246・はじめての いせき
|д゜)ネトコン12みんな落ちたかー
(しゃーない切り替えていこうの精神)
「陛下、ただ今戻りました」
ランドルフ帝国帝都・グランドール―――
その王宮の奥の一室で、パープルの前髪を
眉毛の上で切り揃えた女性が報告する。
「おお、ティエラか。
ここは皇族しかおらぬ。
そのような堅苦しい話し方はせんでよい。
それでどうじゃ?
辺境大陸の動きは―――」
六十代と思しき老人……
この国の皇帝・マームードは娘を前に、
くだけた態度で接する。
「今のところは、こちらから仕掛けるといった
事は自重すべし、でまとまっています。
ただ最近、またシン殿への依頼があったとか」
「何と?
ここしばらく、依頼は控えるという話では
無かったのか?」
思わず老人は聞き返すが、
「本来は新生『アノーミア』連邦から、
ウィンベル王国への依頼だったようなの
ですが、
その前提条件としてシン殿を付けられたので、
やむを得ず、というところでしょうか。
その依頼はすでに達成されていますので」
「ふむ、そうか。
まあシン殿に不満が無ければいいのだが」
すでに解決済みと知らされたマームードは、
席で姿勢を正す。
「その依頼からシン殿が帰還した後―――
各国へ、シン殿からの依頼がありました」
ティエラ王女の言葉に彼は首を傾げ、
「シン殿『から』の依頼、だと?」
「はい。シン殿『から』の……
各国への依頼です」
「どういう事だ?」
通常、冒険者であるシンに対する依頼なら
わかる。
依頼を受け生計を立てる―――
それが冒険者というものだ。
もちろん、それなりに財力がある冒険者なら、
依頼を出す立場になるという事もあるが、
マームードもティエラもシンが『境外の民』で
ある事は知っており、
そんな彼が国家に対してとはいえ依頼を
出すなど、意味がわからなかった。
そこで娘はいったんコホンと咳払いしてから、
「たいていの事であれば、シン殿は1人で
何でも片付けられますから、不思議に思うのも
無理はありません。
ただこれはシン殿の考えと言いますか、
『方針』なのです」
「ふむ?」
皇帝が娘である王女に先を促すと、
「何度か耳にした事があるかも知れませんが、
シン殿はこの世界をどうこうするつもりは
ありません。
『この世界の事はこの世界の人間が
決めるべし』
『自分しか出来ない事は、後の世に
残すべきではない』
これが基本的なシン殿のお考えです」
そこで彼女は一息ついて、
「今回の依頼で、地走草なる植物の魔物が
発見されたそうです。
我が国にも似たような魔物が、50年から
100年の間に発生し……
その時は出現した土地に壊滅的な被害を
与えたと記録に残っています。
これを無効化し、生きたままいくつか
持ち帰ったので―――
各国に対し弱点もしくは駆除方法を研究して
欲しい、というのが彼の依頼内容です」
「……それはわかるが、そんな事をして
シン殿に何の得があるのだ?」
当然の疑問をマームードが口にすると、
「後世に、自分しか出来ない解決策を
残さないためだそうです。
また今回の依頼でもし対処方法が見つかった
場合は、種族・敵味方の区別無く公表して
欲しいとも言っております」
「―――わからぬ。
同盟諸国で情報を共有するのであれば、
理解は出来るが……
なぜ敵にも教えてやらねばならぬのか」
一国の施政者として、理解不能というように
皇帝は悩むが、
「災害は敵味方関係ないから―――
というのがシン殿のお考えのようです。
種族や敵味方を区別して、天変地異や
厄災が起こるわけではありませんからね。
そういった規模の危機に際しては……
種族や敵味方関係無く、共にあたる必要が
あるとの認識なのではないでしょうか」
そこまで聞くと皇帝はフー、と息を吐いて、
「正しい。
だが、その正しさを理解出来る者が、
果たしてこの世にどれだけいようか。
そして―――
我がランドルフ帝国でも、その地走草とやらを
研究して欲しいという事か」
「は、はい!
出来れば次の御前会議にでも」
「うむ。許可しよう。
ところでティエラよ」
「?? はい、何でしょうか?」
父親に話が通った事で娘はホッとしていたが、
突然の呼びかけに聞き返す。
「最近は3日と空けずにウィンベル王国へ
行っておるみたいだが……
肝心のライオネル君との仲はどうなって
おるのだ?」
一気にプライベートの話に切り替わり、
ティエラは思わず吹き出す。
「いいいっいえ!?
