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247・はじめての でみごっど

|д゜)明日、カクヨムで新作スタート

します(宣伝)



「な、な、何なのだここは……!?


 ドラゴンもいればワイバーンもいる!

 魔狼に羽狐、亜人もこれほどの種族が一堂(いちどう)

 (かい)しておるとは……!!」


公都『ヤマト』の冒険者ギルド支部―――

その支部長室で、


小さな子供がドラキュラのコスプレをしたかの

ような格好をした……

黒髪赤目の少年が驚きの声を上げていた。


「ちなみにフェンリルやグリフォン、魔王に

 魔界王もこっち側だから―――


 ここで暴れたりしたら、そいつらも自動的に

 敵に回ると思えよ」


「え。何それ怖い」


筋肉質のアラフィフのギルド長の言葉に、

彼は赤い目を丸くする。


結局、ドーン伯爵領とブリガン伯爵領の間の

開拓地で、遺跡の封印解除と無効化を行った後、


封印されていたであろう当人を連れて……

公都まで戻って来ていたのである。


「ねーねー、お名前は何て言うのー?」


「俺様を子供扱いするなあぁあ!!」


「気持ちはわかるけど、今の君の姿は

 どう見ても子供だから」


外見上はミドルショートの白銀の髪を持つ

少女、氷の精霊(アイス・スピリット)様と、


エメラルドグリーンの髪と瞳の少年―――

土精霊(アース・スピリット)様が、


間に弟のように、カエル顔の精霊……

沼精霊(スワンプ・スピリット)様を挟んで

対応する。


「聞くところによると、あの魔王様よりも前に

 封印されていたらしいッスけど」


次期ギルド長の褐色肌の黒髪黒目の青年が

続けて問うと、


「フン。

 500年も封じられていたからな。


 世の中が様変わりしているであろう事は

 覚悟していたが……

 よもやこれほどまでとは」


プイ、と顔をそむけるが―――

それはどう見ても子供が拗ねたようにしか

見えず、周囲はほっこりと笑顔になる。


「しかし500年っていやあ、ウィンベル王国

 どころか、魔王と相対していた神話クラスの

 昔話の国さえ滅んじまっているからなあ。


 どんな事情でお前さんは封印されて

 いたんだ?」


ジャンさんの質問に、彼はしばらく両目を

閉じていたが、


「まあ―――

 かつては俺様も創世神の手下の1人

 だったのだが。


 ちょっとその手下同士で揉めた事が

 あってな……」


「そりゃいったいどんな理由ッスか?」


レイド君が続けて質問すると、


「方向性の違いというか何ていうか―――

 今考えりゃ、くだらない理由だったと思う」


そのロックバンドが解散するような理由は

どうかと思うけど、後から考えてみれば

くだらなかった、と思う事はよくあるしなあ。


「俺様はこれからどうなる?

