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227・はじめての みえないぶたい

|д゜)新技術の実験は重要。



「シンさん!

 スカベンジャースライムの件、ありがとう

 ございました!」


「あ、パックさん。

 それにシャンタルさんも―――」


スカベンジャースライムを捕獲し、それを王都・

フォルロワに運んだ翌日、


私たちは公都『ヤマト』に帰還。

依頼達成を報告するため、冒険者ギルド支部へと

来ていた。


そこで元々の依頼引き受け先であった、

パック夫妻と遭遇し、


「そちらはどうでしたか?」


「こちらも無事終わりました。

 緊急性の高い物、薬や必需品から先に

 収集しましたので」


「各種族の代表にも同行してもらいましたから、

 スムーズにいきましたよ」


白銀の長髪を持つ夫婦が笑顔で答える。


「あれ?

 そちらのご家族は?」


「郊外でスカベンジャースライムを封じた、

 魔導具の監視にあたっています。


 6匹ほど王都へ引き渡しましたが、

 2匹ほど公都用にと、魔導具ごと頂きまして」


「それは良かったです。

 これだけ人が増えると、下水処理も不安要素の

 1つでしたからね」


そこへ聞き慣れた声がして、


「おう、3人ともご苦労さん。


 報告書をまとめるから、応接室に……」


と言うジャンさんの後ろから、


「それくらい私がやりますよ、ギルド長」


タヌキ顔の丸眼鏡の職員、ミリアさんが

顔を出し、


「いやでも、休んでたいた方が―――」


「産休制度で休むのはずっと先です。

 それまでは普通に勤務しますから!


