248・はじめての まりょくぐらい
|д゜)シン提案の炊飯器や洗濯機は、大型化した
ものだけ出回っています。
「戻りました……おや?」
あの少女型ゴーレムを撃墜後、私は遺跡のある
ドーン伯爵領とブリガン伯爵領の境目の開拓村へ
行き、
改めて遺跡周辺を無効化した後―――
公都『ヤマト』へ帰還したのだが、
先に戻っていたジャンさんとレイド君は、
あの少女型ゴーレムを公都へ持ち帰っており、
それを冒険者ギルド支部の中で、
亜神・フェルギ様に見せて確認している
ところだった。
「こんなものを500年も前に作った、
なんてな」
「表面は人間のように柔らかいッスね。
通常のゴーレムとは違う感じッス」
アラフィフの筋肉質のギルド長と、
褐色肌の青年の次期ギルド長が、
交互に感想を述べ、
「俺様のために、こんなものまで用意して
いたとはなあ。
よほど嫌われていたようだ」
青と白の中間色のような髪の……
見た目は7,8才くらいの少年、
フェルギ様がしみじみと語る。
「しっかし、こんなのまでシンは倒せるんだね」
「まあ魔力を持っている以上、シンの敵では
無かったであろう」
駆けつけた私の妻二人―――
アジアンチックな童顔のメルと、
欧米モデルのような顔立ちのドラゴンの方の妻、
アルテリーゼが当然の結果だというように話す。
「でも、ここでいいんですかね?
確かに獲物と言えば獲物なんですけど」
ここは、冒険者が倒した魔物や動物の
一時保管場所で……
確認が終わると解体のため、専門の業者に
引き渡されるのだが、
「これ、王都に引き取ってもらうしか
ないですかねえ」
「確かに研究者どもに渡しゃ、喜びそうだが」
私がジャンさんにそう言うと―――
メルとアルテリーゼがつんつん、と両肩を
つついてきて、
二人が指差す先を見るとそこには、
夫婦揃って白銀の長髪のパックさんと
シャンタルさんがおり、
「『魔力核』の無いゴーレムか……
という事は、ただの追尾装置を人形タイプに
しただけだろうか?」
「それより表面の素材が気になります、
パック君!
ゴムとも違うみたいですし、生体素材でも
無さそうな」
横たわる少女型ゴーレムと、事務作業用の机を
行ったり来たりしながら、二人はガリガリと
書類に何やら書き込んでいく。
「まー、500年前のゴーレムっつったら、
そりゃ飛びつくよ」
「というかシャンタルものう。
いい加減、お腹も大きくなってきておるの
だから、少しは自重せい」
妻二人がそうたしなめるも、彼らの耳には
入っていないようで、
「……この2人に任せておきゃ、そうそう
問題はねぇだろ」
「そうッスねえ。
王都に引き渡すまでの間だけって考えるの
なら―――」
こちら側でそう話し合っている事など、
意に介さないように……
パック夫妻は新たな研究対象に没頭していた。
「お世話になりましたー」
「私どもはこれで王都に戻りますので」
腰まで伸びたロングの金髪の女性と、
眼鏡をかけた黒髪ミドルショートの女性秘書の
ような二人、
サシャさんとジェレミエルさんが、夕方になって
いったん帰る事となった。
「おう、ライの野郎によろしくな」
見送りに来ていたジャンさんが片手を振る。
「帰りはワイバーンなので、楽でしょう」
「まあ、そうですけどぉ~……」
「アレさえなければ、もう少し滞在出来たん
ですけどねぇ」
私の言葉に、彼女たちは残念そうに返す。
二人が言う『アレ』とは―――
今回発見された遺跡の事で、
すでに解決されているものの、封印されていた
亜神、そして彼を追いかけてきた人工ゴーレムと
緊急性の高い事案と判断され、
ライさん=王家直々の命令でその詳細を報告
するよう、二人は命じられたのである。
そのため、帰りは『鉄道』ではなく……
ワイバーンの使用が認められたのであった。
「そういえば、こっちに来るまでどれくらい
かかったんですか?」
その質問にサシャさんとジェレミエルさんは
顔を見合わせ、
「夜に乗って―――
着いたのは朝方くらいでしょうか」
「『ヤマト』直通便だったから、停まる駅も
4つくらいでしたし」
王都と公都を結ぶ直通便でも、途中休憩と
メンテナンス用の拠点として停車駅が存在する。
ちなみにドーン伯爵邸経由は、他の領地を
ぐるりと通過するように通っており……
