待ってました!
誤字報告ありがとうございます!
おはようございます。
今日の天気は薄曇りです。
一連の騒動が一応の終息をして、お城の中も心なしかのんびりした空気が漂っています。
アールスハインは相変わらず真面目で、常に仕事か魔法か剣の訓練をしています。
俺はだいたいマジックバッグを作ってるか、ソラとハクと戯れています。
ソラは、最近俺を乗せて城内を散歩するのが日課で、たまに双子王子も乗せて三人と二匹で散歩をしてると、メイドさんや騎士、城勤めの文官さん達に生暖かい目を向けられます。
ハクは、お昼寝用ベッドです。大きさも弾力も、前世の人をダメにする感じの、絶妙な柔らかさで温度まで変えられるようになりました。
そんな平和で暇な毎日を送っていると、
「ケータ様、お手紙が届いております」
と、シェルに手紙を二通渡された。
一通はディーグリー、アマテ国スサナ王子の所へ一緒に行かない?って手紙を出したら、絶対行く!って返事が来た。
もう一通は、アマテ国のスサナ王子。
パーティー周回が終わったので、醤油と米の話をしようって!待ってました!
シェルにアールスハインの予定を聞いて、特に予定が無いらしいので、お供を連れて、何時でも行けます!って手紙を出した。
アールスハインには事後承諾になったけど、謝ったら苦笑して許してくれたので、料理長にも数日以内に行くかも、と連絡したら、明日から休む宣言をして、副料理長に怒られてた。
今さらだが、この世界の手紙は魔法では無く人力でした。
王都内なら半日で、その他なら距離に応じて値段設定されてて、管理してるのはなんと騎士団でした。国中を巡回する騎士部隊が居て、その人達の仕事だそうです。
騎士団が管理してるので、信用はピカ一。
盗賊にも負けないので、高価な届け物もちゃんと届く。
ただし、高位貴族のお家には家まで届けてくれるけど、下位貴族のお家には騎士団詰所からは、街を守る兵士さんが届け、平民のお家には駆け出し冒険者が届けるスタイルだそうです。
昔、商人でも同じような商売として、宅配をしようとした人もいたらしいけど、貴族の違法取引に巻き込まれたり、高価な届け物の紛失や盗難、詐欺までが頻発して、あっという間に廃れたそうです。
なので出した手紙は、次の日には返事が来て二日後の午前中に、スサナ王子の借りてる屋敷へ訪問する事が決定した。
朝からソワソワする俺を、シェルがちょいちょいからかって来るけど、そんなのは気にしません!ちょっと余所行きの服を着て、アールスハイン、シェル、助に料理長、途中でディーグリーを拾って、スサナ王子の借りてる屋敷へ。
屋敷の門を守るのは、前世懐かしい日本風の甲冑を着た武士っぽい騎士。
ちょん髷じゃ無かったのは残念だけど、親近感は湧いた。
玄関を開けてくれたのは、初老の爺さん。
体は小さいけど、只者じゃない雰囲気。
俺は何も感じなかったけど、助とアールスハインと料理長がピクッと反応した。
スサナ王子の待つ応接間に通されて、一通りの挨拶が済むと、早速醤油と米の紹介。
米は野菜扱いなので、麻袋一つ30キロ位しかなかったけど、醤油は50センチくらいの壺を三壺分を買い取る事に。
値段は実際に食べて味を確かめてからって事で、お昼ご飯用に唐揚げの仕込みに入りたい料理長を全員で見学する流れに。
米は俺の指示で助が炊きます!
唐揚げのレシピは既に料理長に教えてあるので、そちらはお任せ。
米は精米された白米だったので、軽く洗って吸水。
料理長も、唐揚げの漬け込みの間、アマテ国から来た料理番の人と相談して、一品ずつ他の料理も作る事に。
シェルが忙しそうにメモを取る横で、只者で無い感じの爺さんも、同じ様にメモしてた。
お互いにレシピは公開する約束がいつの間にか出来ていたので問題無し。
彩り豊かなサラダは料理長特製のドレッシングがかけられ、スズキに似た魚魔物のムニエル。
アマテ国の料理番さんが作った、芋の煮物、スープとして出されたのは、けんちん汁!しかも味噌仕立て!メインの醤油味唐揚げが食卓のど真ん中に山を作り、各々の前には、ふっくらホカホカのちょっとお焦げのある白米!メニューに統一性が全く無いが、どれもとても美味しそう!
この家に子供椅子は無いので、テーブルに届かない俺は、行儀が悪いがテーブルの上にじかに座ってる。
ちゃんと正座はしてますよ!
