拾壱、宇宙へ
暁屋とぶ。
一条の光の線が真っすぐ宇宙まで伸びる。
戦艦暁はゴゴゴゴと音を鳴らし、その時を待っている。
「暁屋、発進!」
一郎の号令の下、暁屋は動きはじめる。
ゆっくりと、スピードをあげながら、
「おおっ!」
李が喜びの声をあげる。
「動いたっ!」
「やったわね」
エルフ夫妻は互いに手を知り合い喜び、子どもたちは小躍りをして喜んだ。
伝説の勇者一行は、互いの剣と杖を光さす方へ向け、片方の手でサムアップをし暁屋へエールを送る。
「ようやくか」と、茂みに隠れながら言うユングに、
「あいかわらずで」と、ボブ、
「フン」と、笑うバンだった。
暁屋の皆は敬礼をし、皆の健闘に敬意を表する。
敵をなぎ倒し突き進む暁屋は、加速を増し離陸体制となる。
「よし、このまま光の道に乗れ」
パチンと鳴らし、一郎は右拳を左手の平で受け止めた。
「視界は良好・・・道の外は敵だらけだけどね」
茜は言った。
「構わん、一気に行く」
「ラジャー」
ケンジは操舵を両手に握りしめ船体を上昇させる。
「大気圏突入まであと3分」
バリーは計器と睨めっこをしながら伝える。
「レーダーに魔物が、上から来るわ」
桜が火急を報告する。
「ギルモア、アル」
「わかっとる」
と、ギルモアは砲台に乗り込み照準を合わせる。
「一斉斉射します。暁屋には一歩も近づけません」
アルバートは顔を引き締め言った。
「フィーネ進路はあっているか」
一郎は最終確認を行う。
「ええ、遙か先に魔王はいるわ」
フィーネは頷き、先を見据えた。
「大気圏突入まで、あと1分」
「皆、各自、衝撃に備えよ」
「了解っ!」
「ぐぬぬぬぬっ!」
「むむむむむっ!」
暁屋の面々は、Gの衝撃に耐える。
宇宙に向かって小さくなっていく暁屋。
地上で見送り、守る者たちは、決意を新たに残る魔物たちと仲間の勝利を信じ対峙する。
宇宙へ。




