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漆、奇襲作戦

 暁屋出動。

 

 ニライカナイと高天原を繋ぐ、天入り水道がある。

 ここは神の道と呼ばれ、唯一高天原へと到達できる水道である。

 高天原神軍は、イズモ神殿に陣を構え、頂上の大神殿より、ニライカナイ側の黄泉軍の動向を探っている。

 ナミが率いる黄泉軍は、ニライカナイの麻帆良(まほら)岬の先端に陣を構え、大型船を用意、着々と高天原侵攻へと備えていた。

 それを迎え撃つべく高天原軍もイズモ松原の港に大船団を集結させている。

 両軍が対峙し膠着状態が続く。

 3日目、大神殿に集められた高天原の神々は、アマテラスの着陣を迎え軍議となった


 末席には暁屋客将として一郎が招かれている。


「相手の動きはどうじゃ」


 アマテラスは一同を見渡し、尋ねた。


「はい。すべての神々は、このイズモの地に集結、あとは戦を待つのみ」


 ツクヨミは簡潔に言った。


「ふむ。では、いかようにして、この戦をおさめる」


 神々たちは顔を見合わせ、渋い顔をつくり頭を振る。


「なんの策もないというのか」


 アマテラスは表情を曇らせ苛立つ。


「姉上、我らは高天原の神、正々堂々と戦い勝利しましょうぞ」

 

 妹神は誇らしげに言った。


「・・・なん策も講じず、地の底より這い出た強者達たちに、我らが本当に勝てると思うか」


 アマテラスの一言に一同は押し黙る。


 重い沈黙の続く中、一郎は手を挙げた。


「おい、一郎」


 サルタヒコは神々の前控えるようにと目くばせを送るが、手で制し言った。


「ワシが舟で、向うの船を壊すのはどうだ?そうすれば相手も渡海できまい」


 静まり返る大神殿、しかしすぐに無理だと人間ごときにと嘲笑する声が聞こえる。


「できるか?人の子よ」


「できる。夜に紛れて、こっそり近づき竿で船に穴をあければやれる」


「ふむ」


 アマテラスは思案の後伝える。


「よかろう。やってみよ」


「わかった」


 一郎は頷くと大神殿を後にしようとする。


「人の子よ」


 アマテラスは呼び止める。


「ん?」


「黄泉の兵たちとの接触はするな」


「そのつもりだ。そこまで危険を冒そうとは思わない」


「・・・そうか、ならばよい」


 


 舟は暗い海に紛れて、ニライカナイへと向かっている。


「なんでお前たちまでついてくるんだよ」


「社長、相手の船は何隻あると思っているんですか?ゆうに100隻近くですよ。つっついている間にバレちゃいますよ」


 バリーは呆れ顔で言った。


「そうそう。こんな楽しい破壊行為、お前さんだけにやらせるにはもったいない」


 ガハハとギルモアは豪快に笑った。


「まあ、なんとかなりますよ。きっと」


 アルバートは呑気に言う。


「一人でも多くいれば成功率はあがります」


 ケンジは続けた。


「留守番の李さんやクレイブさんそして皆の為にも必ず戻らなくちゃ・・・ね」


 茜は笑った。

 一郎は苦笑いをする。


「無理すんなよ。お前たちは手前の舟を任せる。奥にある舟は俺がやる」


 次第に麻帆良岬へと近づき、一郎は声を潜め言った。


「私も」


「茜っ馬鹿!」


 茜の舟は先陣をきり、猛スピードで敵の船団に向かっていく。


「俺も付き合いますよ」


 ケンジも彼女の後ろへと続き舟を全速させる。


「ああ、馬鹿野郎たちがっ!みんな頼んだぞ。安全無事が暁屋のモットー分かっているな」


「おう」

 

 ギルモア、バリー、アルバートたちは、頷き片手で竿をあげ応じた。

 一郎は2人を追って舟を驀進させた。



 任務開始。

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