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234・はじめての そろばん

|д゜)ストック……出来たらいいなあ(願望)


「……おう。ダナン王子様は無事発見した。

 ケガも無いようだ。


 ああ、今は公都『ヤマト』の王家専用施設で

 大人しく―――」


アラフィフの筋肉質の体付きのギルド長が、

魔力通話機で報告する。


恐らく相手はライさんだろう。

それから何度かやり取りを終えると、私の方へ

振り向き、


「ひとまずご苦労だった。


 しっかし、面倒かけてくれるガキだ。

 今回は初動が早かったんで助かったけどな」


「そーッスね。

 下手に隠さず、ルディオ大臣様が正直に

 話してくれたッスから」


「あんな子……もとい王子様の子守りなんて

 大変でしょうね」


褐色肌の青年・レイド君と―――

その妻、丸眼鏡をかけたタヌキ顔の女性、

ミリアさんが続く。


「これでちょっとは大人しくなってくれると、

 いいんですけど」


私がそう言うと、ギルドメンバーは3人とも

微妙な表情となり、


「いや~……

 数日は大人しくしているだろうが、

 すぐ復活するぞ?


 子供なんてそんなモンだ」


ジャンさんの後に、レイド夫妻がウンウンと

うなずく。


「それと、こうも立て続けに子供の失踪(しっそう)

 起きますと、また親御さんたちに心配を

 かけてしまわないか―――


 少し不安になります」


「まーそりゃ仕方ないッスよ……」


「そこまでこちらの責任ではありませんし、

 それなりに生活が豊かになれば、不満も薄れて

 来るでしょう。


 地道に辛抱(しんぼう)強くやっていかないと」


レイド君とミリアさんがため息をつきながら、

フォローに回り、


こうして、ダナン王子様救出依頼の報告は

済んだ後―――

私は冒険者ギルド支部を後にした。




「ラッチの姉貴(あねき)ぃ!

 パン買って来ました!!」


『ガッコウ』にて……

三白眼(さんぱくがん)の生意気そうな少年が、

その焦げ茶色の髪を揺らしながら走って来る。


「おー、ありがとありがと。


 んじゃ、それで腹ごしらえしたら

 児童預かり所に行くよー。

 ジャンおじさんと一緒に、チビちゃんたち

 連れて釣りに行くから」


ショートの黒髪に、燃えるような赤い瞳をした

中学生くらいの少女が答える。


「おー、アレですか!

 じゃあ姉貴、いっちょ明日の昼のデザートを

 賭けて、勝負しませんか?」


「ほぉ、このボクに挑んで来るか。


 いいだろう、ボクより多く釣れたら言う通り

 譲ってやる。

 でもダナンが負けたらボクがもらうぜー」


数日後、ダナン王子はすっかりラッチの

弟分となり―――

やんちゃな性分は抜けなかったものの、

少なくとも彼女や、他の大人の言う事を素直に

聞くようになっていた。


「んー、何とかなっちゃうモンだねー」


「まあラッチから見れば公都の子供は全員、

 弟か妹みたいなものだしのう」


アジアンチックな人間の方の妻と、欧米風の

ドラゴンの方の妻がそれを遠巻きに見つめ、


「おお……!

 もうすっかりラッチ様に(なつ)いておられて」


「子供同士ですから、この方が良かったかも

 知れませんね」


初老の男性―――

ユラン国のルディオ大臣様が、一緒になって

その光景を私と見つめる。


「ただ、いかんせん子供同士ですので……

 少々の無礼は目をつぶって頂けると

 助かります」


すると彼はブンブンと首を左右に振り、


「いやいや、とんでもありません!


 むしろドラゴン様の覚えがめでたいと

 なれば、国に帰ってからもそれほど、

 ダナン様の立場は悪くならないでしょう」


実際、ダナン王子様の所業を聞いたユラン国王、

アドベグ陛下は全身全霊で謝罪に回り、


ウィンベル王国経由で、

『煮るなり焼くなり好きにして欲しい』

とまで言って来た。


そこで公都で再教育と称し、しばらく

預かる事を事後承諾で容認。


当面彼は、公都『ヤマト』で過ごす事が

正式に決定したのである。


そしてラッチはクリームパンを、

ダナン王子様は焼きそばパンを平らげ、


放課後に遊びに行くように―――

二人は児童預かり所へ駆け出して行った。


「では、わたくしもこれにて……」


「はい。お気をつけて」


ルディオ大臣様があいさつして別れると、


「さてと、こっちは―――」


と、メルとアルテリーゼの方へ振り返ると、


「あ、シン。

 私たちはこれから用事があるからー」


「ちょっと女子(おなご)同士の集まりがあるでの」


「?? そうなんだ?

