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冬休み 城

誤字報告感想をありがとうございます!

 アールスハインに抱っこされ食事室に到着。

 入った途端、クレモアナ姫様にアールスハインごとハグされた。とても良い匂い。

 続いて第三妃であるリィトリア王妃にハグされ、イングリードに肩をバンバン叩かれた。アールスハインが。振動が凄いので抱っこされてない時にお願いします。

 各々の席に着き、昼食が始まる。

 お城のパンと肉はそこそこ柔らかいので、安心して食べられる。

 双子王子もモリモリ食べる。

 アンネローゼもモリモリ食べる。

 アンネローゼがモリモリ食べる。

 アールスハイン以上の量食べる。

 その時、バンとテーブルを叩き立ち上がるお姫様。


「もう我慢出来ませんわ!アンネローゼ、貴女この頃食べ過ぎよ!だからブクブク太ってしまって!姫としての自覚が無さすぎるわ!姫が太っているなんて、とても恥ずかしくてよ!」


 物凄い剣幕で怒り出した。


「まぁまぁクレモアナ、食事中にはしたなくてよ、食事がすんでからになさい」


「リィトリア母様、それでは遅いのです!今もご覧になって、アンネローゼったらアールスハイン以上の量を食べてますのよ!今止めなければ!」


「ローゼはまだ成長期なのですから、それ程心配しなくても良いのではなくて?」


 リィトリア王妃様は、子供はプクプクでも構わない方針のようだが、クレモアナ姫様は許せないらしい。


「いいえ!ケータ様がお戻りになったからには、噂に聞く画期的な方法での料理の改良が成されるでしょう!それは大変喜ばしい事ですが、今以上にアンネローゼが太る可能性も大いに有るのです!」


 フンスと鼻息荒く言い切ったクレモアナ姫様。


「そうねー、確かにこれ以上はねぇ」


 と、リィトリア王妃様までがアンネローゼを繁々と眺める。

 散々な言われようのアンネローゼは、顔を真っ赤にブルブル震えて、


「お姉様もリィトリア母様も酷いですわ!わたくしそんなに太ってません!」


「自分で思っている以上に貴女は太っているわ!以前ケータ様がパンと肉の改良してからと言うもの、貴女の食欲は増すばかり、証拠に貴女のドレスが丈は同じにも関わらず、サイズが三つも大きくなっているじゃない、戦闘訓練でもすぐに息切れしてさぼろうとするし、何よりもその二重顎が証拠よ!」


 アンネローゼぐうの音も出ません。


「ですから、明日からの貴女の食事はパンと肉は半分、当然おやつ抜きです!そして明日からの戦闘訓練は倍に増やします!」


「そ、そんな酷い!わたくし死んでしまいますわ!」


「今の半分の量有れば、普通の令嬢の食べる量より多いくらいです!それだけ食べれば死にはしません!」


 うわあああと泣き出すアンネローゼ。


「泣いてもダメよ!これは決定です、お父様よろしいですわね!」


「あ、ああ」


 クレモアナ姫様の剣幕に王様も逆らえません。

 と言うか、男性陣はこう言う時は口を出してはいけません!

 黙々と食事を済ませ、隣のサロンへ。

 泣きながらも確り完食したアンネローゼもサロンへ。

 これからデザートだからね。

 本日のデザートはプリン。

 俺が教えたプリン。

 一人一人配られたその大きさがおかしいプリン。

 固めのプリンなので切り分けられるのは良い、でも何故、厚さ10センチ一辺の長さが20センチもある二等辺三角形か。

 しかもまだ大量におかわりの用意が有るって!

 皆が一口食べる前にクレモアナ姫様から一言。


「アンネローゼ、貴女のデザートはそのワンピースで終わりよ」


「な!まだあんなに有りますのに?!」


「太るからよ!」


 アンネローゼが凄い目でクレモアナ姫様を睨みながらブルブルしております。


「横暴ですわ!」


「何とでも仰い、それも全て太っている貴女が悪いのよ」


 酷く冷めた眼差しを返されて、なにも言い返せないアンネローゼ。

 とても怖い。

 空気を読んでか双子王子もおとなしくプリンを食ってる。

 俺は半分も食べられずに、残りはアールスハインに押し付けた。

 お喋りもそこそこに退散しました。


 その翌日から、アンネローゼのダイエット生活が始まった。

 野菜中心の食事にグヌグヌして、双子王子のおやつタイムに乱入してクレモアナ姫様に首根っこ掴まれて引き摺られ、戦闘訓練はそれまでのストレスを発散するかのように鬼気迫るものがあったとか。