その、わたくしはあくまでも公務の一環として
ですねっ!?」
「何じゃ。せっかく自分から告白したような
ものではないか。
もっと積極的にいかぬか。
だいたい余ももう年寄りだからのう。
それにお前は後継者争いに何の関係も無いし、
安心して恋愛してもらいたいと思って
いるのだが……」
「まま、まあその―――
それは大ライラック国との件が落ち着いた
後で?」
「頼むよティエラ。
最近、お前の子の面倒を見ながら、
公都『ヤマト』で隠居するのもいいなあって
思い始めておってのう」
「は、はあ……」
父親から思わぬ恋愛確認をされ―――
ティエラはしどろもどろになりながら、
対応を続けたのであった。
「ほー、今そんな事になっているんですか」
海岸線の測量依頼を終えた後、その報告に
冒険者ギルド支部へ来ていた私は、
雑談がてら、レイド君から情報共有を兼ねて
話を聞いていた。
「そうッスよ。
今、『鉄道』の各駅は開拓ラッシュで
沸き起こっているッスからねえ。
王都から一駅二駅程度なら、日帰りも
可能ッスから……
王都や公都両方から労働者がどんどん
送られているッス」
「そこそこの金持ちや貴族がどんどん投資して
いるからな。
今までなら1日かかっていた距離が―――
たった2・3時間にまでなっちまったんだ。
王都や公都に住めなくてもここなら、
って連中と、別荘代わりに拠点を作ろうと
しているヤツらが競って金を突っ込んでいる。
ライの野郎も喜んでいたぜ。
『スゲェ経済効果だ!』ってな」
褐色肌の次期ギルド長と、アラフィフの筋肉質の
現ギルド長が語る。
実際、交通の便や物流が良くなるというのは、
それだけで経済効果が出る。
都心の土地建物に手が出せなくても、
近隣なら―――
という層は結構いるだろうし、
また富裕層がそこに住み着けば、彼らを
相手にした商売もまた自然と定着する。
特に公都は一気に増えた人口に対し、今後の
雇用が賄えるかどうか不安だったので……
私はホッと胸をなでおろしていた。
「あとは同盟諸国全てに『ゲート』が設置された
件か」
「あれ? 結構前に終わってませんでしたっけ?」
するとジャンさんは首を左右に振って、
「あの『ゲート』は魔界を経由するからな。
魔族・魔界と最恵国待遇を結んでいるのは
ユラン国だけだから、そのヘンでちょっと
調整が必要だったんだよ。
同盟諸国に参加している間は許可する、
という条件で落ち着いたようだ」
「面倒なものッスねえ」
レイド君が軽くため息をつくが、
「他人事じゃねぇぞ、レイド。
公都にも『ゲート』はあるんだからよ。
実質無制限のようなモンだが、ユラン国と
魔族に敬意を払えってこった」
ギルド長の説明に、次期ギルド長と私は
うなずく。
「後は……アレか。
カルベルクの野郎から手紙が来ていた。
本格的に冬に入る前くらいに、エクセを
こっちに送って来るってよ」
ジャンさんの言葉に私は首を傾げ、
「あれ?
