陸、ようこそ神の湯へ~宴会中編~
さあ。
「よっしゃ、いいぞ、いいぞ~」
一郎は手を叩いて喜ぶ、宴もたけなわ。
「続きまして、李翁によります。詩吟」
李は壇上で緊張の面持ちで詩吟を読みあげる。
「舟の上みたいに堂々とせい」
「そうだそうだ」
一郎とギルモアのヤジが飛ぶ。
「バーリーさんとアルバートさんのマジック」
「はい、コインが私の身体をすり抜けます」
「・・・・・・」
「続いて、この脱出不可能な箱に私が入り、助手のアルバート君が剣で箱を串刺しにします。さて、無事に脱出できるか、刮目してね」
「どえーい!」
アルバートは気合とともに、剣を次々と刺し込んでいく。
元々、霊体である彼のマジックは、それを活かした手品なので、タネもネタもあり、一同はしらけているが、アルバートの必死さに皆は笑いを堪えるのに必死だった。
「はい。お疲れ様でした~。フィーネさんによるシャンソンショー」
ギラギラのボディコンドレスを身に纏ったフィーネが妖艶に歌い上げる。
「ええぞー」
一郎が手を叩く。
「こら」
と桜。
「すんまへん」
てへぺろの一郎。
「フィーネさん、ありがとうございました。じゃ、ケンジとあたしで竿の舞い披露します」
茜とケンジは壇上で、互いの竿を重ね、息を合わせる。
彦星から贈られた星の竿が一振りする度に、小さな光を放つ。
「はっ!」
2人は舞いながら竿を操る。
時に戦うように踊るように。
その一糸乱れぬ動きに皆は感嘆の声をあげ、終了と同時に盛大な拍手があがった。
茜は息を切らせながら、右手をあげた。
「はぁはぁ。あたし息があがっておりますが、宴もたけなわもたけなわ・・・それでは一郎夫妻による夫婦漫才よろしくお願いします」
「は?」
「へ?」
一郎と桜は互いに顔を見合わせ驚く。
寝耳に水の2人であった。
後編につづく。
宴もたけなわ。




