拾、ニライカナイの暮らし午後
ニライカナイでの日々。
陽がニライカナイの真上にのぼっている。
桟橋ではみんなが勢揃いしている。
「はい、いってらっしゃい」
桜から出来立てのおにぎりと水筒を手渡された一郎は、笑顔とともに頭をさげる。
「ありがとう」
「どういたしまして、皆も持った?」
神舟担当の皆は、おにぎりと水筒を両手で持ち上げ見せる。
「よろしい」
フィーネが大きく頷くと、皆は思わず笑いだす。
「おかみ腹減ったぞ」
ギルモアと李が見送りにやってくる。
老ドワーフが桜に声をかける。
「皆さんは素麺を用意しています」
バリーは答える。
「喉越しがいいもんは助かるでの」
李はしみじみ言った。
「イチロー、アカネ、みんないってらっしゃい」
ディジーはびょんぴょん跳ねながら興奮気味に見送る。
「いってらっしゃーい!」
ディドは桟橋の端から端まで走りつつ笑いながら叫んでいる。
「皆さん、気をつけて」
フレアはそんな子どもたちを優しい目で見つつ手を振る。
「では、そろそろ行くかの」
サルタヒコは、一郎の舟に乗り込む。
「じゃ、行ってくる」
一郎は軽く右手をあげると4人は頷いた。
「いってらっしゃーい」
舟は桟橋を離れ大海へ繰り出す。
竿をさすこと15分、舟はだいぶ沖へとやってきた。
「ふむ。このあたりじゃの。皆の者、お客さん(神様)くるぞい」
サルタヒコは告げる。
5人の表情が引き締まる。
天より後光がさしはじると、神々がゆっくりと降臨する。
「皆の者、あそこじゃ」
「了解!」
5隻の舟は光りの射す方へ。
各舟に印度の神々が乗り込む。
サルタヒコは御業をつかう。
「伍分身御業」
5つに別れたサルタヒコが、各舟に乗り込み神語でガイドを行いはじめる。
「一郎、皆の者よろしく頼む」
舟はニライカナイ沖をゆっくりと遊覧する。
蒼き褪せた海の輝き、どこまでも続く水平線、空を飛び交うカモメたち、神々たちは舟の旅を楽しんだ。
暁屋に残るメンバーたちは、昼からも各々の作業を続ける。
エルフの子どもたちは昼寝。
バリーは配船表の見直しと舟チェック。
桜、フィーネ、フレアはつかの間の談笑に花を咲かす。
ギルモアと李は引き続き、ゆったりと休み休みの舟メンテ。
夕刻が近づくと、夕食当番であるギルモアと李がカレーの準備をはじめる。
フィーネはそんな2人に目をやり、時に手伝う。
桜は翌日に向けての事務処理いうても現世ほどきっちりとせず難しいものではない。
フレアは、子どもたちと少し涼みだした夕方の浜を散歩している。
バリーは桟橋の残り舟の係留チェックを行っている。
夕陽が沈むころ、舟が暁屋へと帰ってくる。
海に赤く沈む太陽と舟のシルエットが美しい。
桟橋で子どもたちが手を振る。
船頭達は、それに答えて大きく手を振り返す。
暗闇があたりを包み、満点の星が輝く頃、暁屋に明かりが灯り、笑い声が響く。
次章へ続く。