 じゃあ私は『ガッコウ』にまだ用があるから」


そうして私は妻二人とも別行動となり、


「シンさん!

 例の人員、揃いましたよ!」


「おお、ありがとうございます!

 それじゃさっそく行きましょう」


集まった二十人弱の若者を連れて、私は

冒険者ギルド支部へと向かう事となった。




「え~っと、次は……

 寮の総支出に訓練用の消耗品の発注と」


ギルドに到着すると、ちょうどミリアさんが

いろいろな書類と格闘している最中で、


「ミリアさん、ちょっといいですか?」


「あ、シンさん。

 急ぎでないのなら、少し待って頂いて―――


 ……ってその人たちは?」


十代から二十代後半くらいの男女の集団を見て、

彼女は疑問を口にする。


「お手伝いですよ。

 ほら、計算する人が足りないって言っていた

 でしょう?」

(■231話

はじめての くんれん(ふゆうとう)参照)


「マジですかぁああっ!?

 じゃあさっそく配置に―――」


喜び叫ぶミリアさんを手で制して、


「その前に見て頂きたいものがあります。


 みなさん、例の物を」


すると彼らはジャラッ、という音と共に、

長方形の木製の道具を取り出した。




「金貨だけは別計算にしてください。

 あれだけ、銀貨20枚で金貨1枚に

 なるので……

 10進数で出来ないんですよね。


 銀貨は銅貨と一緒に計算して構いません。


 ではお願いします」


「??

 え、えっと―――

 じゃあいきますよ?


 まず金貨14枚、17枚、23枚、

 銀貨11枚、8枚、6枚……」


ミリアさんが金額を言う度に、パチパチと

二人が道具を操作する音が室内に響いた。


「最後に銅貨4枚、です」


10分ほど彼女が書類にある数字を読み上げ、

顔を上げると、


「金貨、合計4,032枚になります」


「銀貨3,233枚―――

 銅貨1枚です」


金貨担当と銀貨・銅貨担当がそれぞれ

合計額を答える。


「じゃあ後は銀貨を金貨に換算すれば……」


「いやちょっと待ってください!

 もう終わったんですか!?


 魔法? 魔法ですかコレ!?」


パニックになるミリアさんをどうどう、と

落ち着かせ、


「これはただの計算器ですよ。


 ソロバン、というものです。

 弾く玉の位置で数字を記録しながら、

 連続で計算出来るんです」


ミリアさんが増えすぎた人員の諸々の計算に

困り果てていたのを知って―――

道具屋に発注して作ってもらったのだ。


それ自体はすぐに出来上がったので、

今度は『ガッコウ』で計算に強い、または

興味のある人を集めて訓練し、


およそ二週間ほどで二十人くらいの戦力を

育てる事が出来たのである。


「す、すごい……!


 半日はかかっていた総合計の計算が、

 こんなあっさりと―――」


「ただ人間ですからミスはありますし、

 再度別の人に計算をさせれば、二重チェックで

 ある程度は防げると思います。


 しかし金貨だけは本当に問題なんですよね……

 銅貨10枚で銀貨1枚のレートなのに、

 何で金貨だけ銀貨20枚なんだか」


これが無ければ一括(いっかつ)で計算出来ただろうになあ、

と考えていると、


「それでもスゴい事ですよ!

