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226・はじめての きょういくほうしん

|д゜)インフラ整備も重要。


「なるほどなるほど。

 ウチの本部長にホの字であったと」


「まあ確かに正体は前国王の兄でもありますし、

 ティエラ様も王族―――

 つり合いも取れておりますが」


金髪ロングの童顔の女性・サシャさんと、

黒髪セミロングに秘書風の眼鏡をかけた

ジェレミエルさんが―――

ラッチを間に挟んで本部長室で語る。


その語り掛ける先は、パープルの前髪を

眉の上で揃えた二十代の女性……

ランドルフ帝国のティエラ王女様がいた。


大ライラック国が攻めてくるとの想定の元、

模擬戦を一手お願いしますとライさんに

彼女が頼み込んだのだが、


その実は、彼とお近付きになりたいという、

恋心のための行動であり―――


「ライさんはどーなの?

 ティエラ様はイヤ?」


黒髪セミロングの、女子中学生くらいの

姿になったラッチが、その燃えるような

赤い瞳を本部長へ向けると、


「いや、そういう事じゃねぇが……


 俺、前国王の兄だからな?

 年だって見た目よりかなりいっている。

 ティエラ殿は確かまだ20代だったんじゃ

 ねぇか?」


年齢差を気にしてライさんは消極的な態度を

見せる。


「でもねぇ。この前カルベルクさんと

 エクセさん、年の差夫婦も来たしー」


「それにまだまだ現役であろう?

 若い嫁をもらえば若返るというものよ」


アジアンチックな顔立ちの妻と、対照的に

欧米風の堀の深い顔立ちの妻がティエラ様

擁護に回る。


「そんな事言われてもなぁ。

 俺はこういう『仕事』だし……」


頭をガシガシとかきながらライさんは

下を向くが、


「あー……

 でもそれに関しては似ているのかも

 知れません」


「んん?」


私の言葉に本部長が聞き返してきて、


「だってライさんはギルド本部長でありながら、

 正体は王族という顔を持っています。


 そもそもティエラ様がウィンベル王国に

 来たのも、商人に化けてでしたし―――

 行動力というか、『身分を隠して自ら動く』

 という点でお2人は近い部分があるのでは」


続けて言うと、ブンブンとティエラ様が首を

上下に振って肯定する。


「う~ん……」


「しかしねぇ……」


そこで彼の秘書のような二人の女性が眉間に

シワを寄せ、


「サシャさんとジェレミエルさんは―――

 反対なのでしょうか?」


私の問いに、ラッチを構っていた手を二人とも

放し、そのまま両腕を組んで、


「だってねぇ~、もうすぐ本部長も引退だし?

 その後私たち、養ってもらって悠々自適(ゆうゆうじてき)

 暮らす予定だったのに?」


「そうですよぉ~、そこにもう1人って人生設計

 狂うっていうか」


「その話、俺初耳なんだが」


彼女たちの話をライさんが冷静に切り返し、


「まーまー。

 2人も3人も変わらないって」


「それに王族じゃし、それくらい養うのは

 何でもなかろう?」


「なんかもういろいろ決定してる!?」


当人の意思に関係なく話が進んでいく。

そういえばもう一方の当事者は―――


「ティエラ様はこの後どうするのー?

 結婚するー?」


過程をいくつも吹き飛ばす言葉がラッチから

王女様に放たれ、


「いっいいえっ!?

 そ、そんなにすぐにはその……!


 ただ大ライラック国の動向を(しら)せに、

 こまめに来る事になるとは思いますけどっ、

 けっ決して公私混同ではですねっ!」


アカンこっちもパニクっとる。

するとライさんが片手を挙げて、


「すまないが、俺は後数年は動けませんよ?

 それに、主な『仕事場』は冒険者ギルド本部(ここ)

 なります。


 それでも良ければ―――」


彼の答えを聞いた彼女は満面の笑顔となり、


「わっわかりました!