 本当に、こういうところだけはレイドと

 そっくりで……」


そう言いながら彼女はギルド長から書類を

奪うように持って行き、


アラフィフの筋肉質の男は、照れるように

鼻の頭をかいた。




「おー、って事はそのスカベンジャースライムを

 利用した『浄化装置』を、公都まで持ってきて

 くれたのか」


支部長室に移り、改めて報告をする。


「何かどんどん便利になっていくッスねえ」


褐色肌に黒い短髪の、次期ギルド長の青年が

呆れ半分で感想を語る。


「でも危なくはないんですか?」


事務処理しつつミリアさんが、当然の疑問を

口にするが、


「王都で検証確認は終わっているとの事です。


 基本、汚物を求めて移動するそうですから、

 逆に言うとそのエサが流れ続けてくる限り

 動かなくなるそうで」


それを聞いてパック夫妻がふむふむとうなずき、


「エサが自動的に運ばれてくるような

 ものですからねえ」


「動かないでもエサが出てくるとわかれば、

 無理に移動する理由もないのでしょう」


その説明を聞いて、今度はギルドメンバーの

3人がうなずく。


「それに光を嫌うという習性もありますし、

 四方を強烈な照明魔導具で囲む設計です。


 もちろん、魔力供給は必要ですが……

 1ヶ月に1回程度ですし、週1で清掃作業を

 行いますので、メンテナンスを兼ねて行えば

 大丈夫でしょう」


「じゃあまずは設置作業ッスね。

 誰がやるんスか?」


私の言葉にレイド君が聞き返す。


「そりゃ自分が行きますよ。

 何人か手伝ってもらいますけど。


 それに魔導具で封印しているとはいえ、あまり

 表に置いておくのは精神衛生上悪いですしね」


「相変わらずそういう作業を(いと)わないな、

 お前さんは。


 だからこそ信頼があるんだろうけどよ」


ジャンさんがからかうように苦笑いすると、


「まあ、それだけが取り柄といいますか。


 あ、じゃあ公都長代理へ下水処理施設の

 新機能設置について申請―――

 お願い出来ますか?」


「わかったッス!」


「やっておきますねー」


こうして一連の報告が終わった後、私は

ギルド支部を後にした。




「ふは~……」


「お疲れ様です、シンさん」


その日の夕方、私は施設整備班のみんなと一緒に

中央地区の公衆浴場で湯につかっていた。




  強力照明魔導具    強力照明魔導具

    ↓           ↓

□□□■■■□□□■■■□□□■■■□□□

          ↑

         浄化装置


公都外←―――――――――――――→公都内




例の浄化装置をだいたい上記のように設置。

また、下水道内の公都内に入る前に強力照明の

魔導具を、


同じ物を外の川へ流れる出口から、やや内部に

入ったところに取り付けた。


公都内に入る前の照明は、当然侵入を防ぐための

ものだが、


公都外からやや内部に同じ照明魔導具を

設置したのは―――

直接外かその近くに取り付けると、その光に

誘われ下水道に入る魔物がいるかも知れない

との事で、


やや中に入ったところに配置する事にしたのだ。


そして今、作業が終わった後の施設整備班の

特権……

公衆浴場貸し切りで、みんなで疲れを(いや)して

いたのである。


「でもこんなに時間がかかるとは、

 思いませんでした。


 今日だけではなく、明日も1日飲食はタダに

 しておきますので」


その言葉に、浴場内で歓声が響く。


これも施設整備班の特権の一つで、作業があった

その日は、家族も含めて公都内の店での飲食は

無料になるのだ。


料理に力を入れている公都では、これはかなり

羨望(せんぼう)の目で見られるそうで、


またどんなに食べても請求先は公都に行くので、

各飲食店や屋台は臨時収入とばかりに力を入れる

のだという。


そんな事を考えながら湯につかっていると、

隣りの女風呂から、


「おとーさん! すごーい!!

 ほとんど貸し切りー!!」


「あー、騒いじゃダメ、ラッチ」


「こことて我らだけではないからのう」


と、壁越しにラッチ、メル、アルテリーゼの

声が聞こえて来た。


なぜ家族がいるのかというと……

下水道に潜る作業に取り掛かっている時、

ラッチが『ボクも行くー!!』と言い出し、


不安に思った母親ズがそれに同行。


水魔法用の杖で面白がって遊ぶラッチを、

親サイドでたしなめながら、


何とか作業を終えた、という事情もあった。


「まさか娘さんまでついてくるとは」


「こちらとしては、ドラゴンの護衛がついた

 ようで頼もしかったですけど」


職場に家族が来るようなものだからなあ。

私は思わず赤面する。


「いや、ご迷惑をおかけしたようで……」


私が頭を下げると、彼らはブンブンと首を

左右に振る。


「とんでもありません!!」


「学もロクな魔法も使えない我々が―――

 週1回、下水道に潜るだけで月金貨25枚

 (こちらの相場で50万円くらい)

 頂けるんですぜ!?


