捌、桜、茜、同行
風雲急を告げる。
その日の内に紫玉は暁屋に運ばれ、フィーネが調べることになった。
彼女は半日、部屋に篭りっきりでてこない。
「邪魔するぞ」
一郎は、急遽物置部屋を研究室へと魔改造したフィーネの元へ。
「一郎」
フィーネは両腕をあげ伸びをしていた。
「何か分かったか」
「ええ、もう、あまり時間はないわ」
「どういうことだ」
「この紫の球体は呪い玉、一定時間放置すると、球が熟し胞子をまき散らすわ」
「そうなると・・・」
「紫の呪いに犯されたものは死に至る」
「それは・・・それは」
「・・・一郎、腕」
「ん、あ!」
一郎の腕には紫の痣が浮かびあがっていた。
「痛みは消えていたのに」
「球体すべてを破壊しなければ、この呪いは解けないわ」
「大層な呪いだな。一体誰が・・・」
彼はじっとフィーネの目を見た。
「魔王」
「そうか、なるぼど」
「球体は全部で6個。残るは4個」
「制限時間は」
「3日」
「急だな」
「一郎」
「ん」
「茜と桜を同行させなさない」
「なんで」
「それがあなた・・・暁屋の皆の為よ」
「なんか、出来すぎで釈然としないな」
「まあまあ」
フィーネは愛想笑いを浮かべ、一郎は渋い顔をしながら部屋をでた。
騎士に案内されたのは、城の地下書庫隠し扉に忽然として現れた紫球だった。
球は人の気配を察知して、攻撃をしかけてくるようだった。
前回の球体破壊で一郎は知っている。
「あれか」
「はい」
扉に身を潜め、奥の球体を見やる一郎に騎士は頷いた。
彼は竿を肩上にあげると、扉を開きやり投げの要領で投擲する。
槍が球体に突き刺さる。
しかし、
「壊れない!」
騎士が叫んだ。
「くそ!」
一郎が飛びだすと、茜と桜も続いた。
「お前たち下がっていろ!」
「大丈夫」
「信じてる」
「・・・・・・アホ」
一郎は刺した黄金槍の柄をつかむと、そのまま押し込む。
球体は大きな眩い光を放ちだす。
「くそ、やるつもりか」
2人が飛びだす。
「えいっ!」
「それっ!」
茜と桜が左右に分かれて、紫球の側面を竿で突く。
「馬鹿っ、無理するな」
2人は力の限り押し込む。
一郎も全力を注ぐ。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬっ!」
小さな傷が球を穿つ。
やがて、紫玉は力尽き四散した。
続いて、町のミハナ大聖堂の屋上。
屋根の上で紫玉は怪しく光輝いていた。
「あんなところに」
茜は小声で呟く。
「どうするの?」
桜は主人に尋ねる。
「お前たち、竿は伸ばせるか」
「へ」
「伸ばせるの」
「この世界は?」
「異世界」
2人は同時に言う。
「だったら、念ずればなんとかなる」
一郎は黄金竿を球体に向け振ると、みるみる竿は伸びて突き刺さる。
紫玉は激しい光を放ちだし、破壊者たちの到来を知る。
シュッ、シュルル。
茜と桜の竿も見事に伸び、3つの先端が突き刺さる。
しかし、
「力が入らないっ!」
茜が叫ぶ。
「これじゃあ!破壊出来ない」
飛び出した一郎は屋根の上を球体目掛け走りだす。
「戻れっ!」
竿が縮み、一郎の身体が球体へと引き寄せられる。
「うりゃあ!」
そのまま竿の柄を握り、ひねり差し込む。
紫玉は光りを放出しようと、禍々しく紫炎が揺らめく。
「こなくそっ!」
紫玉は間一髪、破壊された。
紫球破壊計画。




