漆、邪悪なる球を討て
朝礼。
次の日の朝礼。
「・・・ということだ。よろしく頼む」
一郎は王の勅命書を皆に見せた後、説明を行った。
「・・・・・・」
静まり返る暁屋一同。
「それは・・・俺たちの仕事から逸脱していませんか」
ケンジが口を開いた。
「いや、イチローさんは世界を救った英雄だ。本来ならばこの姿が本当だろ」
クレイブは返した。
「ま、こっちが本職なんだけどな」
一郎はぼそり呟く。
「じぃじは1人でやるつもりなの」
茜が不安気に尋ねる。
「まぁ、今の繁盛している暁屋では人員を割けないし・・・こいつは船頭の仕事でもないしな」
彼はそう返した。
「社長、サボる気だろ。だったら、俺も連れて行けよ」
ギルモアは部屋中に響く大声で言った。
「ギルモア、あんたもね。イチロー、話を聞く限り紫玉の破壊は厄介だと思うわ。誰か同行した方がいい」
フィーネはじっとイチローを見て言った。
「・・・あなた」
桜は不安気に呟く。
「社長、営業でしたら、2、3人の人員削減でも回すことできます」
バリーは胸をドンと叩いたつもりが、霊体なので透けた。
「いやいや、となるとしわ寄せが」
李が慌てだす。
「李さんは働かなさすぎ」
アルバートのたまに毒舌が発動する。
「ぼくらもおてつだいするー」
「するー」
と、ディドとディジー兄妹が無邪気に手をあげた。
「こらこら」
苦笑いのフレア。
「・・・・・・」
一郎は押し黙った。
「ねぇ、イチロー、誰か同行させて・・・あなた足手まといと思っているでしょ」
「な」
「身近な人たちは、あなたに匹敵する力を持っているわよ」
「・・・まさか」
「ケンジ君」
「はい」
「あなたイチローに付いていきなさい」
「分かりました」
「おい、勝手に・・・」
「それから、破壊した紫玉の欠片持ってきて調べたいから」
「分かりました」
と、ケンジ。
「・・・あのな」
と、呆れる一郎。
「さ、一郎さん行きましょう」
ケンジは率先して促す。
「おいおい」
王直属の騎士達の案内により、町はずれの廃墟にある紫玉を包囲した。
一郎が以前、見た紫玉より一回り大きく、球体の中で炎のように揺らめくものもいっそう禍々しくなっていた。
「あれです」
騎士は指さす。
「分かった。下がってろ」
一郎は、前に進み右手の黄金竿を力込めて握りしめる。
「一郎さん」
ケンジも付き従おうとする。
「ケンジもここで待て」
音を立てず、静かに接近し、竿を構える。
突きを入れる。
手ごたえあり。
が、刹那。
紫玉が眩い紫光を放つ。
「しまった」
ちらり周り確認した一郎は両腕で頭を隠し防御姿勢をとる。
「よっ!」
背後から紫玉の背後に回り込んだケンジがジャンプ一番、竿の先を玉に叩きつけた。
ケンジの竿が銀色の光を放つと、球は一刀両断される。
一郎はサムアップすると、ケンジは照れくさそうに笑った。
そうして、紫玉の破片は厳重に箱へ保管され暁屋へと運ばれた。
2個目撃破。