 しかも今は装備も充実して、匂いも全く

 気にならないくらいになっているんですから」


確かに好待遇にしているのは事実だが、


「でも相変わらず人手不足なんですよね……

 特に女性の募集はほとんど無いし」


「あ~……そりゃまあ」


「特に若い女の子がやるような仕事だとは」


ここは地球とイメージが同じらしく、

彼らも真正面から否定はしない。


「衛生管理って重要なお仕事なんですけどねえ。

 特にインフラ系は。


 浄化装置を導入したので、今よりはもっと

 作業は楽になると思いますけど」


やっぱり教育関係からそういう概念を強化して

いくしかないかな―――

そんな事を考えながら、入浴時間は過ぎて

いった。




「あー、さっぱりした!」


「やはりウチより広い風呂に入るのは気持ちが

 良いのう♪」


黒髪セミロングの童顔の妻と……

同じく黒髪ロングの西洋人っぽい顔立ちの妻が、

湯上りの風を楽しむ。


「ウチも結構広いと思ったけど―――

 こっちの方がもっと広いもんね」


赤い瞳をした、短い黒髪の娘が一緒に風に

あたりながら話す。


ラッチは続けて、


「でも女性の施設整備班の人って、あんまり

 いないんだね。


 ボクとおかーさんたち以外に、3人しか

 いなかった」


男性職員は現在、なんだかんだ言って四十人ほど

集まってはいるが、女性職員は十人もいない。


それも就職理由は、結婚資金を貯めるとか……

または身内の借金を返す、もしくは治療費を稼ぐ

ためなどのやむを得ない事情が多く、


最長契約期間である一年は働いてくれるが、

契約更新してくれた人はまだいなかった。


「資材管理や洗浄専門にすれば、人も

 増えそうだけど―――

 それだとそっちだけになっちゃう可能性が

 高いんだよなあ」


「なかなか難しいねー」


「まあ女子(おなご)には厳しい職場である事は

 確かだからのう」


メルとアルテリーゼもうなずきながら語る。


「だったらおとーさん!

 ボクが手伝うよー」


「ありがとう。

 でも、水魔法の杖で遊ぶのは禁止だぞ?」


「努力する!!」


「いや約束してくれ」


そんな会話をしながら、私は家族と一緒に

家路についた。




「ティエラ様、ずいぶんとご機嫌だな」


「それほどウィンベル王国の王族……

 ライオネル様と付き合える事になったのが

 嬉しいのだろう。


 幼い頃から彼女を知っている僕からすると、

 少々複雑だが」


ランドルフ帝国帝都・グランドール―――

その王宮の一室で分かりやすほどに浮かれていた

ティエラを見て、従者であるアラフィフと

アラフォーの男性二人は目を細める。


「えっ? や、ヤダ。そんなにわたくし、

 おかしかったですか?」


パープルの長髪を眉毛の上で揃えた王女は、

顔を真っ赤にして両手で(おお)う。


「まあおかしいといえばおかしかったですが」


「それで陛下は何と言われたのですか?」


そこで彼女は額に人差し指をあてて、


「『それがどこかのギルド長である、という

 だけなら納得はしなかったが……

 王族でもあり全属性の使い手でもあるなら、

 ウィンベル王国との結びつきを強くする

 意味でも望ましい』


 だそうです。後は―――」


「「後は?」」


赤とブラウンの髪をした男二人が興味深そうに

聞き返すと、


「『出来れば帝国に婿入(むこい)りさせろ!』

 との事です。


 『お前は王族でも末端中の末端だし、

 無理に他国に嫁がなくてもいいから!』


 だそうで……

 お父様、こういう時は肉親の情が出て」


「愛されておりますなぁ」


「前国王の兄とはいえ、向こうもそれなりに

 年ですし、可能性はあるんじゃないですか?」


従者二名がからかうように言うと、ティエラは

また顔を赤らめるが、


「ティエラ様、いらっしゃいますか?」


そこへ扉の外から彼女を呼ぶ声が聞こえ、


「はい。何でしょうか」


「大ライラック国とモンステラ聖皇国の

 動向について、情報が入ったと」


それを聞いた三人は顔を見合わせ、


「わかったわ。

 入って来てちょうだい」


そこでティエラ王女に、新たな情報が

もたらされた。




「さて―――


 お前たちには今後、これを着けてもらう」


ウィンベル王国王都・フォルロワ……

その冒険者ギルド本部の訓練場で、


人間・亜人・人外と様々な人種が、ギルド本部長

ライオットの命令で集められていた。


「何だい、こりゃ。

 ヘンな腕輪だねえ」


「ちょっと高そうな雰囲気はするけど」


赤毛の、恰幅(かっぷく)のいい女性と、

いかにもなチンピラ風の細身の男―――


未来予知魔法(プレディクト)を使うマフィアの女ボス、

ブロウと、


その組織に属していた、誘眠魔法(インバイトスリープ)の使い手、

ジャーヴが不審そうな声を上げる。

(■67話 はじめての ろうや

■68話 はじめての にげきり参照)


「魔力封じの腕輪だ」


本部長の説明に、一団はざわつく。


「いや、待ってくれ!