 魔力はあるようだが、魔法を使えない今の

 俺様なんて、外見通りの子供と変わらない

 戦闘能力しかないぞ?」


「リベラのいる児童預かり所で、しばらく

 大人しくしてもらうか。


 そこで毒気を抜いてもらえ。

 公都(ここ)での生活を味わったら、ある程度考えも

 まとまるだろう」


投げやりに語る少年に、ギルド長は今後の

対応を伝え、


「じゃー、わらわたちもお世話するのっ!」


「彼を見つけたのは沼精霊ですし、

 人外であるボクたちが側にいた方がいいかと」


氷精霊様と土精霊様がそれとなく面倒を見ると

伝え、


「それがいいッスね」


「それであの、あなたの名前は?」


次期ギルド長の後に、私が続けて名前を

たずねると、


亜神(デミゴッド)とでもいうのか……


 名はフェルギだ」


そして話が一段落すると、私はギルド支部を

後にした。




「今度は亜神かー」


「いろいろな存在がいるものじゃのう」


夕飯に何とか間に合った私は、食事をしながら

メルとアルテリーゼ、そしてラッチと情報を

共有する。


「で、おとーさん。その子はー?」


「500才以上を子供呼ばわりしていいのか

 どうか……


 取り敢えずリベラさんのいる児童預かり所で

 過ごしてもらう予定だよ。

 外見的にはそれくらいだしね」


黒髪ショートで、燃えるような赤い瞳の娘に

私は答える。


その後にアジアンチックな童顔の妻が、


「農地の方はー?」


「別の場所を開拓するようだ。


 地下遺跡は多分後から、王国の研究者が来て

 調査するだろうから―――」


続けて西洋モデルのような、ドラゴンの方の

妻が、


「じゃあ一段落といったところかの」


「あっちの大陸の国々も、まだまだどう動くか

 わからないからな。


 子供が産まれるまでは、大人しくしていて

 欲しいものだ」


そんなやり取りをしながら、夕食の時間は

過ぎていった。




モンステラ聖皇国、首都・イスト……

その大聖堂の一室で、やせ細った男が

ガリガリと書類に書き込んでいく。


今は実質上の聖皇国のトップとなった、

レオゾ枢機卿(すうききょう)、その人である。


「―――ふぅ。


 国の頂点というものは、いろいろとやる事が

 多いものだ」


誰もいない部屋で独り言のように彼はつぶやく。


大ライラック国と裏で手を組み、クーデターを

起こしてメルビナ大教皇を監禁したのも束の間、


彼は奪還され、さらにはランドルフ帝国および

その同盟諸国に対抗するための新兵器実験施設も

襲われた。


失態と呼ぶには余りにも重大なミスが続き、

大ライラック国も同盟宣言を取りやめ……

と、ここまでは裏の動きであり、


表面上は未だにメルビナ大教皇は病床にあり、

モンステラ聖皇国そのものは、国家としての

活動を維持していたのである。


「まったく……


 これでは苦労して、大教皇様の執務を

 肩代わりしているだけではないですか……


 骨折り損のくたびれ儲け、というものです……


 大ライラック国への対応も考えなければ

 なりませんのに……」


ぶつぶつ言いながらも、根は役人・官僚に

近い彼は国家運営を投げ出す事など出来ず、

淡々と書類仕事をこなしていく。


そこで夜遅くまで作業をしていたところ、

突然、フッ、と魔導具の照明が何かに

(さえぎ)られ―――


「……何です?」


レオゾ枢機卿が顔を書類から上げると、


「意外といい施政者ぶりですね。

 レオゾ枢機卿」


「……あなたは……」


そこにいたのは、かつてメルビナ大教皇の

信頼が厚かった女性で、


「……お久しぶりですね、サマリ司祭」


「ええ。


 あのランドルフ帝国の合同軍事演習から、

 各国を巡って布教と情報収集をしていたの

 ですが。


 戻って来たら、まさかこんな事になって

 いるなんて思いもしませんでした」


彼女はかつて、モンステラ聖皇国代表として

合同軍事演習の観覧に来ていた女性であり、


その時にベッセルギルドマスター=アウリスの

誘拐を企んだ司祭でもある。

(■214話 はじめての ゆうかいそし)


「……それでどうするのです?


 ……私と手を組むとでもいうのでしょうか?」


彼の提案を彼女は微笑で返し、


「冗談はほどほどにしてくださいませ。


 私はあくまでも大精霊様―――

 そしてメルビナ大教皇様にお仕えする身です。


 聞けば大教皇様を監禁し、大精霊様に

 逆らうよう命じたとか……


 そのようなお方にはとてもとても」


ミドルショートの赤髪を揺らしながら、

レオゾ枢機卿の言葉を否定する。


「今、大教皇様は―――

 ランドルフ帝国にいらっしゃるのでしょう?


 私の役目は今回持ち帰った情報を、そちらまで

 お届けする事ですわ」


「……それを私が見逃すとでも……?」


彼女の言葉に、枢機卿は眼光を鋭くして

言い返すが、


「あら、私に構っている暇なんておありで?