駅は二十ほどあるらしい。
「それにしても、お土産が多いですね。
王都にだってもう大方の物はあるんじゃ
ないですか?」
彼女たちが買い込んだ、引っ越しかとも
思えるほどの大量の荷物に目をやると、
「料理とかはそうですけど、娯楽や
ファッションについてはここが、
やっぱり最先端ですからね」
「あと安い、っていうのもあります。
『ヤマト』から遠ざかれば遠ざかるほど、
すごく高くなりますから」
確かに、ティエラ王女様が公都に顔を出す
際も、そんな事を言いながら買いあさって
いったような。
それに……
実際、鬼人族や白翼族、天人族、そして
他国で知り合った商人たちも―――
まず公都『ヤマト』へ物を持ち込んで来るので、
どうしてもそういう流れになってしまうん
だよな。
さすがに海外からは王国自体が交易管理して
いるので、そんな事はないけれど。
「おっ、来たようだぜ。
今度はちゃんと許可取って来いよ」
そこへ彼女たちの帰還用と、遺跡調査チームが
乗っているであろうワイバーンたちが上空に
姿を現し……
私たちはサシャさんとジェレミエルさんに
別れの挨拶をして、その場を離れた。
「ふーん。
それでその人工ゴーレムは?」
黒髪ショートの、真っ赤な瞳の少女―――
ラッチが私に聞いてくる。
「今のところはパック夫妻に渡している。
まあ、あそこにはレムちゃんもいるし、
適任だろうからね。
それにゴーレムと言っても『魔力核』が
無いと言っていたから……
自我は無いという話だし、危険はないだろう」
自宅の屋敷に戻った私は、家族と夕食を
楽しみながら、情報共有がてら話をしていた。
「でもおとーさんも失敗するって事、
あるんだねー」
遺跡の件は確かにミスだったからなあ。
被害を最小限にしようとして、範囲指定をすると
こういう事もあるんだと思い知った。
「まー、シンだって神様じゃないからねー」
「出来る事と出来ない事があるのじゃ」
メルとアルテリーゼがすかさずフォローに
回ってくれ、
「しかしちょっと意地悪な言い方であったぞ、
ラッチ?」
母親が、娘の額をツンと人差し指でつつく。
悪気は無いんだろうから、と私から助け船を
出そうとすると、
「そっそうじゃなくて!
……おとーさん、何でも解決出来るんだって、
ずっと思ってたから」
やや焦りながらラッチが言い訳する。
娘の理想であった父親像が、少し崩れたという
感じなのだろうか?
すると今度は反対側から、メルがラッチの頬を
つまんで、
「ん~……
まあ気持ちはわかるけどね。
でもシンは結構抜けているところあるよ?
見落としていたり、気付かなかったり」
「そうじゃのう。
たいていの事は出来る反面、そうした
考えが回らない事もある」
そして妻二人が揃って私に視線を向けて、
「だからこそ、もっと私たちを頼ってくれても
いいんだよー、シン」
「我やメルっち、ラッチだっておるのじゃ
からのう」
その言葉に娘はコクコクとうなずき―――
「ああ、頼りにしているよ、3人とも」
私がそう言うと、メルとアルテリーゼは
お腹をさすりながら、
「あとちょっとで5人になるけどねー」
「この子はラッチの弟かのう、妹かのう?」
妻たちは微笑み、一家団欒の楽しいひと時を
過ごした。
「ん~……
公都内での依頼とはいえ、これ―――
私が必要でしょうか」
「ま、まあそうおっしゃらずに……
それにシン殿さえおられれば、どんな事態にも
対応出来ると言われましたので」
数日後、私はとある魔導具を前に、研究者らしき
人にたずねていた。
これは、魔力動力源用の魔導具―――
魔力の大型バッテリーのようなものだ。
王都で王家直属の研究機関が開発していた
もので、自分にもやや因縁のある機械だが、
(■230話
はじめての かいはつふぐあい参照)
完成後、小型のもので各村や集落でのテストを
終え、
本格的に大型のもので、最終テストを行うに
あたり……
公都『ヤマト』が選ばれたらしい。
選ばれた理由としては比較的新しく、実験に際し
規制の緩い公都が『ヤマト』だった事、
そして『万能冒険者』―――
私がいる事などが挙げられて、
ここで、王家専用施設や領主様の公都用屋敷、
冒険者ギルド支部や児童預かり所などの、
各主要施設に魔力を送り込む……
という内容のようだ。