 散々アンタの言う事は聞いてきたじゃ

 ねーか!」


「今さら俺たちをどうしようってんだ!?」


すると獣人族の一人が、


「俺たちはシンさんに恩義があるから、命令に

 従って来たのだ」


続けて、人間の姿となっているワイバーンが、


「納得出来る理由があるのでしょうな?」


さらにハーピーの面々が、

『そうだそうだー』『理由を言えー』と

騒がしくなる。


「……ここには、俺が信頼するメンバーしか

 連れて来ていない。


 この話を受ける場合は、ある秘密を共有

 しなければならない。


 俺の事が信用出来なければ、今すぐ出て行って

 もらっても構わん」


ライオットの言葉に、集まった一団は

動揺するが、


「そりゃ信用しているさね」


「むしろまだ話してない事があったのかよ」


ブロウとジャーヴの言葉に、全員が笑い出し、


「ありがとよ。

 じゃあ、話をさせてもらうぜ」


そして全員が秘密を聞く……

つまり、受け入れる姿勢を見せた。




「はぁあああ!?

 あんたが王族だって?」


「前国王の兄―――だと!?」


「いったいそれがどうしてギルド長なんか」


本部長が自分の正体を明かした事で、

室内は大騒ぎになるが、


「はいはーい、注目ー」


「王族から詳しい説明がありまーす」


金髪を腰まで伸ばした童顔の女性と、

ミドルショートの黒髪の、眼鏡をかけた

秘書風の同性が手を叩く。


「ウィンベル王国は代々、ギルド本部に

 王族を送り込んで来た。


 理由は、軍以外に国内最大の戦力が

 集まる場所がココだからだ。


 ま、俺みたいに本部長にまでなっちまったのは

 いなかったらしいけどよ。

 おかげでクソ忙しいったらありゃしねえ」


彼の説明に集められたメンバーが大笑いする。


「それで、どうしてこんな事をするか、

 だが……


 実はこの前国交を結んだランドルフ帝国とは、

 一触即発(いっしょくそくはつ)の状態にあった。


 こちらとの開戦は回避された。だが―――

 海の向こうのクアートル大陸がキナ臭く

 なりつつあるらしい」


ライオネルの説明に、全員が黙り込む。


「今までお前たちには、国内外の諜報を極秘に

 依頼してきた。


 今後は王族直属の機関として働いてもらう。

 海の向こうに行ってもらう事もあるだろう」


誰も口を挟まないが、つばを飲み込む音が

室内に響く。


「お前たちには、表に出ない仕事をやって

 もらう事になる。


 味方でさえ知らないうちに、最も困難な

 仕事をやり遂げ、その死も極秘。


 死して(しかばね)拾うもの無し。


 ウィンベル王国の、いわばメダルの裏を

 (にな)ってもらう」


それを聞いた人間・人外構成メンバーは

しばらく沈黙するが、


「いきなり話がデカくなったねぇ」


「それで―――

 魔力封じの腕輪との関連は何なんだよ?」


元マフィアの主従が先を促す。


「当たり前だが、この世界は魔力前提で成立

 している。


 範囲索敵(サーチ)も魔力感知を元に行っているし、

 警備用の魔導具も当然それだ。


 逆に言えば魔力さえ無ければ……

 何も引っ掛からん」


本部長の説明に、みんなが手渡された腕輪を

見つめる。


「逆転の発想、というヤツだな。


 警備が厳重なところは基本、魔力感知の

 魔導具頼りなところが多い。


 もちろん目視には引っ掛かるだろうが、


 例えば夜、もしくは空、水中―――

 そこから魔力ゼロの者が来たらどうなるか。


 これは(すさ)まじい脅威(きょうい)となる。

 『見えない』侵入者の登場だ」


これは先日、ティエラ王女との対戦を経て

彼が考えついたもので……

(■225話

はじめての ぎゃくむこうか参照)


