い、
「もちろん、アルテリーゼの中から取った、
という事もあるけど……
自分の国じゃないけど、一般的な女性の
名前であり、
神に対する約束とか誓いとか、そういう
意味もある名前だ」
それを聞いた家族からは『おぉ~……』
という声が上がる。
「じゃあボクはボクはー?」
「ラッチちゃん、あのねぇ」
「絶対わかってて言っておるだろう」
キラキラした目で聞いて来る娘に、妻二人は
苦笑しながらツッこむ。
ラッチは児童預かり所の子供たちが言っている
間に、自然と定着してしまったようなものだから
なあ―――
と思っていると、
「ラッチ……あれ?」
そこで私はふとある意味を思い出す。
「え!? ホントに何かあるの?」
「いや何でお前が驚くのじゃ」
娘に実の母親が再びツッコミを入れると、
「繋がる、もしくは繋がりを維持する、
という意味がある。
私の世界で、だけど。
格好良く言えば絆、と言ってもいいかも」
ドアを閉めた状態を維持する部品の名前で
あったり、データを保持したりする場合でも
使われる。
やや無理やり感はあるが、ここは
異世界だし―――
そういう意味で使ってもいいだろう、多分。
「おぉ~……
いい名前だったんだね、ラッチちゃん」
「児童預かり所の子供たちには感謝せぬとのう」
と、和やかな雰囲気になったところで、
「ただいまー」
眼鏡をかけたタヌキ顔の女性と、
「あ、シンさん」
亜麻色の髪を三つ編みにした、少女のような
童顔の女性、
「おー、向こうにいないと思ったら」
赤い長髪の三人目―――
全員がお腹が大きな妊婦……
ミリアさん、ルーチェさん、エクセさんが部屋に
戻って来て、また名前の話題で盛り上がった。
「はあ。
大ライラック国とモンステラ聖皇国が……
ですか」
数日後、私は冒険者ギルド支部にある
魔力通信機で、
ライさんからとある情報を伝えられていた。
『お前さんこの前、両国の一部隊の魔法・魔力を
無効化させたろ?
それで、同様の症状を解決したっていう、
チエゴ国のルクレセント殿に要請が
来たらしい』
そこで別の声に変わり、
『ティエラです。
詳しくはわたくしからご報告を―――
どうも大ライラック・聖皇国の両部隊は、
以前魔法・魔力を無効化された間者を
『治した』という噂の、フェンリルの
ルクレセントさんを、ランドルフ帝国の
大使館に来て頂き相談に乗って欲しいと……
我が国経由で要請を伝えて来ました』
確かにあちらの大陸でも、『ゲート』の秘密を
探りに来た間者たちの魔法・魔力を無効化させ、
それをルクレさんの力に見せかけて元に戻した
事はあったけど―――
「なあ、両国から来たのか?
同時に?」
私の疑問を代弁するように、ジャンさんが
魔力通信機に話しかける。
『両国共同で来たようだ』
『理由としては……
奇妙な現象が起こる土地を調査しようと
していたところ、
両国の派遣部隊がそこで鉢合わせて、
同時にその症状にかかったと。
『敵対しているわけではない』ので、
両国共同でランドルフ帝国に打診して来た
そうです』
ギルド本部長と王女様が交互に語る。
なるほど……
そういう落としどころにしたのか。
前後が逆になるが、魔法・魔力を無効化された
という事実はあるわけで、
不審な土地を調べようとしたところ、
『たまたま』『偶然にも』両国の部隊が
同時にそこへ現れ、
そして両部隊とも同じ症状にかかり―――
その事について両国で『話し合った』結果、
そういう症状を治したという噂のある、
ルクレセントさんへ……
ランドルフ帝国経由で相談したい、
という事にしたわけだ。
「何とも面倒な事ッスねえ」
私と同様の結論に至ったのか、レイド君も
呆れたように声をあげる。
「それで、どうするんですか?」
『チエゴ国にはすでに伝えてある。
ルクレセント殿は船旅を嫌がっている
ようだったが―――』
『わたくしの『暴風』があれば、