 こんな事が出来る人が20人も

 いるんですか!?」


「じゃあさっそく、旧スラム地域に作った

 支部にも人員配置を―――」


これまでミリアさんと一緒に計算に苦しんで

きたであろう、職員たちも話に加わり、


取り敢えず中央地区のギルド支部に十人……

他2号~5号支部に二名ずつ送り出す事に

なった。




「……で、どっちが勝ったんだ?」


「ボクもダナンも両方釣れなかったー……」


夕食時、家族で一緒に食事を取っていた私は、

ラッチに今日の出来事について聞いていた。


「釣りって、あの川でだよね?」


「野生の生き物は警戒心が強いからのう。


 いくら公都の内側になったと言えど、

 そうそう釣れるものではあるまいて」


妻二人がラッチを慰めるように語る。


話している川についてだが―――

公都は当初両側を川に挟まれているような

地形で構成されていたのだが、




            北

   果樹&  川       川 米専用&

   各種野菜 川       川 芋類等の穀物

     ◆  川  町本体  川  ◆

 西側新規│  川  □□□  川  │

 開拓地区■―――――□□□―――――■東側新規

     │  川  □□□  川  │開拓地区

     ◆  川   │   川  ◆

魚・貝の養殖& 川   │   川 小麦専用

 鳥の産卵施設 川  ■■■  川

        川  ■■■  川

        川 亜人・人外 川

        川 専用居住地 川

        川       川

        川       川

        川   南   川




現在は上記にある各地区全体をぐるりと、

石壁で囲むような状態となっており、


川をせき止めるわけにもいかなかったので、

公都の中を川が流れる状態となっている。


水深はそれほど深くはないが、子供たちが

落ちないよう柵が設けられ……


また大人たちに取っては、釣り竿さえあれば

タダで食料が手に入るとの事で、ちょっとした

娯楽スポットにもなっていた。


「でもジャンさんもチビちゃんたちも、

 みんな釣れていたのに~……」


「ははは、まあそんなものだよ。


 『絶対勝ってやる~』とか思うと、返って

 勝てなくなる事もあるよ」


私が不満顔のラッチをなだめると、


「あー、そういえばシン。

 ちょっと小耳に挟んだんだけどさ」


「ほら、例の子供たちが行方不明になった事件が

 あったであろう?


 あれについて、旧スラムの住人たちがどう

 思っておるのか聞いたのよ。

 そうしたら―――」


そこで話の流れは、メルとアルテリーゼの

方へと移った。




「へ? 逆に印象が良くなったって?」


「そうなんだよ。


 あの後、シンや私たち、そしてレイド君まで

 出動したでしょ?」


「切り札ともいえる『万能冒険者』に、

 その妻二人。

 当然、ドラゴンである我も入っておる。


 さらに次期ギルド長まで捜索に加わった事で、

 公都が真剣に対応してくれたと理解したので

 あろうなあ」


その前にワイバーンも全力で探し回ってくれて

いたし……


 『公都は本気で子供たちを守ってくれる』

 『旧スラム出身だろうが何だろうが関係無い』


さらに今回、王族であるダナン王子様も捜索、

救助した事で―――


 『身分関係なく、公都は救助に全力を尽くす』


という評価も加わったらしい。


怪我(けが)功名(こうみょう)、というヤツかなあ。


 何にしろ、不満を持たれないのは良かった。

 今後とも良好な関係のまま、この公都に慣れて

 いって欲しいものだ」


そんな事を家族と話しながら……

夜は更けていった。




「各国共同依頼?」


翌日、私はギルド支部に呼び出され―――

その妙な依頼の説明を受けていた。


「ああ、この前鉄道の開通式をやっただろ?


