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253・はじめての もんばん

|д゜)初めて小説サイトで警告というものを

食らった(カクヨムでだけど)


クアートル大陸、その北西―――


大ライラック国とモンステラ聖皇国の

中間地点で、双方の軍は膠着(こうちゃく)状態に

(おちい)っていた。


大ライラック国はそれなりの重装備兵、そして

有力な攻撃魔法の使い手で構成されていたが、


「もう10日以上も動きがありませんが」


「仕方あるまい。

 こちらから仕掛けるのは厳禁だと

 命じられている。


 かと言って撤退(てっしゅう)も許可されていない。

 全く、軍隊の命令ってヤツは……」


身なりからしてそれなりに地位にいるであろう

軍人が、現状に苛立(いらだ)ちを隠せずに愚痴(ぐち)る。


「モンステラ聖皇国―――

 あちらからは何か言って来てないのですか?」


それを聞いた上官らしき男はますます眉間(みけん)

シワを寄せて、


「モンステラ聖皇国の近隣で軍事行動は

 認められない、撤収(てったい)しろと言って来ている。


 だからこそ余計に退く事は出来ん。


 領土内であればとにかく、ここはどこの

 所属でも無い土地。

 それに聖皇国近郊ならともかく……

 いわば大ライラック国ともモンステラ聖皇国

 とも離れた場所で、そんな言い分を聞いて

 本国に戻ったとあれば、後でどのような

 処分を降されるか」


そう言いながら彼はため息をつき―――

それを聞いた部下であろう男もそれに続いた。




「敵に動きは?」


「まったく見られません。

 ここで冬を越すつもりでしょうか……」


一方でモンステラ聖皇国側も、一向に変わらない

この状況に精神を消耗(しょうもう)させていた。


「いったい誰が、大ライラック国に

 『退け』なんてバカな通達を出したんだ?


 まず目的を問い、お互いに面子(めんつ)を潰さない形で

 双方引き上げれば良かったものを」


モンステラ聖皇国聖兵隊―――

大ライラック国とは異なり、宗教的な衣装に

身を包む彼らの中でも、身分が高そうな男が

ぼやくように部下に語る。


「た、大変言い難い事なのですが……

 今回の偵察部隊の隊長自らが」


それを聞いた彼は、うなだれるように

頭を下げる。


「いくら宗教国家とはいえ―――

 現実を見てくれよ、クソが。


 レオゾ枢機卿(すうききょう)様からは何か来てないのか?」


「ハッ、『くれぐれもこちらから戦端(せんたん)

 開いてはならぬ』と……


 また部隊長については、今回の遠征から

 戻り次第、任を解くとの事でした」


聖皇国も聖皇国で、泥沼のような状況に

焦りを感じていたが、


現状、有効な打開策は見当たらず―――

いたずらに時を費やすだけであった。


そこに、警報のような音が響き、


「!? どうした!?」


「報告します!

 魔力感知器に反応アリ!!


 何かが猛スピードで接近中!」


慌ただしく駆けつけて来た他の隊員が、

上司に状況を報告する。


「大ライラック国の攻撃か!?」


「い、いえそれが……

 方向は、未開拓地の森からという事で」


「何だと?」


その情報に、彼らは顔を見合わせた。




「この速度……!

 恐らくは地上のものではありません!

 飛行型と思われます!」


一方大ライラック国側でも、その未知の反応は

とらえており、対応に追われていた。


「ハーピー族か!? それとも―――」


「速度からいってドラゴンかワイバーンに

 匹敵するものと思われます!」


「上空警戒!!

 よりによってこんな時に……!!」


レーダーのような魔導具の画面で、ただひたすら

近付く点を彼らは凝視する。


「ま、間もなく目視可能範囲に接近します!!」


魔力感知器担当者の言葉に―――

誰からともなく視線が空へと向かうが、


「……?」


「何もないぞ?」


彼らは目を凝らして上空を見つめるが、

それらしきものはなく、


「な、なおも接近中!!

 接敵(せってき)します!!」


それでも、その反応が接近し続けるという

魔力感知器担当者の報告に、全員が困惑した

表情になるが、


「下だーっ!!」


「敵は地上から来る!!

 総員備え……!!」


それが空からではなく陸上をやって来ると

認識した時には、すでに遅く―――


そして一陣の風が両軍の間を吹き抜けたと

思った後、


「い、今のは!?」


「確認出来ませんでした!