「でも魔力供給なら、誰でも出来るのでは?」
事実、公都の外灯への補充は領主様の私兵や
依頼された冒険者が、パトロールを兼ねる
感じでやっている。
私の疑問にその担当者は、
「ですから、大型の魔導具設備がある施設に
限定されております。
この魔力動力源用の魔導具が完成し、運用
されれば―――
中に大型の魔導具を設置する必要がなくなり
ますので」
そういえば、そもそもの開発目的は……
魔導具の動力源用にスペースを取られてしまう
から、と言っていたっけ。
それに各施設……
特に冒険者ギルドや児童預かり所は、
その収容人数も多いため、
炊飯器・洗濯機などに加え、冷蔵させるために
食料倉庫に置いてある魔導具は、かなり大型の
物を用意してあった。
さらに王家専用施設ともなると、室内を快適に
保つための冷房・温熱の魔導具は、それこそほぼ
建物内全てに配置していると聞いているしな。
そしてセキュリティ上の魔導具も当然、各所に
仕掛けられているだろうし。
「じゃあ、今後は魔力動力源は室内に置かなく
なるんでしょうか?」
「安定してくれば、そうなるのではないで
しょうか。
ただ現在のところ、万が一の時のための予備、
緊急時回復用という意味合いが強いと聞いて
おります」
なるほど。
新規の機械は不安定な事も多いし、いきなり
全て取り替えるというのも、抵抗があるに
違いない。
「ちなみに、これが実用化される事で
雇用に影響は」
「えーと―――
その質問は想定されておりまして。
小型の魔導具とは異なり、大型のものは
それこそ一度に複数の人間を確保して
補充しなければならないので、
それなら大型の魔力動力源用の魔導具に
補充する時に、その機会がシフトする
だけだと考えられる……
そう、リオレイ所長は言っておりました」
おお、私が懸念していた―――
『雇用を奪う』性質の魔導具は開発しない、
もしくは考慮するとの王家との取り決めを、
ちゃんと踏まえてくれていたんだな。
(■107話 はじめての すいはんき参照)
それに今、各駅の開発などで雇用はどんどん
創出されている。
それを考慮すると、さほど影響は出ないと
言っていいのかも知れない。
「わかりました。
で、私は何をすれば」
すると担当者の中年は気まずそうに頭をかいて、
「えっと、まあ……
実験中この魔導具を護衛して頂ければ。
あと何かに襲われた時に守ってもらえると」
その言葉に私はため息混じりに、
「この公都内で襲われるのって、結構確率が
低いような」
「ま、まあ―――
万全を期して、ですよ」
恐らく彼が決めた事ではないだろうし、
損な役回りを押し付けられてしまったのだろう、
彼を責める気にはなれず、
「じゃ、じゃあ……
取り敢えず始めてください。
こちらはいつでも大丈夫ですので」
「は、はい!
ではまず、児童預かり所から―――」
そう担当者が言いながら魔導具に手をかける。
すると空が一瞬暗くなり、
「……危ないっ!!」
私は彼の腕を引いて引き寄せる。
「なっ!?」
驚く担当者と魔導具の間に、空から何かが
降ってきて―――
「魔物か!?」
「こ、コイツはいったい!?」
そこには全長三メートルほどの―――
無理に言えば、プテラノドン……
その骨格模型とでもいいのか、
骨のような生き物?
それがその翼を広げて口を開け、威嚇するように
後ろ足で立っていた。
「なな、何ですかありゃシンさん!!」
「いや私に言われましてもっ!?」
この世界に来てからおよそ五年……
こんな魔物も動物も見た事はない。
強いて言えば、ランドルフ帝国で出会った
リッチーが近いかも知れないが。
(■196話 はじめての あんでっど参照)
しかしコイツはどう見ても、鳥類か恐竜の
それで―――
「んっ?」
「!?」
それはくるっ、と私たちに背を向けると、
魔力動力源用の魔導具に近付き、
そのクチバシのような口で挟み始めた。
「魔導具を食べている……?」
「し、しかし―――
破壊されているようには見えませんが」
担当者の指摘でよく見ると、確かに魔導具は
壊れてはおらず、単にクチバシで挟んで
いるだけのように見える。
「いったい何をして……あぁっ!?」
「どうしました!?」
突然、彼が叫ぶように声を上げ、
「まま、魔力が急激に無くなっていきます!!
