伍、ようこそ神の湯へ~宴会前編~
温泉といえば・・・。
そんなちょっとした冒険をしつつ、サルタヒコの道先案内にて、山水画のような山深くの秘境の温泉宿へ一行は到着した。
「お待ちしておりました。おいでめせ、神の湯へ」
旅館の玄関先でぺこりと幼そうな女将が頭を下げる。
「これまたずいぶんと可愛らしい女将」
桜は思わず言った。
「これ齢千年のトヨタマ様じゃぞ」
サルタヒコが渋い顔をして釘をさす。
「ほほほ、サルタヒコ様。年のことは・・・ね。せっかく湯治にこられたのです。ささ、ゆっくりとして行ってくださいね」
トヨタマは、古い木造建ての旅館へ暁屋面々を案内する。
長い回廊を渡り、吹き抜けの階段を昇る。
そうして広さ40畳はある宴会場に一行は通された。
山海の珍味が盛られた御膳が運ばれると、あまりの豪華さに一同は目を丸くする。
「では、サルタヒコ様」
フィーネが主催者を促した。
「うむ」
サルタヒコは立ち上がり、正面の壇上へとあがった。
「皆の者、ひょんなことから温泉逗留となったが、皆はこの神世界でようやってくれておる。今回はこれを契機にそなた達を労い、心ゆくまで楽しんでいただきたい。それでは」
サルタヒコはグラスを掲げる。
「乾杯っ!」
「かんぱーいっ!」
暁屋の宴会がはじまった。
一郎は桜と談笑しながら、酒を酌み交わす、ほどよく酔いが回りはじめた頃、茜が壇上へとあがった。
「えー、それでは第一回、暁屋かくし芸をはじめたいと思います。トップバッターはギル爺っ!」
茜の流暢な司会に促され、「おおっ!」と膝を叩きギルモアは壇上へとあがり渋い声で熱唱をはじめる。
俺の舟歌 作詞作曲ギルモア
霧が煙るヤナガー掘割
俺は竿を持ち
舟をだす
嗚呼エンヤラ俺の舟歌
男の道ヨ
桜舞い散るヤナガー掘割
俺の心も舞い踊る
舟をだせ
嗚呼エンヤラ俺の舟歌
舟の道は遙かなり
爺のこぶしが回り回った。
「次はルーン家族による。お芝居っ!」
茜の声に呼ばれ、クレイブ、フレア、ディド、ディジーが壇上へ駆けだす。
全員「では、いまからヤナガーの昔話をはじめます」
フレア「むかし、むかしあるところに、じいさまとばあさまが住んでおった」
ディド「おばあさん、これから、ぼくはやまにしばかりにいってくるからね」
ディジー「はっ、はははぁぁぁい(緊張で)、いってらっしゃ~い」
ディド「うん」
フレア「じいさまが居ないことを確認した狼がこっそり忍び込みます」
クレイブ「ぐぉーっ!ばあさま食っちまうぞ!」
ディージー「あれーやんだー」
クレイブ「いただきまうす」
ディド「まてい」
クレイブ「誰だっ!」
ディド「ぼくか?ぼくはせいぎとあいのししゃ、ディドトラマンだ」
クレイブ「こしゃくな、お前も食べちゃうぞ。いだだきまうす」
ディド「わるいこたんにはおしおきだ。くらえディドビームからのマンぱーんち」
クレイブ「ぐはっ!やられた~ごめんなさーい」
フレア「こうして、狼を退けた2人は幸せに暮らしましたとさ」
パチパチパチ皆から盛大な拍手があがった。
中編につづく。
宴会だねっ。