 しかし、翼が見えたような……」


「魔力感知器はどうなっている!?」


担当者に確認するよう声が飛ぶ。

だが当人は画面を見つめたまま目を丸くして、


「ま、魔力反応ナシ!

 突然消えたように……ん?


 こ、故障?

 画面に何も(うつ)りません!


 他の魔導具はどうなっていますか?」


するとあちこちから呆然とした声で、


「魔力感知器作動せず!!

 故障のようです!」


「こっちもです!」


「な、何がどうなって」


と、次々と同様の報告が上がり―――




「だ、ダメです!!

 魔力感知器だけではなく、全ての魔導具が

 故障したようです!」


モンステラ聖皇国側でも、同じような現象に

襲われており、


「『範囲索敵(サーチ)』を使え!!

 使い手を連れて来たはず……!」


「そ、それが―――

 そちらも突然、魔法が使えなくなったと。


 部下たちの間でも、身体強化(ブースト)すら

 使えなくなったという報告が……」


「何が……起きているのだ……」


そして両軍とも混乱の(うず)に包まれ―――

体制を立て直すのに時間を要した。


原因究明のため、両軍でどちらからともなく

交渉が持ちかけられ……


そのため同時に双方とも国へ引き返す事で合意、

それが実行されたのは数日後の事である。




「とゆーわけで任務は完了しました。


 あれで双方とも有効な攻撃手段を喪失(そうしつ)

 したでしょうから―――

 肉弾戦やりたければご自由に、って感じです」


「お、おう」


私は公都『ヤマト』で、レイド君と

ワイバーンの二名……

『ハヤテ』さん、『ノワキ』さんと一緒に

ジャンさんに任務の詳細を報告していた。


「連中、空ばかり警戒していたようッス

 からねえ。

 まさか地上スレスレを飛んで来るとは

 思ってもみなかったらしくて」


褐色肌の次期ギルド長の青年がドヤ顔で、

筋肉質のアラフィフの現ギルド長に語る。


「範囲索敵や魔力感知器も当然、用意していたで

 しょうが―――」


「空高く飛ぶ事の出来る我々が、まるで

 地面を駆けるがごとく飛んで来るとは

 想定していなかったのでしょう。


 盲点(もうてん)、というやつです」


いかにも戦士といった顔の、白緑(びゃくろく)の短髪をした

青年の姿をした『ハヤテ』さん、


そして黄色い髪を持つ、細マッチョな感じの

『ノワキ』さんが順に語る。


魔法・魔力を無効化させる……

それ自体はいつもの作戦と変わりなく思えたが、


かつこちらがどの国に属しているか、

不明のまま終わらせる。


という条件もあったので―――

今回のような作戦を実行した。


まずレイド君の範囲索敵で目標を発見後、

即座に急降下、


そして地上四・五メートルほどを猛スピードで

飛んでもらい、


両軍の間を突っ切り、その間に魔法・魔力を

無効化させ、


その後、レイド君の範囲索敵で目標から

ギリギリのところ……

視界から完全に消え去るまで低空飛行を続行。


目標から十分離れたと思われたところで、

高度制限を解除。

そして迂回(うかい)して未開拓地の森へ帰還、

というのが今回の作戦経緯であった。


「まあ、そのために何度も公都で演習を

 行ったわけッスけど」


「低空を(すさ)まじい速度で接近してくる、

 ワイバーンか―――


 範囲索敵や対空魔導兵器を持っていたと

 しても、意表を突かれただろうな」


レイド君とジャンさんがうなずき合う。


()の必ず(おもむ)く所に出で、

其の(おもわ)ざる所に趨き、

千里を行きて労せざるは、無人の地を

行けばなり。


『敵の予想外もしくは斜め上を突っ走れ』


孫氏の兵法で、ぶっちゃければそういう事を

したのである。


「何にしてもご苦労だった。


 その後の事は恐らく、ランドルフ帝国から

 報告が来るだろう。

 あの王女様経由でな。


 4人とも、ゆっくり休んでくれ」


ギルド長の言葉に全員が一礼し、


「……これで、子供が産まれるまであちらも

 大人しくしてくれればいいんですけど」


私がぼそりとそうつぶやくと、


「そんな理由で―――

 いえ、シンさんにすれば十分な理由

 なのでしょうが」


「妻が出産間近だからという事で、魔力・魔法を

 取り上げられた両軍が不憫(ふびん)で……」


ワイバーン二人組のハヤテさん・ノワキさんが

微妙な表情でこちらを見つめ、


「い、いやだってこれは両軍の衝突を防いで、

 クアートル大陸の安定を図るためにですねっ」


「でもずっと言ってたじゃないッスか。

 『もうすぐ子供が産まれるというのに、

 余計な事を……!』って」


「まあそういじめるな。

 多分2割くらいは争いを止めるためだろ?」


次期ギルド長と現ギルド長が父子のように、

息ピッタリで私に疑惑の目を向けて、


「8割は妻の出産のためじゃないですかー!!