 しばらくはそれでお願いします!!」


こうして、新たなカップル誕生を見届けた後、

私たちは公都へ帰還した。




「うへぇ、そんな事があったッスか」


「戦争の相談に来たのかお見合いに来たのか、

 わかりませんね」


褐色肌に黒い短髪をした青年と……

ライトグリーンのショートヘアーに丸眼鏡を

かけた、タヌキ顔の女性が対応する。


翌日、公都『ヤマト』の冒険者ギルド支部―――

そこの支部長室で、事の次第を報告していた。


「戦争でも色恋でも、人の都合考えずに始まる

 モンだ。


 しかしアイツに浮ついた話って無かった

 からなあ。

 すでに甥っ子に子供もいる年齢なんだぜ?

 あれでも」


アラフィフの筋肉質の体つきのギルド長が、

白髪交じりの頭をかきながら語る。


「そうなんスか?」


「それは意外というか……」


レイド君とミリアさんが目を丸くする。


「ウィンベル王国の王族―――

 その有力者として、冒険者ギルド本部に

 潜入・監視する、そんな使命を背負って

 いたんだぞ?


 まあ多分、あの2人とは『それなりに』

 関わりはあっただろうが……


 甘い恋人生活なんて夢のまた夢だろう」


あの二人……

多分、サシャさんとジェレミエルさんだと

思うけど。


「大人の関係くらいはありそうだけど、

 どちらかというと『王族の使命』の協力者、

 パートナーという位置付けだろうねー」


「肉体関係すら、『仕事上』の付き合いのような

 気がするのう」


同行していたメルとアルテリーゼが、

同性としての見解を口にする。


ラッチは『ガッコウ』に行っていたので、

こういう大人の話の場にいないで良かったと

ホッとする。


「しかし、少しくらい恋愛感情はあったんじゃ

 ないですか?

 それに、引退したら一緒になる気満々でも

 ありましたし」


私が疑問を口にすると、


「無くはないと思うけど―。

 それまでの信用も信頼もあるし……

 まあ異性として一定の評価はしている、

 という感じかな?」


「あとは腐れ縁というか、長い付き合いだし

 この人でいいか、みたいな?


 で、でもまあ案外そういう関係の方が

 長続きしたりするものだと思うが」


同性としてのカンなのか、妻たちの意見は結構

シビアだ。


「あと、本部長って前国王の兄上なんですよね?


 信頼関係のある王族を捨てて―――

 他の男を探すって、普通の女性なら

 しないんじゃないかなーって」


ミリアさんが気まずそうな顔で続き、

それを聞いた男性陣は私含め複雑な表情となる。


「まあ今は他人の色恋の話より、自分の体を

 心配しろ、ミリア。


 それにお前らの子供が生まれたら、本格的に

 ギルド長の地位をレイドに譲るからな。


 早くゆっくりと隠居(いんきょ)させてくれよ?」


ジャンさんがカラカラと笑いながら言うと、

レイド夫妻は顔を真っ赤にしてうつむき……

和やかな雰囲気で『報告』は終わった。




「では、スカベンジャースライム捕獲の依頼、

 シンさんにお任せしますね」


「本当にすいません。

 スライム絡みは、ウチのレムちゃんがホント

 嫌がるので……」


後日、冒険者ギルド支部の一室で―――

私はパック夫妻と依頼について話し合っていた。


本来、スカベンジャースライムの捕獲は王都の

王家直属の研究機関から来たもので、


その依頼先はパック夫妻だったのだが、


「それは私でどうとでもなりますからね。


 それより、同時に来た依頼の方が

 重要でしょう」


私が気遣うと、同じ白銀の長髪を持つ夫妻は

頭を下げ、


「各種族もベビーラッシュですから……

 私たちも無関係ではありませんし」


「必要な在庫はいくらあっても足りない状態

 ですからね」


パックさんとシャンタルさんに同じタイミングで

来た依頼―――

それは各種族の子育てに必要な物を収集する事。


以前、夫妻は私たちと一緒にドラゴンの子供用の

薬の素材を調達した事があり、

(■170話 はじめての どらごんのす参照)