いつでも任意で自分の魔力を封じたり、また

解除出来たりするのであれば―――

というアイディアで、そういう諜報機関を

作る事を決意したのである。


それを理解した周囲からは、ゴクリ、とつばを

飲み込む音があちこちから上がる。


「だからしばらくその腕輪をつけて生活を

 してもらう。


 魔力ゼロの生活に慣れるためだ。


 またロックはかからないようになって

 いるので、使用は普通の腕輪のように

 任意で着けたり外したりすればいい」


そこで彼は一息吐き、


「多分この『見えない部隊』の設立が、

 俺が王国に出来る最後のご奉公になるだろう。


 ウィンベル王国の国民は、お前たちのような

 存在がいた事を感謝するだろう。

 だが、それはずっと後の話だ。


 少なくとも俺たちが生きている間は無い。

 100年後か200年後か……


 平和になって、我が国の歴史が再評価される

 時、闇に光があたるかも知れん」


そしてその言葉が終わると同時に―――

腕輪を渡された全員がそれを身に着け、


拝命(はいめい)、とでも言えばいいのかい?」


「創設時のメンバーになれるって事か。

 光栄だね」


「しかし、王族の手先になるのかと思えば、

 世界を相手に渡り合え、とはなあ」


と、口々に言い合う中―――

獣人族の一人が片手を挙げて、


「この事、シンさんは承知か?」


あくまでも恩義のあるシン絡みだから、という

事なのだろう。


「もちろん知っている」


そう本部長が答えたところで、サシャと

ジェレミエルが、


「ではここで本日二度目の重大発表!!」


「えー、皆さんご存知のシンさんですが……

 彼は『境外(けいがい)の民』―――


 つまり別世界から来た人間でっす♪」


その言葉に、集まったメンバーは

目を白黒させた。




「ふむふむ……

 『見えない部隊』の創設ですか」


「ではこれも、その一環で」


後日、私は―――

公都『ヤマト』にあるパック夫妻の屋敷兼

研究施設兼病院の地下、


訓練施設のようなところで、彼らと

話し合っていた。


「確かにまあ、魔力ゼロになれば俺の

 範囲索敵に引っ掛からないッスけど」


そこで協力者&参考として来たレイド君が、

自分の意見を述べる。


「あれ? でも確か魔法にも……

 隠蔽(ハイデン)隠密(ステルス)がありましたよね?


 あれも魔力を使うと思いますが、どうやって」


「んー、あれらは多分―――

 オッサン(ジャンドゥの事)の話ッスけど、


 隠蔽は魔力・視覚・音声遮断、

 隠密は気配遮断のみだと思うッス。


 隠蔽の方が魔力をつかめねーって

 言ってたッスから」


ジャンさんがそう言うのならそうなんだろう。

そして、私たちの背後で巨大な物が動き始め、


「……♪ ……♪」


「おとーさん!

 これ、すごくかっこいいねー!」


ゴーレムのレムちゃんが操縦する、

レムちゃん専用ロボット―――

そしてその肩にラッチが乗っていた。


ちなみにメルとアルテリーゼは、エクセさんに

『新技』を教えるとかで自宅にいる。


「そう、これが新型ロボット!

 『レムちゃん30号』……!!」


「様々な最新技術を惜しみなく投入した機体!