 いい事を教えてあげます。

 今、大ライラック国では―――

 軍事行動を起こす前兆が見られますわ。


 いったいどこに進軍するつもりなので

 しょうね」


「……何だと……?」


その報告に彼は顔色を変える。


確かに―――

様々な失態を演じたレオゾ枢機卿に取って、

自分に対して大ライラック国はどのような

評価をしているか、わかっていたつもりだった。


最悪、亡命くらいは受け入れられるであろう……

程度にしか考えていなかったが、


まさかモンステラ聖皇国に攻め込むとまでは

思いもしなかったのだ。


「あ、そうそう。

 それと辺境大陸以外の海外の国々も、

 当惑しているそうですよ。


 何せ、クアートル大陸の四大国のうち、

 二ヶ国が奴隷制改善に舵を切ったの

 ですからね。


 さらに他種族との共生も見据(みす)えている事から、

 今後の方針について議論の真っ最中ですわ」


多かれ少なかれ―――

大国というのは覇権(はけん)思考を持つ。


その過程で、血生臭(ちなまぐさ)い歴史を背負っている

国は多い。

この大陸でもランドルフ帝国他、他の三ヶ国も

似たり寄ったりのものだ。


それゆえ、他の海外諸国も他人事(ひとごと)では

いられない、という事情もあるのだろう。


そういう状況下で……

統率者が不在の大国が近隣にあるのを、

他の大国が見逃すか、という事だ。


ドラセナ連邦はランドルフ帝国と組んで

いるので、単独で動くとは考えにくい。


さらに連邦の主力は水上戦力だ。

内陸に首都を置くモンステラ聖皇国に取っては、

さほど脅威ではないが、


大ライラック国となると―――


「……いいでしょう。

 情報をくれたお礼に、見逃して差し上げます」


「あら?

 もしかして国家を守る気にでもなりました?」


見下すように微笑むサマリ司祭に対し、

レオゾ枢機卿は、


「……やっと手に入れた国です。


 もしメルビナ大教皇様が戻られるような機会が

 あれば、亡命やむ無しとも思っていましたが、


 さすがに大人しく差し出す気には

 なりません……」


「愛国心や信仰心、と言われるより説得力は

 ありますわ。


 ではせいぜい、頑張ってくださいませ」


そして再び彼女は魔導具の照明を横切ると、

その姿を闇へと溶かした。




『ん? 何だシン、また依頼を受けたのか?』


後日、私は向こうの大陸に新たな情報が入ったと

言われ―――

公都『ヤマト』の冒険者ギルド支部で、

魔力通信機を介してライさんの声を聞いていた。


「まあ、日帰り出来るくらいでしたら。

 それより、あちらで何か動きがあったん

 ですか?」


『ああ。ティエラ王女様がもたらしてくれた

 ものだが……


 ランドルフ帝国の諜報活動で手に入れた、

 新事実がいくつか』


支部長室には部屋の主と、次期ギルド長の青年も

同席していて、


「まあ、あちらさんも独自に調べちゃいるわな」


「海の向こうの事ッスから、こうやってこまめに

 連絡してくれるのはありがたいッス」


まあライさん会いたさに、理由を付けて

来ているんだろうなあ、と思っても口には

出さず。


「それで、何かわかったのでしょうか」


『先に同盟諸国会談を行い、そこでも共有されて

 いる話だが、


 大ライラック国の内情が少しおかしいとの事』


「おかしい?」


「何スかそれは?」


ジャンさんとレイド君が父子のように続けて

聞き返すと、


『どうも大ライラック国が今回、聖皇国と

 手を組んで見せた動きだが……


 あの国の指導者は軍王ガスパードって

 いうんだが、どうも彼のあずかり知らぬ

 ところで行われていたらしい』


「はい?」


思わず疑問形の声が口から出てしまう。


「いやいや、あり得るのかそんなの」


ギルド長も私に続いて、否定的な言葉を

口にするが、


『報告自体は受けていたようだ。


 だがその詳細までは知らなかった、って

 ところみたいだな。


 ホレ、シンがあちらからメルビナ大教皇様を

 救い出したり、兵器化施設を無効化したり

 しただろ?