「では頂こうか」
のスサナ王子の声に、俺と助の、
「「いただきます!」」
の揃えた声が、皆をちょっと驚かせたけど、俺は白米に夢中で、気付かなかった。
ふっくらホカホカの白米を一口。
ゆっくりと噛んで、涙が出そうになった。
ああああーーーっ、自分が日本人なのを思い出した!
「んまーーーい!」
「あーーうまっ!これこれ!」
俺と助がほぼ同時に感想を口にすれば、見たことも無い米を、聞いたことも無い調理法で出されたご飯に、手を付けていなかった皆が、驚いて俺達を見ている。
「…………そんなに旨いのか、どれ」
勢いを付けるように一言言ったスサナ王子が、ご飯を一口。
ゆっくりと噛んで、ホゥと息を吐く。
「今までに食べた事の無い味だな、だが悪くない、噛んでいる内に甘味がしてくるのが不思議だ」
と感想を言えば、アールスハインとディーグリーも、恐る恐る一口食べる。
「………確かに、甘味を感じる。柔らかく温かい」
「なんてゆーか、ホッとする味だね~。他の料理の邪魔をしない、でも存在感がある。不思議な食べ物だね~」
概ね好評のようです。
食感は餅米とうるち米の中間くらい、とても旨い米です!
前世の外国人には、いまいち白米を受け付けない人もいたらしいので、好評なのはとても嬉しい。
けんちん汁も旨いし、他の料理も旨い。
醤油味の唐揚げも大好評で、全員で食後に腹を擦るほど食べた。
腹一杯食べた後の商談は、和気藹々と進み、醤油はショーユと言う名前で、ディーグリーの家のラバー商会で取り扱い、ついでに味噌も扱う事に、米はまず生産量を増やす事から始めるらしい。
それまでは米は、俺とお城で優先的に買い取る約束も付いたので、ホクホクですよ!
商談中にシェルと只者じゃない爺さんも、食事を済ませて来たのか、ホクホク顔をしてた。
アマテ国は今まで、絹以外の輸出品がろくに無かったので、凄く喜んでた。
一応米の育て方もレクチャーしといた!
より多くの収穫を期待してね!
湿地帯で、野菜の育てられない土地を有効に使える事になったので、その事にも凄く感謝された。
米を売ってくれるなら、なんて事無いですよ!
帰り道、皆で料理の感想を言い合いながら、ディーグリーが米を食べられない事を残念がっていたけど、お城でご飯は炊きません宣言をしたら驚かれた。
今回、料理法と育て方を教えたお礼がしたいとスサナ王子に言われたので、米の残りを全部貰っちゃったからね!
ご飯を出さない理由を聞かれたので、アンネローゼの名前を出すと、全員が、あーと納得。
商人達のパーティーでも、アンネローゼの体型は話題になってたとか。
学園に戻ったら、たまにご飯を炊くよって言ったら、ディーグリーがはしゃぎ、料理長が落ち込んだ。
残りの休みも数日になった頃、何時ものように騎士の訓練場の隅で、ソラとハクと戯れてたら、アンネローゼがゴリゴリマッチョな女性騎士から逃げて、訓練場に入ってきた。
訳も分からず闇雲に逃げて来たのか、笑いながら血を流し、魔法剣をブン回す集団に悲鳴をあげた。
怖いよね、うん分かる。
丸々太めとは言え、汗と涙と若干の鼻水も出てる状態でも、お姫様に悲鳴をあげられた騎士達は、ハッと自分達の姿をかえりみた。
自分の姿は見えないが、周りの姿は、半笑いの顔を引き攣らせ、半裸で血をダラダラ流しながら剣を握る集団。
お姫様じゃなくても悲鳴をあげる。
納得したら、比較的冷静に訓練に励んでいたアールスハインにお姫様を任せ、一旦自分達の治療に専念し、半笑いの顔を引き締めた。
随分と長い時間をかけて、正気を取り戻した騎士達は、その後は冷静さを失わないように気を引き締めて訓練に励んだ。
尚、この場に居なかった将軍とイングリードは、未だ正気を失いがちである。
ショックを受けたアンネローゼは、暫くの間、騎士を見ると怯え、騎士団訓練場には間違っても近付かないようになった。
女性でも騎士は怖いらしく、今までは、何かと逃げ出していた訓練を、文句タラタラながらちゃんと受けるようになったとか。
ゴリゴリマッチョな女性騎士は、少々不満らしいけどね。