片道2日で船で行く事が可能です。
どの道、『ゲート』は機密中の機密ですので、
大っぴらに使う事は出来ませんし……
ですので、向こうの大陸までは船で来て
頂いて、帰りは船に乗った事にして、
『ゲート』で帰って頂く事で了承して
もらいました』
当然、婚約者であるティーダ君も
一緒なんだろうなあ、と思っていても
口には出さず。
「私はどのように動けば?」
そう言うと、向こうは一瞬黙り込んで、
『いいのか?』
『無効化はシン殿にしか解けませんから、
どう依頼したものか考えていたのですが』
意外そうに返す彼らに、私はぽりぽりと
頬をかいて、
「そもそも、ルクレさんにそういう役を
頼んだのは私ですから……
そのルクレさんに行きだけとはいえ、
船での移動を強制するんですから」
それに、自分はこの症状を治すという行為に
関係無い事になっているし、顔は出せない。
それなら、移動は『ゲート』だけで済むだろう。
『協力に感謝する。
いつもスマンな』
『ではわたくしはこれから『ゲート』で戻り、
急ぎ船でこちらへルクレセント殿を迎えに
来ます。
それでは、失礼します』
という二人の言葉で魔力通話機は切れ、
「とゆーわけで、またランドルフ帝国へ
行って来ます」
「おう、頼むわ」
「お疲れ様ッス」
その後、私は家族へその事を伝え―――
三日後にティエラさんが乗って来た船に、
ルクレさんとティーダさんが乗船。
そして五日後……
私は『ゲート』でクアートル大陸へと
向かったのであった。
「ほぉ。
いきなり魔法が使えなくなり……
魔力も無くなったと。
それは難儀な事よのう」
ランドルフ帝国に建てられた大使館の一角―――
チエゴ国に割り当てられた区域で、
銀髪のロングヘアーに、切れ長の目をした
女性が、
その横に、犬のような耳に巻き毛のシッポを持つ
黒髪の少年を抱き寄せながら語る。
フェンリル・ルクレセントと……
その夫(予定)である獣人族のティーダは、
大ライラック国とモンステラ聖皇国―――
シンによって魔法・魔力を無効化された部隊の
責任者二名を前にして対応していた。
「とある土地で、突然このような症状に
見舞われてしまったのです」
「命に別状は無いようなのですが、満足に
動けませんし、空腹になるのが早くて……
以前、似たような症状になった者たちを
治した事がある、という話を聞いて、
こうしてこちらに参った次第です」
いかにもな鎧姿の軍人と、宗教色の濃い衣装。
対照的な二人が自分たちの状態を告げる。
そしてルクレさんの後ろの物陰で、私は
話を聞いていた。
もちろん、打ち合わせての行動である。
「ふむ、確かに魔法や魔力を使えなくなった
者を―――
この地でウチが治してやった事はあるが」
その答えに、両国の二人はやや抑えながらも
顔色を明るくするが、
「だがのう、それは……
ウチの国の同盟国、ランドルフ帝国において
敵対行為と思える事をやった者たちじゃ。
ウチはフェンリルなのでな。
心ならずとも、ウチやその周囲に害をなす、
もしくは及ぼそうとした者は、そうなって
しまうようでのう」
ゴクリ、と両者からつばを飲み込む音が聞こえ、
「つまり―――
ここでウチがお前たちを治せたら、それは……
お前たちがウチやその周辺に対し、害意を
持っていたという証に他ならぬ」
予想外の話の展開に、大ライラック国と
モンステラ聖皇国の代表者は、ブンブンと
首を左右に振る。
「そ、そのような事はまさか」
「心当たりが全くございません!!」
まあそれはそうだろう。
実際、何の関係も無いんだから。
そしてルクレさんは打ち合わせ通りに、
「何も覚えは無いと申すか?
それでは、ウチは何の役にも立たぬのう」
そう言って彼女は席を立とうとすると、
「お、お待ちを!」
「そのような事を言われても、私どもはただ
未開拓地の調査をしていただけにございます!