それを聞いた各種族が、これから生まれてくる

子供たちとその育成に備え……

必要なものをピックアップし、


最強戦力であると同時に、医者でもある二人に

依頼して来たのである。


「まあ下水処理については私からもお願いして、

 絡んでいる事ではありますから。

 まったくの無関係でもありません。


 それにこちらもこちらで―――

 緊急の案件ですからね」


実際にこの件については、私の方から王家直属の

研究機関に協力し、知識も提供していたのだ。


今や公都の人口は八千人超。

規模的にも、下水処理が近い内にパンクするで

あろう事を見越して、


研究機関のリオレイ所長に相談したところ、

王都では浄化魔法を使える人が処理していると

教えてくれたのだが……

そういう人材はすごく貴重らしい。


それに王都の対策はどちらかというと、

『王がいる都が臭いというのは……』という

理由によるもので、環境面は考えられておらず、


そこで私の世界の下水処理について、

微生物で分解する方法を伝えると、

生物利用について研究してくれたらしく、


スカベンジャースライムに、汚物を取り込み

浄化する機能がある事がわかったのだという。


「しかしスカベンジャースライムは大変危険な

 魔物ですよ?」


「しかも不定形ですからどこでも入り込んだり、

 脱出が可能ですし―――

 どのように利用・制御するのですか?」


パック夫妻が研究者として、興味津々(きょうみしんしん)の目で

質問してくる。


「これも私の世界の知識なのですが……

 その生物の習性や特性を利用する、

 という方法があります。


 ずっと天井にへばりついているとか、

 特定の匂いにつられるとか―――


 スカベンジャースライムの場合、どうも

 暗所を好む、つまり光が苦手らしく、

 強力な照明魔導具で動きを封じ、わざと

 影を作ってそこに誘導、そこを処理設備の

 一角にしたと聞いています」


私の説明に、パックさんとシャンタルさんは

ふむふむとうなずく。


「なるほど。

 それならばその習性を利用して……

 生活居住区に入る事を防ぐ事も出来ますね」


「逆に下水道の最下流に照明を設置すれば、

 新しいスカベンジャースライムが侵入する事を

 防げるという事にもなります!」


さすがに研究者夫婦、頭の回転も理解も早い。

言っている事をすぐに分析して飲み込む。


「そうですね、ただ―――

 最下流に設置すると今度は、光を好む

 魔物がやってくる可能性もありますので。


 そこは今後の課題でしょう」


「それは確かに……

 虫とかも光や火に寄ってくる性質のものが

 おります」


「そこまで考えないといけませんか。

 難しいものですねえ」


そこでしばらく下水処理についてあれこれ

聞かれ、


小一時間後、私たちはそれぞれの依頼に

向かう事になった。




「ふーん。でもおとーさん、おとーさんの

 『無効化』で動かなくしたまま渡す、

 というのはダメなの?」


アルテリーゼが運ぶ『乗客箱』の中―――

人間の姿のラッチが質問してくる。


王都からの依頼……

それにはすでに、スカベンジャースライムの

発見場所まで付記されていて、


ラッチとメル、私は現場まで飛行中であった。


「確かにそれなら、魔導具の照明はいらなく

 なるし、安全だけど。


 ただ私は、自分がいなくなった後に出来なく

 なる方法や技術は使いたくないんだ」


「なんでー?」


メルやアルテリーゼと同じ長い黒髪を揺らし

ながら、彼女は首を傾げる。


『のう、シン。

 子供も出来た事だし、シンの考えを

 教育方針として伝えても良いのでは

 ないか?』


「そうだねー。

 ラッチちゃんもいきなりだけど大きく

 なったし。


 そろそろ我が家の決まりやルールを、

 ラッチちゃんも知るべきだよ」


伝声管からアルテリーゼが、そして隣りで

メルが妻として夫である私に進言する。


「そうだな、いい機会だし」


そこで私はラッチと向かい合い、今後について

伝える事にした。




「まずラッチは、私が異世界から来た人間という

 事は知っているよね?」


「うん、知ってる」


「そして私が持っている能力は―――

 多分、この世界のほとんどを敵に回しても

 勝てる『力』だ」


「……うん。

 『無効化』、ってヤツだよね?」


多少重い話になるけど、私の娘として生きるので

あれば、言っておかねばならない事だ。


「これはウィンベル王国の王族の方々とも

 話し合って決めた事だけど―――


