拾、決着・・・?
果てに・・・。
それは壮絶なる戦いだった。
一郎たちは死力を尽くし戦う。
勇者ベルガモット王は紫球を恐れることなく挑み、舟から渾身の一撃を放つ。
巨大な紫球は、今まで聞いた事のない断末魔の音をあげ、破壊された。
そして、再びヤナガーに平和が訪れたのであった。
国は厄災である紫球の撲滅成功で、お祝い一色となっている。
暁屋の面々も本日は臨時休業、面々休日を満喫している。
そんな中、暁屋の社長室で、一郎とフィーネは向き合っていた。
「・・・・・・」
一郎はじっと押し黙っている。
「・・・・・・」
フィーネも答えようとしない。
「・・・言わないのか」
「なんのこと」
「しらっばっくれるなよ」
「・・・・・・」
「この世界は作りものだ」
「何故そう思うの」
「思いだしたからだ」
「そう」
「なにもかも」
「・・・なにもかも・・・ね」
一郎は外に出て、黄金竿を持つと、空に向かって振り回した。
空を切り裂き世界を斬る斬る。
ハリボテのように世界の薄い膜が突き破られると、そこは虚無の空間。
2人はそこで対峙する。
「あの時、魔王は倒していない」
「そうね」
フィーネは目を伏せた。
「龍神フィーネ教えろ。俺をどうしたいんだ。何故大事な人を巻き込む」
フィーネは悲し気に微笑をたたえる。
「それは・・・今度こそ」
「嘘つけ!何を企んでいる」
「イチロー、私は企んでなんかいない」
「はい。そこまでじゃ」
虚無世界の天から声がした。
なにが・・・。