そんな、あれほどの魔力を溜め込んだのに」
「ええっ!?」
どうもこの魔物というか怪物は、魔力を『喰う』
らしい。
どう対応しようか困惑していると、魔導具の
魔力を喰い終わったのか、こちらへと振り向き、
「あ~……
当然そりゃ、そうなりますよね」
「ななな、何とかしてくださいシンさん!!」
デザートとばかりに怪物はこちらへ口を開ける。
しかし、
「骨格組織だけで―――
もしくはその筋肉量と手足のサイズ比で、
飛んだり動いたり出来る事など、
・・・・・
あり得ない」
見た目こそ骨だけだが、その骨の中に神経や
筋肉が入っていないとも限らないので、
多少注文を付けて無効化させる。
すると……
「……!?」
声帯が無いのか、叫ぶ事もなく怪物は
そのまま崩れ落ち、
「おーいシン! 無事か!?」
「妙な魔物がそっちへ向かったッス!!
……って」
ちょうどそこへジャンさんとレイド君が
駆け寄り―――
私の足元に転がっている魔物を、確認する
事となった。
「しかし、何やってんだレイド。
こんな魔物を見逃すなんて」
落ち着いた後、ギルド長は立場として
次期ギルド長を怒るが、
「いや、俺の範囲索敵にも引っ掛からなかったん
スよコイツは!
目視確認で騒がれて、ようやく来たのが
わかったくらいで」
そしてその横では担当者と、他の研究者らしき
数名が魔導具を前に、
「ダメですね、空っぽです」
「あれだけの魔力がなくなるなんて、
いったい」
「はぁ……
実験は魔力を溜めるまで中止か」
と、魔導具からすっかり魔力が無くなった事を
嘆いていて、
「この怪物から、魔力を取り出せたりとかは」
そう私が提案してみるも、
「いえ、なぜかこの怪物からは魔力を感じられ
ません。
通常であれば、死んだ後でさえ少しの間は
残留するものなのですが」
研究者の一人が不思議そうにうなる。
「そりゃそうだろう。
そいつは『魔力喰らい』だ。
こいつには俺様も悩まされたものよ。
しかし、まだいたとはな」
場違いなところに来たと思える少年の姿の
亜神は―――
怪物を見てそうつぶやいた。
「『魔力喰らい』……ですか。
これは魔物なんですか?」
事も無げに現れたフェルギ様に、この怪物に
ついて聞いてみると、
「詳しい事は俺様にもよくわからん。
魔力、特に膨大な魔力をコイツは
好むのでな。
しかもコイツ自身は魔力を持っていない
ものだから―――
近付かれるまで気付かない事も多い。
むしろどうやって倒したんだ?」
逆に少年から聞き返される。
「そりゃまあ、シンだからな」
「シンさんッスからねえ」
ジャンさんとレイド君の後に、周囲の
研究チームの人たちもただうなずく。
「まさか、この怪物もあの遺跡に?」
「それは無い。
さすがにあの時代でこれを使役出来たら、
まずそれで俺様を狙うだろう。
ただ狙いは俺様だったような気はする。
そこに大量の魔力を溜めた魔導具が来たので、
狙いがそっちに移ったというところか」
「そういえば、北の方から飛んで来たッス」
遺跡があるのは西側だから、少なくとも
そちらからの線は消えたか。
ホッとしていいのかどうかはわからないけど。
「魔法は効かねぇのか?」
続けてギルド長がフェルギ様に質問すると、
「効かない事はない、が……
俺様でも手こずる相手だ。
あくまでも効かなくはないだけで、
倒すのは困難だろう。
まあ、襲われたらたいていの場合、
無傷の死体が残っている事が多い」
ああ、文字通り魔力を『喰らう』だけなので、
そのまま食べられたりはしないのか。
とはいえこの世界、魔力が尽きる=死みたいな
ものだから、結果にそう変わりはない、と。
「しかし、この怪物―――
まさか500年前から生きているって事は」
「どうだろうなぁ。
あの時代でもこいつの生態はほとんど
わかっていなかったが、
さすがに500年以上生きているという
事はあるまい。
別個体、と考えるのが自然だろう」
亜神は足元でピクピクと動いているそれを
見下ろしながら、ため息をつく。
「倒してないのか?」
ジャンさんの質問に私はうなずき、
「あくまでも動けなくしただけです。
これも各国の研究機関に頼んで……
対処方法を依頼するとしましょう」
以前、地走草を各国共同で研究して欲しいと
頼んだ事があったのだが、
これも人類共通の脅威に違いない。
そう私が答えると、
「ではまず、我々が頂戴していきます!」
そう言うが早いか、テキパキと研究チームの
数名が、その怪物を梱包し、
荷物のごとく台車で持って行ってしまった。
「新しい研究素材発見!