 1つ、私だけが出来る方法や技術は記録に

 残さない。


 1つ、この世界の在り方や戦争に介入しない。


 という事を取り決めてあるんだ」


コクコクとラッチはうなずく。


「自分頼りのものは残さないし残せない。


 これは、私が死んだ後……

 アレが出来なくなった、コレが出来なくなった

 と混乱するのを防ぐためなんだ」


「でもおとーさん―――

 結構いろいろやっているよね?」


クロスカウンターのような鋭い指摘が

飛んでくる。


「ま、まあ一応例外というのはあってね。


 緊急事態、または相手が非人道的な行為を

 する場合は除いている。


 それとどうしても介入しなければならない

 場合は、資源保護とか後の影響を考えて

 行う事にしているんだ」


「じゃあ結構フツーに使うんだね?」


子供ながらの純粋な、悪意の無い言葉がボディに

叩き込まれる。


「アルちゃん!

 この子『反射魔法(リフレクト)』が強過ぎる!」


『よもやここまで覚醒しておったとは……!


 ラッチ、しばらく黙っておとーさんの

 話を聞いていなさい』


「うん、わかった。おかーさん」


そこでやっと娘は大人しくなり―――

何とか我が家の方針を伝える事が出来た。




「……そろそろ、かなあ」


何とかラッチに納得してもらった私は、

精神的な疲れも相まって窓の外を見ていた。


「お、お疲れー、シン」


『ま、まあラッチももっと大きくなれば、

 わかると思うから』


メルとアルテリーゼが(ねぎら)ってくるが、


「いや、私は大丈夫だよ。


 それに―――

 むしろラッチにはすまないと思っている。


 まともな親でなくて何かゴメン」


するとラッチからデコピンが飛んできて、


「いたっ!?」


「ラッチ!?」


『何じゃ? もう反抗期か!?』


いきなりの娘の行動にみんな驚くが、


「おとーさんが『まとも』だったら、

 おかーさんもボクも今頃生きてないよ。


 その能力があったから、ワイバーンの群れから

 助けてもらったんだしさー」

(■14話

はじめての ねっちゅうしょう参照)


そういえば、初めての出会いは母娘して

ワイバーンの群れに襲われていたのを

救出したんだっけか。


「それにボクは、おとーさんとおかーさんの

 娘で……

 メルおかーさんもいた事を不幸だなんて

 思った事は一度も無いよ。


 だからおとーさんにも、すまないなんて

 思って欲しくないなー」


子供だ子供だと思っていたけど―――

ちゃんと精神的にも成長していたんだなあ。


「……いかん。何か泣けてきた」


『あの子がこんなに立派になるなんて』


両親そろって娘の成長を喜び、


「あーもう。

 こりゃー、嫁に出す時とか大変そう」


メルが茶化して話すと、


『む……!

 シン、そろそろ目的地じゃぞ』


「そ、そうか。

 じゃあ降りる場所を探してくれ」


私とアルテリーゼは誤魔化すように話を

元に戻し、『乗客箱』は降下を始めた。




「アレか。

 確かに結構いるな」


(たか)っているのはジャイアント・ボーアの

 死骸かな?」


「ま、アレだけいれば捕獲量は十分であろう」


私と妻たちはその光景を見つめ、確認し合う

ようにやり取りする。


「ラッチは近付いちゃダメだぞ。

 スカベンジャースライムはものすごく不潔

 だからな」


「わかったー」


慎重にその場へ家族で距離を詰め―――

『食事中』のところにお邪魔する。


五メートルほどの距離まで近付いたが、

スカベンジャースライムは食事に夢中らしく、

こちら側には気付いていないようだ。


そして私は小声で、


「これだけの大きさで、流動性が高く―――

 さらに素早く動く生物など……


 ・・・・・

 あり得ない」


そうつぶやくと同時に……

複数のスカベンジャースライムは、力が抜けた

ようにその凹凸(おうとつ)を無くす。


「じゃあ作業に入ろう。

 例の水魔法を発動出来る魔導具の杖で、

 捕獲用の袋に押し込んでいって。


 絶対に素手で触っちゃダメだぞ」


「はーい」


「わかったぞ」


「ボクもやるー!」


そして数にして―――

七・八体ほどのスカベンジャースライムを

袋に入れていった。




「よし、これで依頼完了だ。

 みんなお疲れ様」


「おとーさん、無効化はいつ解くの?」


ラッチが興味津々な目でたずねてくる。


「一応このまま王都に持っていって……

 照明の魔導具で動きを封じる準備が出来たら、

 かな?

