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参、ディジーの神隠し其の三

 ディジー間一髪救出。


 ディジーは声のする方へとふらふらと歩いていく。

 小さな彼女が見える光景は、それは素晴らしいものだった。

 夢に見たお城、ディジーはいつの間にか、フリフリのお姫様ドレスに身を包んでいる。

 お城の大きな部屋には、彼女が欲しかったぬいぐるみや玩具が一杯ある。

 色とりどりプレゼント箱に入ったままの未開封のものまであった。


 目を輝かせるディジーの前に、小さなうさぎがぴょこぴょこと跳ねやって来た。


「ディジー、こっちにおいで、おいしい食事も用意しているよ」


「うん」


 ふらふら彼女は兎を追って城の奥へと進む。

 訪れた食事の間には、豪華な食事が並び、燭台やシャンデリアが煌びやかに光を放っている。


「お腹すいたでしょう。お食べ」


 うさぎはニンマリと鼻と口を揺らす。


「うん」


 ディジーは頷き、フォークを手に持つが、しばらくするとテーブルに戻した。


「さあさあ」


「うん」


 ディジーは同じことを繰り返す。


「どうしたんだい?」


「うん、おにいちゃんやおかあさん、おとうさんにもたべさせたいな」


「ふうん。でも、また今度ね。先にディジーが食べちゃおうよ」


「うん・・・でも」


 ディジーは困った表情で、じっとおいしそうな料理を見つめた。


「ディジーはやさしいんだね」


 白うさぎは言った。


「そうかな」


「そうだよ。だから、いっぱい食べてよ。僕が作ったんだ」


「うさぎさんが?」


 ディジーは目を丸くして驚いた。


「そうだよ。だから、あったかい内に食べて欲しいな」


「うん」


 彼女は三度繰り返す。


「そっかあ、そうだよね。僕はそんなディジーが大好きなんだ」


「へ」


「僕のお嫁さんにしたい」


「?うさぎさんとは、けっこんできないよ」


「出来るよ。これ食べてくれたら・・・」


「・・・いや」


 ディジーは豹変したうさぎが怖くてべそをかく。


「それとも、もう食べちゃおうかな」


 燭台に照らされた小さな白うさぎの影が大きく伸びる。

 巨大な白兎(しろうさぎ)の神が姿を現した。



「そこまでだ!」


一郎たちがその場へと飛び込んだ。


「ディジーっ!」


 クレイブが愛娘を抱きしめると、暁屋の船頭達が周りを囲んで守る。

「この変態白兎っ!」


 茜が指さす。


「変態?笑止、我は白兎の神。神が童を欲して何が悪い?」


「とんだ神だ」


 ギルモアは苦々しく呟く。


「許せませんね」


 と、アルバート。


「五月蠅い。人どもじゃ」


 白兎は目を光らせ、その獰猛な爪と牙で襲いかかった。

 ケンジがその動きを見図り、竿を一閃し上歯と下歯の間に竿を噛ませる。


「ぐもっ!」


 一郎が竿を横に薙ぐと、突風が起こり白兎を壁に叩きつけた。


「緊縛」


 フィーネの御業により、光の縄が現れ白兎を捕縛した。


「神様でもやっていいことと悪いことがあります」


 桜は子どもに言い聞かせるような口調で喋る。


 忽然と皆の前にサルタヒコが現れる。


「よう、白兎。申し開きは大神様の前でするがよかろう」


 旅の神の一言で、白兎の神はがくりとうな垂れた。


 こうして、ディジーは無事に家族の元へ戻ったのだった。


「ディジーっ!」


「おにいちゃん!」


 兄妹はしっかりと互いを抱きしめた。



 はっぴぃえんど。


 当方、しばらく、夏休みに入らせていただきます。

 再開は9月の10日前後の予定です。

 良かったら引き続き、読んでいただけると嬉しいです。

 では、また~。

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