 否定はしませんけれども!」


「否定しないんですか」


「しないんだ……」


と、ワイバーン二人組にも呆れられ、

半ばカオスな状態となり―――

落ち着いてギルド支部を後にするまで、

三十分ほどかかった。




「……とゆーわけで、何とか依頼を

 終わらせて来ました」


そのまま産院に足を運んだ私は、

アジアンチックな童顔の妻と、ドラゴンの

方の目鼻立ちが欧米風の妻に情報を共有

していた。


「あはは、お疲れー」


「じゃが、我らの子供のためとは

 嬉しいのう。

 相手にしてみたらたまったものでは

 なかろうが」


メルとアルテリーゼは苦笑しながら、

お腹に視線を向ける。


「しかしまあ、これで一段落つきそうだ。

 もう本格的に冬になる事だし―――

 軍を動かす事は無いと見ていいんじゃ

 ないかな。


 やっと家庭の事に専念出来るよ」


用意されたイスに腰をかけて、ベッドの上の

妻たちを(いたわ)る。


「レイドもお役に立てたようで何より」


丸眼鏡をかけたタヌキ顔の女性……

レイド君の妻、ミリアさんも会話に参加し、


「あれ?

 今日はレイド兄ちゃんは?」


「シンさんと一緒じゃないんですか?」


長身で焦げ茶の短髪の青年、ギル君と、

その妻で亜麻色の髪を後ろで三つ編みにした

少女、ルーチェさんが夫婦で私に問う。


「今回は彼も依頼に加わったからね。

 私より事務処理が多いらしい。


 それが終わったら来ると思う」


「だけど、『一週間くらいでカタをつける』、

 確かにそう言っていたけど―――


 まさか本当にそれでカタをつけてくるたぁね」


赤い長髪をした女性……

今はカルベルクさんの奥さんである、

エクセさんも話に入って来て、


「不安で仕方が無かったんですよ。

 海の向こうなんて、どんなに頑張っても

 1ヶ月は見ておかなければなりませんし」


「そこが不思議なんだよなあ。

 クアートル大陸のランドルフ帝国まで

 行くのって、普通の船じゃ1週間くらい

 かかるって話だったんじゃねーの?


 でもシンさん、普通に数日前まで公都に

 いたよね?」


そこで『うっ』と声が出てしまう。


しまった……

『ゲート』や自分の能力など、今や

トップシークレットのカタマリだという

自覚を忘れていた。


どう誤魔化そうか考えていると、


「まー、シンさんもいろいろあるんだろ。

 王族クラスに顔も効くようだし―――

 移動手段だって緊急用のモンとか、そういうの

 使ったんだろ?


 そこんところは別に深くツッコまねーから、

 安心してくれ。

 それにシンさんにゃ、あたいらの町や

 チビどももお世話になっているしさー」


彼女も次期ギルド長……

詮索(せんさく)していい話とそうじゃない話の分別は

ついているのだろう。


「って事でさー。

 何かあの町のチビどもに何か頼むよ。


 あたいが子供連れて帰る時のお土産とかさ♪」


そう言ってニッ、と笑うエクセさんに、

室内のみんなも笑い出した。




「『はろうぃん』……ですか?」


「はい。

 この公都で数年前から冬に行われている

 お祭りなのですが。


 今年はぜひ、新たに公都住人となった

 子供たちにも楽しんで頂きたいので」


三日後、私はかつて出席した事のある

公都『ヤマト』婦人会に顔を出していた。

(■240話 はじめての はちばこ参照)