 ただし肥えた体が付いていかずに、クレモアナ姫様が手配したゴリゴリマッチョな女性騎士に追いかけ回されて、終いには廊下で倒れてメイドさんに踏まれたりしたらしい。


 それをシェルが笑いすぎて痙攣しながら話してた。

 実際に行き倒れてたアンネローゼを見て、引き付け起こす程笑ってて、デュランさんに後頭部をひっぱたかれてたし。


 アールスハインは仕事して、騎士の訓練に参加して魔法の訓練して、の繰り返し。

 たまに勉強。真面目過ぎ。

 15歳男子の生活じゃ無い。


 俺は双子王子に連れ回されて、アールスハインの魔法の訓練に付いてって、昼寝して、料理長とメニュー開発して、ソラとハクと遊んで過ごした。


 来週には年末年始の大々的なパーティーが開かれるからか、城内がザワザワと落ち着かない。

 他国からのお客様も来てるからか、チビッ子組は王族専用エリアからの外出を禁止された。

 専用エリアだけでもかなり広いんだけどね。


 そんな中、何時ものようにアールスハインに抱っこされて魔法の訓練に向かっていると、いつになくバタバタと騒がしい。

 しかも何時もは居ない騎士達が急ぎ足で通り過ぎて行く。

 その内の一人がこっちに駆け寄って来て、


「アールスハイン王子、ケータ様、至急御同行下さい!陛下がお呼びです」


「何があった?」


「私の口からは何とも」


 足早に騎士に着いて行った先には、王様、宰相さん、将軍さん、テイルスミヤ長官、教皇様まで居て、更に第一王妃のロクサーヌ王妃様も居た。


「来たかアールスハイン、ケータ殿。早速で悪いが、ケータ殿、ロクサーヌに掛けられた呪いを解けるだろうか?」


 部屋に入った時から気になっていたけど、王妃様は、口から泡を吹いて今にも暴れ出しそうな所を縛られた上に将軍さんに押さえられている。

 魔法を使えない様にか、テイルスミヤ長官が何か魔法を掛け続けていて、教皇様が解呪を試みているが、王妃様の項の辺りに、ウニョウニョがビチビチしてるだけで解ける気配は無い。

 王妃様の後ろに回り、項から出ているウニョウニョを思い切って引っ張る。

 ズリュリュリューーーーっと、アールスハインの時とは比べ物にならないくらい長いウニョウニョが出てきて、尻餅をついた。

 綱引きの縄くらい太く一メートルくらいあるウニョウニョは、先端の方は何股にも分かれて、床をビタンビタンしている。

 素早く近寄って来たテイルスミヤ長官が、バリアで包んで騎士数名を呼んでウニョウニョの入ったバリアの追跡を依頼した。

 バリアを転がす様に移動するウニョウニョ。

 それを追って部屋を出ていく騎士。

 王妃様は?と見れば、気絶していた。


「父上、どうしてロクサーヌ母上は呪われたのですか?私の時よりも強い呪いを掛けられていたようですが?」


「ああ、説明するからまずは部屋を移そう」


 そう言って王様は、王妃様を姫抱っこして部屋から出ていった。

 デュランさんに案内された部屋でお茶を飲んでると、王様が部屋に入って来て一口お茶を飲むと、


「実はロクサーヌは、クレモアナの挨拶廻りから帰ってから、体が鈍ったと言い出して、騎士団の遠征に勝手に着いて行ったんだが、遠征中、怪しげな馬車の集団を発見した。

中を検めようと近付いたところ、数人の騎士が突然倒れ意識不明になった。ロクサーヌは問答無用と判断し、馬車の集団に向かって魔法を撃ち込んだ。

馬車の集団は大破し、その検分をしようと近付いた時に、生き残っていた数人が一斉にロクサーヌ達に呪具を投げつけ、ロクサーヌは騎士を庇い一人でその全ての呪具を身に受けた。騎士達はすぐさま近くの教会に向かい解呪を試みたが、叶わず、隊を半分に分け急遽城に戻ったと言うわけだ」