 それでガスパード自らが問い質すような

 流れになったらしい』


う~ん。

計画自体は知らされていたけど、いろいろと

うまくいかなかったと報告を聞かされ―――

『何しているんだお前ら』とトップ自らが、

調査に乗り出した感じか。


『俺としても半信半疑だけどよ。

 ただ、王といえど国の全てを把握している

 わけじゃねぇからな。


 それにミスや失敗を隠すというのも

 よくあるこったし……

 隠しきれなくなった時にゃすでに手遅れって

 いうのも―――』


ああ、地球で中間管理職をしていた頃に、

よくあったわぁ……

と、思わずノスタルジーにひたる。


そしてもう一人、ギルド長も微妙な表情になり、


「?? どうしたんスか2人とも?」


一人の若者だけが、不思議そうな顔をしていた。


「あの、それで―――

 じゃあその軍王ガスパードとやらは、

 詳しくは知らされていなかったと?」


私が我に返って質問を続けると、


『ああ。

 それで、例の兵器化施設についても、

 詳細な情報を入手しろと直々に命令を

 出したようだ。


 まあモンステラ聖皇国側も、中でどんな

 実験をしているかまでは……

 機密的にも伝えてはいないだろうからな。


 それで今、大ライラック国は―――

 このまま聖皇国を支持するかどうかで、

 内部が割れているんだとよ』


「だが、戦力を集中させているって話も

 無かったか?」


次にジャンさんが問うと、


『確かにモンステラ聖皇国側の地に、戦力を

 集結させつつある、という話はあったが、


 ただ領内に留まっているらしい。


 自国内であれば、どう軍を動かそうが勝手

 だからなあ。

 それにモンステラ聖皇国とは距離も

 離れている。


 警戒はしなければならないが、うかつに

 相手の痛くも無い腹を探るのも、な』


「あまり下手につっこむと、刺激してしまう、

 という事ッスね」


レイド君の答えに私とギルド長もうなずく。


『ま、今のところはこんなものだ。


 ちょくちょくティエラ王女様が『ゲート』で

 来てくれるから、また何か情報が入ったら

 魔力通信機で伝えるよ』


「ありがとうございます」


『それじゃあ』


と、そこで通信が切られそうになった

ところ、


「そういやライ、聞きたい事があるんだが……

 そっちにサシャとジェレミエルはいるか?」


と、ジャンさんが質問すると、


『ん?