って感じッスね」
「あの連中に恐怖というものはないのか?」
それを呆れながらレイド君とフェルギ様が
見送り、
「はぁ~……
どちらにしろ今回の実験は失敗です。
また、魔力を溜めなければならないので。
いったん王都に魔導具を持ち帰って、それで
また公都に戻るまでどれくらいかかるか」
一人残っていた担当者の人が、盛大に
ため息をつく。
「えーと、そうなると私は依頼失敗、
という事になるんでしょうか?」
おずおずとギルド長の方を見ると、
「あんな物に襲われて、命があっただけでも
めっけもんだろうが」
「魔導具自体は無事ですし、魔力を持って
いかれただけなので―――
依頼の方は失敗とは言えません。
それにギルド長の言われた通り、シン殿が
いなければ……
私も無事では済まなかったでしょうから」
そう担当者は言ってくれるけど、実験が
失敗した事には違いないし―――
「あの、魔力を溜めるのってそんなに大変
でしょうか?」
すると彼は両腕を組んで、
「あちらのシルバー・ゴールドクラスの
冒険者や、王家からの依頼で数名の有力貴族が
協力してくれて……
それでやっと、という感じです。
元より今回は大型化した動力源の実験でした
からね。
また同様の魔力供給を行うとしたら、
どんなに急いでも二週間くらいはかかると
見ています」
それが早いのか遅いのかはわからないが、
時間ロスになるのは間違いない。
自分でどうにか出来ればいいんだけど、
私には肝心な魔力そのものが無いからな―――
と思っていると、
「魔力が必要なのか?」
「え? は、はい」
不意に少年姿の亜神に声をかけられた担当者は、
困惑しながらも答える。
そしてフェルギ様は魔導具に近付くと、
「面白いカラクリよのう。
ふむ、これに魔力を込めればいいだけか」
「出来るんですか!?」
私が聞き返すと、彼は魔導具に片方の手を
かざすようにして、
「魔法は使えないが、魔力は制御出来ている
ようだからな。
むん……っ!!」
力を込めるようにして亜神は気合いを入れる。
その光景を見た担当者が駆け寄り。
「こ、これは!?
し、信じられない!!
魔導具の魔力が回復していく―――
それもすさまじい速度で!」
私やジャンさん、レイド君は遠巻きに
その状況を見守っていたが、
やがて五分もすると、亜神は魔導具から
手を遠ざけて、
「これくらいでどうだ?」
「お、おおお……!!
ありがとうございます!
これで実験は可能になりました!!
ではさっそく……
ってアイツらぁああ!!」
担当者の人はフェルギ様に礼を言うと、
『魔力喰らい』を持って行ったスタッフを
呼び戻すため、飛び出していった。
「あ、ありがとうございます」
私も彼に頭を下げて礼を言うと、
「フン、毎日美味いメシや菓子を食わせて
もらっているからな。
酒もあれば文句は無いのだが」
「そりゃさすがに、児童預かり所でお酒を
飲ませるわけにはいかないッスからねえ」
見た目は十才未満の少年だからなあ。
他の子供たちの目もあるし―――
彼にだけお酒を出すわけにも。
「あ~……
じゃあ今日は、冒険者ギルドの来客用の
部屋にでも泊まっていけ。
そこならいくらでも酒は飲める。
リベラには俺から言っておくからよ」
「本当か!?
じゃあ俺様は一足先に、冒険者ギルドで
待っておるぞ!!」
と、まるで子供がはしゃいでいるかのように、
フェルギ様は駆け出し―――
ジャンさんとレイド君も支部へと帰って行き、
私はそれと入れ替わりに戻って来た、
研究者チームの実験再開に付き合う事となった。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
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