カルベルクさんは一緒じゃないんですか?」
その問いにギルド長は大きく息を吐いて、
「アイツはあっちの町のギルド長だからな。
そしてエクセは次期ギルド長だ。
2人揃って町を空ける、なんて事は
出来ねぇよ。
レイド、オメーもミリアに怒られてたろ?」
それを聞いて、彼女の夫は肩をすくめる。
「え、えーと他には―――
あ! そうッス。
例の沼精霊様ッスか。
あの子、あちこちで米の農地を開拓しまくって
いるらしいッスよ。
東の村とその中間、それにブリガン伯爵領との
境界線の開拓地……
あとバンたちの故郷の村、それにラミア族の
住処の湖周辺でやったらしいッス」
レイド君が話題をそらすように語る。
しかし、ずいぶんと飛び回っているなあ、
沼精霊様。
「そんなにあちこちに行かせて、
大丈夫なんですか?」
場所的には多分、拠点の中という事に
なるだろうからそこはいいのだが、
あまりいろいろな場所に行かせると、
彼自身の疲労が―――
と思っていると、
「あー、土精霊様と氷の精霊様が
ついているから大丈夫だろう。
冒険者の護衛もつけているし。
おかげさんで、冬前に一度収穫出来そうだとも
言ってたな」
そういえば、この世界の穀物というか農産物って
異様に成長スピードが早いんだよな。
それに加えて土精霊様の加護もあるのだ。
どちらにしろ、急激に人口が増加した公都では
食料問題は悩みの種だったからなあ。
大人はまだ魔力消費で代替出来るけど、
子供にはそれが出来ないから……
それが解消されるというだけでもありがたい。
「そういや、その精霊様組もそろそろ戻って来る
頃だと思うが―――
今どうなってんだ?」
「そうッスね。
確か今日か明日には帰ってくると
思うッスけど」
現ギルド長の質問に次期ギルド長が返し、
「彼らのために、少しアイスクリームでも
作っておきますか」
私はギルド支部の厨房を貸してもらう事に
なった。
「シンさん、いますか?」
翌日……
私の屋敷に、エメラルドグリーンの瞳と髪の
美少年、土精霊様がやって来た。
ミドルショートの白銀の髪の少女―――
氷精霊様も一緒だ。
「何かあったんですか?」
ちょうど朝食の最中だった私たちは、とにかく
家の中へ彼らを招き入れる。
取り敢えず飲み物と軽食を勧めると、二人は
それを口に付け、
「どうしたの2人とも?」
「精霊様が来るなど、珍しい事じゃ」
東洋系の童顔の妻と、欧州モデルのような
堀の深い顔立ちの妻二人が口を開き、
「もしかして、児童預かり所で何かあったー?」
燃えるような真っ赤な瞳と、ショートの黒髪の
娘も食事を取りながら話に参加する。
「あの、沼精霊の事で」
「?? あの子に何かありましたか?」
少年の言葉に私が聞き返すと、
「正確には、あの子がした事で、かなー。
ホラわらわたち、あちこちであの子連れて
米作の農地を広げていたでしょ?
それでちょっとヘンな物を見つけちゃって」
「ヘンな物?」
「とは何じゃ?」
氷精霊様の言葉に、メルとアルテリーゼが問う。
「沼精霊の能力で、農地予定の土地を湿地に
変えていたんですけど、
地下に空洞があったのか、泥が流れ込んでいく
状況になったんです。
その空洞がどうも人工物のようで……
それにかなりの魔力を感じました」
「それでねー、依頼主の公都長代理と
ジャンさんに報告に行ったら、
一応、シンさんに相談してみてくれって」
今、依頼に対して自分は消極的になっている
からなあ。
そこで『相談』という形を取ったのか。
私は家族に視線を向けると、
「そもそもさー、場所はどこなの?」
「ブリガン伯爵領とドーン伯爵領の、
中間開拓地です」
人間の方の妻の質問に少年の精霊が答え、
「という事は―――
比較的近い場所だな」
「それならばワイバーンに乗せてもらえば、
ひとっ飛びの距離じゃのう」
私の言葉にドラゴンの方の妻もうなずく。
「じゃあ、行ってくれるのー?」
「食料問題は子供たちに直結しているからなあ。
それに、私が行った方が確実だろうし……
みんなもそう思っているだろうしね」
少女の精霊に私は答える。
「まー、おとーさんならそうするよね」
ラッチがなぜか小さな胸を張り、
「シンが行けば手っ取り早いだろうしー」
「夕飯までには帰ってくるのじゃぞ」
と、家族の許可が出たところで―――
私は精霊様たちと一緒に冒険者ギルド支部へと
向かう事になった。
「おー、今はこうなっているんですか」
目的地である、ブリガン伯爵領とドーン伯爵領の
中間開拓地……
そこに到着した私は、土壁で囲まれた
人口500人ほどの村を見て、感心するように
声を上げる。
規模としては、公都になる前―――
私が異世界に来たばかりのあの町と同じ
くらいだが、
中はそこそこの建物が立ち並び、生活水準は
公都準拠に見えた。
「そういえば公都で土地を得るのに出遅れた
貴族や豪商が、近い開拓地にそれを
求めたんだっけか。
やっぱりお金持ちが金を落としてくれると、
経済効果が違うな」
『鉄道』の駅もそうだが、改めて消費を回す事の
重要性を思い知る。
そこへ目が丸く大きなカエル顔の沼精霊様と、
農業従事者らしき人たちもやって来て、
「おお、土精霊様に氷精霊様!」
「一応、入口付近の泥は排除しましたが……
その方は?」
沼精霊様の少年はすぐ、二人の精霊様に
兄姉のように抱き着き、
「万能冒険者―――
シンさんをお連れしました」
「もうこれで大丈夫だと思うよー」
精霊の少年少女の説明に、
「おお!