特に新顔となった旧スラム地区の住人は、

それまでの公都のイベントに馴染みがなく、


そういった説明は私の妻であるメルと

アルテリーゼがしていたものの、


「ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、

 今、私の妻2人は身重なので―――


 それで夫である私の方から、説明させて

 頂く事になりました」


そう話すと、見知った面々は顔を見合わせ、


「シンさんにはあの『蜂箱』でもお世話に

 なりましたし……」


「そういえば、奥さん方はもうそろそろ

 産まれるんですよね?」


「こちらでお手伝い出来る事がありましたら、

 どうぞ仰ってください」


と、すでに子供がいるであろうご婦人の

方々から暖かい申し出があり、


「ありがとうございます。


 今はもう『産院』という、妊婦さんの

 病院で過ごさせておりますので。


 それで『はろうぃん』の詳しい説明

 なのですが―――」


そして私は、お祭りとしての『はろうぃん』の

内容をご婦人たちに述べていった。




「……というものです。


 主役はあくまでも子供たちであって、

 私たち大人はその裏方、という事に

 なりますが。


 何かご質問は」


すでに何度か『はろうぃん』を経験した

メンバーは、特に無いという顔をするが、


「あのう、ちょっとよろしいでしょうか」


そこで申し訳なさそうに片手を挙げたのは、

旧スラム地区のご婦人で、


「はい、何でしょうか?」


「ええと―――

 この公都の治安の良さは理解しています。


 それに、子供たちに対する手厚い待遇や、

 犯罪への対応も……


 ですが、夜中に子供たちだけで公都を歩かせる

 というのは、いくら護衛がつくとはいえ、

 どうしても不安が残ります」


その言葉に、数名が同意するようにうなずく。


現公都は治安はかなりいい方だが―――

人数が増えた分、目が届かない部分もあるのは

確かで、


それにいくら治安が向上したとはいえ、

奴隷や人さらいがデフォで存在する世界。

古くからの住人はともかく、つい最近公都に

組み込まれた人たちは、それが当たり前の

環境で生き抜いてきたのだ。


祭りが終わったけど子供が帰って来ない……

という最悪の想定は危機管理として当然

あるのだろう。


「強制参加や義務では無いんですよね?

 そのお祭りは」


「もちろんそうです。

 ですが、公都としては子供たちに楽しんで

 もらいたいお祭りでもありますので―――


 しかしその心配も理解出来ます。

 う~ん……」


護衛と見張りを兼ねて大人が一人、同行する

事になってはいるけど、


人数が少なかった時は、誰かが誰かの顔見知り

だったから出来た事でもあり―――

今回、それが可能かと言われると微妙で、


「そうですね……

 護衛を増やしたり、当日の公都内の警備を

 厳重にするなど、対策を立てましょう。


 特に出入り口の警備を強化します。


 そこさえ押さえておけば、公都の外へ連れ出す

 事は不可能ですから」


そこでようやくメンバーは、少し安心したような

表情となり―――

その『はろうぃん』の衣装やお菓子の調達に

ついての話し合いに、議題は移った。




「あ~……

 そうかあ、人数が増えた分そういう心配は

 出て来るよな」


「これまでは、誰かしら知り合いでしたけど、

 新しく住人になった方々の方が多いんです

 からねぇ。


 親としては不安も当然でしょう」


児童預かり所の応接室で―――

アラフィフのギルド長と、薄い赤色の髪をした、

五十代くらいの上品そうな婦人がそれぞれ感想を

述べる。


「そーゆーものなのー?」


黒髪ショートの、赤い瞳を持つ娘、

ラッチがイスに座って足を延ばしながら

首を傾げ、


「足をちゃんと下ろしなさい、ラッチ」


私はまず娘に行儀よくするよう諭し、


「あとラッチだって、この児童預かり所だけなら

 ともかく……

 各地区に作った施設の子供たちの顔、

 全員覚えているわけでもないだろう?」


「あー、それは確かに」


確か人口は一気に四倍近くに跳ね上がったと

聞いているからなあ。

それだけの顔を覚えるだけでも、物理的に

無理というもの。


「でもでもー?

 他の地区だって、あの『蜂箱』で

 児童預かり所に通わせているんでしょ?


 その時護衛で一緒にいる大人たちだって、

 全員顔見知りってわけじゃないんじゃ?」


なおもラッチは重ねて質問してくるが、


「そりゃ日中っていうのもあるだろう。


 まだ明るい内ならそこらじゅう人の目が

 あるし、悪さもしにくい」


「もしラッチちゃんが、誰かに見つかりたく

 ない時―――

 動くとしたら昼と夜、どっちかしら?」


「おー、なるほど……」


子供に諭すように、ジャンさんとリベラさんが

娘に説明してくれる。


「ま、シンがここに来た時から数えても、

 2回ほど誘拐事件は起きているからな」

(■12話 はじめての いんぺい

■80話 はじめての あいさつまわり参照)


