玖、ゆけ暁屋
暁屋よ。
轟音が響き渡る。
周りの木々や障害物が避けられ一本の滑走路ができる。
暁屋は、その形態を舟屋から戦艦モードへと切り替える。
伝説の金属で緋緋色金を纏い、暁屋は真っ赤に燃え光輝く。
前後に艦首艦尾が伸び、左右には宇宙を駆ける両翼が広がる。
ゆっくりと甲板から巨大な主砲が現れる。
「総燃料充填まであと10分」
桜は羽ばたく時を告げる。
「よし」
一郎は頷いた。
その時である。
空が真っ黒に染められた。
「なにごとかっ!」
一郎が叫ぶ。
「敵襲っ!周り一面が魔物だらけっ!それから地上からもっ!」
茜は絶望を感じ、金切り声をあげる。
魔王は脅威となる暁屋を予見、先んじ手を打ったのだった。
「万事休すか」
ギルモアは自嘲した。
「くそっ察知されたか。諦めるなっ!」
一郎は皆を鼓舞する。
地上から、無数の魔物たちが戦艦を飛翔させまいと迫る迫る。
ザッ。
暁屋の前に人影が現れる。
それは、クレイブとフレアそして李。
「お前たち」
一郎は絶句する。
3人は暁屋を振り返らずにサムアップをみせる。
さらに華麗に登場したのが伝説の勇者たち一行、ベル、クリュサオル、オスカー。
「お前達まで」
さらにさらに駆けつける者達。
ユング、バンそしてボブ。
「みんな」
ケンジは一声発し、ぎゅっと拳を固めた。
「暁屋は絶対に飛ばしてみせる」
クレイブは神力宿る竹竿を力込めて握りしめる。
「あなた」
フレアは祈りとともに魔法を詠唱しはじめる。
「たまにはよいところも見せんとな」
李は2人にウィンクをする。
「ふふふ、久しぶりの戦い腕がなるわ」
クリュサオルは大剣を身構える。
「世界を救う術が、あやつらならば賭けてみるしかあるまいて」
オスカーは杖をも魔者たちへとかざす。
「一郎、やってみろ」
ベルは勇者の剣を抜いた。
「大柳舟屋見参っ!」
ユングは腕を組み仁王立ちしている。
「元社長ぉ、邪魔にならないでくださいよ」
バンは苦笑いをみせる。
「なんだとう!」
「ケンさん、この世界を頼みます」
ボブは魔物たちを睨んだ。
津波のように押し寄せる魔物たち。
迎え撃つは、暁屋の残る者、勇者たち、そして仲間。
「暁屋は俺達(私たち)が守るっ!」
発進せよ。