 今日が初お披露目です!!」


もはやゴーレムというより、アニメに出てくる

SFロボットと言っていいくらいの外見で、


胸のコクピットには小さなレムちゃんが、

パイロットとして鎮座(ちんざ)する。


そこでラッチが肩から降りて来ると、


「それで、これからどうするのー?」


「間もなく協力してくれる人たちが来るから、

 そこから実験スタートかな」


するとゾロゾロと様々な人種が、合計

十人ほど地下に降りて来て、


「シンさーん、ここでいいんですかい?」


「はい、よろしくお願いします」


全員が集まった時点で、実験内容の説明を

始めた。




「じゃあ、好き勝手にいろんな場所に隠れれば

 いいんですか?」


「はい。でもその前に私の『抵抗魔法(レジスト)』で、

 一時的に魔法・魔力を使えなくします。


 その上で隠れて頂きます」


集まった人たちの一人の質問に答える。

そのまま私はレムちゃんの乗る大型ロボットへ

振り向き、片手を挙げると、


「……ッ!」


その腕から何かが発射され、私の手の平に

当たる。


それは色のついた水、ペンキのようなもので、

私はそれを彼らに見せながら、


「このように、この巨大ゴーレムに見つかり、

 これをぶつけられたら失格となります。

 その後は速やかに退場してください。


 隠れる場所は各自任意でお願いします」


訓練場には、すでに茂みや岩、ちょっとした

小屋を模した物までが作られていて、

彼らはその光景を見てうなずく。


「ではお集まりください。

 私が『抵抗魔法』をかけますので―――


 あ、レムちゃんは後ろを向いていて

 ください」


「……♪」


それを見てパック夫妻とレイド君、ラッチは

距離を取り、


「(私の平行半径1.5メートルの範囲に

 おいて、

              ・・・・・

 魔力・魔法などあり得ない)」


そう彼らに聞こえないようにつぶやいた後、


「『抵抗魔法』……!!


 これで、あなた方は一時的に魔力が無くなり、

 魔法が使えなくなりました。


 では好きな場所に隠れてください」


私の合図に各自、自分の体や手を見ながら、


「うえぇ~、これが『抵抗魔法』……

 何かだるい……」


「まあ少しの辛抱だ」


「早く隠れようぜ」


そして彼らは思い思いの場所に散っていった。




「どう? レイド君」


「俺の『範囲索敵』にも引っ掛かりません。

 大丈夫ッスよ」


全員が隠れた後、彼に確認を取ってもらい、


「じゃあレムちゃん、お願いします」


私の言葉にパックさんとシャンタルさんが、


「『レムちゃん30号』―――」


「発進!!」


「いけー!!」


気合いの入った表情でレムちゃんに起動を

促し、ラッチがそれに続いた。




「おわっ!?

 な、何でわかるんだ!?」


「うひぇっ!!」


実験開始から五分もすると、レムちゃんは

次々と隠れた目標を見つけ始めた。


「いったい何でわかるッスか?

 今、彼らに魔力は無いんスよね?」


レイド君の問いに私はうなずき、


「まあ、いろいろとあります。


 例えば温度。生きている以上生き物は全員、

 体温を持っていますから……


 後は音、ですね。

 声を上げなくても、物音を少しでも立てれば

 それを感知する魔導具がセットされています」


私の説明に彼はポカンと口を開ける。


そもそも今回の実験は、『見えない部隊』設立と

同時に、ライさんから打診されたもの。


彼としては極秘を通すつもりだが、

『こちらに出来る事はあちらにも可能』

という考えの元、万が一相手もカウンターとして

『見えない部隊』を真似してきた場合、

その対抗手段を練る必要があるとして、


私の世界の索敵にはどんな物があったのかを

聞かれ、それをパック夫妻にフィードバック

したのである。


「今は温度センサー、音響探知機が

 メインですね」


「出来れば呼吸に反応するセンサーや、

 赤外線も付けたかったのですが、

 いかんせんまだ実用化には遠くて」


パック夫妻が残念そうに語る。

そこまで理解しているだけでもすごいと

思うのだが。


「あ、またレムちゃん見つけた」


「見つかった人はこちらまで来てください!

 『抵抗魔法』を解除しますのでー!」


こうして実験は続けられ―――

十分もすると全員が見つかり、無事に終了した。




( ・ω・)最後まで読んでくださり

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[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★  タイトルから複合魔法による熱光学迷彩採用の忍者部隊かと思いました。
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] まーねー。 男女雇用機会均等法なんてことをいっても「汗かいて汚れて臭くなって」って仕事には女は応募しないでしょうよ。 そんなものアタシ知らないとばかりに、いわ…
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