 そういや今朝から姿が見えないような。


 まあ王家から指令を受け取る事もあるから、

 その時にいなくなる事はあるが』


「あー……

 そのお2人ッスけど、今『ヤマト』の

 児童預かり所に来ています。


 多分今回は『鉄道』で来たと思うんスけど、

 亜神という新顔を見るためかと」


続けてのレイド君の言葉に、向こうはしばらく

沈黙し、


『……わかった。

 戻り次第、アイツらを速やかに(おこ)ろう。


 このクソ忙しい時にまったく』


ライさんの大きなため息と共に、魔力通信機での

会話は終わった。




「いえ、亜神という存在に対し王家としては、

 調査と記録は必要だと思いまして」


「はい。

 決して可愛い子がまた入ったと聞いて、

 即座に来たわけではありません。

 決して」


その後、児童預かり所へ私と一緒に向かった

ジャンさんの目の前で、サシャさんと

ジェレミエルさんは―――

その亜神を抱きしめながら真顔で対応していた。


そして抱かれているフェルギ様はというと、

口から魂が出ているのが見えるほど

グロッキーになっていて、


「いいからいい加減解放してやれ」


「沼精霊様からそっちに目標が移りましたか」


ギルド長と児童預かり所の所長、リベラさんが

呆れるように語る。


すると、腰まで伸びた金髪の女性と、

眼鏡をかけた黒髪ミドルショートの同性は

彼を放し、


ヨロヨロと亜神はそのままソファに腰掛けた。


「くくぅ、この屈辱……

 俺様の魔法が使えれば、許さないものを」


揉みくちゃにされたであろう彼は、疲れ切った

声で反発する。


「いやしかしですね」


「私どもも別段、自分の欲望のためだけに

 行動していたわけではないのです」


エネルギー充填120%の顔で言われてもなあ、

とサシャさんとジェレミエルさんを見ると、


「いやいや、本当ですからね?

 だって今、ティエラ王女様がしょっちゅう

 こちらに来ていらっしゃるでしょう?」


「そこで私どもがいたら、ね?

 配慮ってヤツですよぉ」


カラカラと笑いながら話す二人に、


「ったく。

 まあ半分は本音なんだろうが」


「あら~。

 そんな事になっていたのねぇ」


老夫婦のように、ギルド長と所長が返す。

そこで私はフェルギ様に話題を移し、


「どうでしょうか。

 何か面倒とかかけていないですか?

 彼は……」


「いえ、手のかからない良い子ですよ、

 この子は。


 打ち解けるまでには時間がかかる

 でしょうけど―――

 お風呂やお食事など、ここでの生活は

 満足しているみたいです」


薄い赤色の髪をした、五十代くらいの

上品そうな婦人はそう説明する。


「そこはまあ、認めざるを得ない。


 しかもここにいるのは、親のいない子供たちも

 混ざっているのだろう?

 それがこんな生活を送る事が出来ている時代

 とはなあ。


 世の中、変われば変わるものよ」


青と白の中間色みたいな髪を揺らしながら、

亜神は軽くため息をつく。


「そういえばあの遺跡……

 あそこに封印されていたのは、あなただけ

 だったんでしょうか」


「多分俺様だけだな。


 そのためだけに、あれだけ大仰なモンを

 建ててくれたのだから―――

 ある意味感謝したいくらいだ」


私の次に、ジャンさんがバトンタッチして、


「500年前か。

 少なくとも、お宝とかは入ってなさそうだな」


「俺様を封じる魔導具くらいしかないんじゃ

 ないか?」


外見は7,8才くらいの子供が、アラフィフの

ギルド長に物怖(ものお)じしないで話す姿は、どこか

コミカルで、


「でも資料としては貴重ですよ」


「500年前なんて、記録そのものが残って

 いない可能性が高いですしね。


 建築様式や、魔導具だけでもどれほどの

 価値があるか……」


サシャさんとジェレミエルさんも会話に参加し、

真面目な話になる。


「まあ事情はわかったが、ほどほどにして

 公都に戻れよ」


ジャンさんが話を元に戻し、二人に伝える。


そろそろ帰るか、と私も腰を上げると、


「―――うん?」


「どうしたの?」


不意にフェルギ様が天井を見上げ、リベラさんが

聞き返す。


「……気配がする。

 それも近付いてきている。


 500年前の魔力だ」


私が一緒に席を立ったギルド長に視線を

向けると、


「魔法が使えなくとも、魔力を感じる事が

 出来るのか?」


「人間はいざ知らず―――

 俺様はこれでも創世神の手下だった者だ。


 マズいな。

 魔法が使えない今、俺様は何も出来ないぞ」


亜神の言葉に、今度は彼に向き直って、


「敵、ですか?」


私が聞き返すと彼は両目を閉じてうなり、


「少なくとも友好的とは思えんなあ。

 昔の知己(ちき)が生き残っているとも考えにくいし。


 もしかすると、あの遺跡にまだ俺様が復活した

 時に対する、備えとかがあったのかも知れん」


するとそこへ、レイド君が飛び込んで来て、


「公都に接近する魔力反応を感知!!

 西から一直線に来ているッス!!」


そこで私たちは、急いでギルド支部へ向かう

事となった。




「あとどれくらいの距離かわかるか?