「ましてや、食うや食わずの生活をしてきた

 母にしてみれば―――

 子供がいつさらわれるかというのは、

 身近な危険でもあったでしょう」


ギルド長と児童預かり所の所長が、

老夫婦のように口を揃える。


「一応、お祭り当日の警戒強化、それに

 特に出入り口の警備を厳重にする、

 という事で納得してもらいました。


 例え行方不明者が出たとしても、この公都から

 出さなければ、流出は防げますので」


「そういやニコとポップの時は……

 お前さんのおかげで水際で阻止出来たん

 だよな」


「そうですわねえ。


 シンさんの力さえあれば、入口で全員

 足止めして、安全確認も出来るでしょう。


 『はろうぃん』当日だけ、出入り口を

 一ヶ所にしてもらえば」


大人三人でウンウンとうなずき合い、

少女は備え付けのお菓子をポリポリと食べ、


「じゃあ、シン。

 予行演習でもしておくか?」


「?? と言いますと?」


不意にジャンさんから提案され、私はそれに

耳を傾けた。




「あれー?」


「シンさんじゃないか。

 それにギルド長も。


 どうしたんだ?」


ブラウンの短髪に、こげ茶のボサボサ頭の―――

公都部隊長の二人がこちらに手を振る。


「ロンさん、マイルさん」


私は取り敢えず二人に一礼し、


「今日はちょっと協力して欲しい……

 ってか、協力する事があってな」


「??」


ここは、公都の中でも北側の、最も大きな門を

構えている場所。

そこを公都部隊長の二人は『仕事場』として

いたのだが、


「ちょっとシンに、ここの警備を手伝わせて

 欲しいんだ」


ジャンさんの申し出に、ロンさんとマイルさんは

顔を見合わせ、


「そりゃあ構いませんが」


「まさか、盗賊か賞金首でも来るって情報が

 あったんですかい?」


その疑問に私は首を左右に振って、


「いや、そういうわけじゃありません。

 実は―――」


そして私とギルド長は、事の次第を説明した。




「はぁ、なるほど」


「一時的に相手の魔法を『抵抗魔法レジスト』で

 封印し、もし何かあればそこでシッポを

 出すはず、と」


ジャンさんの提案……

それは私の力で、いったん魔法・魔力を

無効化させ、それで相手の出方を窺うと

いうもの。


何もしていなければ、せいぜい体がだるく

なったと感じる程度だが―――

もし隠蔽(ハイデン)隠密(ステルス)を使っていれば、

そこで解除されボロが出る。


手間ではあるが、限定された日の警備強化という

事であれば、支障は無いだろう。


「そういう事なら喜んで」


「実際、出入りする人数も前とは比較に

 ならないほど、増えているからなあ。

 出来れば定期的に協力して欲しいくらいだ」


と、快く提案を受け入れてくれた。


「しかし、お2人とも公都部隊長ですよね?

 部下の方たちはいないんですか?」


ふと私が疑問を口にすると、


「いや?

 今じゃ三十人ほどの部下がいるぜ。

 昔じゃ考えられないくらいの大所帯だよ」


「え?

 じゃあ、もう現場に出なくてもいいんじゃ」


ロンさんの言葉に私が聞き返すと、


「そりゃあなあ……

 貧乏性というか、何ていうか。


 ずっとこの仕事やって来たし、習性みたいな

 モンだと思う。

 机でふんぞり返って部下に全部任せるって

 いうのは、俺たちにゃ合わねーよ」


マイルさんが苦笑しながら語る。


「そりゃー、シンと一緒かもな。


 コイツも未だに下水道掃除に潜ったり、

 プルランの狩りの護衛に行ったり―――


 金持っているクセによ」


「いえ、あれは私が言い出しっぺというのも

 ありますし……」


そこでしばらく雑談に花を咲かせた後、

『門番』として協力に入る事になり、


一日、出入りする人間を『無効化』させて

様子を見る事になったのだが、


「あ、あれ!?」


「何だ!?」


「きゅ、急に魔法が解け―――」


と、本当に盗賊や賞金首を見破ってしまい、

後に大騒ぎとなった。




( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

本作品は毎週日曜日の16時更新です。

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【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】

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【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

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― 新着の感想 ―
(*ゝω・*)つ★★★★★  魔法がある世界ならワイバーンが 超低空を高速飛行も出来ますか~ まぁ、ラドン先輩も『滑空』だけで マッハ出してましたしw
私は人の顔と名前を覚える事に関しては壊滅的ですねぇ。 頻繁に会う甥っ子ならともかく、従弟姉妹の子供となると年に数回か下手すりゃ数年に一回程度ですから顔も名前もサッパリですわぁ。
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