あなたが噂のシン殿ですか!」
「あ、あまり期待されても……
出来る事と出来ない事がありますからね?
それで現場はどちらでしょうか」
「は、はい!
それではご案内します―――」
そして私と精霊様たちは、その問題の場所へ
向かった。
「これは……
確かに人工物ですね」
「はい。泥を除いていく内にわかったのですが、
階段がこのように」
泥土の中、ポッカリと穴が開いたそこは―――
下へと続く階段があり、
照明用の魔導具で中を照らしてみると、
遺跡のような石造りの構造になっているのが
見て取れた。
「じゃあ、まず中に風を送り込んでください」
公都から持って来た送風用の魔導具を使って、
中へ風を吹き込む。
酸欠、二酸化炭素中毒の対応のためだ。
彼らの報告によると、米作用の農地にするため
沼精霊様が土地を湿地に変えていたところ、
突然、泥が地中に吸い込まれて……
どうも地面に穴が開いて、そこに落ちて
いっている事がわかり、
それが地中に作られた人工物だという事が
判明したので、公都に応援を頼みに行ったの
だという。
「中に空気が行き渡ったら探索を開始します。
土精霊様と氷精霊様も準備を」
そして三人でそれぞれのサイズに合った、
例の下水道清掃用の、特殊部隊のような
装備を着込む。
酸素は確保したが、毒ガスや呼吸系に障害の出る
何かがあるとも限らない。
そこで完全空調服を公都で調達して来たのだ。
「…………」
沼精霊がそんな私を見上げ、
「自分は何かする事は無いの?
と言っておりますが」
困ったような顔で土精霊様が通訳するが、
「そうですね―――
中に調査に入るのは私たちだけで十分
ですし……
もしここ以外で農地候補があれば、そちらを
湿地にしてもらいたいのですが」
私がそう告げると、沼精霊様のほか数人の
人間の関係者たちが動き、
取り敢えず他の候補地を聞いてくるため、
何名か移動し、
その間に私たちは、その石造りの地下へと
潜っていった。
「……ここは……」
「ずいぶん古いものみたいなの。
魔力も多分、下手したらわらわたちが
生まれてから間もない頃のものなの」
照明用の魔導具で視界を確保しながら、
慎重に進んでいくが―――
どう考えても大規模な工事が必要だったで
あろう、大掛かりな建造物だとわかる。
地下にしておよそ十メートル、さらに奥へ
もう三十メートルほど進んで来た。
そこでさらに地下に続く階段を見つけ、
「古いと言ってましたけど……
魔王・マギア様の封印よりも?」
「あー、それは確実なの。
三百年かそこらじゃないと思うの」
精霊の少女の言葉に耳を疑う。
もしそれが本当なら、そんな時代にこんなものを
建造する理由があるはずだ。
考えられる用途は二つ。
地上が危険だったため、地下に逃れる必要が
あった。
これはまあ、避難用シェルターと考えれば
わからなくはない。
だけどこれはその範囲を超えている。
通路だけでも、数百人は収容出来るもの。
さらに生活していた跡が全くない。
人が使う道具や消費していた痕跡が、
ここには見当たらないのだ。
そしてもう一つの要素―――
それは、ここが何らかの宗教的施設で、
何かを封印した可能性がある。
魔王・マギア様の封印について聞いたのは、
それが理由で、
かつて魔王を封印したり……
各国で、魔力や魔導具によって封じられた
扉や部屋を何度か見て来たので、
ここもその類かと考えがよぎったのである。
「シンさん」
不意に精霊の少年の声で、思考中の頭が現実に
引き戻される。
見ると、地下三階にあたる通路の先―――
魔力を感じない自分でも禍々しく思える、
扉が現れた。
「これは……」
「こりゃーすごいの。
封印している魔力もそうだけど、
中に封じられている何かの魔力もまた、
すさまじく強いの」
気の抜けるような氷精霊様の説明を聞いて、
この世界基準でのすごさを実感する。
「中にいるものの魔力も無効化しておいた
方がいいかな?」
「まあその方が安全でしょう。
友好的とは限らない以上、万全の対策を
しておかなければ」
土精霊様とのやり取りで方針が決まり、
「お2人とも、私の後ろへ」
そこで精霊の少年少女は私の後方へ下がり、
「魔力で動く魔導具など―――
また、私の前方30メートル、
上10メートルにおいて……
・・・・・
魔法などあり得ない」
地上と後ろに影響を及ぼさないよう、
条件指定の上で私の能力を使うと、
扉が音もなく開いた。
そして中へ足を踏み入れると、