 で、各国の招待客がその情報を持ち帰った

 結果、どこも鉄道導入に前向きでな。


 その前調査をしたいと、お前さんを

 指名してきたんだ」


そう言われても……

私は首を傾げ、


「でもそういうのって、普通本国が

 やりませんか?」


「そりゃもちろん自国でもやるだろうが、


 ただウィンベル王国がやったように、

 未開拓地域の調査とかなら、信頼と実績の

 『万能冒険者』、という事だろうな」


ジャンさんの言葉に、レイド君とミリアさんの

二人がうなずき、


「ま、各国ともシンさんに依頼したいところ、

 共同依頼として順番に―――

 というのが実情ッスね」


「言い換えれば、未開拓地域さえどうにか

 なれば、という事でもあるのでしょう」


確かにドラゴンのアルテリーゼに、『乗客箱』で

運んでもらえば、効率よく移動出来るし……


私と妻二人がいれば、たいていの魔物は

退(しりぞ)けられる。

一番危険な場所を担当してもらえれば、

後は自分たちで、というところか。


「それで、順番はどのように?」


最恵国(さいけいこく)待遇を結んでいるライシェ国からだな。


 ただ今回は首都・王都同士を結ぶ事を最優先に

 しているから、細かい路線建設は後回しに

 なると思う」


なるほど。

まずは国同士を繋げるところからスタートか。




                     |

    ■魔族領             |

                     |

                     |

    ■ユラン国            |

                     |

     チエゴ国            |

  ■    ■             |

 クワイ国                |海

                     |岸

                     |線

       ■             |

     ウィンベル王国         |

                     |

                     |

                     |

       ■       ライシェ国 |

  新生『アノーミア』連邦    ■   |

                     |

                     |

               アイゼン国 |

                 ■   |

                     |




「まずはライシェ国に行き、そこから

 アイゼン国―――

 次いで新生『アノーミア』連邦のマルズ国、


 それからクワイ国・チエゴ国・ユラン国……


 魔族領はそもそも地形条件が厳しいのと、

 たいていの魔物は撃退出来る戦力があるから

 必要無いとの事だ」


「そもそも空を飛べるッスからねえ、

 あの人たち」


「となると、鉄道そのものも必要

 なさそうですね」


ギルドメンバー三人がそう語るが、


「でも招待客には魔王様と、イスティールさん、

 オルディラさんもいましたが―――

 結構乗り気だったような」


「そりゃ乗っている時はそうかも知れねぇが、

 国家プロジェクトだからなあ。

 予算やら人員やら効果やら、現実的に考えると

 断念せざるを得ない事もあるだろ」


ギルド長の反論に世知辛(せちがら)いなあ、と

思いつつ―――

国のトップだからこそ、好き嫌いで物事は

決められないのもわかる。


「まあ何にせよ、各国の未開拓地域の

 『安全確認』が出来てからだ。


 まずはライシェ国、お願いするぜ」


そこで私は各国の未開拓地域を『確認』する

依頼を受け……

家族と一緒に文字通り『飛び立つ』事になった。




「おー、来たかい!

 あっ、この子がラッチ!?


 ずいぶんと可愛くなっちゃってまー♪」


そう言ってラッチを抱きかかえるのは―――

ベージュの髪をミドルショートにした、

青い瞳の女性、


ライシェ国の宰相(さいしょう)を務める、グリフォンの

ミマームさんだ。


「ミマームさん、お久しぶりー」


「というかお主がいれば、未開拓地域の魔物など

 一掃(いっそう)出来るのではないか?


 ここは飛ばしてアイゼン王国へ向かおうかの」


来て早々、古い友人であるアルテリーゼが

回れ右をしようとすると、


「まあ待って待って!

 宰相たる者、あまり気軽に動けないのよー。


 それにまー、私がグリフォンって公表されて

 から、王都から私が離れると住民が不安に

 思うらしくてねえ」


「えっ、公表したんですか?」


「ん? 聞いてなかった?