 公都にも二ヶ所くらい導入する予定だし」


思ったよりも重量があったので、アルテリーゼに

頼んで『乗客箱』を近場に移動してもらう。


「しかし見事に腐っているねー、

 このジャイアント・ボーア」


「もったいないのう。

 これくらいあれば、数百人分の肉になったで

 あろうに」


体長にして十メートル弱はあろうかという、

死骸を前に、妻たちが感想を口にするが、


「おとーさん、何か変じゃない?」


「ん? 何がだ?」


ラッチが私の服の裾を引いて、その巨大な

死骸を指差す。


「死んでから大分経っていると思うんだけど、

 スカベンジャースライムが食べた跡とは、

 何か違う部分もあるよーな」


その指摘に、メルとアルテリーゼが

ジャイアント・ボーアの死骸に目を向ける。


「そういえば死因だけど……

 大きい穴が複数空いているね」


「食い千切(ちぎ)られた跡もある。


 つまり、こやつを倒した魔物が他にいると

 いう事じゃな」


ちょっとうかつだったな。

腐っていたとはいえ、腐肉を食べる動物なんて

野生にはゴロゴロいるし―――


スカベンジャースライムが集っていたから、

諦めただけで、それはもう私たちで排除した。


もしジャイアント・ボーアを仕留めたであろう

そいつが……

近場で様子を(うかが)っていたとしたら―――


「メル! アルテリーゼ!

 周囲を警戒してくれ!!」


「わかった!」


「シンはラッチを頼むぞ!」


そう妻たちとやり取りしたところで地響きが

し始め、


「ちょっ、早いだろ!

 どこだ!? どっちから来る!?」


周囲をキョロキョロと私と妻二人で見回すと、


「おとーさん、こっち!!」


ラッチの声に振り向くと、四足歩行でこちらに

急接近してくる巨大な何かが見え、


「四足歩行で、その体重・その足の

 サイズ比で―――

 立ち、駆ける事の出来る動物など……


 ・・・・・・

 あり得ません!」


私は急いでその大きな生物を無効化させる。

だが、


「ガオオォオォッ!?」


恐らく四肢(しし)は折れただろう。

速度も落ちたと思われるが、


そのまま横に倒れ、(すべ)るようにしてこちらへ

木々をなぎ倒しながら巨大な物体が迫る。


「シン!!」


「避けるのじゃ、ラッチ!!」


メルとアルテリーゼは声を上げるが、その塊は

砂埃(すなぼこり)と共にもう目の前まで―――


「よいしょおっ!!」


「え?」


と、ラッチの掛け声と共に空へ何かが弾き

飛ばされ、


やがて重力に従い……

その巨体で大地を揺らした。


「これ……大牙猫(スミロドン)?」


「デカい牙じゃのう。

 あのジャイアント・ボーアを倒したのは

 こやつか」


横に倒れたその大きな魔物は―――

地球でいうところの、サーベルタイガーの

ような姿をしていて……


「おとーさん!

 これが『緊急事態』ってヤツだね?」


恐らくサーベルタイガーをアッパーで空高く

撃ち上げたであろう(こぶし)を、ラッチは突き出し、


「うん、そうだね」


私はただうなずいて肯定した。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

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本作品は毎週日曜日の16時更新です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] は〜…さすがと言うか、ラッチってどんだけ馬力あんの⁈+骨格は既に人を遥かに超越しとるな! こりゃ骨粗鬆症になっても人間より頑丈そう。
[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★  ラッチちゃん、良い娘に育って…・゜・(つД`)・゜・
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