 レイド」


「この速度だと……

 多分、30分以内に公都へ到着するッス!」


数分後、レイド君はジャンさんを連れて

ワイバーンに乗り、


私はもう一体のワイバーンに乗って、

一緒に高速飛行で目標に向かっていた。


「しかしどういう事だ、シン。

 遺跡の魔道具や魔力は無効化したんだろ?」


ギルド長の問いに私は考え込み、


「そのはず、ですが……あ!」


「どうしたッスか?」


その時、私はある事を思い出す。


「確かあの時―――

 範囲指定して能力を使ったんです。


 下手をすると、地上にいる人たちも

 巻き込みかねなかったので」


「どういう事だ?」


「つまり、封印されていたであろう地下の

 部屋の周囲しか……

 魔法を無効化していないんです。


 だからそれ以外、例えばさらに地下に

 魔導具とかあった場合は」


それを聞いたジャンさんとレイド君は、

同時に『あ~……』という顔になる。


「でもそれじゃ、何で封印が解けた時に

 発動しなかったんスか?」


「多分、封印が解かれた事自体―――

 認識していなかったんじゃねぇのか?


 シンは封印を解いたわけじゃない。

 無効化しただけだ。


 恐らく二重三重に、対策を仕掛けていたん

 だろう。

 例えば、フェルギが封印場所にいるのを

 一定時間感知出来なくなった時点で、

 発動するとか」


二人のやり取りに、そこまでやるか……と

思うが、相手は亜神。

用心し過ぎるという事は無かったのだろう。


「あの遺跡一帯を、改めて無効化する必要が

 ありますね」


「ああ。

 だが、今はここに近付いて来ているという

 何かに対応してからだ」


そして私たちが飛行を続けていると、


「! 来たッスよ!」


「―――!? 何だありゃ?」


ギルド長と次期ギルド長の視線の先を

私も追うと、


ボロボロの衣装を身にまとった、少女のような

何かが空中に現れた。


「女の子……!?

 いや、違う!」


空を飛んで来た時点で、生身の女性とは

考えなかったが、


その少女は、まるで多関節の美少女フィギュアに

破けた衣装を着せたみたいな感じで、


「やべぇシン、避けろ!!」


ジャンさんの叫びに、私と彼ら二人が乗っている

ワイバーンたちが、彼女の進路を開けるように

左右に散ると、


光が一直線に横切った。


「うわっ、危ない!!

 何スかありゃ!!」


「伸縮性のある刃物のような武器か。

 ま、どうやら爆発はしないようだ。


 しかし人工ゴーレムか?

 500年も前に、何てもの作りやがる」


ギルド長が感心する間もなく、『彼女』は

公都に向かって再び飛行を開始する。


どうやら目標物に向かって行く過程の障害を、

排除する程度の行動しかプログラムされて

いないのかも。


だがどちらにしろ危険な事には変わりがない。

公都到着前に、何とかしなければ。


私と二人が乗るワイバーンたちは急ターンして、

ゴーレムを追跡する。

どうやら速度的にはワイバーンに劣るようで、

あっという間に距離を詰めていく。


「シン!!」


「お願いするッス!!」


ジャンさんとレイド君が同時に大声を上げ、


「魔力で動く、飛行するゴーレムなど―――

 ・・・・・

 あり得ない」


十メートルほど接近した時に、つぶやく

ように宣言すると、


その人工ゴーレムは一瞬体をビクッ、と

震わせたかと思うと、


そのまま、眼下の森へと墜落していった。




( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

本作品は毎週日曜日の16時更新です。

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【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

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【指】【完結】

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― 新着の感想 ―
報告書に「嘘はついていない」けれども「本当の事を書いていない」なんてのはママあることです(汗)。 問題はどうやって辻褄を合わせるかであって。
(*ゝω・*)つ★★★★★    ゴーレム少女、パック夫妻の餌食にw
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