 ちょうど鉄道の開通式があった時くらいに

 発表したんだけど」


それを聞いてメルが、


「あー、ちょっとその前後はゴタゴタ

 していたから」


「子供が行方不明になったり、王子様が

 逃げ出したりしていてのう」


続けてのアルテリーゼの説明に、ミマーム様は

うなずいて、


「それは仕方ないなぁ。


 まぁ、そもそも開通式の話題で全部

 持っていかれたような感じではあったけど。


 それに各国上層部も薄々気付いていたみたい

 なんだよねー。

 思ったより反応今イチでさぁ」


カミングアウトのインパクトがそれほどでも

無かった事に、彼女は不満そうな顔をする。


「でも確かに、ワイバーンのヒミコ様や

 おかーさん……

 それにフェンリルのルクレセントさんも

 すでにいる状態だったし」


ラッチがフォローするように話すと、


「そーなんだよねぇ。

 今さら? って感じで―――


 ずっと秘匿(ひとく)してきたのがバカみたいだよ。

 さっさと発表すりゃ良かった」


ため息をつきながら語る彼女に何と言ったら

いいかわからず、


「と、とにかくライシェ国が依頼してきた、

 未開拓地域に行きませんと。


 ……って、ミマーム様は王都を離れられないん

 でしたっけ」


「あー、案内人は用意してあるからさ。

 アルテリーゼの『乗客箱』とやらに乗っけて

 あげてくれ。


 おーい、お前たち。こっちこっち」


と、スタンバイしていたのか何人かの

調査隊のような装備をした人たちがやって来て、


「よ、よろしくお願いします!」


「案内を務めさせて頂きますので!」


「そんじゃラッチちゃんは、こっちで預かって

 おくねー」


そして彼らの案内で―――

ライシェ国の未開拓地域へ飛ぶ事になった。




「この辺りですね」


「昔から難所と呼ばれている場所です。

 ただウィンベル王国との最短距離を選ぶと

 なると、避けては通れない場所です」


案内人たちの指示に沿って飛ぶ事十分ほど……

その眼下には、うっそうとした茂みが

広がっていた。


だが森というほどではなく、低い木々が集まって

出来ている場所のようだ。


「ずいぶんと小さな茂みがたくさん

 あるようですが」


「下が泥土(でいど)になっているんです。


 池や湿地帯の一歩手前というところで

 しょうか。

 鉄道の陸橋建設には向かないでしょうが、

 多少なりとも近場を通る事にはなると

 思いますので」


なるほど。上からでは下の泥土は見えない

ようだ。


「アルテリーゼ、少し下降してくれ。

 『確認』したい」


『わかったぞ』


伝声管を通じて妻に頼み、


「メルは目視で何かいたら確認を―――」


「りょー」


そして上空を旋回しながら、場所の安全を

確かめる。


するとメルが突然『んっ!?』と声を上げ、


『……!

 みな、つかまれ! 何か来る!!』


アルテリーゼが声と同時に方向転換する。

同時に当然、『乗客箱』も揺れ―――


「うわっ!」


「な、何ですかぁっ!?」


そうライシェ国の調査隊たちが叫ぶのを横目に、

窓の外を見ると、


何かが猛スピードで上空へ向かっていくのが

わかる。

それも何体もだ。


「フォレスト・フロッガーか!?」


以前、相手をした事がある魔物だが、

アレは空中にいると確かに厄介だ。

地上から、まるで対空砲のようにジャンプして

飛び掛かってくる。

(■101話

はじめての たるたるそーす参照)


『どうもそのようだのう。

 少し高度を上げるぞ』


「んんっ!?」


アルテリーゼがそう告げた後、メルがまた

何かに気付いたように声を上げる。


「どうしたんだ、メル」


「何かやけに大きなフォレスト・フロッガーが

 いたような……


 しかも二本足で立ってた」


カエルが二本足で?

鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)のようなカエルを思い出し、思わず

吹き出しそうになるが、


「亜人―――だろうか」


『う~む……

 意思疎通が出来そうには見えぬのだが』


ドラゴンの方の妻も目視確認したのか、

意見を述べる。


「アルテリーゼ、二回転旋回を頼む。

 それで様子を見よう」


二回転旋回は、8の字を描くように飛んで

『戦闘意思無し』を伝えるためのものだ。


もし知能があるのなら、少なくともそれで

何らかの意思を伝えようとしている事が

わかるはず―――


しかし……


「あ~……

 何かダメっぽいね」


『明らかに届かぬのに、やたら上がってくるぞ、

 あやつら』


妻二人からの報告に、私も意思疎通を諦め、


「仕方が無い。

 アルテリーゼ、急降下を。


 その間に私が何とかするから。

 ライシェ国のみなさんは、何かにつかまって

 ください」


私の指示に、調査隊のメンバーはそれぞれ

思い思いの場所にしがみつく。


やがて角度が変わり、地面に向かい始め―――

私は眼下の光景をにらみながら、


「その手足の比率で、これだけの

 瞬発力を持つ……


 かつ後ろ足で人間のように立つ両生類など、

 ・・・・・

 あり得ない」


そう小声でつぶやくと、


「うっ!?」


「な、何だ……

 急に攻撃が止んだぞ?」


ライシェ国の調査隊の言う通り―――

対空砲火のようなフォレスト・フロッガーの

攻撃が鳴りを潜め……


状況を確認するため、私たちはいったん

現場へと降り立った。




( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

本作品は毎週日曜日の16時更新です。

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[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★  ダナン王子、新しい扉を開かないと良いですね~  通常ソロバンの横か上(上の場合はスライド式)金貨用の 五珠が3個あるの付けておけばイケる気がします。 携帯す…
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] ・そう言えば先日の八月八日は算盤の日でしたね。パチパチ。 ・三~四十年前ですがファントム無頼という漫画で 「俺は身分ではなく命を助けたと思っている。これでは…
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