伍、英雄集結
かつて世界を救った英雄たち。
謁見の間に豪奢な椅子が4つ、四角形を結べるよう並べてある。
ベル王は感慨深く4席を見つめる。
「あれから5年か・・・」
と、呟く。
王宮へと呼ばれた一郎は、なつかしい面々と再会する。
この世界をともに救った仲間、四守護天星だ。
勇者ベルガモット、戦士クリュサオル、大魔導士オスカーそして船頭一郎、今や生ける伝説と化した4人の揃い踏みである。
「おう」
「来たか、イチロー」
ベル王は固く握手を交わすと、右手を広げ着座を促すと、自らも椅子に腰かけ一同を見渡す。
「皆久しいな、だが感傷的になっている暇はない。まずは本題に移ろう」
「早々病じゃな」
大魔導士オスカーは、年老いて落ちくぼんだ目をギラリと光らせる。
「元凶はなんだ」
戦士クリュサオルは忌々し気な顔をつくり拳を震わせる。
「ワシたちが集まったということは」
一郎は顎を右手で撫でながら言った。
「そう、おそらくは魔王」
「魔王っ!ヤツは俺たちが倒したはずだ!」
クリュサオルは叫んだ。
「表向きは・・・な」
オスカーは苦笑する。
「魔王は死んでいなかった・・・もとより倒してなどいなかったとしたら」
一郎は何度も反芻した言葉を呟く。
「馬鹿なっ!」
クリュサオルは激昂する。
「そう、一つの推測に過ぎない。が、原因不明のこの病に、少しずつだが魔物も出始めている。なにか禍々しい力が働いていると思わないか」
ベルは言った。
「魔王が生きていた・・・復活した・・・か、どちらでもいいが、それをつきとめるんじゃな」
オスカーは言った。
「そうだ。俺たちの力で、魔王の存在を探る」
ベルは立ち上がった。
「四守護天星探索じゃな」
オスカーは頷いた。
「かつて魔王の居場所を突き止めた技か」
クリュサオルは合点する。
「やろう」
一郎も立ち上がり、4人が輪になって手を繋ぐ。
謁見の間の空気が変わり、地震のように揺れる。
英雄たちのオーラが放たれると、光が溢れだす。
「示せ。最悪の源」
ベルが唱える。
刹那。
全員の脳内にビジョンが映った。
「なんだっ!これはっ!」
集結。