 先端が何股にも分かれていたのは、幾つかの呪いが纏まったものだったのかもしれない。


「それで、ロクサーヌ妃の容態は?」


「呪いの気配は取り除かれました。後は目覚めれば問題は無いかと」


 宰相さんの質問に、教皇様が答える。

 重々しい空気が少しだけ軽減された。


「それで残りの騎士達は?」


「気絶してた奴等はすぐに目覚めて問題は無かった。呪いも受けちゃいなかった」


「呪いを受けたのはロクサーヌ妃のみか?」


「王妃が騎士を庇ってちゃ意味ねーけどな!」


「だがロクサーヌ妃だからな」


 質問するのは宰相さん、答えるのは将軍さん。

 ロクサーヌ妃だからな、で納得してしまえる王妃ってどうよ?と思わないでもないが、今はそれが問題ではない。


「賊は?」


「総勢33人の賊はロクサーヌ妃の魔法で27人死亡、残り5人の賊がロクサーヌ妃に呪具を投げつけたと同時に、昏睡状態に陥った」


「残り1人は?」


「…………………………クシュリア様だ」


「確かなのか?」


「牢に入れた時に確認した。間違いねー」


「城を出奔した後の痕跡が掴めなかったが、目的は国外脱出か?」


「おそらくな、方向的には隣国のササナスラ王国だろうよ」


「成る程、ササナスラ王国か。あの国の公爵家にはクシュリア様の姉が嫁いでいたな」


「国を出る前に捕まえられたのは良かったが」


「何故クシュリア様の周りから次々と呪具が出てくるか、ですね」


 宰相さんの呟きのような言葉に、教皇様が苦い顔で一番の問題を述べる。


「こうなりゃルーグリア家を一度本格的に捜査する必要があるな」


「それならばパーティーの時にでも密かに捜査させるのが良いだろう」


「そうだな、証拠を隠されちゃたまんねー」


「内部にも内通者がいることを考慮せねばな」


「分かってる。だから今回は俺と俺の直属の部下だけで捜査する」


 宰相さんと将軍さんの間でサクサク作戦が決まっていくなか、王様から待ったがかかる。


「それはならん、将軍が新年のパーティーに出席しないなど、何かあると知らしめているようなものだ」


「ですが、この作戦は早急にかつ秘密裏に行う必要があります。将軍とその部下であれば迅速に事を進められましょう」


「新年のパーティーに将軍と宰相が揃っておらねば、他国から我が国に問題が有るのではないかと、余計な勘繰りを受ける」


「しかしそれならどうする?近衛騎士はいまいち信用ならん。腕は立つが貴族の損得を優先するやつも多い」


 ーーバンッーー


「それならば私が行こう!」


「「ロクサーヌ様!」」


 突然部屋に入って来て、会話に乱入したのはついさっきまで呪われてた王妃様。

 制止するメイドさんと騎士などものともせず、ズカズカと部屋に入り、王様の座っている一人掛けソファの背凭れと肘置きにバンッと手を付き、


「ルーグリア家には私が行く。止めたければ私を牢にでも入れるがいい」


 と、王様を睨み付ける。

 しばし睨み合う二人。

 フゥとため息を吐いたのは宰相さんと将軍さん。

 それを見たデュランさんが、王妃様に付いてきたメイドさんと騎士を部屋から出しドアを閉める。


「フゥーーー、お前は先程まで呪われて、自我を失っていたのだぞ?」


「もう治った」


「年始のパーティーに王妃が参加せずどうする」


「私が呪われたのはルーグリアの傘下にある伯爵領だ。同じ領内の教会に運ばれたのだから、私が呪われた事は既にルーグリアに伝わっているだろう。ならば私が呪いのせいでパーティーに参加出来ないと考え、将軍がいない事よりは警戒されない。違うか?」


「どちらにしてもクシュリアを捕えた事で警戒はするだろうよ」


「それでも、将軍が動く事よりはマシなはずだ」


「また呪われたらどうする?」


「呪いを受けてもすぐに正気を失うわけでは無い。ならば正気の内に手足なりと切り落とせば良い。何なら魔力制御の魔道具を着けてもいい」


「………………………………」


「ジュリアス!私は負けたまま生き続けられる程強くはないぞ?」


「………………分かった。だが行くなら私の影も連れて行け」


「はあ?それではジュリアスが危険だろう?相手は呪いを自在に使うのだから、王であるお前こそ守られるべきだろう!」


「影を連れて行かぬと言うなら、ルーグリアには行かせぬ」


「頑固者!」


「お前に言われたくない」


 だんだん夫婦喧嘩になってきた。

 ゴホン、将軍さんの咳払いで止まった夫婦喧嘩。

 シレッとした顔の王様と、ニヤッとした王妃様。

 そのまま王様のソファの肘置きに座った王妃様は、


「それで?後同行するのは誰だ?私の側近も数名連れて行くが、それ以外の人選は将軍に任せて良いのか?」


「ハアーー、分かった任されよう。精鋭を揃えるさ」


「それならば、作戦の決行日まではロクサーヌ妃の姿を誰かに見られるわけにはまいりません、身代りを立てて、療養のためとお住まいを離宮に移しましょう」


「大丈夫だ、ここまでも秘密通路を使って来た!共に来たのも、実家から付いてきたメイドと、側近の騎士だから、身元は私が保証する!」


 王妃様のゴリ押しに負けた国のトップ達が、渋々作戦を考え出した。

 この作戦には魔法庁と教会からも何人か参加する事に決まって、会議が終了した。

 部屋を出ようとしたら、呪いを解いたことを感謝され、頬っぺたが口紅で真っ赤に成る程王妃様にチュッチュされた。


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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
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[一言] アンネローゼがモリモリ食べる。2回言った笑笑 作者さんうますぎる!
[一言] コミック2巻 発売が待ち遠しいです。
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