「クックック……
よくぞこの500年に及ぶ封印を
解いてくれた。
礼を言うぞ」
暗闇の中、声の方向へ照明の魔導具を向けると、
そこには―――
7,8才くらいの子供が、ハロウィンの
コスプレ衣装のような、
ドラキュラとでも呼べばいいのか、そんな
服装で杖を構えていた。
「んん……これは」
「きゃー♪ 可愛いなのー♪」
二人の精霊は対照的な感想を口にするが、
当の本人は、
「フッ、恐怖のあまり精神が壊れたか。
無理も無い。
そして喜ぶがいい。
お前たちはこの俺様の、この時代で初めての
生贄になるのだからな―――」
そこで私は土精霊様と向き合い、
「あれはどういう存在なんでしょうか。
精霊様と同じような?
それともゴーレムとか」
「亜神に近いかと。
恐らく神と同格のものか、その眷属と戦って
その後、その宗教の信者の手でこの地に封印
されたものだと思います」
「あ、じゃあやっぱりこの建造物って人の手で
造られたんですか。
しかしどうしましょうか。
保護した方がいいですよね」
そう私たちが今後の彼の扱いについて話し合って
いると、
「何をコソコソと話している?
それにしてもずいぶん珍妙な格好だな……
まあ、何をしようが今さらどうしようも
無いのだがなぁ?
この俺様に出会った時点で―――
恐らく500年前とは縁もゆかりもない
者どもであろうが、運が悪かったと」
「あ、話が長くなるようでしたら後で
聞きますから。
ちょっと今日は夕飯までに戻らなければ
いけないので……」
するとそのバンパイアコスプレのような
男の子は、高らかに笑い、
「そう現実逃避したがる気持ちはわかるがな。
だが、俺様のガマンにも限界があるぞ?
一瞬で楽にしてやろうとも思ったが―――
その小ばかにしたような態度を続けるなら」
「外見上は10才未満なので、児童預かり所へ
いったん入ってもらうとして……
あ、そういえばそろそろハロウィンの準備も
始めておかないと」
「ああ、確か去年は家憑き精霊が
イタズラしたので大変でしたから」
「ねーねー、そろそろあの子お持ち帰り
してもいい?」
こちらで話をいろいろと進めていると、
待たされた事にキレたのか、
「いい加減にしろ貴様ら……!!
それほど欲しければ死をくれてやる!!
喰らえい、『永遠の闇』!!」
と、彼は杖を構えて何やら叫ぶが、
魔法を無効化しているので、当然何も起こる
事はなく―――
「意外と攻撃的な性格なんでしょうか」
「封印されていたくらいですから、それなりに
危険ではあったのでしょう」
「結構強力な魔法を使えたっぽいし、
無効化したのは正解だったのー」
それを見て品評会のように私たちが話すと、
「こ、これは……!?
ア、『大地の爪跡』!!
『真炎の業火』!!
『破滅の冬』……!!」
と、何やらいろいろと魔法を使おうとするが、
発動するはずもなく、
「ど、どうしたというのだ!?
魔力はあるのだぞ!?
って何だこの体はあぁああああー!!」
あれ?
って事は元は子供の姿じゃなかったって事か?
何はともあれ、する事はした。
早くこの遺跡から去るとしよう。
「じゃあ氷精霊様、お願い出来ますか?」
「任せてなの!」
そして混乱する彼を精霊の少女は抱きかかえ、
「な、何をする!
放せー!! 降ろせー!!」
「はいはい♪
とにかくここから出ましょうねー♪」
上機嫌な氷精霊様は姉のように彼を抱くと、
出口へと向かい―――
私たちもその後について歩き出した。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
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こちらもよろしくお願いします。
【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】
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【かみつかれた】【完結】
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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
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