決してルクレセント様のお怒りを買うような
真似は―――」
聞く耳無し、という体の彼女にティーダ君が
腕にしがみつき、
「ルクレセント様。
多分、この方々は本当に何も知らないだけかと
存じます」
「む……」
渋々、という感じで彼女は再び席につき、
それを見て軍人と宗教者の二人はホッとした
表情を見せる。
「ふぅむ……」
軽く息を吐いてから、ルクレさんは二人を
見つめ、
「ウチはフェンリル。
あらゆる獣の守護者であり、それには
獣人も含まれる。
そなたら、亜人や獣人に―――
害を成した事は無いか?」
その言葉に両国の代表者は顔を見合わせ、
「それは……
大ライラック国は周辺諸国を従えて
おりますので。
国としてこれまでになかった、とはとても
申せませんが」
「モンステラ聖皇国も―――
布教によって勢力を拡大して来ました。
中には抵抗する者も納得しない者も
おりましたでしょう」
彼らの言葉に彼女は首を左右に振って、
「それなら、ランドルフ帝国も似たような
ものじゃ。
それまでに何事も無かったのであろう?
なぜ突然そうなったのか……
心当たりは無いのか?」
そうは言われても、という顔をする二人。
そこへ獣人族の少年が、
「あの、よろしいでしょうか?」
場違いな子供の発言に両者は戸惑うも、
「ああ、彼はウチの夫となる者よ。
幼いからとて軽んじるでない。
それでティーダ、どうしたのだ?」
ルクレさんの発言で、対峙する両者は
体勢を直し、聞く姿勢を見せる。
「ええと、ルクレセント様は争いを好みません。
そしてそれぞれの事情に積極的に介入する事も
ありません。
ただ、明確な害意を見せたり、何かの一線を
越えたりした場合―――
天罰というか、警告という意味で力を発揮する
場合もあります」
婚約者の少年の説明に、ウンウンと彼女は
うなずく。
「とは言われましても」
「本当に心当たりが無いものは、答えようが」
困惑しながら二人は何とか言葉を発する。
「ふーむ……
だとしたらお主らのお仲間が、何かしら
やらかした可能性はあるのう」
「そ、そんな」
大ライラック国の代表から、困惑する声が
返されるが、
「ですが、それではあまりにも気の毒過ぎます。
一応、治せるでのあれば治して差し上げたら
どうでしょうか。
それでもし本当に解決しましたら―――
本国が何かしら関わっていたのでしょう。
逆に治せなかったら、無関係という事に
なりますけども……」
「お、お願いします!
この状態が治るのであれば、どのような
事でもやってみてください!!」
ティーダ君の言葉に、モンステラ聖皇国の
代表が拝むように頭を下げる。
まあ、ここまで反応を見ればいいか―――
多分この二人は何も知らないのだろう。
亜人・人外の兵器化計画とか……
ただ今回はこれでいい。
『お前たちはとんでもない事をしでかしたのだ』
というメッセージを伝える事が出来れば。
「まあ、やってみるか」
ルクレさんの言葉を聞いた彼らは、パアッと
明るい表情になり、
いかにも何かしているかのように、片腕を
彼らに差し出して両目を閉じる。
そして私は小声で、
「この世界では、魔法・魔力があるのは―――
・・・・・
当たり前だ」
そう小声でつぶやくと、
「お、おおっ!?」
「つ、使えます!!
身体強化が……!
魔法が、魔力が戻って来ました!!」
喜ぶ彼らに対し獣人族の少年が、
「あのう―――
お喜びのところ申し訳ないのですが……
それで治ったという事は、ルクレセント様が
許さない、何らかの事をしたという証明にも
なってしまいます。
本国に戻られたら、ぜひ原因を調べる事を
おすすめいたします」
彼の言葉に、両国の代表は顔を見合わせ、
「も、もちろんであります!!」
「か、必ずや!!」
一人は最敬礼を、もう一人は深く頭を下げ、
「さて、お主らだけではなかろう?
この部屋に連れてまいるがよい」
「は、はいっ!!」
「直ちに―――」
そして彼らは部下を呼びに慌ただしく
退室し、
そこからしばらく先、無効化を元に戻す
作業に入った。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
みなさまのブックマーク・評価・感想を
お待ちしております。
それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
こちらもよろしくお願いします。
【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】
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ネオページ【バク無双】
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【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】
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【指】【完結】
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【かみつかれた】【完結】
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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
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